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2026.10.26 らしくコラム

Liferayとは?社内ポータルと顧客ポータルの仕組みを解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

会議室で2つのポータルの画面を見比べて打ち合わせる情報システムと制作の担当者

この記事の結論

  • LiferayはJavaで作られたオープンソースのWeb基盤で、社内ポータルと顧客ポータルを同じ仕組みで作れます。
  • 無料のFree Tierもありますが、多要素認証やSAMLが要るポータルでは有償契約が前提になります。
  • 構築ではサイトと組織の分け方を先に決め、データベースと検索エンジンを本番用に用意します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

社内のお知らせや申請の入口が部署ごとにばらばらで、どこを見ればよいのか分からない。取引先に渡す資料をメールで送っていて、最新版がどれか確かめられない——。社員や顧客に向けた情報の窓口が増えていく会社では、こうした食い違いが起こりがちです。Liferay(ライフレイ)は、こうした窓口を1つにまとめるポータルを作るための、オープンソースのWeb基盤です。

社員向けの社内ポータルと、取引先向けの顧客ポータルを同じ仕組みの上で作り分けられます。ただし万能ではなく、機能が多いぶん構成や権限の設計に手間がかかります。本記事では、ポータルの基盤選びを任された情報システムの担当者に向けて、Liferayでできること、無料版と有償契約の違い、構築の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Liferayとは

Liferayは、Liferay社が開発しているJavaで書かれたWebの基盤です。公式ドキュメントは、Webアプリケーションを作って動かすための、オープンソースの企業向けプラットフォームと説明しています。*1 製品名としては「Liferay DXP」が使われ、以前の無償版「Liferay Portal」とは1つの製品にまとめられました。*2

  • ページとコンテンツのまとまりを「サイト」と呼び、社内ポータル、イントラネット、通販サイトなどをサイト単位で作ります*3
  • ソースコードはGitHubで公開され、ライセンスはLGPL-2.1以降(条件を守れば自由に使えるオープンソースのライセンス)と、有償契約向けの利用規約から選べます*4
  • 利用者の管理、権限の設定、他システムとの連携の口(API)を最初から備えています
  • 自社のサーバーにも、クラウドにも置けます

社内向けと顧客向けのポータルを別々の仕組みで作ると、ログインの方法や権限の考え方が2つに分かれます。Liferayはどちらも同じ基盤の上で「サイト」として作れるため、利用者の管理を1か所にまとめやすいのが特徴です。

無料版と有償契約の違い

Liferay DXPには、登録すれば無料で使える「Free Tier」と、有償の「Enterprise Subscription」があります。中核の機能は共通で、違うのは認証まわりなど一部の機能と、冗長化の規模、サポートの有無です。

Liferay DXPの入手方法の違い
入手方法 使える範囲 向いている場面
Free Tier(無料) コンテンツ管理、サイト、ワークフローなどの中核機能。冗長化は3台まで。利用の鍵は12か月ごとに更新 学習、開発、小規模な利用、試行
Enterprise Subscription(有償) 多要素認証、SAML(社内の認証基盤とつなぐ方式)、本番規模の冗長化、認定済みの版、開発元のサポート 社外の利用者も入る本番のポータル
ソースから自分でビルド GitHubの最新のソースコード。修正の取り込みや改変を自分で行う 本体に手を入れる開発

Free Tierの説明では、多要素認証やSAMLはEnterpriseの鍵が要るとされています。*5 顧客ポータルで多要素認証を求められる場合や、社内の認証基盤と一度のログインでつなぎたい場合は、最初から有償契約を前提に見積もるほうが手戻りがありません。社員どうしの交流が中心で、ページを作り込む必要が少ないなら、HumHubによる社内SNSのセルフホストのような選択肢もあります。

社内ポータルと顧客ポータルの仕組み

Liferayでは、1つの環境の中に複数のサイトを作り、サイトごとに見せる人を分けます。社内ポータルは社員だけが入れるサイト、顧客ポータルは取引先の担当者だけが入れるサイト、という分け方です。ページやコンテンツはサイトの中にとどまり、原則としてほかのサイトとは共有されません。

夜の執務室でモニターの権限の一覧を指さしてマウスを操作する担当者の手元

  • 組織:会社や部署の階層をそのまま表します。組織ごとに専用のサイトを持たせられます
  • ユーザーグループ:部署をまたいだ集まりです。グループの全員に同じページを配れます
  • ロールと権限:誰が何を見られ、何を編集できるかを決めます
  • 認証の連携:LDAP(社内の利用者情報をまとめた仕組み)やシングルサインオン、多要素認証を設定できます*6

顧客ポータルでは、取引先ごとに組織を作り、その組織の人だけが自社向けの資料や問い合わせの履歴を見られるようにする設計ができます。権限の設計を後から変えると影響が大きいため、サイトと組織の分け方は構築の最初に決めておきます。

構築の進め方

Liferayの構築は、インストールよりも「誰に何を見せるか」と「本番の構成」を決める作業が中心です。次の4つの段階で進めると、途中で作り直さずに済みます。

  • ステップ1:使う人と目的を決める(社員向けか、取引先向けか、両方か)
  • ステップ2:版と置き場所を決める(自社のサーバー、Kubernetes(コンテナをまとめて動かす仕組み)を使うクラウド、開発元のクラウドから選べます)*7
  • ステップ3:データベースと検索エンジンを本番用に用意する
  • ステップ4:権限、認証、バックアップの手順を決めてから公開する

Liferayの構築を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 使う人と目的を決める、STEP2 版と置き場所を決める、STEP3 データベースと検索を用意する、STEP4 権限とバックアップを決める。

つまずきやすいのはステップ3です。初期状態のLiferayは試用のための組み込みデータベースで動き、本番ではMariaDB、MySQL、PostgreSQLなどを使うよう勧められています。*8 検索も同じで、一緒に起動するElasticsearch(検索エンジン)は試験用で、本番での利用はサポートされていません。*9 試しに動いた環境をそのまま公開しないことが大切です。

外部に頼むときに確認しておきたい点

構築を外部に頼む場合は、どこまでを任せ、何を自社に残すかを先に決めておきます。見積もりの前に、次の点を確かめておきます。

会議室で壁の画面を示す説明者とノートPCを操作する担当者

  • 版の選び方:Free Tierで足りるか、多要素認証やSAMLのために有償契約が要るか
  • 権限の設計:サイト、組織、ロールの分け方を誰が決め、文書に残すか
  • 本番の構成:データベースと検索エンジンを別のサーバーに分けるか、冗長化を何台で組むか
  • 更新の段取り:四半期ごとに出る新しい版を、いつ検証して当てるか*10
  • バックアップ:データベースのほか、設定ファイル、文書の保存先、検索のインデックスまで含めるか*11

開発元は、更新の前にデータベースとインストール一式をバックアップするよう求めています。*12 本体に手を入れる改変が多いほど、版を上げるたびに確かめる範囲が広がります。開発者向けのポータルを作りたい場合は、Backstageによる開発者ポータルの構築も比べてみてください。

まとめ:Liferayで確かめておきたい3つの点

Liferayでポータルを作るうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、多要素認証やSAMLが要るかを見て、Free Tierか有償契約かを決めること。第二に、社内向けと顧客向けのサイト、組織、ロールの分け方を構築の最初に決めること。第三に、データベースと検索エンジンを本番用に用意し、更新とバックアップの段取りを公開前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「試しに作った環境を公開したら、取引先ごとの権限が分けられなかった」という事態を避けやすくなります。構成や権限の設計に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Liferayの構築では、TomcatバンドルかDockerイメージかを置き場所に合わせて選び、データベースはMariaDB・MySQL・PostgreSQLから互換性の一覧に載った版を、検索エンジンは本番用に別立てのElasticsearchを用意します。設計の段階では、社内向けと顧客向けのサイト、取引先ごとの組織、ロールと権限の分け方を、お客様の業務と利用者の範囲を見ながら決め、Free Tierで足りるか、SAMLや多要素認証のために有償契約が要るかを判断します。運用では、設定ファイルをLiferay Workspaceで環境ごとに管理し、四半期ごとの新しい版を検証環境で確かめてから当てる手順と、データベース・文書の保存先・検索のインデックスのバックアップと復元の手順を文書にしてお渡しします。

よくある質問

Free Tierのまま本番で使えますか

公式の説明では、Free Tierは学習、開発、小規模な利用、試行に向いた形とされ、利用の鍵は12か月ごとに更新が必要です。*5 多要素認証やSAMLが必要になった場合は、鍵を有償契約のものに差し替えれば、データを移さずに機能を追加できます。利用条件は契約の内容で確かめてください。

以前の無償版のLiferay Portalを使い続けていますが、どうすればよいですか

Liferay PortalとLiferay DXPは1つの製品にまとめられ、開発元は以前の無償版からの移行先としてFree Tierを勧めています。*2 版が大きく離れている場合は、データベースの移行や自社で加えた改変の作り直しが要ることがあるため、検証用の環境で先に試しておくと手戻りを減らせます。

パブリッククラウドで動かせますか

動かせます。開発元は、Kubernetesを使うクラウド、開発元のクラウドサービス、自社のサーバーのどれでも動かせると案内しています。*7 どこに置く場合でも、データベース、文書の保存先、検索エンジンをどう分けて置くかは別に決める必要があります。

社内・顧客ポータルの構築のご相談

Liferayによる社内ポータルや顧客ポータルの設計・構築から、権限の設計、更新とバックアップの運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Liferay Learn「Getting Started」(https://learn.liferay.com/w/dxp/getting-started)。出典:Liferay DXPをWebアプリケーションを作って動かすためのオープンソースの企業向けプラットフォームとする説明を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:liferay/liferay-portal(GitHub)README(https://github.com/liferay/liferay-portal)。出典:Liferay PortalとLiferay DXPが1つの製品になったこと、Free TierとEnterprise Subscriptionの説明、Liferay Portal CEからの移行先の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Liferay Learn「Sites」(https://learn.liferay.com/w/dxp/sites)。出典:サイトをページとコンテンツのまとまりとする説明、ポータル・イントラネット・通販サイトの例、組織のサイト、サイト単位のデータの扱いを参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:liferay/liferay-portal(GitHub)LICENSING.md(https://github.com/liferay/liferay-portal/blob/master/LICENSING.md)。出典:LGPL-2.1以降と有償契約向けの利用規約のデュアルライセンスの記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Liferay Learn「Liferay DXP Free Tier」(https://learn.liferay.com/w/dxp/getting-started/liferay-dxp-free-tier)。出典:Free Tierに含まれる機能、3ノードまでの冗長化、Enterpriseの鍵が要る機能、鍵の有効期間12か月、Enterpriseへの切り替えの記述を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Liferay Learn「Security and Administration」(https://learn.liferay.com/w/dxp/security-and-administration)。出典:シングルサインオン、LDAP、多要素認証の設定、組織・ユーザーグループ・ロールと権限の記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Liferay Learn「Self-Hosted Installation and Upgrades」(https://learn.liferay.com/w/dxp/self-hosted-installation-and-upgrades)。出典:Kubernetesを使うクラウド、開発元のPaaS・SaaS、自社のサーバーに置けるという記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:Liferay Learn「Configuring a Database」(https://learn.liferay.com/w/dxp/self-hosted-installation-and-upgrades/installing-liferay-on-a-local-server/configuring-a-database)。出典:初期設定の組み込みデータベースと、本番でのMariaDB・MySQL・PostgreSQLの推奨を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:Liferay Learn「Installing a Search Engine」(https://learn.liferay.com/w/dxp/search/installing-and-upgrading-a-search-engine/installing-a-search-engine)。出典:同時に起動するElasticsearchは本番での利用がサポートされないという記述を参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:Liferay Learn「Liferay Software Versions」(https://learn.liferay.com/w/dxp/self-hosted-installation-and-upgrades/reference/liferay-software-versions)。出典:Liferay DXPが四半期ごとのリリースに移ったという記述を参照(2026年10月確認)
  11. *11 参考:Liferay Learn「Backing Up」(https://learn.liferay.com/w/dxp/self-hosted-installation-and-upgrades/maintaining-a-liferay-installation/backing-up)。出典:Liferay Home、アプリケーションサーバー、データベース、文書の保存先、検索インデックスのバックアップの記述を参照(2026年10月確認)
  12. *12 参考:Liferay Learn「Updating Liferay」(https://learn.liferay.com/w/dxp/self-hosted-installation-and-upgrades/maintaining-a-liferay-installation/updating-liferay)。出典:更新の前にデータベースとインストール一式をバックアップするよう求める記述を参照(2026年10月確認)
  13. *13 参考:Liferay Learn「Organizations」(https://learn.liferay.com/w/dxp/security-and-administration/users-and-permissions/organizations)。出典:組織で実際の組織の階層を表し、組織ごとのサイトとロールを持たせる記述を参照(2026年10月確認)




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