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2026.10.27 らしくコラム

Microsoft 365 Copilot社内データの判断基準

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

スクリーンの分岐図を手で示して説明する担当者と聞き手の背中

この記事の結論

  • Microsoft 365 Copilotに社内データを使わせる方法は、標準の機能・コネクタ・エージェント・自前の検索の仕組みの4つです。
  • 権限と共有の範囲を整えたうえで、データの置き場所と使わせ方を順に問うと方法が決まります。
  • 標準の機能と既製のコネクタは社内で扱い、自作のコネクタや専用の仕組みは外部に頼む候補にします。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

社内の規程や手順書をMicrosoft 365 Copilotに答えさせたい。業務システムのデータも使わせたいが、標準の機能で足りるのか、開発が要るのか分からない——。Copilotの導入を任された情報システム部門では、こうした迷いが出やすいところです。

いきなり自前の仕組みを作ると、標準の機能で足りた部分まで開発することになりかねません。本記事では、Microsoft Learnの公式ドキュメントで確かめた内容をもとに、社内データを使わせる4つの方法、方法を決める4つの問い、それぞれの方法が要る場面、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

社内データを使わせる4つの方法

Microsoft 365 Copilotは、Microsoft Graph(Microsoft 365のデータをつなぐ仕組み)を通じて、文書・メール・予定表・チャット・会議などの社内データをもとに回答します。*1製品名はMicrosoft Copilotに変わりましたが、本記事では検索で使われる名前で書きます。社内データを使わせる方法は、作り込みの少ない順に次の4つに分けられます。

社内データを使わせる4つの方法
方法 使えるデータ Copilotへの届き方 主に作業する人
標準の機能 SharePoint・OneDrive・メール・Teamsなど 自動で作られるインデックス(索引)から探す 管理者(ライセンスと権限)
コネクタ Microsoft 365の外にある文書の保管庫や業務システム Microsoft Graphに取り込むか、質問のたびに取りに行く 管理者(既製のもの)、開発者(自作のもの)
エージェント 標準のデータやコネクタのデータ 業務に合わせた指示と知識を足して答える 業務の担当者と開発者
自前の検索の仕組み(RAG) 専用のモデルや複雑な処理と組み合わせるデータ 自分で用意した仕組みで探して答えを作る 開発者(動かす環境も用意)

RAG(検索拡張生成)は、質問に関係する文書を先に探し、それを根拠に答えを作らせる仕組みです。表の下の方法ほど自由が利く一方で、作る量と運用の手間が増えます。

方法を決める4つの問い

どの方法にするかは、上から順に4つの問いに答えると決めやすくなります。

Microsoft 365 Copilotに社内データを使わせる方法を決める順番の図。問1は権限と共有の範囲が整っているかで、いいえなら展開を止めて権限を先に直す。問2はデータがMicrosoft 365の中にあるかで、いいえならコネクタを用意してから問3へ進む。問3はそのまま質問すれば足りるかで、はいなら標準の機能で使い社内で続ける。問4はCopilotの仕組みの中で足りるかで、いいえなら自前の仕組みを作り外部に頼む候補にする。すべて通ればエージェントを作る。

4つの問いで確かめることと行き先
問い 確かめること 外れたときの行き先
問1 権限と共有の範囲は整っているか 部署やプロジェクトのサイトを、見るべき人だけが見られるか 展開をいったん止め、権限を先に直す
問2 データはMicrosoft 365の中にあるか 使わせたい文書がSharePointやOneDriveにあるか コネクタを用意してから問3へ
問3 そのまま質問すれば足りるか 業務の手順や答え方を決めずに使えるか 標準の機能で使う(社内で続ける)
問4 Copilotの仕組みの中で足りるか 専用のモデル、複雑な処理、Copilotの外のアプリが要らないか 自前の仕組みを作る(外部に頼む候補)

問1を最初に置くのは、Copilotが利用者に少なくとも表示の権限があるデータだけを使うためです。*1共有の範囲が広すぎると、見せる予定のなかった文書まで回答の材料になります。権限の点検はMicrosoft 365 Copilotセキュリティ設定確認表で扱っています。

標準の機能で足りる範囲

使わせたいデータがMicrosoft 365の中にあり、そのまま質問すれば足りるなら、標準の機能で使えます。セマンティック インデックス(意味の近さで文書を探すための索引)は組織の単位で自動で作られ、管理者の作業は要りません。*2

規程のバインダーと質問一覧を突き合わせる手元

  • 対象になるファイル:Word、PowerPoint、PDF、Webページ(aspx)、OneNote
  • 対象にならないもの:共有メールボックス、アーカイブされたメールボックスやSharePointのデータ
  • 反映の時期:2人以上が見られるSharePointのサイトに加えた文書は、毎日インデックスに入る*2
  • 前提:SharePointのサイトが検索の対象のままになっていること
  • 範囲の絞り込み:利用者がライブラリやフォルダーを指定すると、その列の情報も手がかりに使う

足りるかどうかは、業務でよく出る質問を一覧にし、試しにライセンスを割り当てた利用者で答えを確かめると判断しやすくなります。プロンプトと応答、Microsoft Graph経由で使われたデータは、基盤のモデルの学習に使われないと公式ドキュメントに書かれています。*1ライセンスの割り当てはMicrosoft 365 Copilot管理センターの使い方で扱っています。

コネクタやエージェントが要る場面

データがMicrosoft 365の外にあるなら、コネクタで届けます。コネクタには、データをMicrosoft Graphに取り込む同期コネクタと、取り込まずに質問のたびに取りに行くフェデレーション コネクタの2つがあります。*3

同期コネクタとフェデレーション コネクタの違い
項目 同期コネクタ フェデレーション コネクタ
データの置き場所 Microsoft Graphに取り込む 元のシステムに残す
セマンティック インデックス 使える 使えない
向くデータ ナレッジの蓄積、文書の保管庫、業務システム 元のシステムに残す必要がある、変わりやすいデータや規制のかかるデータ
認証 Microsoft Entra ID(利用者を管理する仕組み)へのアプリの登録 MCP(AIと外部の仕組みをつなぐ取り決め)で使える方法

既製のコネクタは100を超え、管理センターで選んで接続の情報を入れれば動きます。*4既製のものが無いシステムは、開発者がデータの形を決め、Microsoft Entra IDに登録し、データを送るプログラムを書く必要があります。公式ドキュメントも、なるべく既製のものを使うよう勧めています。

箱と線だけの構成図を挟んで開発と情シスの担当者が打ち合わせる

決まった業務の手順に沿って答えさせたいときは、エージェントを作ります。宣言型エージェントはCopilotの仕組みとモデルの上に指示と知識を足す形で、動かす環境を別に用意する必要がありません。*6専用のモデルや複雑な処理が要るときはカスタム エンジン エージェントになり、動かす環境とセキュリティの手当てを自分で用意します。

  • Copilot Studioのエージェントの知識に使えるもの:公開Webサイト、アップロードした文書、SharePoint、Dataverse、コネクタ*5
  • SharePointやコネクタの知識:質問した利用者が見られる内容だけを答えに使う(利用者の認証が前提)
  • 自前のRAG:Retrieval APIを使うと、SharePoint・OneDrive・コネクタのデータを、別の索引を作らずに取り出せる*7
  • Retrieval APIの費用:Copilotのライセンスを持つ利用者は追加料金なしで使える

エージェントの作り方はCopilot Studioエージェント開発の内製と外注の違い、Microsoft 365の外で文書検索を作る方法はAzure OpenAIで作る社内文書検索で扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

判断に迷ったときは、4つの問いのどこで迷っているかを示して相談すると、話が早く進みます。外部に相談できる範囲と、頼む前に確かめたい点は次のとおりです。

  • 相談できる範囲:権限と共有の範囲の点検、既製のコネクタの設定、自作のコネクタやエージェントの開発、自前のRAGの設計
  • 期間の決まり方:つなぐシステムの数とデータの量、直す権限の量のうち、何を前提に見積もっているか
  • 体制:Microsoft Entra IDへのアプリの登録と管理者の同意を誰がするか。外部の担当者に渡すロールを絞れるか
  • 費用の決まり方:作る作業で決まるのか、月ごとの運用で決まるのか。ライセンスや動かす環境の費用と分けて示されているか
  • 引き継ぎ:どの問いでどの方法を選んだかの記録、コネクタの同期の設定、エージェントの指示と知識の一覧を受け取れるか

自作のコネクタは、公式ドキュメントでも保守が要るものとされています。*4元のシステムが変わったときに誰が直すかを、契約の前に決めておきます。自前のRAGの費用の内訳はRAG構築を外注する費用と進め方で扱っています。

まとめ:社内データの使わせ方で確かめたい3つの点

Microsoft 365 Copilotに社内データを使わせるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、展開の前に権限と共有の範囲を整えること。第二に、データがMicrosoft 365の中にあるかを確かめ、外にあるなら既製のコネクタから検討すること。第三に、標準の機能で足りない分だけエージェントや自前の仕組みを足すことです。この順番を守れば、「開発したのに標準の機能で足りていた」という事態を避けやすくなります。どの問いで迷っているかが分かれば、外部に相談するときの範囲も絞れます。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Microsoft 365 Copilotに社内データを使わせる設計では、SharePoint のサイトとライブラリの権限を部署の構成に合わせて見直し、展開の範囲を決めます。外部のシステムは、既製の Copilot コネクタで足りるかを先に確かめ、足りない場合は Microsoft Graph connectors API と Microsoft Entra ID のアプリ登録でカスタムの同期コネクタを作ります。業務を絞る場合は Copilot Studio の知識ソースと利用者の認証でエージェントを組み、専用の仕組みが要る場合は Microsoft 365 Copilot Retrieval API で既存のインデックスを使うかを判断します。運用では、コネクタの同期の設定とエージェントの指示を文書にして引き継ぎます。

よくある質問

コネクタで取り込んだデータは全社員に見えてしまいますか

同期コネクタは元のシステムの権限に沿い、見る権限がある利用者にだけ表示します。*4ただし自作のコネクタは、取り込む項目ごとに権限の情報を設定しないとテナント全体に適用されるため、設計の段階で確かめます。

社内データがCopilotの学習に使われることはありますか

プロンプトと応答、Microsoft Graph経由で使われたデータは、基盤のモデルの学習に使われないと公式ドキュメントに書かれています。*1エージェントを使う場合は、そのエージェントのプライバシーに関する声明と利用規約も確かめます。

社内のファイルサーバーにある文書もCopilotで使えますか

既製のコネクタには、ネットワーク上のファイル共有向けのものがあります。*4社内に置いたデータは、Microsoft Graph connector agent を使って取り込む方法が用意されています。

Microsoft 365 Copilotの社内データ活用のご相談

どの方法で社内データを使わせるかの判断から、権限の整理、コネクタやエージェントの開発まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「Microsoft Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/microsoft-365-copilot-privacy)。出典:Microsoft Graph を通じた組織データの利用、表示アクセス許可を持つデータのみを表示すること、基礎 LLM のトレーニングに使われないこと、名称の変更、エージェントのプライバシーに関する声明の確認の記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「Microsoft Copilot のセマンティック インデックス」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoftsearch/semantic-index-for-copilot)。出典:テナント レベルのインデックスが自動で割り当てられ管理者の関与が不要なこと、サポートされているファイルの種類、SharePoint の文書が毎日インデックスに入ること、サイトが検索可能である必要、ライブラリやフォルダーの列メタデータの記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot コネクタの概要」(機能拡張)(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/extensibility/overview-copilot-connector)。出典:同期されたコネクタとフェデレーション コネクタの違い(データ移動、セマンティック インデックス作成、ユース ケース、認証)、外部アイテムのセキュリティを制限しない場合はテナント全体に適用されることの記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot connectors overview」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/connectors/overview)。出典:100を超える既製のコネクタ、管理センターでの設定、カスタム コネクタに必要な作業と保守、ネットワーク ファイル共有、Microsoft Graph connector agent、元のシステムの権限による表示の記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Microsoft Learn「Copilot Studio のナレッジ ソース」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-copilot-studio/knowledge-copilot-studio)。出典:サポートされているナレッジ ソース(公開 Web サイト、ドキュメント、SharePoint、Dataverse、コネクタ)と、エージェント ユーザーの認証の記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot のエージェントの概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/extensibility/agents-overview)。出典:宣言型エージェントは追加のホスティングが不要なこと、カスタム エンジン エージェントは追加のホスティングと自前のセキュリティ対策が必要なことの記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)
  7. *7 参考:Microsoft Learn「Microsoft 365 Copilot Retrieval API の概要」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/copilot/extensibility/api/ai-services/retrieval/overview)。出典:SharePoint・OneDrive・Copilot コネクタから別のインデックスを作らずに取得できること、Microsoft 365 Copilot アドオン ライセンスを持つユーザーは追加料金なしで利用できることの記述を参照(確認日:2026-10-22)(2026年10月確認)




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