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Jira移行の5ステップ|課題管理のデータを移す進め方と注意点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- Jira移行は、自社サーバーからクラウド版へ、別の道具からJiraへなど、パターンによって使う道具が変わります。
- 棚卸し・利用者の整理・試験移行・受け入れテスト・本番移行の5ステップで、試してから本番に進みます。
- パスワードや全体の権限など移らない設定があるため、移行後の作り直しまで計画に入れておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
自社のサーバーで動かしてきたJiraの保守期限が近いと聞いた。RedmineやExcelで管理してきた課題を、Jiraへまとめて移したい——。課題管理の仕組みを預かる情報システムの現場では、こうした悩みが起こりがちです。Jira移行とは、課題(チケット)とその履歴、ワークフロー、利用者の情報を、今の環境から別の環境へ移す作業を指します。
移行のための道具は用意されていますが、ただし万能ではなく、移らない設定や利用者への手当てが残ります。本記事では、課題管理の移行を任されたシステム担当者に向けて、移行の3つのパターン、5つのステップ、移らないものと移行後の手当て、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
Jira移行とは
Jira移行で運ぶものは、課題のデータだけではありません。Atlassianの移行アシスタントの説明では、課題に加えて、それを動かすための設定や利用者の情報も移す対象に挙がっています。*4
- プロジェクトと課題(アーカイブ済みのものを含む)
- 利用者とグループ
- ボード(課題を列に並べて進み具合を見る画面)とスプリント
- ワークフロー(課題の状態の移り方)とフィルター
- 権限や通知の割り当てを決める各種の設定
移行を急ぐ理由になっているのが、自社のサーバーに置く版の終了です。Atlassianは、Server製品のサポートを2024年2月15日に終えました。*3 後継のData Center製品も、Jira Software Data Centerを含めて2029年3月28日に提供を終え、契約が切れて読み取り専用になると発表しています。*1 新規の顧客向けの販売は2026年3月30日に終わり、既存の顧客が新しいライセンスを買えるのは2028年3月30日までです。*2
移行パターンの違い
Jira移行は、どこからどこへ移すかで使う道具が変わります。自社サーバーのJiraからクラウド版へ移すとき、Atlassianが勧めているのは無料の移行アシスタント(Jira Cloud Migration Assistant)です。*5 CSVファイルでの取り込みは制約が多いため、移行アシスタントが使えないときだけの方法と位置づけられています。

| パターン | 主な方法 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 自社サーバーのJiraからクラウド版へ | 移行アシスタント | 対応するData Centerの版であることが前提。移すプロジェクトを選び、段階的に移せる |
| Redmine・Backlog・Excelなど別の道具からJiraへ | 元の道具からCSVファイルに書き出して取り込む | 要約(Summary)の列が必須。元の項目とJiraの項目の対応を決めておく |
| 複数のJiraのサイトや環境を1つにまとめる | サイトの統合とCSVでの取り込み | 追加アプリとそのデータ、利用者は移らないため、別に手当てが要る |
CSVでの取り込みについて、Atlassianは1ファイルあたり1,500件ほどを目安とし、取り込みにはおよそ1時間かかるとしています。*6 件数の多いプロジェクトは小さく分けて取り込みます。RedmineからJiraへ移す場合は、元のトラッカーやステータスがJiraのどの項目に当たるかを先に決めておくと、取り込んだ後の手直しが減ります。Redmineの構築についてはRedmineで課題管理基盤を外注構築で扱っています。
Jira移行の5ステップ
どのパターンでも、いきなり本番の環境を移すことはしません。次の5つのステップで、試しに移して確かめてから本番に進みます。
- ステップ1:移すものの棚卸し。プロジェクト・追加アプリ・連携先を一覧にし、使っていないものは移さない
- ステップ2:利用者の整理。メールアドレスの抜けや重複を直す
- ステップ3:テスト用のサイトへの試験移行。件数や設定を移行前と比べる
- ステップ4:受け入れテスト。普段使う人に、いつもの操作を試してもらう
- ステップ5:本番移行と移行後の手当て。移らなかった設定を作り直し、利用者に案内する
つまずきやすいのはステップ2です。自社サーバーのJiraではメールアドレスが必須ではなかったため、無効なアドレスの利用者が残っていることがよくあります。クラウド版ではメールアドレスが利用者を見分ける主な手がかりになるので、移行アシスタントの確認機能を使って移行の前に直しておきます。*4
ステップ4の受け入れテスト(利用者が実際の操作で確かめるテスト)では、スプリントの作成、バックログへの課題の追加、ボードの表示といった日々の操作を試してもらうよう、Atlassianは勧めています。*8 本番の移行を終えた後にも、もう一度同じテストを行ってデータが移ったことを確かめます。
移らないものと移行後の手当て
移行アシスタントを使っても、すべてが移るわけではありません。Atlassianが公開している一覧では、たとえば次のものが移行の対象外です。*7

- 全体の権限と、タイムゾーンや言語などの全体設定
- 利用者が自分で作った通知の設定と、追加したイベント
- パスワード(シングルサインオンを使っていなければ、移行後に各自で設定し直す)
- 利用者ごとのタイムゾーンと、操作の履歴を並べたアクティビティストリーム
- メールから課題を作る設定(メールハンドラー)と課題収集フォーム
- 追加アプリのデータのうち、開発元が移行の道を用意していないもの
移らなかった項目は、移行後に手で作り直すか、CSVでの取り込みで補います。追加アプリが持つ項目のように移行アシスタントで移らない項目も、クラウド側に同じ項目を作ってからCSVで取り込めば補えると案内されています。*7 また、移行アシスタントは移行先にある既存のデータを上書きしないため、すでに使っているクラウドのサイトへ移すこともできます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
Jira移行で手間がかかるのは、道具を動かす作業よりも、何を移して何を捨てるかを決める作業と、移した後の確かめです。外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。
- どこまで頼むか:棚卸し、利用者の整理、試験移行、受け入れテストの支援、本番移行のうち、どれを任せるか
- 移行の時期:Data Centerの提供終了までの残りの期間と、業務の繁忙期を踏まえた切り替えの日取り
- 件数の突き合わせ:課題・コメント・添付ファイルの件数を、移行の前と後でどう比べるか
- 追加アプリと連携:使っている追加アプリや外部の仕組みとの連携を、移行後にどう作り直すか
- 利用者への案内:パスワードの再設定やブックマークの変更を、誰がいつ知らせるか
特に件数の突き合わせは、決めないまま本番に進みやすい点です。移行アシスタントは移行の前と後のレポートを出せるので、*5 これを照合の材料に使えます。課題管理に限らないデータ移行の進め方はシステム移行・データ移行を外注する進め方にまとめています。
まとめ:Jira移行で確かめておきたい3つの点
Jira移行を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社サーバーからクラウド版へ、別の道具からJiraへなど、どのパターンの移行かを決めて道具を選ぶこと。第二に、利用者のメールアドレスと移らない設定を先に洗い出し、試験移行と受け入れテストで確かめること。第三に、2029年3月28日のData Centerの提供終了から逆算して、切り替えの日取りを決めることです。この3点を踏まえておけば、「移したのに設定が欠けていて、古いJiraを止められない」という事態を避けやすくなります。移行の計画や作業の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
移行アシスタントの利用に費用はかかりますか
移行アシスタントそのものは無料で、自社サーバーのJiraに入れて使います。*5 ただし、移行先のクラウド版の利用料や、作業を外部に頼む場合の費用は別にかかります。
移行の作業中もJiraを使い続けられますか
移行アシスタントは移すプロジェクトを選んで段階的に移せるため、止める時間をできるだけ短くする進め方がとれます。*5 本番の切り替えの間は課題の更新を控えてもらうなど、利用者への案内を前もって決めておくと混乱を防げます。
移行のデータはAtlassian側にずっと残りますか
移行アシスタントが扱う移行のデータは、移行を作成した日から14日間だけ保存されます。*4 移行の前と後のレポートは手元に保存しておくと、後で件数を確かめるときに役立ちます。
Jira移行のご相談
Jiraのクラウド移行や別の課題管理ツールからの移し替えについて、棚卸しから試験移行、移行後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Atlassian「Data Center End of Life」(https://www.atlassian.com/licensing/data-center-end-of-life)。出典:Data Center製品の提供終了日(2029年3月28日)、読み取り専用になること、対象製品(Jira Software Data Centerなど)の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Atlassian Blog「Atlassian Ascend」(https://www.atlassian.com/blog/announcements/atlassian-ascend)。出典:新規顧客向け販売終了(2026年3月30日)、既存顧客の購入期限(2028年3月30日)の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Atlassian「Server end of support」(https://www.atlassian.com/licensing/server-end-of-support)。出典:Server製品のサポート終了日(2024年2月15日)の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:Atlassian Support「What is Jira Cloud Migration Assistant?」(https://support.atlassian.com/migration/docs/what-is-jira-cloud-migration-assistant/)。出典:移行できるデータの種類、メールアドレスの確認機能、移行データの保存期間(14日間)の記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:Atlassian Support「Cloud migration methods for Jira」(https://support.atlassian.com/migration/docs/cloud-migration-methods-for-jira/)。出典:移行アシスタントが無料で推奨の方法であること、段階的な移行、移行前後のレポート、CSVでの取り込みとサイトの統合の制約の記述を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:Atlassian Support「Import data from a CSV file」(https://support.atlassian.com/jira-cloud-administration/docs/import-data-from-a-csv-file/)。出典:1ファイルあたりの推奨件数(1,500件)、取り込みの所要時間の目安、Summary列が必須であることの記述を参照(2026年10月確認)
- *7 参考:Atlassian Support「What gets migrated with the Jira Cloud Migration Assistant」(https://support.atlassian.com/migration/docs/what-gets-migrated-with-the-jira-cloud-migration-assistant/)。出典:移行の対象外の項目、既存データを上書きしないこと、CSVでの取り込みで補う方法の記述を参照(2026年10月確認)
- *8 参考:Atlassian Support「User acceptance testing for migrations」(https://support.atlassian.com/migration/docs/user-acceptance-testing-for-migrations/)。出典:受け入れテストで試す操作(スプリントの作成、バックログへの課題の追加、ボードの表示)と本番移行後の再テストの記述を参照(2026年10月確認)