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業務委託の契約解除通知書の雛形|10項目の書き方と記入例
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 業務委託の契約解除通知書には、通知日と解除日、対象の契約、根拠の条項、報酬の精算、返却と引き継ぎなど10項目を書きます。
- 6か月以上続く個人との契約なら、解除日の30日前までに予告し、理由を求められたら遅滞なく示せるよう窓口を書きます。
- 民法では委任はいつでも解除できますが、不利な時期なら賠償が要ることもあるため、送る前に違約金の条項を確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
業務委託で参画している外部のエンジニアとの契約を、期間の途中で終えることになった。口頭で伝えたものの、書面で何を送ればよいのか、いつまでに送るのか、報酬や貸した機器はどう書けばよいのかが分からない——。外部人材との契約を初めて途中で終える企業では、ここで手が止まりがちです。
本記事は、外部のエンジニアに仕事を頼んでいる開発マネージャーや情報システムの責任者に向けて、契約解除通知書に入れる10項目を雛形の表にまとめます。民法とフリーランス法、公正取引委員会と厚生労働省の資料をもとに、30日前の予告の数え方と、送る前に契約書で確かめる点も整理します。
目次
業務委託の契約解除通知書とは
業務委託の契約解除通知書は、発注する企業が外部のエンジニアとの契約を期間の途中で終えるときに、解除の意思と終わる日を相手に伝える書面です。法令で決まった様式はありません。民法は、解除は相手方に対する意思表示によってするとし、その意思表示は撤回できないと定めています。*6
意思表示は、その通知が相手方に届いた時から効力を生じます。*6 口頭で伝えるだけでは、いつ何を伝えたかが残りません。書面かメールで送り、送った日と届いた日を記録に残しておくと、あとで期間を数えるときに困りません。
| 場面 | 書面の性格 | フリーランス法の30日前予告 |
|---|---|---|
| 期間の途中で解除する | 発注側から一方的に解除する意思を伝える通知 | 6か月以上続く個人との契約なら対象 |
| 期間の満了で更新しない | 次の契約を結ばないことを伝える通知 | 同じく対象(更新しない場合も含む) |
| 話し合って終える | 双方が合意した内容を書く合意書 | 一方的な解除ではないため対象外。ただし相手の自由な意思による合意かは慎重に見る |
期間の満了で更新しないときの判断と伝え方は、業務委託の契約更新の判断ポイントで扱っています。本記事は、期間の途中で解除するときに送る通知書という書面そのものに絞ります。
契約解除通知書の雛形と記入例
次の表は、民法とフリーランス法、公正取引委員会と厚生労働省の資料をもとに、契約解除通知書に入れる項目を雛形にしたものです。*4 記入の例は伏せ字にしています。

| 項目 | 書く中身 | 記入の例 | よくある抜け |
|---|---|---|---|
| ①表題と通知日 | 書面の題と、送る日 | 業務委託契約の解除のご通知/〇年〇月〇日 | 通知日がなく、30日前に送ったかを後から確かめられない |
| ②宛先 | 契約の相手方の名称。個人なら氏名、法人なら会社名と代表者 | 〇〇 〇〇 様/〇〇株式会社 代表取締役 〇〇 様 | 作業に来ている担当者に宛て、契約の相手方に届いていない |
| ③差出人 | 会社名と、解除を決める権限のある人の名前 | 〇〇株式会社 代表取締役 〇〇 | 現場の担当者の名前だけで、会社としての意思か分からない |
| ④対象の契約 | 契約の名前と結んだ日。個別契約なら番号も | 〇年〇月〇日付「〇〇システム開発支援業務委託契約」 | 基本契約と個別契約のどちらを解除するのか書いていない |
| ⑤解除の意思と解除日 | 解除することと、終わる日 | 本契約を〇年〇月〇日をもって解除いたします | 「終了を検討しています」と書き、相談か通知か読み取れない |
| ⑥根拠の条項 | 解除の根拠にする契約の条項 | 本契約第〇条第〇項に基づき | 契約で決めた予告期間を満たしているか確かめていない |
| ⑦理由の開示の窓口 | 理由を求められたときの連絡先 | 解除の理由の開示をご希望の場合は、下記の窓口までご連絡ください | 求められたときに誰が答えるかを決めていない |
| ⑧作業と報酬の精算 | 解除日までの作業と、その分の報酬の払い方 | 〇月〇日までの業務分の報酬は、本契約の定めに従い〇月〇日にお支払いします | 途中までの作業の報酬に触れていない |
| ⑨返却と権限の停止 | 貸した機器と資料の返却、アカウントを止める日 | 貸与した〇〇と資料は〇月〇日までにご返却ください。アカウントは解除日の翌日に停止します | アカウントを止める日を決めず、解除後も入れる |
| ⑩引き継ぎと連絡先 | 引き継ぐ資料と日程、問い合わせ先 | 引き継ぎ資料を〇月〇日までにご提出ください/窓口:〇〇部 〇〇 | 引き継ぎを解除日の直前に回し、後任に渡せない |
抜けやすいのは④と⑤です。基本契約の下に個別契約を結んでいる場合、どちらを解除するのかで、その後の取引の扱いが変わります。国の考え方は、基本契約が継続的業務委託に当たる場合には、基本契約も予告の対象になるとしています。*4 解除日は「〇月末」ではなく日付で書くと、期間を数え違えません。
⑦は、相手が個人のフリーランスで、6か月以上続いた契約のときに特に要ります。予告を受けた相手は、契約が終わる日までに解除の理由の開示を求めることができ、求められた側は遅滞なく示さなければなりません。*1 窓口を書いておくと、求められたときに慌てずに済みます。
⑨と⑩は、通知書を送る前に社内で日付を決めておきます。返してもらう物と止めるアカウントの決め方は、SES契約終了で決める6項目で扱っています。
30日前の予告と理由の開示
相手が従業員を使わない個人のフリーランスなどで、契約が6か月以上続いている場合、フリーランス法第16条の予告の決まりがかかります。*1*2 解除しようとするときは、少なくとも30日前までに予告しなければなりません。予告は、書面の交付、ファクシミリ、電子メールなどのいずれかで行います。*3
| 項目 | 決まりの中身 | 通知書で気をつけること |
|---|---|---|
| 対象 | 従業員を使わない個人などと、6か月以上続く業務委託の契約を解除するとき | 相手が対象に当たるかを、契約の相手方と通算の期間で確かめる |
| 期限 | 解除日の少なくとも30日前まで。予告の日から解除日の前日までに30日間が要る | ①の通知日と⑤の解除日の間を数える |
| 方法 | 書面の交付、ファクシミリ、電子メールなど | メールなら相手が全文を紙に出せる形で送る |
| 予告が要らない場合 | 災害などで予告が難しい、1回の契約期間が30日以下、相手の責めに帰すべき事由ですぐ解除が要る、など | 当たるかどうかは個別に判断される |
| 理由の開示 | 予告の日から契約が終わる日までに求められたら、遅滞なく示す | ⑦の窓口を書き、答える人と中身を先に決めておく |
30日の数え方について、公正取引委員会のQ&Aは、予告日当日から解除日の前日までに30日間が確保されている必要があるとし、8月31日に解除する場合は8月1日までに予告が要るという例を示しています。*5 通知書の①と⑤の日付は、この数え方で確かめます。
予告をしなかった場合の解除の効力について、Q&Aは、解除の効力はこの法律に基づいて判断されるものではなく、民事上の争いとして裁判所などで判断されると答えています。*5 予告の決まりを守ることと、契約上の解除が有効かどうかは、分けて考えます。
- 委託先が従業員のいる会社の場合:この予告の決まりの対象ではないが、契約書の予告期間には従う
- 契約に「予告なく解除できる」と書いていても:国の考え方は、それだけで予告が不要になるわけではないとしている*4
- 理由を示さなくてよい場合:開示すると第三者の利益を害するおそれがある場合や、ほかの法令に違反することになる場合*3
違約金と損害賠償の条項を確かめる
エンジニアの業務委託は、作業を行うことを約束する準委任で結ぶことが多く、民法の委任の決まりが当てはまります。*6 民法第651条は、委任は各当事者がいつでも解除できるとし、相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならないと定めています。*6

委任が途中で終わったときは、受けた側はすでにした仕事の割合に応じて報酬を請求でき、解除の効力は将来に向かってのみ生じます。*6 ただし、契約でこれと違う定めを置くこともあります。通知書を送る前に、契約書で次の点を確かめます。
- 解除の条項と、契約で決めた予告の期間
- 違約金や損害賠償の定めがあるか、あればその計算のしかた
- 解除日までの作業の報酬をどう計算して、いつ払うか
- 途中までの成果物と資料を、どの形で受け取るか
- 通知の方法(書面に限るか、メールでもよいか)
どの事情が不利な時期の解除に当たるか、賠償が要るかは、契約の文言と個々の事情で変わります。条文の読み方を自社だけで決めず、送る前に契約に詳しい専門家に確認してください。
外部に頼むときに確認しておきたい点
途中で契約を解除するときは、多くの場合、作業を続ける後任が要ります。通知書の雛形を埋めると、後任を探す相談に要る情報もそろいます。次の5つを先に決めておくと、話が早く進みます。
- 範囲:後任に任せる作業と、引き継ぐ資料(⑩に書く中身)
- 期間:解除日と、後任が参画したい日。重ねて引き継ぐ日数を取るか
- 体制:個人のフリーランスと直接結ぶか、会社を通すか。30日前の予告がかかるかも変わる
- 費用の決まり方:時間で払うか、成果で払うか。途中解除のときの精算の定めも合わせて決める
- 引き継ぎ:前任から受け取る資料と、止めるアカウント、後任に渡す権限
次の契約では、解除の条項と予告の期間、途中で終えたときの精算を最初に書いておくと、同じ場面で迷いません。
まとめ:契約解除通知書で押さえる3つの点
業務委託の契約解除通知書で押さえたい点は3つです。第一に、表題と通知日、宛先、差出人、対象の契約、解除の意思と解除日、根拠の条項、理由の開示の窓口、報酬の精算、返却と権限の停止、引き継ぎの10項目を雛形に入れること。第二に、6か月以上続く個人との契約なら、予告の日から解除日の前日までに30日間を取り、理由を求められたら遅滞なく示すこと。第三に、民法の委任の決まりと契約書の違約金や予告期間の定めを、送る前に確かめることです。
よくある質問
契約解除通知書はメールで送ってもよいですか
フリーランス法の予告は、書面の交付、ファクシミリ、電子メールなどのいずれかで行うと定められています。メールで送るなら、相手が全文を紙に出せる形にし、送った記録を残します。契約書で通知の方法を書面に限っていないかも確かめます。
委託先が会社の場合も30日前の予告は要りますか
フリーランス法の予告の決まりは、従業員を使わない個人などとの6か月以上の契約が対象です。従業員のいる会社との契約は対象になりませんが、契約書に予告の期間があればそれに従います。
30日前に予告しないで解除すると無効になりますか
公正取引委員会のQ&Aは、解除の効力はこの法律に基づいて判断されるものではなく、民事上の争いとして裁判所などで判断されると答えています。予告の決まりを守ることとは分けて、契約上の解除の条項を確かめます。
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出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:デジタル庁 e-Gov。第2条(定義)、第13条(継続的業務委託)、第16条(解除等の予告・理由の開示)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:デジタル庁 e-Gov。第3条(法第13条第1項の期間は6月)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *3 参考:e-Gov法令検索「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60000100094)。出典:デジタル庁 e-Gov。第3条(予告の方法)、第4条(予告が要らない場合)、第5条(理由の開示の方法)、第6条(開示が要らない場合)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *4 参考:公正取引委員会・厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001572556.pdf)。出典:厚生労働省(令和6年5月31日、令和8年10月1日改正)。第3部4 解除等の予告(継続的業務委託に係る契約、契約の解除の意味、予告の方法、例外事由、理由開示)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *5 参考:公正取引委員会「Q&A」(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)(https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited/fllaw_qa.html)。出典:公正取引委員会。問107(30日前の数え方)、問108(予告をしなかった場合の解除の効力)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
- *6 参考:e-Gov法令検索「民法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:デジタル庁 e-Gov。第97条(意思表示の効力発生時期)、第540条(解除権の行使)、第620条、第648条(受任者の報酬)、第651条(委任の解除)、第652条、第656条(準委任)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)