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2026.10.30 採用支援コラム

外注管理規程の雛形|業務委託エンジニアを受け入れる条文と確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

朝の窓際の自席で総務の担当者が外注管理規程の案に赤ペンで線を入れる

この記事の結論

  • 外注管理規程の雛形には、発注の権限、委託先の選定、取引条件の明示、検収と支払、情報とアカウント、終了の手続きを条として置きます。
  • 業務委託をしたら直ちに取引条件を示し、報酬は受け取った日から60日以内に払う条文にして、検収の期日も先に決めます。
  • アカウントは個人ごとに必要な権限だけを付けて契約の終了日に止め、情報の消去と貸与物の返却を記録します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

業務委託のエンジニアを迎える部署が増えてきた。部署ごとに発注の決め方も、アカウントの渡し方もばらばらで、契約が終わった人のIDが残っていたこともある。社内の決まりとして外注管理規程を作りたいが、何条を置けばよいのか分からない——。

本記事は、業務委託でエンジニアを受け入れる会社の情報システム責任者や開発マネージャー、規程づくりを任された総務・法務の方に向けて、外注管理規程の雛形を条ごとの表で示します。根拠は、経済産業省のシステム管理基準、フリーランス法、個人情報保護委員会のガイドラインで言える範囲にとどめます。

外注管理規程とは

外注管理規程は、社外の会社や個人に業務を頼むときの手続きを、社内で誰が・いつ・何をするかの形で定める社内規程です。経済産業省の「システム管理基準」は、外部委託管理の管理活動の例として、委託先の選定基準・方法を含む外部委託管理手続を定め、それに基づいて契約の締結、契約の維持、検収を行うことを挙げています。*1

業務委託でエンジニアを受け入れる会社では、規程に次の3つの場面をまとめておくと、受入部門ごとにやり方がばらつきません。

  • 発注の前:誰が申請し、誰が承認するか。委託先をどう選ぶか
  • 受け入れ中:取引条件の明示、情報の扱い、アカウント、検収と支払
  • 終わるとき:予告、貸与物の返却と情報の消去、アカウントの停止

同じ基準は、要員の責任と権限を定めて周知することも管理活動の例に挙げ、要員には業務委託先も含むと定義しています。*1 誰が承認し、誰がアカウントを止めるのかを部署名で書いておくことが、規程の芯になります。

外注管理規程の各条が、業務委託のエンジニアを受け入れる流れのどこに当たるかを示す図。1 発注の前:第3条 発注の権限、第4条 委託先の選定。2 契約と条件の明示:第5条 業務を委託したら直ちに取引条件を書面か電子メールで示す。3 受け入れ中:第8条 情報の取扱い、第9条 アカウントと権限。4 検収と支払:第6条 検収の期日、第7条 受け取りから60日以内に支払う。5 終わるとき:第10条 予告、返却と消去、アカウントの停止。システム管理基準、フリーランス法、個人情報保護委員会のガイドラインをもとに作成。

図は、雛形の各条が受け入れの流れのどこに当たるかを示しています。

外注管理規程の雛形と条文の例

次の表が、業務委託のエンジニアを受け入れる外注管理規程の雛形です。条文の書き方の例は一般的な形で、「〇〇」の部分は自社の組織や規程の名前に置き換えます。

総務の担当者の肩越しに開発部の課長が規程の条文の案を両手で持って読む

外注管理規程の雛形(業務委託のエンジニアを受け入れる場合)
条 定めること 条文の書き方の例 運用で確かめる点
第1条(目的) この規程が何のためにあるか この規程は、当社が業務委託契約により社外の技術者に業務を委託するときの手続きを定め、取引の適正と情報の保護を図ることを目的とする。 情報の取扱いの規程など、関係する社内規程と食い違っていないか
第2条(適用範囲と定義) 対象にする契約と、委託先・受入部門などの言葉の意味 この規程は、個人事業主および法人と結ぶ業務委託契約のうち、委託先の技術者が当社の業務に加わるものに適用する。 対象の契約を一覧で持っているか。派遣で受け入れる人を混ぜていないか
第3条(発注の権限) 誰が発注を申請し、誰が承認するか 業務委託の発注は受入部門の長が申請し、契約金額に応じて〇〇規程に定める者が承認する。 申請者と承認者が同じ人になっていないか。金額の区切りが社内の決裁の基準と合っているか
第4条(委託先の選定) 選ぶときの基準と比べ方 受入部門は、求める品質・費用・期間を示し、原則として複数の候補を比べて委託先を選ぶ。 比べた記録が残っているか。候補が1つのときの理由を書いているか
第5条(契約と取引条件の明示) 契約書に書く事項と、委託のつど示す条件 業務を委託したときは、直ちに、業務の内容、報酬の額、支払期日その他の取引条件を、書面または電子メール等で委託先に示す。 稼働の開始より前に条件を渡しているか。条件を変えたときに示し直しているか
第6条(検収) 成果を確かめる人・期日・やり方 受入部門の〇〇は、契約で定めた期日までに成果物または作業の報告を確かめ、検収の結果を記録する。 検収を完了する期日を、示す条件に入れているか
第7条(報酬の支払) 支払期日の決め方 報酬は、成果物を受け取った日または役務の提供を受けた日から60日以内の、できる限り早い日に支払う。 締め日と支払日の組み合わせで60日を超えていないか
第8条(情報の取扱い) 渡す情報の範囲、持ち出し、再委託 委託先に渡す情報は業務に必要な範囲に限る。個人データを扱わせるときは、取扱いの方法と再委託の条件を契約で定める。 個人データに触れる作業かどうかを、発注の前に見分けているか
第9条(アカウントと権限) IDの発行、付ける権限、停止の時期 委託先の技術者が使うアカウントは個人ごとに発行し、業務に必要な権限だけを付け、契約の終了日に停止する。 共用のIDが残っていないか。停止の担当と期日が決まっているか
第10条(契約の終了) 予告、貸与物の返却、情報の消去、引き継ぎ 契約を解除するとき、または更新しないときは、法令の定めに従って予告し、貸与物の返却と情報の消去を確かめて記録する。 6か月以上続く契約の予告を、30日前までに出せる段取りになっているか
第11条(改廃) 規程を誰が見直し、誰が決めるか この規程の改廃は、〇〇部が案を作り、〇〇会議の決議により行う。 法令や社内の体制が変わったときに見直しているか

条の番号や並びは、自社のほかの規程に合わせて構いません。表のうち、第3条の承認者と第9条のアカウントの停止は、担当があいまいなまま運用が始まりやすい条です。次の節から、法令や公的な指針とつながる条を順に見ていきます。

取引条件の明示と検収と支払の条文

相手が従業員を使わない個人や、代表者1人だけで従業員のいない会社なら、フリーランス・事業者間取引適正化等法(以下、フリーランス法)の対象です。*2 同法第3条は、業務委託をしたら直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日などを書面か電磁的方法で示すよう求めています。*2 示す事項は公正取引委員会の規則が定めており、主なものは次のとおりです。*3

  • 双方の名称と、業務委託をした日
  • 給付の内容(役務なら提供される役務)
  • 給付を受け取る期日か期間と、場所
  • 検査をする場合は、検査を完了する期日
  • 報酬の額と支払期日

第6条の検収はこの「検査を完了する期日」と、第7条の支払は同法第4条とつながります。第4条は、従業員を使う会社などの発注者に、給付を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から60日以内の、できる限り短い期間で支払期日を定めるよう求め、検査をするかどうかは問わないとしています。*2 支払期日は受け取った日から数えるため、検収の期日を先に決めておくと支払が遅れません。

1か月以上の業務委託では、相手の責めがないのに報酬を減らすことなども禁じられています。*2*4 第5条の明示と第7条の支払は受入部門の判断に任せず、経理や法務と同じ手順で回す条文にしておきます。

情報管理とアカウントと終了の条文

委託先の技術者に個人データを扱わせるなら、個人情報保護法第25条により、委託先を監督する義務があります。*5 個人情報保護委員会のガイドラインは、監督として講じる措置に次の3つを挙げています。*6 個人データに触れる作業の見分け方は業務委託エンジニアの情報セキュリティで整理しています。

保管室で情報システム部の担当者が返却された閉じたノートPCを持ち上げて確かめる

  • 適切な委託先の選定:委託先の安全管理措置を、委託する前に確かめる
  • 委託契約の締結:双方が同意した安全管理措置と、取扱状況を委託元が把握することを盛り込むことが望ましい
  • 取扱状況の把握:定期的な監査などで、契約に盛り込んだ内容の実施の程度を調べることが望ましい

同じガイドラインは、技術的な安全管理措置として、担当者と扱うデータの範囲を限るアクセス制御と、使う人が正当なアクセス権を持つ者かを識別して認証することを挙げています。*6 第9条で個人ごとのアカウントと必要な権限だけを定めるのは、この考え方を受け入れの場面に当てはめたものです。付与から削除までの手順は業務委託エンジニアの権限管理で整理しています。

第10条の終了の手続きでは、まず予告の期限を確かめます。フリーランス法第16条は、6か月以上続く業務委託(継続的業務委託)を解除するとき、更新しない場合も含めて、原則として少なくとも30日前までに予告するよう求めています。*2*4 ガイドラインは、取扱いを確かめる記録の例に「委託した場合の消去・廃棄を証明する記録」を挙げています。*6 終了の日には、消去の記録の受け取り、アカウントの停止、貸与物の返却をそろえて確かめます。資料の渡し方は業務委託エンジニアの離任と引き継ぎで扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

外注管理規程の雛形を埋めていくと、受け入れる側で先に決めておくことが見えてきます。そのうえで業務委託のエンジニアを探すなら、次の点を書き出しておくと相談が進めやすくなります。

  • 範囲:任せる作業と、触れる情報(個人データを含むか)
  • 期間:始める時期と、6か月を超えて続きそうか
  • 体制:社内の受入担当者、承認者、アカウントを止める担当
  • 費用の決まり方:月額・時間単価・精算の幅のどれで払うか
  • 引き継ぎ:終わるときに資料とアカウントを誰が受け取るか

発注を社内で通すときの書き方は外部人材活用の稟議書で整理しています。本記事は法令と公的な資料による一般的な整理で、条文の解釈を示すものではありません。個別の規程の内容は、弁護士などの専門家に確認してください。

まとめ:外注管理規程の雛形

外注管理規程の雛形で押さえたい点は3つです。第一に、発注の権限、委託先の選定、取引条件の明示、検収と支払、情報管理、アカウント、契約の終了を条として置き、誰がするかを部署名で書くこと。第二に、業務委託をしたら直ちに取引条件を示し、報酬は受け取った日から60日以内に払えるよう、検収の期日を先に決めること。第三に、アカウントは個人ごとに必要な権限だけを付けて終了日に止め、6か月以上続く契約は30日前までの予告と、情報の消去の記録まで手順に入れることです。

LASSICに相談するメリット

規程で受け入れの手順が決まれば、任せる作業と期間に合う業務委託の専門人材の候補を探せます。規程を整えている段階から相談できます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

外注管理規程は誰が作りますか

決まった担当はありません。発注の承認は受入部門と決裁の担当、取引条件と支払は経理や法務、アカウントは情報システム部門が関わるため、案を作る部署を1つ決め、関係する部署の確認を経て決めると運用がそろいます。

派遣で受け入れるエンジニアにもこの雛形を使えますか

派遣は労働者派遣の契約に沿った別の手続きになります。本記事の雛形は業務委託契約を前提にしているため、第2条の適用範囲で対象の契約を書き分けておきます。

相手が従業員のいる会社でもフリーランス法の条文は要りますか

フリーランス法の対象は、従業員を使わない個人や、代表者1人だけで従業員のいない会社です。それ以外の会社は同法の対象ではありませんが、取引条件を書面で示す手順を相手によらずそろえておくと、受入部門が迷わずに済みます。

業務委託で開発に加わるエンジニアを探す

任せたい作業の範囲と始めたい時期が分かっていれば、そのままご相談いただけます。受け入れの社内規程を整えている段階でも構いません。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「システム管理基準」(令和5年4月26日)(PDF)(https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/sys-kansa/sys-kanri-2023.pdf)。出典:経済産業省。Ⅱ.2.6 外部委託管理(管理活動の例:外部委託管理手続、外部委託先の選定、契約の締結、外部委託契約の維持、検収手続)、Ⅱ.10.2 責任と権限の管理、用語「要員」の定義を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第25号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025)。出典:e-Gov法令検索。第2条(定義)、第3条(給付の内容その他の事項の明示等)、第4条(報酬の支払期日等)、第5条(特定業務委託事業者の遵守事項)、第13条(継続的業務委託)、第16条(解除等の予告)を参照。条文はe-Gov法令APIで確認(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506M60200000003)。出典:e-Gov法令検索。第1条(法第3条第1項の明示事項)を参照。条文はe-Gov法令APIで確認(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」(https://laws.e-gov.go.jp/law/506CO0000000200)。出典:e-Gov法令検索。第1条(法第5条第1項の期間は1月)、第3条(法第13条第1項の期間は6月)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  5. *5 参考:e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057)。出典:e-Gov法令検索。第25条(委託先の監督)を参照。条文はe-Gov法令APIで確認(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)
  6. *6 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:個人情報保護委員会。3-4-4(委託先の監督)、10-3(組織的安全管理措置:取扱状況を確認する記録の例)、10-6(技術的安全管理措置:アクセス制御、アクセス者の識別と認証)を参照(確認日2026年10月28日)(2026年10月確認)




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