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2026.10.31 らしくコラム

EKSバージョンアップはなぜ必要?延長サポートの料金と更新体制

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

2台のモニターの予定表を指す情シス担当と、後ろからのぞき込む課長

この記事の結論

  • EKSの版は提供開始から14か月が標準サポートで、その後の延長サポートでは料金が1時間0.10ドルから0.60ドルに上がります。
  • 延長サポートは初めから有効なので、何も設定しなければ標準サポートの終了日から上乗せの料金に切り替わります。
  • 新しい版は平均4か月に1回出るため、終了日から逆算して年に数回1つずつ上げる体制を持つことが大切です。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

AWSから「標準サポートが終わる」という通知が届いたが、何をすればよいのか分からない。請求書を見たら、クラスターの料金がいつの間にか上がっていた——。Amazon EKS(AWSが管理するKubernetesのサービス)を使う会社では、こうした戸惑いが起こりがちです。EKSのバージョンアップとは、クラスターで動くKubernetesの版を、AWSが提供する新しい版へ順に上げていく作業のことです。

定期的に上げておけば、料金の上乗せを避けながら、セキュリティの修正を受け続けられます。ただし万能ではなく、版を上げるたびに、アプリや周りの部品が新しい版で動くかを確かめる手間がかかります。本記事では、EKSを運用する情報システムの担当者に向けて、バージョンアップが必要な理由、延長サポートで料金が上がる仕組み、定期的に上げる進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

EKSのバージョンアップとは

Kubernetesは、新しい機能や不具合の修正を加えた版(マイナーバージョン。1.33から1.34のような版)を、平均して4か月に1回のペースで出しています。*1 EKSもこの流れに合わせて新しい版を提供しており、AWSは早めに上げることを勧めています。バージョンアップで上げる対象は、クラスターの管理側だけではありません。

  • コントロールプレーン(クラスター全体を管理する司令塔の部分):AWSが管理しており、利用者が更新を始めると新しい版に入れ替わります
  • ノード(アプリが実際に動くサーバー):管理側を上げても自動では上がらないため、別に更新します
  • アドオン(クラスターに追加して使う部品):通信や名前解決を受け持つ部品を、新しい版で推奨される版へそろえます
  • 周りのツール:クラスターを操作するツールや、サーバーの台数を自動で増減する仕組みも新しい版に合わせます

注意したいのは、版を1つずつしか上げられないことです。AWSのドキュメントは、管理側が高い可用性を保つ構成で動いているため、一度に上げられるのは1つの版だけだと説明しています。*4 遅れている版の数だけ、同じ作業を繰り返すことになります。

標準サポートと延長サポートの違い

EKSでは、1つの版を使える期間が2段階に分かれています。EKSで提供が始まってから14か月が標準サポート、その後の12か月が延長サポートで、合わせて最長26か月です。*1 2つの違いを表にまとめると次のとおりです。

利用料の明細を持つ部長に、ノートPCのグラフを見せて説明する担当者

標準サポートと延長サポートの違い(30日の金額は1時間の料金×720時間で計算)
項目 標準サポート 延長サポート
期間 EKSで提供が始まってから14か月 標準サポートの終了後12か月
料金(クラスター1つ・1時間) 0.10ドル 0.60ドル(標準の0.10ドルに0.50ドルを上乗せ)*2
30日動かした場合 72ドル 432ドル
期間が終わると 延長サポートに入るか、次の版へ自動で上がる その時点で提供中の最も古い延長サポートの版へ自動で上がる

料金はクラスター1つごとにかかるため、検証用と本番用があればその数だけ上乗せされます。AWSの料金ページの例では、26か月のあいだ版を上げずに使い続けた場合、1時間あたりの平均は0.33ドルになるとしています。*2

延長サポートで料金が上がる仕組み

延長サポートは、新しく作るクラスターにも既存のクラスターにも、初めから有効になっています。*3 つまり何も設定しなければ、標準サポートが終わった日から、そのクラスターは延長サポートの料金に切り替わります。課金は、標準サポートが終わる日の始まり(協定世界時の0時)からです。*1

  • 切り替えを決める設定:クラスターごとの「アップグレードポリシー」で、標準サポートの終了時に延長サポートへ入るか、次の版へ自動で上がるかを選びます
  • 自動で上がる側を選んだ場合:延長サポートの料金はかかりませんが、標準サポートの終了時に、準備ができていなくても次の版へ上がります
  • 延長サポートに入った後:設定を戻すことはできず、料金を止めるには標準サポートの版まで上げる必要があります
  • 延長サポートも終わったとき:クラスターは自動で上がり、その後は前の版に戻せません

終了が近い版のクラスターがあれば、AWS Health Dashboard(AWSの障害や予定を知らせる画面)に通知が出ます。通知はEKSで提供が始まってから約12か月の時点で届き、終了日は通知日から60日以上先です。*1 ただ、通知を受けてから検証を始めると間に合わないことがあります。AWS自身も、延長サポートを使う場合でも定期的に上げる計画を立てるよう勧めています。

定期的なバージョンアップの進め方

新しい版は平均4か月に1回出るので、年に数回、決まった時期に1つずつ上げる運用にすると、1回あたりの作業が小さく済みます。1回分の流れは次の4つのステップです。

  • ステップ1:使っている版と標準サポートの終了日を、クラスターごとに一覧にする
  • ステップ2:アップグレードインサイト(新しい版へ上げる妨げを自動で調べる機能)で、問題を洗い出す
  • ステップ3:検証用のクラスターで先に上げ、アプリの動きを確かめる
  • ステップ4:本番の管理側を1つ上げ、ノード・アドオン・周りのツールを同じ版にそろえる

EKSの定期バージョンアップ1回分を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 版と終了日を一覧にする、STEP2 インサイトで問題を洗い出す、STEP3 検証用で先に上げて確かめる、STEP4 本番を上げて部品をそろえる。

AWSは、本番の前に新しい版でアプリの動きを試すよう勧めています。管理側の更新は、一度始めると途中で止められません。その代わり、その場で上げたクラスターは、更新が終わってから7日以内なら1つ前の版に戻せます。*1 戻す手順と、戻すかどうかを決める人も、ステップ3の時点で決めておきます。アップグレードインサイトの結果は24時間ごとに自動で更新されるので、*5 ステップ1の一覧と合わせて定期的に見る場を設けておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

EKSのバージョンアップは年に数回くり返す作業です。1回きりの作業ではなく、定期の運用として任せられるかを、見積もりの前に次の点で確かめておきます。

大型画面の年間予定表を示す委託先の技術者と、聞いている発注側の2人

  • 対象の範囲:管理側だけか、ノード・アドオン・周りのツールまで含むか
  • 年間の計画:どの版をいつ上げるかを、標準サポートの終了日から逆算した予定として出してもらえるか
  • 検証の方法:検証用のクラスターをどう用意し、どのアプリの動きを誰が確かめるか
  • 戻す判断:問題が出たとき、7日以内に前の版へ戻すかどうかを誰がどう決めるか
  • 延長サポートの扱い:アップグレードポリシーをクラスターごとにどう設定し、上乗せの料金が出ていないかを誰が確かめるか

EKSに限らないKubernetes全般のバージョンアップ運用の考え方はKubernetesのバージョンアップ運用で扱っています。EKSの料金全体を見直したい場合は、Amazon EKSのコスト最適化もあわせてご覧ください。

まとめ:EKSバージョンアップで確かめたい3つの点

EKSのバージョンアップを続けるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、クラスターごとの版と標準サポートの終了日を一覧にし、延長サポートに入る前に上げる時期を決めること。第二に、アップグレードポリシーをクラスターごとに確かめ、延長サポートに入るか自動で上がるかを意図して選ぶこと。第三に、検証用のクラスターで先に試し、戻す手順と決める人をそろえてから本番を上げることです。この3点を踏まえておけば、「気づいたら料金が6倍になっていた」という事態を避けやすくなります。定期の版上げの体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

EKSのバージョンアップでは、Amazon EKSのアップグレードインサイトで廃止予定のKubernetes APIの利用を洗い出したうえで、マネージドノードグループ、Amazon VPC CNI・CoreDNS・kube-proxyのアドオン、Cluster Autoscalerなどの周りのツールを、管理側の版に合わせて順に更新します。設計の段階では、クラスターごとのアップグレードポリシー(延長サポートに入るか自動で上げるか)と、検証用クラスターの持ち方を決めます。検証では、本番と同じ構成の検証用クラスターで先に版を上げ、アプリの動作と監視の値を確かめます。運用では、AWS Health Dashboardの通知と標準サポートの終了日をもとに年間の版上げ計画を作り、7日以内に前の版へ戻す手順を文書にしておきます。

よくある質問

延長サポートの料金は何時から請求されますか

標準サポートが終わる日の始まり、協定世界時の0時から延長サポートの料金がかかります。*1 日本時間では同じ日の午前9時にあたります。なお、標準サポートの版へ上げた後に延長サポートの版へ戻した場合も、延長サポートの料金がかかり直します。

ノードは管理側と一緒に自動で上がりますか

AWSが作成と更新を手伝うマネージドノードグループも、自社で管理するノードも、管理側を上げただけでは上がりません。管理側とノードは同じ版にそろえることが勧められているので、管理側の後に続けて更新します。ノードの管理までAWSに任せるEKS Auto Modeでは、管理側を上げた後にノードが順に自動で更新されます。

新しくクラスターを作るときはどの版を選べばよいですか

AWSは、EKSが提供している最新の版で作ることを勧めています。アプリが特定の版を必要とする場合は古い版も選べますが、その分だけ標準サポートの終了日が早く来ます。

EKSの定期バージョンアップのご相談

EKSのバージョンアップの年間計画づくりから、検証、本番の版上げ、延長サポートの設定の見直しまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS ユーザーガイド:Understand the Kubernetes version lifecycle on EKS」(https://docs.aws.amazon.com/eks/latest/userguide/kubernetes-versions.html)。出典:新しい版が平均4か月に1回出ること、標準サポート14か月・延長サポート12か月、課金開始の時刻、Health Dashboardの通知時期と60日、7日以内の巻き戻し、ノードが自動で上がらないこと、最新の版で作る推奨の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS の料金」(https://aws.amazon.com/eks/pricing/)。出典:標準サポート1時間0.10ドル、延長サポート1時間0.60ドル(0.50ドルの上乗せ)、26か月の平均0.33ドルの例を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS ユーザーガイド:View current cluster upgrade policy」(https://docs.aws.amazon.com/eks/latest/userguide/view-upgrade-policy.html)。出典:アップグレードポリシーの2つの選択肢、延長サポートが初めから有効であること、延長サポートに入った後は設定を戻せないこと、定期的に上げる計画を立てる推奨を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS ユーザーガイド:Update existing cluster to new Kubernetes version」(https://docs.aws.amazon.com/eks/latest/userguide/update-cluster.html)。出典:版は1つずつしか上げられないこと、更新の対象(管理側・ノード・アドオン・周りのツール)、本番の前に試す推奨、更新は途中で止められないこと、EKS Auto Modeのノード更新を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS ユーザーガイド:Prepare for Kubernetes version upgrades and troubleshoot misconfigurations with cluster insights」(https://docs.aws.amazon.com/eks/latest/userguide/cluster-insights.html)。出典:アップグレードインサイトの役割と24時間ごとの更新を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Amazon Web Services「Amazon EKS ユーザーガイド:Review release notes for Kubernetes versions on extended support」(https://docs.aws.amazon.com/eks/latest/userguide/kubernetes-versions-extended.html)。出典:延長サポートの版へ戻すと延長サポートの料金がかかり直すことを参照(2026年10月確認)




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