LASSIC Media らしくメディア
データ利活用の体制の違い、部門連携45.0%と人材36.8%
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 部門をまたがった連携が45.0%:体制整備の項目で上端でした*2。
- 人材の確保・育成は36.8%:前年度の52.7%から下がりました*2。
- 目的は経営企画が中心:経営指標関連データで78.2%です*2。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
隣の部署が持っている数字を見たいのに、頼むたびに担当者に取り出してもらうことになる。よくある詰まり方です。
その担当者が抜けると、どこに何があるのかを知っている人がいなくなります。データは残っているのに渡らない状態です。
手がかりは、データを利活用するための体制をどこまで整えているかを企業に聞いた調査です。
IPAの資料では、体制整備の項目で「部門をまたがった連携」が45.0%で上端でした*2。渡すこと自体が体制の話として挙がっています*2。
一方で「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は36.8%です*2。2024年度の52.7%から大きく低下していると書かれています*2。
目次
隣の部署に渡らないまま担当者が抜ける
データそのものは溜まっています。日々の記録も、集計した数字も、どこかのシステムには入っています。
渡らないのはその先です。誰がどう取り出して、受け取った側がどう使うのかが決まっていません。
この体制を集計した資料があります*1。IPAの「DX動向2026」で、2026年7月30日に公開されました*1。
データ集も同じ日に発行されています*3。2026年7月30日の第1版です*3。
調査の時期も示されています*3。2026年4月17日から6月12日にかけて実施されたものです*3。
規模も書かれています*3。調査対象数は10,000で、有効回答数は1,799でした*3。
抽出の仕方も示されています*3。企業データベースから業種や従業員規模で割付けて、ランダムに抽出したとされています*3。
今回見るのは第3章のデータの節です*2。データ利活用の目的と、そのための体制整備を扱った図表になります*2。
数値の扱いも断っておきます*2。この資料の図は数値が図の中に描かれていて、文字として取り出せません*2。
ですからこの記事では、資料の本文が文章で述べている値だけを引いています*2。項目ごとの全区分の内訳は載せていません*2。
利用の条件も示されています*1。この資料は著作権上の保護を受けており、引用や転載についてはIPAのウェブサイトの記載を参照するよう求められています*1。この記事では出所を明示しています*1。
集計対象と、示されていない値
先に母集団を確かめます*2。ここで見る3つの図表は、いずれも全回答者を対象にしたものではありません*2。
条件が示されています*2。データ利活用の状況の設問で「過去に検討・導入または実証実験を行ったが現在は取組んでいない」「関心はあるがまだとくに予定はない」「今後も取組む予定はない」の3つ以外を回答した企業が対象です*2。
つまり、手を付けていない側と、いったん離れた側は入っていません*2。動かしている企業の中での分布として扱います*2。
示されていない値もあります*2。体制整備の「経営層の関与」について、資料は2024年度から16ポイント程度増加していると述べていますが、2024年度の値そのものは示していません*2。
同じ図表でも扱いが違います*2。「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は2024年度の52.7%という値つきで書かれています*2。
ですから前年との比較は項目ごとに扱いを分けます*2。値が示されている項目だけ2つの数字を並べ、示されていない項目は資料の言い方をそのまま引きます*2。
もう1つ断ります*2。36.8%という値はこの資料の別の図表にも出てきますが、指しているものが違います*2。この記事では体制整備の項目としての36.8%だけを扱います*2。
体制整備の上端は「部門をまたがった連携」45.0%
体制整備から見ます*2。2025年度の上端は「部門をまたがった連携」で45.0%でした*2。
2番目は「経営層の関与」です*2。44.2%になります*2。
この2つは近い値です*2。差は1ポイント未満なので、どちらが上かを論じる幅ではありません*2。
読み取れるのは並びです*2。体制整備として挙がる項目の上側に、渡すことと決めることが並んでいるという並びです*2。
実務に引き寄せます。部門をまたいで渡す形を作るのは、担当者が抜けたときに効いてきます。取り出し方が個人の手順のままだと、渡す先も渡し方も残らないからです。
ただし資料からは、連携を整えると引き継ぎが楽になるとは書けません*2。体制整備と成果の関係を尋ねた設問ではないためです*2。
経営層の関与は増え、人材の確保・育成は52.7%から36.8%へ
動いた項目も示されています*2。「経営層の関与」は2024年度から16ポイント程度増加しているとされています*2。
資料の読みも添えられています*2。経営層のリーダーシップが高まっている状況がうかがえる、と書かれています*2。
逆に下がった項目もあります*2。「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は2025年度で36.8%、2024年度の52.7%から大きく低下していると書かれています*2。
この2つを並べます*2。決める側の関与は増え、人を確保して育てる側は下がった、という並びになります*2。
理由は資料に記載がありません*2。ですから、育成をやめたとも、必要性が下がったとも書けません*2。
実務で使えるのは向きです。体制整備として人を確保して育てる項目に手を挙げる企業が、前の年より少ないという向きです*2。
渡す作業を社内の育成で埋める前提だと、この向きとは合いません。育つのを待つあいだも、渡す作業は毎日発生します。
利活用が進んだ企業は専門部署と部門連携が進む傾向
利活用の段階で分けた集計もあります*2。すでに利活用が進んでいる企業では、「専門部署の設置」と「部門をまたがった連携」が進んでいる傾向があるとされています*2。
資料の読みも書かれています*2。データ利活用を進めるための組織面の環境整備が進んでいる状況にある、とまとめられています*2。
束ね方の定義も示されています*2。「全社で利活用している」と「事業部門・部署ごとに利活用している」を「すでに利活用できている」としています*2。
もう一方も定義されています*2。「現在実証実験を行っている」と「利用に向けて検討を進めている」を「検討・実証を進めている」として集計したとされています*2。
ここで扱いを限ります*2。この図表について、資料の本文は傾向だけを述べており、区分ごとの数値を示していません*2。
ですからこの記事でも傾向だけを引きます*2。何ポイント差なのかは書けません*2。
因果も読めません*2。連携を整えたから利活用が進んだのか、進んだ企業が連携も整えているのかは示されていません*2。
目的は経営企画が中心、顧客接点データだけ販売・マーケティング
何のために使っているかも示されています*2。データの種類別に目的を尋ねた集計です*2。
上端は「経営指標関連データ」の「経営企画」目的で78.2%でした*2。次点は「業務記録データ」の「経営企画」目的の54.2%です*2。
「外部情報データ」でも同じ向きです*2。「経営企画」目的が44.7%で、他の目的より高いとされています*2。
1つだけ並びが違います*2。「顧客接点データ」では「販売・マーケティング」目的が49.3%で上端でした*2。
資料は続きも書いています*2。「販売・マーケティング」目的は「経営指標関連データ」「業務記録データ」でも「経営企画」目的の次に高い、とされています*2。
ただしその数値は示されていません*2。ですからこの記事では、順番だけを引いています*2。
引き継ぎの実務では、この並びが受け取る側の使い道になります。渡す形を決めるときは、経営企画で使うのか販売で使うのかで整え方が変わります。
この集計から読めないこと
使う前に、限界を並べておきます*2。
第一に、集計対象が絞られています*2。データ利活用に手を付けていない企業と、いったん離れた企業は含まれません*2。
第二に、示されていない値があります*2。「経営層の関与」の2024年度の値は書かれておらず、16ポイント程度増加という言い方までです*2。
第三に、利活用状況別の図表は数値がありません*2。資料の本文は傾向だけを述べています*2。
第四に、目的の集計も一部が言葉だけです*2。「販売・マーケティング」目的が次に高いという記述に、数値は添えられていません*2。
第五に、因果が読めません*2。体制整備と利活用の進み方について、資料は傾向があるとまでしか述べていません*2。
第六に、企業ごとの組み合わせが読めません*2。どの体制整備とどの体制整備を同時にやっているかは示されていません*2。
第七に、内訳の数値が取れません*2。資料の図から数値を文字として取り出せないため、本文が挙げた項目以外の値は書けません*2。
第八に、時期の範囲があります*3。調査は2026年4月17日から6月12日に実施されたもので、それより後の傾向は読めません*3。
渡す作業を1つ決める4段
ここまでの分布を、自社の手順に落とします*2。
| 項目 | 回答率 |
|---|---|
| 体制整備:部門をまたがった連携(2025年度) | 45.0% |
| 体制整備:経営層の関与(2025年度) | 44.2% |
| 体制整備:必要なスキルを持つ人材の確保・育成(2025年度) | 36.8% |
| 同(2024年度) | 52.7% |
| 目的:経営指標関連データの「経営企画」 | 78.2% |
| 目的:業務記録データの「経営企画」 | 54.2% |
| 目的:顧客接点データの「販売・マーケティング」 | 49.3% |
| 目的:外部情報データの「経営企画」 | 44.7% |
1段目は、隣に渡っていないデータを1つ選ぶことです。全部を棚卸しする前に、いま頼まれている1つに絞ります。
2段目は、渡す形と受け取る側の使い道を書くことです。誰が何に使うのかが決まると、どこまで整えるかが決まります。
3段目は、そろえる作業と決める作業を分けることです。項目名や単位をそろえる手と、何を出さないかの決めを切り離します。
4段目は、そろえる側を期間で区切って外へ出すことです。作業量が読める部分から動かします。
2段目で使い道から書く理由は、分布に出ています*2。目的は「経営指標関連データ」の「経営企画」が78.2%で、種類によって上端の目的が変わります*2。
「顧客接点データ」では「販売・マーケティング」が49.3%で上端でした*2。受け取る側が違えば、そろえる項目も変わります*2。
4段目を外に出す理由も分布にあります*2。体制整備で「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は36.8%で、前年度の52.7%から下がっています*2。
社内で人を育ててから渡す前提だと、渡す作業のほうが先に溜まります。ですから、そろえる手は外で確保して、決めは社内に残します。
実務では、3段目と4段目が外部要員の枠になります。フリーランスを含む業務委託は、この枠と相性があります。範囲と期間を区切って渡し、片づいたら戻せるためです。
逆に、1段目と2段目を渡すと、何を出さないかの決めが外に出ます。渡す範囲は社内に置きます。
データの在り処そのものの管理はデータ利活用は74.0%、在り処の管理は20.7%にとどまるで別の調査を扱っています。
データ側の課題の並びはAI人材の採用で不足しているのは専門家ではないで同じ資料の課題の設問を出しています。
決める人を置く話はAI導入の体制|CAIOは2.9%、IT部門の長が46.0%で同じ資料の別の節を扱っています。
離脱の前に何を確かめるかは、担当者の離脱に備える3つの確認、技術情報は41.2%が個人依存で整理しています。
最後に範囲を添えておきます*3。この調査は日本の企業を対象に2026年4月から6月にかけて実施されたもので、有効回答数は1,799です*3。
まとめ:使い道から書いて、そろえる手を外で確保する
第一に、資料です。IPAの「DX動向2026」は2026年7月30日に公開され、データ集も同日に第1版が発行されています。調査対象は日本の企業で、調査期間は2026年4月17日から6月12日、調査項目は60問(うち回答者属性7問)、調査対象数は10,000、有効回答数は1,799でした。第二に、集計対象です。この記事で扱った3つの図表はいずれも全回答者ではなく、データ利活用の状況の設問で「過去に検討・導入または実証実験を行ったが現在は取組んでいない」「関心はあるがまだとくに予定はない」「今後も取組む予定はない」の3つ以外を回答した企業が対象でした。第三に、体制整備です。2025年度の上端は「部門をまたがった連携」の45.0%、2番目が「経営層の関与」の44.2%で、差は1ポイント未満です。「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は36.8%で、2024年度の52.7%から大きく低下していると書かれています。第四に、示されていない値です。「経営層の関与」については2024年度から16ポイント程度増加という記述だけで、2024年度の値そのものは示されていません。同じ図表でも項目によって前年の値の扱いが違うため、比較の仕方を分けました。第五に、利活用状況別です。すでに利活用が進んでいる企業では「専門部署の設置」「部門をまたがった連携」が進んでいる傾向があるとされていますが、区分ごとの数値は本文に示されていません。束ね方は「全社で利活用している」「事業部門・部署ごとに利活用している」を「すでに利活用できている」、「現在実証実験を行っている」「利用に向けて検討を進めている」を「検討・実証を進めている」としたものです。第六に、目的です。「経営指標関連データ」の「経営企画」目的が78.2%、「業務記録データ」の「経営企画」目的が54.2%、「外部情報データ」の「経営企画」目的が44.7%でした。「顧客接点データ」だけは「販売・マーケティング」目的の49.3%が上端です。第七に、限界です。体制整備と利活用の進み方の因果も、企業ごとの組み合わせも資料にありません。
よくある質問
データ利活用のための体制整備で多いのは何ですか。
IPAの「DX動向2026」では、2025年度の上端が「部門をまたがった連携」の45.0%、2番目が「経営層の関与」の44.2%でした。「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は36.8%です。上の2つの差は1ポイント未満なので、どちらが上かを論じる幅ではありません(確認日2026年9月9日)。
この数字は企業全体の割合ですか。
違います。集計対象は、データ利活用の状況の設問で「過去に検討・導入または実証実験を行ったが現在は取組んでいない」「関心はあるがまだとくに予定はない」「今後も取組む予定はない」の3つ以外を回答した企業です。手を付けていない企業と、いったん離れた企業は含まれていません。
前年度から増えた項目、減った項目はありますか。
「経営層の関与」は2024年度から16ポイント程度増加しているとされていますが、2024年度の値そのものは資料に示されていません。「必要なスキルを持つ人材の確保・育成」は2024年度の52.7%から2025年度の36.8%へ大きく低下していると書かれています。理由はいずれも示されていません。
データは何のために使われていますか。
データの種類別に目的が集計されています。「経営指標関連データ」の「経営企画」目的が78.2%、「業務記録データ」の「経営企画」目的が54.2%、「外部情報データ」の「経営企画」目的が44.7%でした。「顧客接点データ」だけは「販売・マーケティング」目的の49.3%が上端です。
利活用が進んでいる企業は何が違いますか。
資料は、すでに利活用が進んでいる企業では「専門部署の設置」「部門をまたがった連携」が進んでいる傾向があると述べています。ただし区分ごとの数値は本文に示されていないため、何ポイント差かは書けません。どちらが先かも示されていないため、因果としては扱えません。
出典
- *1 参考:IPA「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2026.html)。公開日2026年7月30日と収録章の構成、引用・転載についての記載の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:IPA「DX動向2026」(本文)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-2026.pdf)。図表3-28・図表3-29・図表3-27についての記述、45.0%・44.2%・36.8%・52.7%・78.2%・54.2%・49.3%・44.7%、各図表の集計対象、経営層の関与の増加幅の記述、利活用状況別の束ね方の定義の一次情報として(2026年9月確認)
- *3 参考:IPA「DX動向2026」(データ集)(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/rcu1hd0000017uk8-att/dx-trend-data-collection-2026.pdf)。調査対象・調査期間・調査項目数・調査対象数・有効回答数・抽出方法の一次情報として。2026年7月30日第1版発行(2026年9月確認)
- *4 参考:IPA「ウェブサイトのご利用について」(https://www.ipa.go.jp/siteinfo.html)。引用・転載の条件として資料が参照を指示している記載の確認として。出所の明示を求めるもの(2026年9月確認)