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2026.11.06 らしくコラム

金型管理システムとは?台帳で管理する情報と導入の進め方を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

金型の保管棚でハンディリーダーをラベルに近づけ、タブレットを手にする作業者

この記事の結論

  • 金型管理システムは、型の所在・ショット数・所有者・保管費用を1つの台帳データにまとめて管理する仕組みです。
  • 経済産業省の型管理運用マニュアルは、ルール化・データ化・共有化の順で進めることを示しています。
  • 生産管理システムとのショット数の連携と、取引先と共有する範囲を最初に決めておくことが大切です。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

あの金型はいまどこの倉庫にあるのか、何ショット打ったのか、誰に聞いても分からない。取引先から返却や廃棄の相談が来ても、台帳と現物が合わずに答えられない——。部品や製品を型でつくる製造業の現場では、こうした食い違いが起こりがちです。金型管理システムは、型の所在・使用回数(ショット数)・持ち主と預け先・保管費用といった情報を、1つの台帳データにまとめて管理する仕組みです。

Excelの台帳では追いきれなくなった型の情報を、現物との照合や取引先との共有まで含めて扱えるのが使いどころです。ただし万能ではなく、型の扱いの取り決めが無いままでは台帳が埋まりません。本記事では、製造業の情報システム担当者に向けて、台帳で管理する項目、Excel台帳や生産管理システムとの違い、導入の進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

金型管理システムとは

経済産業省の委託事業で作られた「型管理運用マニュアル」は、型管理の範囲を、型の発注から廃棄・返却・保管までの入出庫や使用の記録、状態の維持や修理・メンテナンス、発注側と受注側のあいだの情報のやり取りまで含むものとしています。*1 金型管理システムは、この範囲の情報をデータで持ち、必要なときにすぐ引き出せるようにする道具です。主に次の情報を型ごとにまとめます。

  • 所在:どの工場・倉庫の、どの棚(番地)に置いてあるか
  • 使用回数:ショット数(型で成形した回数)と、取り決めた耐用回数までの残り
  • 所有者と預け先:型の持ち主(発注者)と、型を預かって使う会社(受注者)
  • 状態と費用:修理の履歴、廃棄・返却の申請の状況、保管にかかる費用

経済産業省は2026年6月に振興基準(受託中小企業振興法に基づく取引の基準)を改正し、型等の無償保管要請を行わないことを徹底する旨を規定しました。*2 保管の費用を取り決めるには、どの型がどこに何年置かれているかを示すデータが欠かせません。

Excel台帳や生産管理システムとの違い

型管理運用マニュアルは、台帳を紙からExcelでデータ化し、いずれはシステムで一元管理するという段階を示しています。*1 紙やExcelの台帳、金型管理システム、生産管理システムは得意なことが違うので、いま困っていることに合わせて選びます。

型の情報を管理する3つの選択肢の違い
選択肢 得意なこと 向いている場面
紙・Excelの台帳 すぐに始められる。項目を自由に決められる 型の数が少なく、管理する人が限られるとき
金型管理システム 所在・ショット数・所有者・保管費用の一元管理、写真や現物照合の記録、取引先との共有 型が多く、取引先と廃棄・返却や保管費用の話をする機会があるとき
生産管理システム 受注・生産計画・生産実績の管理 ショット数のもとになる生産実績を持っているので、型の情報と紐づけて使う

生産管理システムをすでに使っているなら、置き換えるのではなく、つなぐ考え方が合います。マニュアルは、システム上で製品と型の情報を紐づけ、造型数を型の使用回数として自動で加算する例を挙げています。*1 ショット数を手で書き写す手間と書き間違いが減り、メンテナンスの時期もつかみやすくなります。工具や備品まで含めた管理の考え方は備品管理システムの選び方で扱っています。

台帳で管理する項目

何を記録するかは、取引先と交わす取り決めから逆算すると決めやすくなります。経済産業省の「型の取り扱いに関する覚書(ひな形)」は、型を保管する側が保管台帳を作成して保管の状況を明らかにしておくことを定めています。型ごとの協議覚書には、図番・材質・大きさ・所有権・耐用年数と耐用回数(ショット)・保管費用・注意義務の程度(屋内・屋外・シート掛けなど)を書く欄があります。*3

モニターの表の1行を指さす情シス担当と、金型の部品を手に見る型管理の担当

金型管理の台帳に持たせる項目の例
区分 項目の例
取引の情報 発注者、外注先、発注額、納期
型の情報 型番号、工程、寸法、製作日、写真
部品の情報 部品番号、部品名、図面番号、納入情報、量産打切日
置き場の情報 保管会社、保管場所、確認日
保管費の情報 保管面積、維持費用

上の表は、型管理運用マニュアルがクラウド上の台帳の項目として示した例です。*1 覚書のひな形は、耐用年数・耐用回数を超えたときや、最終発注日から一定の年数注文が無いときに、発注者へ通知して扱いを協議する流れを定めています。*3 ショット数と耐用回数を並べておけば、通知すべき型を一覧で抜き出せます。

導入の進め方

型管理運用マニュアルは、取り組みの順番を「ルール化→データ化→共有化」としています。*1 ソフトを選ぶ前に、何を目標にしてどんなルールで型を扱うかを決めておくと、台帳を作り直さずに済みます。次の4つの段階で進めるのが分かりやすい形です。

  • ステップ1:目標と社内ルールを決める(不要な型の廃棄、保管料の請求、置き場の整理など、何のために管理するか)
  • ステップ2:型を棚卸して台帳をデータ化する(現物を確かめ、写真も残す)
  • ステップ3:台帳と現物を照合する(棚の番地とバーコード・ICタグを組み合わせる)
  • ステップ4:取引先と情報を共有する(廃棄・返却の依頼と結果を同じ管理表でやり取りする)

金型管理システムの導入を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 目標とルールを決める、STEP2 棚卸して台帳をデータ化、STEP3 台帳と現物を照合する、STEP4 取引先と共有する。

時間がかかるのはステップ2と3です。マニュアルには、型にICタグを付けて、2か月かかっていた棚卸が2週間で終わるようになった事例が載っています。*1 経済産業省のアクションプランが掲げる、不要な型の廃棄・保管費用の取り決め・社内ルールの明文化という3つの方針とも、この順番は重なります。*4

外部に頼むときに確認しておきたい点

金型管理システムには、市販の資産・物品管理ツールを使う方法と、社内の仕組みに合わせて独自に作る方法があります。*1 どちらを選ぶ場合も、構築を外部に頼むときは次の点を見積もりの前に確かめておきます。

円卓の金型を囲み、ハンディリーダーを手に見せる外部のシステム担当と工場側の2人

  • 誰が使うか:自社の工場だけか、型を預けている取引先や型の持ち主にも見せるか。見せるなら会社ごとの閲覧範囲をどう分けるか
  • ショット数の取り方:生産管理システムの実績から自動で加算するか、現場で入力するか
  • 現物照合の手段:バーコード・ICタグ・スマートフォンでの写真登録のどれを使い、誰がいつ読み取るか
  • 台帳の移行:紙やExcelの台帳の重複・空欄・所有者が分からない型を誰が整理するか
  • 運用後の見直し:耐用回数の到達や長く使われていない型の通知を、取引先との協議にどうつなげるか

特に最後の点は決まらないまま残りやすいところです。経済産業省・中小企業庁の発注者向け資料も、型の管理にかかる費用や保管期間などを受注者と協議・合意するよう求めています。*5 会計上の固定資産として扱う仕組みまで考える場合は固定資産管理システムの開発を外注する進め方、設備の保全計画とあわせて考える場合は設備保全管理システム(CMMS)の外注の進め方も参考になります。

まとめ:金型管理システムで確かめておきたい3つの点

金型管理システムを入れるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、型の廃棄・返却・保管料の請求など、何のために管理するかを先に決めること。第二に、棚卸で現物を確かめてから台帳をデータ化し、所在・ショット数・持ち主を型ごとにそろえること。第三に、取引先と共有する範囲と、耐用回数の到達や遊休化を知らせる流れを決めることです。この3点を踏まえておけば、「システムは入れたが、結局どこに何があるか分からない」という事態を避けやすくなります。構築や台帳の移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

金型管理システムの構築では、型・部品・取引先・置き場を別の表に分けたデータベースを設計し、1つの型を複数の部品に使う関係も表せるようにします。現物の照合はQRコードやRFID(ICタグ)とハンディリーダーで棚の番地と型番号を結びつけ、ショット数は生産管理システムの実績をCSVやAPI(システム同士をつなぐ窓口)で受け取って加算します。取引先と共有するなら会社ごとのアクセス権限を設計で決め、移行では取り込む前と後で件数を照らし合わせます。

よくある質問

金型以外の治具も同じ仕組みで管理できますか

同じ台帳の考え方で扱えます。型管理運用マニュアルも、治具や熱処理用の誘導加熱コイルの管理に共通の課題があるとして、これらを含めて「型」と表現しています。*1 システムでは種別の項目を設けて、金型と治具を分けて検索できるようにしておくと使いやすくなります。

持ち主や製品が分からない型も台帳に載せますか

載せたうえで、扱いを早めに決めます。マニュアルは、錆びがひどくて使えない型や製品の情報がはっきりしない型について、担当者の異動や定年退職で混乱が生じる前に、自社で廃棄の可否を判断するよう勧めています。*1 現物の写真は廃棄の根拠にもなるため、棚卸のときに残しておきます。

保管料はどう決めればよいですか

取引先との協議で決めます。マニュアルは型の数や保管面積に単価を掛ける計算例を挙げつつ、2025年12月の追記で、算出方法は一例であり協議して決めるものとしています。*1 型の数や面積を正しく出せるデータが協議の材料になります。

金型管理の仕組みづくりのご相談

金型管理システムの台帳設計から、生産管理システムとの連携、既存の台帳の移行まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省(委託事業)「型管理運用マニュアル」(2023年2月、2025年12月追記)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/kata/202512_katamanuel.pdf)。出典:型管理の範囲、ルール化・データ化・共有化の順序、台帳のデータ化の段階、ショット数の自動加算、棚卸・照合の事例、クラウド型管理台帳の項目例、保管料の計算例と2025年12月の追記、治具を含めた「型」の扱いの記述を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:経済産業省「受託中小企業振興法に基づく「振興基準」を改正しました」(2026年6月24日)(https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260624001/20260624001.html)。出典:改正のポイント「型等の無償保管への対応」の記述を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:経済産業省「型の取り扱いに関する覚書(ひな形)の解説書」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/kata/oboegakihinagata.pdf)。出典:第3条(耐用年数・耐用回数を超過した型の処置)、第4条(保管台帳)、第7条(製作完了後の型の処置)、協議覚書の記載欄を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:経済産業省「型管理の適正化に向けたアクションプラン」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/katakanritekiseika.html)。出典:型管理アクションプランの3つの基本方針の記述を参照(2026年11月確認)
  5. *5 参考:経済産業省・中小企業庁「受注者との型の管理等に関する協議・相談について」(発注者向け)(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/sokeizai/katakanrikyougisoudan.hattyusyamuke3.pdf)。出典:型管理に係る費用、支払方法、管理・保管期間等を受注者と協議・合意するよう求める記述を参照(2026年11月確認)




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