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2026.07.21 らしくコラム

AIコード生成で開発効率化する方法|品質を落とさない設計

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

開発者がコードを書くデスクの様子

この記事のポイント

  • AIコード生成は個人の作業補助にとどめず、レビューやテストを含む開発プロセス全体に組み込むことで開発効率化につながります
  • 適用範囲・品質担保・セキュリティ・効果測定という4つの設計ポイントを押さえることで、チーム全体で成果を出しやすくなります
  • 社内にAI活用のノウハウが乏しい場合は、開発体制の設計まで支援できる外部パートナーの活用も選択肢になります

生成AI活用49.7%でも進まぬ開発効率化――個人利用止まりの壁

AIコード生成の効果を示すダッシュボード画面

AIコード生成による開発効率化とは、コード補完や自動生成を個人の補助にとどめず、レビューや規約まで含む開発プロセス全体に組み込み、チームの生産性を高める取り組みです。総務省の調査では、活用方針を持つ企業が2024年度に49.7%まで増えました*1

AIコード生成導入の4ステップ(試行→ルール整備→チーム展開→計測改善の循環プロセス)
図1:AIコード生成導入の4ステップ(計測結果を次の試行へ反映する循環プロセス)

個人利用止まりの壁は、現場でよく起こる課題です。開発者が各自の判断でAIコード生成を使うだけでは、書き方や粒度がチームでばらつき、レビューの負荷が増えることもあります。

レビューを省いて生成コードをそのまま本番へ反映すると、意図しない脆弱性や既存の設計方針との不整合が後から表面化するリスクがあります。品質・セキュリティ・保守性の面で、個人任せの運用にはこうした落とし穴があるのです。

効果をどう測るかが分からず、AIコード生成の投資判断に迷う開発部門の責任者もいるでしょう。社内にノウハウが乏しく、外部の支援や委託を検討する企業も増えています。

AIコード生成の効果を組織的に引き出すには、開発者一人ひとりの工夫だけに頼らない仕組みが必要になります。まずは用語の整理と公的データから、日本企業の活用状況を確認しましょう。

AIコード生成による開発効率化とは――個人補助からチームのプロセス設計へ

AIコード生成は、コードの一部を自動で提案・生成する技術です。開発者個人の入力補助として使われる場面が中心でしたが、近年はレビューやテスト生成など、チームの開発プロセスに組み込む動きが広がっています。

情報通信白書が示す日本企業の生成AI活用49.7%という現状

総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年公表)によると、企業向け調査で「積極的に活用する方針」または「活用範囲を限定して利用する方針」と回答した割合は、2024年度調査で49.7%でした*1。前年の2023年度調査(42.7%)と比べて7.0ポイントの増加です。ただし同白書は、調査対象とした米国・ドイツ・中国と比べると、日本の水準はまだ低いとも指摘しています*1

IPA(情報処理推進機構)は2025年6月26日に「DX動向2025」を公表し、企業のDX推進状況を「戦略」「技術」「人材」の3つの視点から日米独3か国比較で示しました*2。生成AIの活用を含む人材面の課題は、複数の調査で共通して取り上げられる論点になっています。

効率化が起きる4つの工程――実装・テスト・レビュー・ドキュメント

AIコード生成の効率化は、実装だけでなく複数の工程に及びます。工程ごとに効果の出方が異なるため、狙いを整理しておくと導入の説明もしやすいでしょう。

  • 実装:定型処理やAPI呼び出しの土台となるボイラープレートコードの生成が進み、ゼロから書く工数を抑えられます。
  • テスト:仕様に基づくテストケースの下書きを自動生成でき、境界値や異常系のたたき台づくりに使えます。
  • レビュー:差分の要約や指摘のたたき台をAIが用意することで、レビュアーの読み込み時間を短縮しやすくなります。
  • ドキュメント:既存コードから仕様書やコメントの下書きを生成する使い方が広がっており、更新の手間を抑えられます。

適用範囲・品質・セキュリティ・効果測定――チーム導入の4つの設計軸

個人利用を組織の効率化につなげるには、複数の領域で設計をそろえる必要があります。ここでは適用範囲・品質担保・セキュリティ・効果測定という4つの設計軸を順に整理します。

適用範囲の設計――新規実装・テストコード・リファクタリングのどこから始めるか

適用範囲を最初に決めておくと、チームでの使い方のブレを抑えられます。新規実装から始める場合は、仕様が明確な定型処理やAPI呼び出しの土台部分に絞ると、レビューの負担を抑えやすいでしょう。

テストコードの生成から始める組織もあります。既存の本番コードに影響を与えずに効果を検証できるため、社内の合意を得やすい入口になるでしょう。リファクタリングへの適用は既存の仕様理解が前提になるため、後段のステップに位置づけるケースが目立ちます。

適用範囲を明確にしないまま利用範囲を広げると、生成コードの粒度や品質基準がチームでばらつき、後からレビュー負荷が増える結果につながりやすくなります。最初の適用範囲は、うまくいかなくても影響が小さい領域から選ぶことが望ましいでしょう。

品質担保の設計――レビュー基準・テスト・コーディング規約との整合

AIが生成したコードも、人が書いたコードと同じ基準でレビューする体制が欠かせません。生成コード特有の観点として、既存のコーディング規約との整合や、ライブラリの重複導入がないかの確認を加えると実効性が高まります。

テストの網羅性も見落とせない論点です。生成コードに対してユニットテストを自動生成する場合も、境界値やエラー処理のケースを人がレビューで補う運用が望ましいでしょう。

レビュー基準を明文化する際は、既存のプルリクエストのチェックリストにAI生成コード特有の確認項目を加える形が定着しやすいでしょう。仕組みをゼロから作るより、既存の運用に組み込む方が浸透しやすくなります。

セキュリティ・ライセンスの設計――機密コードと生成物の権利の扱い

機密性の高いコードやAPIキーをAIツールへの入力に含めないルールは、導入初期に定めておくべき事項です。ツールによってプロンプトの学習利用有無や送信先のポリシーが異なるため、契約前に確認する工程を省略しないことが大切です。

生成されたコードが既存のオープンソースライセンスと類似する可能性も踏まえ、パブリックコードとの一致を検知する機能を有効にする対応が有効です。ツールごとの個別設定は、GitHub Copilot導入支援の記事で解説しているので参照するとよいでしょう。

加えて、生成AIツールの利用ログを定期的に確認する運用を組み込むと、想定外のデータ送信や利用範囲の逸脱を早期に把握できます。情報セキュリティ部門と開発部門が定例で情報を共有する体制が、機密コード対策を形だけで終わらせない鍵になります。

効果測定の設計――リードタイムとレビュー時間で追う

効果測定は数値の粒度を絞ることから始めます。開発着手からリリースまでのリードタイム、レビューにかかる時間、テスト工程の所要時間など、既存の開発プロセスで測っている指標にAIコード生成の利用状況を重ねると、変化を捉えやすくなります。

導入直後は開発者の実感といった定性的な手応えも参考になりますが、継続投資の判断には定量指標が欠かせません。指標は少数に絞り込み、四半期などの単位で定点観測する運用が現実的です。

リードタイムやレビュー時間に加えて、デプロイ頻度や変更失敗率といった観点を組み合わせると、開発チームの生産性をより多角的に評価できます。単一の指標に頼らず、複数の指標を継続的に確認する設計が有効です。

試行→ルール整備→チーム展開→計測改善で進める導入の4ステップ

開発チームの効果測定データを表示するノートPC画面

導入は、一度に全社展開するのではなく、小さく試して整えながら広げる進め方が現実的です。ここでは4つのステップを順に整理します。

  1. 試行:少人数のチームで、適用範囲を絞って試験的に使い始めます。効果と課題を早期に把握できます。
  2. ルール整備:試行で見えた課題を踏まえ、レビュー基準やコーディング規約との整合、機密情報の取り扱いルールを明文化します。
  3. チーム展開:整備したルールとともに対象チームへ展開し、研修や推進役を置いて定着を後押しします。
  4. 計測改善:リードタイムやレビュー時間の指標を継続的に測定し、結果を次の試行にフィードバックします。

4つのステップは一度きりで終わらせず、計測結果を次の試行に反映する循環的な取り組みとして運用すると、チームの実態に合わせて設計を更新し続けられます。

各ステップにかける期間は、対象チームの規模や既存のレビュー体制によって変わります。全社展開を急ぐよりも、試行とルール整備を繰り返して土台を固めてから展開範囲を広げる進め方が現実的でしょう。

社内にAI活用ノウハウが乏しい場合の外部委託という選択肢

ここまでの設計を自社だけで完結させるのが難しい場合、外部パートナーとの協働も選択肢になります。特に、レビュー基準の再設計やセキュリティ運用まで含めた体制づくりは、内製と外部委託で得られるものが変わってきます。

比較項目 内製で対応する場合 外部委託を活用する場合
必要な専門知識 レビュー基準の再設計・セキュリティ運用・効果測定の3領域を社内人材が兼務で担います。 各領域の経験を持つパートナーが体制設計を主導し、社内人材は運用に集中できます。
立ち上げの負荷 通常業務と並行して規程整備や研修を進めるため、担当者の負荷が高まりやすくなります。 規程整備や研修設計の下地を委託先が用意するため、社内の立ち上げ負荷を抑えやすくなります。
効果測定の設計 指標設計から集計・報告まで、自前で仕組みを作る必要があります。 過去の支援実績に基づく指標のたたき台を活用できます。

どちらを選ぶかは、社内にAI活用の設計経験がどの程度あるか、展開の対象範囲がどれだけ広いかによって変わります。一部の領域だけ内製し、体制設計や効果測定は外部の知見を借りるという併用型の進め方も選択肢になります。

委託先のAI活用体制を確認する3つのポイント:規約整合・レビュー体制・セキュリティ

外部委託先を選ぶ際は、AIコード生成をどのように使っているかを具体的に確認することが大切です。第一に、生成コードが自社のコーディング規約と整合するかどうかの確認体制です。

第二に、生成コードに対するレビュー体制です。AIが提案したコードをそのまま採用せず、人によるレビューを経ているかを確認します。第三に、機密情報の取り扱い方針です。委託先が使用するAIツールへの入力データの扱いを、契約や覚書で明確にしておくとリスクを抑えやすくなります。

AI活用体制を内製で構築するには、生成コードのレビュー基準づくり・セキュリティ・ライセンス対応・効果測定の指標設計という3つの専門知識が必要です。既存の開発体制に加えてこれらを継続的に運用する工数も発生するため、体制構築を進めながら通常の開発業務を止めない工夫が求められます。

LASSICは元請(プライムベンダー)として、システムの設計・開発・運用を一貫して担ってきました。AIコード生成を前提にした開発体制の設計についても、レビュー基準の整備から効果測定の仕組みづくりまで伴走できる体制を整えています。

まとめ:AIコード生成の開発効率化で押さえる3つの判断軸

本稿では、AIコード生成による開発効率化を、個人利用ではなくチームのプロセス設計として進める観点から整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、適用範囲・品質担保・セキュリティ・効果測定という4つの設計軸を、導入前にチームで合意しておくことです。第二に、導入は試行→ルール整備→チーム展開→計測改善のステップを繰り返し、計測結果を次の試行に反映する循環的な取り組みとして運用します。第三に、社内にノウハウが乏しい場合は、外部パートナーとの協働も含めて体制づくりを検討することです。

LASSICに相談するメリット

LASSICは元請(プライムベンダー)として、システムの設計・開発・運用を一貫して担ってきた実績を持ちます。AIコード生成を前提にした開発プロセスの設計についても、適用範囲の整理からレビュー基準の見直し、効果測定の仕組みづくりまで伴走型で支援する体制を整えています。

よくある質問

どの工程から導入するのが現実的ですか

まずはテストコードの生成や、仕様が明確な定型処理の実装から始めるのが現実的です。既存の本番コードへの影響を抑えながら効果を検証できるため、チーム内の合意を得やすくなります。レビュー基準やセキュリティルールを整えたうえで、対象範囲を段階的に広げる進め方がリスクを抑えやすいでしょう。

品質は下がりませんか

AIが生成したコードも、人によるレビューを省略しなければ品質を大きく損なう理由にはなりません。ただし、レビュー基準や既存のコーディング規約との整合を事前に定めていないと、粒度やスタイルがチームでばらつくことがあります。品質担保の設計を導入初期に整えることが重要です。

機密情報の扱いはどうすればいいですか

機密性の高いコードやAPIキーなどを、AIツールへの入力に含めないルールを事前に定めておくことが基本です。ツールによってプロンプトの学習利用有無や送信先のポリシーが異なるため、契約前に確認し、社内の利用ポリシーとして明文化しておくと運用の判断がしやすくなります。

効果はどのように測定すればいいですか

開発着手からリリースまでのリードタイムや、レビューにかかる時間など、既存の開発プロセスで測っている指標にAIコード生成の利用状況を重ねて確認する方法が現実的です。指標を少数に絞り、四半期などの単位で継続的に確認する運用が有効です。

外注先がAIコード生成を使う場合の注意点は何ですか

委託先がAIコード生成をどのように使っているかを、契約前に具体的に確認することが大切です。生成コードのレビュー体制、自社のコーディング規約との整合、機密情報の入力に関する方針の3点は、契約や覚書で明確にしておくと後のトラブルを防ぎやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:総務省「令和7年版情報通信白書 企業におけるAI利用の現状」(2025年公表)
  2. *2 出典:IPA(情報処理推進機構)「DX動向2025」(2025年6月26日公表)


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