LASSIC Media らしくメディア

2026.10.21 らしくコラム

アルコールチェックシステムの選び方|義務の範囲と記録の確認点

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

出入口のカウンターで検知器とスマートフォンを持つ手と社用車の鍵

この記事の結論

  • アルコールチェックシステムは、酒気帯びの確認結果を検知器の測定値とあわせて記録し保存する仕組みです。
  • 安全運転管理者を選ぶ事業所では、目視等と検知器による確認、記録の1年間保存が義務になっています。
  • 選ぶときは、記録の8項目、直行直帰への対応、検知器の管理、社員と車両の情報との連携を確かめます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

朝の出発前にアルコールチェックをしたはずなのに、記録簿に確認した人の名前が抜けている。直行直帰の営業担当の分は、電話で聞いたきり記録が残っていない——。社用車を使う事業所では、こうした記録の漏れが起こりがちです。アルコールチェックシステムは、運転する社員の酒気帯びの確認結果を、アルコール検知器の測定値とあわせて記録し、保存するための仕組みです。

紙やExcelの記録簿を置き換え、確認の漏れを見つけやすくできます。ただし万能ではなく、顔色や声の調子を確かめる目視等の確認は人が行うもので、検知器の数値だけで済むわけではありません。本記事では、社用車の管理を任された総務や情報システムの担当者に向けて、義務の範囲と開始時期、紙やExcelとの違い、選び方のポイント、そして自社で入れるときや外部に頼むときに確認したい点を整理します。

アルコールチェックシステムとは

道路交通法は、一定の台数以上の自動車を使う事業所ごとに、安全運転管理者(社用車の運転を管理する担当者)を選ぶよう定めています。*2 安全運転管理者の業務の一つが、運転する社員の酒気帯びの確認と、その内容の記録です。アルコールチェックシステムは、この確認と記録を支える道具にあたります。

  • 社員がアルコール検知器で測った結果を、日時とともに受け取って記録する
  • 確認した人、運転した人、使った車両など、記録すべき項目をまとめて残す
  • まだ確認していない社員や、酒気を帯びていた結果を管理者が見つけやすくする
  • 記録を保存し、必要なときに日付や社員の名前で取り出せるようにする

専用の製品のほか、車両管理システムの機能の一つとして入っているもの、自社の仕組みに合わせて作るものもあります。どれを選ぶにしても、まず法令が何を求めているかを押さえておくと、必要な機能を絞り込めます。

義務の範囲と開始時期

安全運転管理者を選ぶ必要があるのは、乗車定員が11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使う事業所です。*1 大型と普通の自動二輪車は、1台を0.5台として数えます。対象の事業所では、酒気帯びの確認について次の義務が段階的に始まりました。

総務の窓口で据え置き型の検知器を前に管理者が記録をつける場面

酒気帯びの確認に関する義務と開始時期
義務の内容 始まった日
運転の前後に、運転者の状態を目視等で確かめる 2022年(令和4年)4月1日
確かめた内容を記録し、1年間保存する 2022年(令和4年)4月1日
アルコール検知器を使って確かめる 2023年(令和5年)12月1日
アルコール検知器を常に正しく動く状態にしておく 2023年(令和5年)12月1日

開始時期は警察庁の案内によります。*3 ここでいう「目視等」とは、運転者の顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などで確かめることです。*4 検知器の数値だけを残せば済むわけではない点に注意が要ります。また、確認は運転のたびに行う必要はなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に行えば足りるとされています。安全運転管理者を選ばなかった場合の罰則は、2022年10月1日から50万円以下の罰金に引き上げられました。*3

紙やExcelとの違い

警察庁の通達は、運転前の点呼の結果を、点呼簿やチェック表、各種システムなどを使って記録するよう求めています。*4 酒気帯びの確認の記録も、紙、Excel、専用のシステムのどれで残すかを、運転する社員の人数や働き方に合わせて考えるとよいでしょう。

酒気帯びの確認の記録の残し方の違い
方法 向いている場面 注意したい点
紙の記録簿 運転する社員が少なく、全員が同じ事業所で確認を受けられる 書き漏れに気づきにくい。1年分の保管場所が要る
Excelと検知器 担当者が毎日の入力を受け持てる 測定値を手で写すので、写し間違いが起こりうる
専用のシステム 直行直帰の社員がいる。事業所が複数ある 社員や車両の情報を、ほかの台帳と二重に持つことになりやすい
車両管理システムの一機能 車両の台帳や点検の期限もまとめて管理したい 車両の管理全体を移すことになり、移行の手間が大きい

車両の台帳や点検の期限まで含めた仕組みについては、車両管理システムの解説記事で扱っています。本記事では、酒気帯びの確認とその記録に絞って、システムの選び方を見ていきます。

選び方の4つのポイント

アルコールチェックシステムを選ぶときは、機能の多さより先に、法令で求められている記録が漏れなく残るかを確かめます。次の4点を順に見ていくと、候補を絞り込みやすくなります。

  • ポイント1:通達が示す記録の8項目を残せるか(下の図)*5
  • ポイント2:直行直帰の社員の確認に使えるか。カメラや携帯電話で顔色や声の調子を確かめ、検知器の測定結果とあわせて残せるか
  • ポイント3:検知器の管理を記録できるか。故障の有無を定期的に確かめた結果を残せるか
  • ポイント4:社員と車両の情報をどこから取るか。人事や勤怠の仕組み、車両の台帳とつなげられるか

酒気帯びの確認で記録する8項目を4列2段で並べた図。確認者名、運転者、自動車登録番号など、確認の日時、確認の方法、酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項。

見落としやすいのはポイント2と3です。直行直帰の場合は、運転者に携帯型の検知器を持たせたうえで、カメラやモニター、携帯電話などを使い、対面と同じように確かめる方法が示されています。*4 測定値が送られてくるだけで、管理者が顔色や声の調子を確かめた記録が残らない仕組みでは、目視等の確認が抜けてしまいます。検知器は取扱説明書に従って使い、定期的に故障の有無を確かめたうえで、故障のないものを使うことが求められています。*4

自社で入れる・作るときの確認点

既製のシステムを入れるか、自社の人事や勤怠の仕組みに合わせて作るかは、社員と車両の情報をいまどこで持っているかで考えると迷いません。既製のもので記録の8項目と直行直帰の確認がまかなえるなら、作る必要はありません。構築やほかの仕組みとの連携を外部に頼むときは、次の点を見積もりの前に確かめておきます。

検知器2台とノートPCを前に情シスと総務が確認表を検討する場面

  • どこまで頼むか:検知器の選定、記録の仕組みの設定、社員と車両の情報の取り込み、操作の説明のうち、どれを任せるか
  • 記録の項目:8項目がそろうか。指示事項や確認の方法を、あとから書き足せるか
  • 例外の手順:通信が切れたときや検知器が故障したときに、紙の記録簿へ切り替える手順を決めるか
  • 保存と削除:1年の保存期間を過ぎた記録を消すのか、社内の規程でさらに長く残すのか
  • 運用後の見直し:確認が抜けた件や、酒気を帯びていた結果が出たときの対応を、定期的に振り返る場を設けるか

特に例外の手順は、決めないまま運用に入りやすい点です。システムが使えないときでも確認と記録は欠かせないため、紙の記録簿を残しておき、あとからシステムへ入力し直す流れまで決めておきます。

まとめ:選ぶときに確かめておきたい3つの点

アルコールチェックシステムを選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、通達が示す記録の8項目が漏れなく残り、1年間保存できること。第二に、直行直帰の社員でも、目視等の確認と検知器の測定結果をあわせて残せること。第三に、検知器の故障の確認や、システムが使えないときの手順まで決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「システムは入れたのに、記録を見返したら確認した人の名前や指示の内容が残っていなかった」という事態を避けやすくなります。仕組みの選定やほかの仕組みとの連携に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

アルコールチェックの仕組みづくりでは、Bluetoothでスマートフォンとつながる携帯型の検知器の測定値を、アプリ経由で受け取る構成を基本に考えます。社員と車両の情報は、Microsoft Entra IDなどの社内アカウントや人事・勤怠のデータから取り込み、台帳を二重に持たない設計にします。記録はPostgreSQLなどのデータベースに確認者・運転者・車両・日時・方法・結果・指示事項の項目で持ち、修正したときは修正前の値と修正した人を履歴として残します。設計の段階では、直行直帰の確認をビデオ通話で行うか電話で行うか、1年を過ぎた記録を消すか残すかを決めます。運用では、通信が切れたときに紙の記録簿へ切り替える手順を文書にし、確認が抜けた件を毎週一覧にして見直す流れを提案します。

よくある質問

社員が個人で買った検知器を使ってもよいですか

基本的には、自動車を使う会社が検知器を買うべきものとされています。*5 事業所の事情で個人の検知器を使う場合は、安全運転管理者が正しく動くかを定期的に確かめるなど、会社の検知器と同じ管理をしているものに限って使えます。

安全運転管理者のほかに確認を任せてもよいですか

安全運転管理者が不在のときなどは、副安全運転管理者や、確認の業務を委託した事業者などの補助者に任せることができます。*5 その場合は、あらかじめ補助者を指名して確認の方法を教え、酒気を帯びていたときにすぐ安全運転管理者へ報告する流れを決めておきます。

出張先の事業所で確認してもらえますか

同じ会社が出張先の事業所にも安全運転管理者を選んでいれば、その管理者のもとで確認を受けることができます。*5 結果は、運転者が所属する事業所の安全運転管理者へ報告します。システムを選ぶときは、ほかの事業所で受けた確認も同じ記録に残せるかを見ておくとよいでしょう。

アルコールチェックの記録の仕組みづくりのご相談

アルコールチェックの記録の仕組みの選定から、社員や車両の情報との連携、運用後の見直しまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:道路交通法施行規則(昭和35年総理府令第60号)e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000002060)。出典:第9条の8(安全運転管理者の選任を必要とする台数)、第9条の10第6号・第7号(酒気帯びの確認、記録の1年間保存、アルコール検知器の常時有効保持)を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:道路交通法(昭和35年法律第105号)e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000105)。出典:第74条の3(安全運転管理者等の選任)を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html)。出典:目視等による確認と記録の保存(令和4年4月1日施行)、アルコール検知器を用いた確認(令和5年12月1日施行)、選任義務違反の罰則の引き上げ(令和4年10月1日施行)の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:警察庁「安全運転管理者による運転者に対する点呼等の実施及び酒気帯び確認等について(通達)」(令和6年12月27日)(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20241227ankankatyoutuutatu.pdf)。出典:点呼等の記録、目視等の意味、業務の開始前後の確認、直行直帰の場合の確認の方法、アルコール検知器の常時有効保持の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:警察庁「安全運転管理者の業務に関するQ&A」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/ankanQA.pdf)。出典:Q4(個人で購入した検知器)、Q5(他の事業所での確認)、Q6(安全運転管理者以外の者による確認)、Q7(記録する内容)を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:警察庁「安全運転管理者制度の概要」(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/seido.pdf)。出典:選任義務の台数と安全運転管理者等の業務の一覧を参照(2026年10月確認)




View