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AS400の保守切れと保守ベンダーの選択肢|移行に踏み切る目安
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- AS400の保守切れは、IBM iの版ごとのサポート期限で決まり、7.4は2026年9月末で標準のサポートを終えました。
- 保守切れのときは、延長サポート、版上げ、別の保守ベンダー、移行の4つを組み合わせて移行までをつなぎます。
- 今の機械で新しい版に上げられるかと、延長サポートの費用の上がり方が、移行に踏み切る分かれ目になります。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
AS400の保守契約の更新が近いのに、OSのサポートがいつまで続くのか分からない。保守ベンダーを替えれば使い続けられるのか、それとも移行するしかないのか——。長くAS400で基幹業務を動かしてきた会社では、こうした迷いが起こりがちです。AS400の保守切れとは、IBMがOSや機械のサポートを打ち切り、修正の提供や問い合わせへの対応が受けられなくなることを指します。
保守切れを迎えても、すぐにシステムが止まるわけではありません。ただし万能な延命の方法はなく、どの手段にも費用と期限があります。本記事では、AS400の運用を任されている情報システムの担当者に向けて、保守切れの期限の確かめ方、保守を続けるための選択肢の違い、移行に踏み切る分かれ目、そして保守ベンダーに頼むときに確認したい点を整理します。
目次
AS400の保守切れとは
AS400で保守切れと呼ばれるのは、多くの場合、OSであるIBM iの版ごとのサポートが終わることを指します。IBMは、IBM iのどの版にもサポート期間の終わりがあり、終了日は版の発表時か、効力が生じる12か月前に告知すると説明しています。*3 サポートは「標準のサポート」から「延長サポート(Service Extension)」に切り替わり、延長サポートの期間も終わると、その版ではIBMのサポートを受けられなくなります。
| 版 | 標準のサポート | 延長サポート |
|---|---|---|
| 7.2 | 2021年4月30日に終了 | 2026年4月30日に終了 |
| 7.3 | 2023年9月30日に終了 | 2026年10月1日から2028年9月30日まで(2回目の延長) |
| 7.4 | 2026年9月30日に終了 | 2026年10月1日から2029年9月30日まで |
| 7.5・7.6 | 提供中(終了日は12か月以上前に告知) | 未定 |
表の日付はIBMのリリースライフサイクルのページから取ったものです。*1 7.4は2026年9月末で標準のサポートを終え、延長サポートの期間に入りました。*2 自社のAS400がどの版で動いているかを確かめることが、保守切れへの対応の出発点になります。
保守切れのときの選択肢の違い
保守切れが近づいたときの選択肢は、大きく4つに分けられます。どれか1つに決めるというより、移行するまでの数年を何でつなぐかを組み合わせて考える場面が多くなります。
| 選択肢 | 内容 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| IBMの延長サポートを契約する | 標準の保守契約に上乗せして、終わった版のサポートを受ける | 年を追うごとに費用が上がり、期間にも終わりがある |
| 新しい版に上げる | IBM iを標準のサポート中の版へ上げる | 今の機械が新しい版に対応しているかで、できるかどうかが決まる |
| 別の保守ベンダーに切り替える | IBM以外の保守ベンダーに、機械の修理やシステムの運用保守を任せる | IBMからの修正プログラムが出なくなった部分は、保守ベンダーにも直せない |
| 別の基盤へ移行する | オープン系のサーバーやクラウド、パッケージへ業務を移す | プログラムの棚卸しから始まり、数年がかりになりやすい |
保守ベンダーへの切り替えは、IBMの延長サポートの代わりになるものではありません。OSの修正プログラム(PTF)はIBMが提供するものなので、保守ベンダーが受け持てるのは、機械の修理、業務プログラムの改修、日々の運用といった部分です。EOSL後に第三者保守へ切り替える費用と判断軸でも、機器の保守を切り替えるときの考え方を扱っています。
IBMの延長サポートの仕組み
延長サポートは、標準の保守契約(SWMA:ソフトウェアの保守契約)に加えて結ぶものです。IBMは、標準の保守契約を前提条件としたうえで、延長サポートの費用を年ごとに決めています。*2

- 1年目:標準の保守料の1.5倍を上乗せ*2
- 2年目:標準の保守料の2倍を上乗せ
- 3年目:標準の保守料の2.5倍を上乗せ
- 7.3の2回目の延長(2026年10月〜2028年9月):標準の保守料の3倍を上乗せ*2
サポートの中身にも違いがあります。IBM iの本体は、新しく見つかった不具合への対応も含む形で延長されますが、製品によっては「使い方の質問と既知の不具合」への対応だけにとどまります。*2 不具合の解決のために、最新のPTFの適用を求められることもあります。延長サポートを契約するときは、自社で使っている製品が一覧に入っているか、どこまで対応されるかを製品ごとに確かめておきます。
移行に踏み切る分かれ目
延長サポートや保守ベンダーで当面をつなぐか、移行に踏み切るか。この判断を分けるのは、主に次の3つです。
- 今の機械で新しい版に上げられるか:IBMの対応表では、Power8の機械は7.4まで、Power9の機械は7.5までで、7.6はPower10以降が対象です*4
- 版を上げる道が残っているか:サポートが終わった版から新しい版へ直接上げられる期間には限りがあり、その道が閉じると手作業の移行作業が必要になるとIBMは説明しています*3
- 延長サポートの費用がどこまで上がるか:年を追うごとに上乗せの倍率が上がるため、数年分を合計して移行の費用と比べます
機械が新しい版に対応していないなら、版上げのためには機械の入れ替えが要ります。機械を入れ替えるほどの投資をするなら、AS400のまま新しい機械と版で使い続けるか、別の基盤へ移すかを同じ机の上で比べる時期だといえます。移行の進め方はIBM i(AS/400)刷新を外注、移行の選択肢と進め方で整理しています。
保守ベンダーに頼むときの確認点
AS400の保守を別の保守ベンダーに任せる場合も、移行までのつなぎを頼む場合も、見積もりの前に次の点を確かめておくと、あとで食い違いが起こりにくくなります。

- 受け持つ範囲:機械の修理、OSの修正プログラムの適用、業務プログラムの改修、夜間の処理の監視のうち、どこまでを任せるか
- IBMとの契約との関係:IBMの延長サポートを続けるのか、やめるのか。障害が起きたときに誰がIBMへ問い合わせるか
- プログラムの把握:RPGやCLで書かれた業務プログラムの一覧と、どれがいま使われているかを、保守ベンダーと一緒に洗い出すか
- バックアップと復旧:どの頻度でどこへ保存し、障害のときにどこまで戻せるかを、実際に戻して確かめるか
- 移行への引き継ぎ:保守の間に集めた資料や手順を、移行の段階でそのまま使える形で残してもらえるか
保守の範囲が決まらないまま契約すると、障害のときに「そこは対象外」という話になりがちです。保守会社を比べるときの見方はシステム保守会社の選び方にまとめています。
まとめ:AS400の保守切れで確かめたい3つの点
AS400の保守切れに向き合ううえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社のAS400がIBM iのどの版で動いていて、その版のサポートがいつまで続くかを、IBMの公式情報で確かめること。第二に、今の機械がどの版まで対応しているかを見て、版上げで標準のサポートに戻れるかを判断すること。第三に、延長サポートや保守ベンダーでつなぐ場合も、数年分の費用を合計して移行の費用と比べることです。この3点を踏まえておけば、「延長サポートを毎年更新しているうちに、版を上げる道が閉じていた」という事態を避けやすくなります。保守の切り替えや移行の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
保守切れのAS400を使い続けると、すぐに止まりますか
サポートが終わっても、システムがその日に止まるわけではありません。ただし、新しく見つかった不具合や障害に対して、IBMからの修正や回答が受けられなくなります。障害のときにどこまで自社や保守ベンダーで対応できるかを、事前に確かめておくことが大切です。
延長サポートの費用はどこで確かめられますか
IBMは、延長サポートの価格について、IBMの担当者かIBMのビジネスパートナーに問い合わせるよう案内しています。*2 標準の保守料に対する倍率は公開されているので、今の保守料をもとにおおよその上乗せ額を見積もってから問い合わせると比べやすくなります。
IBM iの7.5や7.6のサポートはいつまでですか
7.5と7.6は、標準のサポートの終了日がまだ発表されていません。IBMは、標準のサポートから延長サポートへ切り替わる日を、少なくとも12か月前に告知するとしています。*1 版を上げる計画を立てるときは、IBMのリリースライフサイクルのページを定期的に確かめます。
AS400の保守と移行のご相談
AS400の保守切れへの対応から、業務プログラムの棚卸し、移行までの運用保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:IBM「Release life cycle」(IBM i)(https://www.ibm.com/support/pages/release-life-cycle)。出典:IBM i 7.2〜7.6の標準のサポートの終了日と延長サポートの期間、終了日の告知時期の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:IBM「Service Extension for IBM i 7.4, 7.3 and 7.2」(2026年2月25日更新)(https://www.ibm.com/support/pages/system/files/inline-files/IBMiandLPPsforIBMi_02_26_2026.pdf)。出典:延長サポートの期間、標準の保守契約が前提であること、年ごとの費用の倍率、製品ごとの対応の範囲、価格の問い合わせ先の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:IBM「IBM i Release Support」(https://www.ibm.com/support/docview.wss?uid=nas8N1022035)。出典:サポート期間の終了日の告知、直接の版上げができる期間の限り、版上げの道が閉じた場合の記述を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:IBM「System to IBM i mapping」(https://www.ibm.com/support/pages/system-ibm-i-mapping)。出典:Power8・Power9・Power10・Power11の機械が対応するIBM iの版の表を参照(2026年10月確認)