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AWS移行の費用|4つの内訳と金額の決まり方をわかりやすく解説
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- AWS移行の費用は、移行作業・移行後の利用料・並行稼働・運用の4つに分けると比べやすくなります。
- 利用料はサーバーの稼働時間・保存するデータの量・外へ送るデータの量で決まり、払い方でも変わります。
- 見積もりでは並行稼働の期間と移行後の運用の費用まで含め、内訳に抜けがないかを確かめます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
AWSへ移すことは決まったが、見積もりを見ても何にいくらかかるのかが読み取れない。移行は終わったのに、最初の数か月の請求が予定より大きかった——。オンプレミスのサーバーをAWSへ移す会社では、こうした食い違いが起こりがちです。AWS移行の費用は、移行の作業にかかるお金だけでなく、移したあとにAWSへ毎月払う利用料、新旧の環境を同時に動かす期間の費用、運用の費用までを合わせたものです。
内訳ごとの決まり方を押さえれば、見積もりのどこを確かめればよいかが見えてきます。ただし万能な計算式はなく、同じ台数でも構成と使い方で金額は変わります。本記事では、AWSへの移行を検討している情報システムの担当者に向けて、費用の4つの内訳、利用料の決まり方、移行作業と並行稼働の費用、見積もりの進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
AWS移行の費用とは
AWS移行の費用は、払う先と払う時期で4つに分けると整理しやすくなります。一度きりの費用と毎月の費用が混ざっていると、見積もりどうしを比べられないためです。
- 移行作業の費用:いまの環境の調査、AWS側の設計と構築、データの移し替え、テストにかかる作業の費用です
- 移行後の利用料:移したシステムを動かすためにAWSへ毎月払う費用です。使った量に応じて変わります
- 並行稼働の費用:切り替えの前後で、いまの環境とAWSの両方を動かしている期間の費用です
- 運用の費用:監視、バックアップ、障害の対応、利用料の見直しなど、移行後も続く作業の費用です
| 内訳 | 払う先 | 何で決まるか | かかる時期 |
|---|---|---|---|
| 移行作業 | 移行を手伝う会社(自社で行うなら社内の工数) | サーバーの台数、移行の方式、テストの量 | 移行の前から切り替えまで |
| 移行後の利用料 | AWS | 使う量と払い方 | 切り替えの後、毎月 |
| 並行稼働 | AWSといまの環境の両方 | 並行して動かす期間の長さ | 切り替えの前後 |
| 運用 | 運用を受け持つ会社か社内 | 監視の範囲、対応する時間帯、見直しの頻度 | 切り替えの後、毎月 |
金額の相場はシステムの台数や作りで大きく違い、公的な資料でまとまった数字は公表されていません。そのため本記事では、金額ではなく、それぞれの費用が何で決まるかを見ていきます。移行の作業の手順そのものはオンプレミスのクラウド移行手順で扱っています。
移行後の利用料の決まり方
AWSは料金の仕組みを説明する文書で、費用の基本となる要因を「コンピューティング、ストレージ、アウトバウンドデータ転送」の3つとしています。*1 コンピューティングはサーバーの計算の能力、ストレージはデータの保存場所、アウトバウンドデータ転送はAWSの外へ送り出すデータの量のことです。

- サーバー:起動してから止めるまでの時間で払います(事前に予約して金額を約束している場合を除く)
- 保存と通信:多くは、保存したデータや送ったデータの量(GB単位)で払います
- 受け取るデータ:AWSに入ってくるデータの転送には、ほとんどの場合料金がかかりません
- 送り出すデータ:AWSの外へ送ったデータは、毎月の明細に「AWS データ転送 (送信)」として出ます*1
サーバーの料金は、払い方でも変わります。AWSの代表的なサーバーのサービスであるAmazon EC2には、払い方が4つあります。*2
| 払い方 | 仕組み | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| オンデマンド | 使った分を時間単位か秒単位で払う。長期の約束も前払いも要らない | 移行の直後で、使う量がまだ読めないとき |
| Savings Plans | 1年か3年、一定の使用量を約束する代わりに単価が下がる | 使う量が安定してきたとき |
| リザーブドインスタンス | 予約することで割引を受ける。場所を指定すると容量も確保される | 構成が固まった本番のサーバー |
| スポットインスタンス | AWSの空いている能力を割引価格で使う | 開始と終了の時間を動かせる処理 |
移行の直後はオンデマンドで動かし、数か月の利用の実績を見てから1年・3年の約束に切り替える順番にすると、使わない分まで約束してしまう事態を避けやすくなります。約束型の払い方の見直しはSavings Plans・リザーブドインスタンスの診断で扱っています。
移行作業と並行稼働の費用
移行作業の費用の大半は人の作業ですが、AWSの移行用のサービスにも料金がかかる場合があります。サーバーを丸ごと移すAWS Transform MGNは、1台ごとに最初の90日間(2,160時間)の複製が無料です。*3 ただし無料の期間中でも、複製のためにAWSに用意される機器の費用や、テスト用・切り替え用に起動したサーバーとディスクの費用はかかります。*3
- サーバーの移行サービス:無料の期間を過ぎると、1台ごとに時間単位で料金がかかります
- データベースの移行サービス(AWS DMS):移行に使う能力の分を時間単位で払います。DMSのノード自体に出入りする通信には転送料がかかりません*4
- テスト用・切り替え用のサーバー:起動している間は、通常の利用料と同じ仕組みでかかります
- 並行稼働:いまの環境の保守料・回線・設置場所の費用と、AWSの利用料が同じ月に重なります
並行稼働は、4つの内訳の中でいちばん読み違えやすい費用です。切り替えの判断が延びるたびに、二重に払う月が1か月ずつ増えるためです。見積もりの段階で、並行して動かす期間と、いまの環境の契約をいつ終えられるか(保守契約の解約の時期など)を一緒に決めておきます。
見積もりの進め方
AWSは、移行の費用を見積もるための道具を無料で用意しています。*5 いまの環境を調べて移行の計画づくりを助けるMigration Evaluatorと、構成を入れて月々の料金を試算するAWS 料金見積りツール(AWS Pricing Calculator)です。次の4つの段階で進めると、内訳の漏れを防げます。
- ステップ1:いまのサーバーの台数、CPUとメモリの使われ方、データの量を調べる
- ステップ2:AWS側の構成と、払い方(オンデマンドか、1年・3年の約束か)を決める
- ステップ3:料金見積りツールで月々の利用料を試算する(表示される金額に税は含まれません)*5
- ステップ4:移行作業・並行稼働・運用の費用を足して、4つの内訳をそろえる
つまずきやすいのはステップ1です。いまのサーバーの性能をそのままAWSに当てはめると、実際には使っていない能力の分まで毎月払うことになります。数週間分の実際の使われ方(CPUやメモリがどれだけ使われているか)を測ってから構成を決めると、試算と請求の差が小さくなります。
外部に頼むときに確認しておきたい点
移行を外部に頼むときに作業の費用だけを比べると、移したあとの毎月の費用で差が出ることがあります。見積もりを受け取ったら、次の点を確かめておきます。

- 4つの内訳がそろっているか:移行作業だけで、並行稼働や運用の費用が抜けていないか
- 利用料の試算の前提:どの払い方で、何台を何時間、どれだけの送信データで計算したか
- 並行稼働の期間:何か月を見込み、延びたときの費用をどう扱うか
- 移行用のサービスの費用:無料の期間を過ぎたときや、テスト用のサーバーの費用を誰が払うか
- 移行後の見直し:数か月分の請求明細を見て、構成や払い方を見直す場を設けるか
AWSには、すべての利用者に付くベーシックサポートのほか、有料のサポートプランがあります。*6 有料のプランを契約するか、運用を受け持つ会社の対応で足りるかも、運用の費用として一緒に決めておきます。AWSを使い始める段階の支援の範囲はAWS導入支援の範囲と支援会社の選び方にまとめています。
まとめ:AWS移行の費用で確かめておきたい3つの点
AWS移行の費用を見積もるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、移行作業・移行後の利用料・並行稼働・運用の4つに分けて、抜けている内訳がないかを見ること。第二に、利用料はいまのサーバーの使われ方を測ったうえで、払い方まで決めて試算すること。第三に、並行稼働の期間と、いまの環境の契約を終える時期を最初に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「移行は予算どおりに終わったのに、毎月の請求が想定より大きい」という事態を避けやすくなります。見積もりの読み方や構成の決め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
AWSに移すと、いまより費用は下がりますか
下がるかどうかは、構成と使い方で決まります。AWSはクラウドの利点として、データセンターや物理サーバーのような固定費を、使った分だけ払う変動費に変えられる点を挙げています。*1 いまのサーバーの性能をそのまま移すと使わない分まで払うことになるため、実際の使われ方を測ってから構成を決めることが大切です。
見積もりの金額に消費税は含まれますか
AWS 料金見積りツールに表示される金額には、税は含まれません。*5 請求先が日本国内の場合、AWSの料金とは別に消費税が請求されます。*1 社内の予算に載せるときは、税を足した額で見ておくと食い違いを防げます。
外部に頼む前に、社内で試算しておくべきですか
おおまかな月額を社内で出しておくと、外部の見積もりを受け取ったときに前提の違いに気づきやすくなります。料金見積りツールは、AWSを一度も使ったことがない人にも役立つとAWSは説明しています。*5 台数が多い場合や、いまの使われ方を測るのが難しい場合は、調査の段階から頼む方法もあります。
AWS移行の費用と進め方のご相談
AWSへの移行の見積もりの整理から、移行作業、並行稼働の計画、移行後の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:Amazon Web Services「AWS 料金体系の仕組み」(ホワイトペーパー)主要な原則(https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/how-aws-pricing-works/key-principles.html)。出典:3つの基本的なコスト要因、インバウンドデータ転送の扱い、「AWS データ転送 (送信)」の明細表示、時間単位・GB単位の支払い、日本国内の請求先への消費税、固定費を変動費に変換する説明を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:Amazon Web Services「AWS 料金体系の仕組み」Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)(https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/how-aws-pricing-works/amazon-elastic-compute-cloud-amazon-ec2.html)。出典:オンデマンドインスタンス・Savings Plans・リザーブドインスタンス・スポットインスタンスの4つの支払い方法の記述を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:Amazon Web Services「AWS Transform MGN Pricing」(https://aws.amazon.com/application-migration-service/pricing/)。出典:最初の90日間(2,160時間)の複製が無料であること、無料期間中も複製用のインフラやテスト・切り替え用インスタンスの費用がかかること、無料期間後の1台ごとの時間料金を参照(2026年10月確認)
- *4 参考:Amazon Web Services「AWS DMS Pricing」(https://aws.amazon.com/dms/pricing/)。出典:移行に使う能力を時間単位で支払うこと、DMSノードに出入りする通信に転送料がかからないことの記述を参照(2026年10月確認)
- *5 参考:Amazon Web Services「AWS 料金体系の仕組み」AWS の料金/TCO ツール(https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/whitepapers/latest/how-aws-pricing-works/aws-pricingtco-tools.html)。出典:AWS 料金見積りツールとMigration Evaluatorが無料であること、見積もりに税が含まれないことの記述を参照(2026年10月確認)
- *6 参考:Amazon Web Services「Compare AWS Support plans」(https://aws.amazon.com/premiumsupport/plans/)。出典:ベーシックサポートがすべての利用者に含まれること、有料のサポートプランの区分を参照(2026年10月確認)