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2026.10.23 らしくコラム

DrupalとWordPressの違い|サポート期限と保守の基本

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

並べた2台のノートPCの管理画面を指して見比べる担当者の手元

この記事の結論

  • DrupalはGPLで使える無料のCMSで、WordPressとは版の出し方と公式の保守の範囲が違います。
  • Drupal 10は2026年12月9日にサポートを終えるため、使っているサイトは早めに版を確かめることが大切です。
  • バージョンアップは追加したモジュールの対応状況の確認と、検証用の環境での試験から始めます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

前任者が作ったDrupalのサイトを引き継いだが、更新の仕方が分からない。Drupal 10のサポートがもうすぐ終わると聞いたが、何から手を付ければよいのか——。CMSの保守を任された情報システムの担当者には、こうした悩みがよくあります。Drupal(ドルーパル)は、Webサイトの記事やページを管理画面で作って公開するための、無料で使えるオープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)です。

同じ用途のWordPressと比べられることが多く、どちらもPHPで動きます。ただし万能ではなく、版の出し方と保守の決まりが違うため、引き継いだあとの手間のかかり方も変わります。本記事では、Drupalのサイトを預かる担当者に向けて、Drupalの基本、WordPressとの事実の違い、版ごとのサポート期限、バージョンアップの進め方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Drupalとは

Drupalは、記事やページ、利用者の権限などをWebの管理画面でまとめて扱えるオープンソースのCMSです。本体を入れたうえで、必要な機能を追加の部品で足していく作りになっています。仕組みの要点は次のとおりです。

  • ライセンスはGNU GPL(GNU一般公衆利用許諾書)のバージョン2以降で、ライセンス費用はかかりません*1
  • 機能を足す部品は「モジュール」と呼びます。WordPressでいうプラグインにあたります*7
  • データベースはMariaDBやMySQLのほか、PostgreSQLやSQLiteにも対応しています*4
  • 版の更新は、Composer(PHPで作られたソフトの部品をまとめて管理する道具)を使う手順が公式のガイドで案内されています*6

無料で使える一方、本体と追加したモジュールの更新を受け持つのは利用する側です。導入の前に、誰がどの頻度で更新するかを決めておく必要があります。

WordPressとの違い

DrupalとWordPressは、どちらもPHPで動くオープンソースのCMSで、ライセンスも同じGPLのバージョン2以降です。*7 違いが出るのは、版の出し方と、どの版まで公式に面倒を見るかという保守の決まりです。

モニターに映した2列の表を指しながらノートに書き込む担当者の手元

DrupalとWordPressの事実の違い(2026年10月時点の公式情報)
項目 Drupal WordPress
ライセンス GPLのバージョン2以降 GPLのバージョン2以降
機能を足す部品 モジュール・テーマ プラグイン・テーマ
版の出し方 大きな版は2年ごと、小さな版は約6か月ごと、修正版は毎月と決まっている 公式の版の一覧に、次の版の予定日が載る
公式に保守される版 2つの大きな版と、それぞれの小さな版2つ 公式に保守されるのは最新版だけ。古い版にも重大な修正を好意で移している
小さな更新の当て方 Composerを使い、検証してから当てる手順が案内されている 小さな更新とセキュリティ更新は、多くのサイトで自動で当たる
データベース MariaDB・MySQL・PostgreSQL・SQLite MariaDBかMySQLを推奨

WordPressの保守の範囲*8と自動の更新*9は、公式の説明によります。どちらが優れているかではなく、保守の手間がかかる場所が違うと捉えると、自社の体制に合うかを考えやすくなります。WordPress側の保守の考え方はWordPressセキュリティ強化ガイドで扱っています。

Drupalの版とサポート期限

Drupalの保守でいちばん大切なのは、使っている版のサポート期限を知っておくことです。公式のリリース予定表は、Drupal 10のサポートを2026年12月9日に終えると明記しています。*2 この日以降、Drupal 10の新しい版は出ません。

Drupalの大きな版とサポートの状況(公式のリリース予定表より)
版 状況
Drupal 7 2025年1月5日にサポート終了
Drupal 10 10.6系が最後の小さな版。2026年12月9日にサポート終了
Drupal 11 サポート中。小さな版ごとにセキュリティ対応の期限がある
Drupal 12 2026年12月7日の週に公開予定

大きな版の中でも、小さな版(11.3、11.4など)ごとに期限があります。公式の方針では、小さな版はそれぞれ1年間保守され、前半の6か月は不具合とセキュリティの修正、後半の6か月はセキュリティの修正だけが出ます。*3 予定表によれば、11.3系のセキュリティ対応もDrupal 12の公開と同じ週に終わります。*2

  • セキュリティの修正版は、原則として毎月第3水曜日(米国東部時間)の枠で出ます*2
  • 大きな版はそれぞれ最低4年間、さらに2つ先の大きな版が出るまで保守されます*3
  • 大きな版を上げる前に、追加したモジュールと自社で書いた部分を新しい版に合わせておく必要があります

バージョンアップの進め方

Drupalのバージョンアップは、更新の操作そのものより、その前の確認に時間がかかります。次の4つのステップで進めると、本番のサイトを止めずに済みます。

  • ステップ1:使っている版と、その版のサポート期限を確かめる
  • ステップ2:追加したモジュールと自社で書いた部分が、新しい版に対応しているかを洗い出す
  • ステップ3:バックアップを取り、検証用の環境で更新して動きを確かめる
  • ステップ4:本番で更新し、管理画面の状態報告に出た警告を片づける

Drupalのバージョンアップを4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 版と期限を確かめる、STEP2 モジュールの対応を洗い出す、STEP3 検証環境で更新する、STEP4 本番で更新する。

つまずきやすいのはステップ2です。追加したモジュールの中に新しい版へ対応していないものがあると、本体だけ上げることはできません。サーバーの準備も見落としやすい点で、Drupal 12はPHP 8.5の環境が前提になります。*5 公式の更新ガイドは、更新の前にバックアップを取り、更新の前後で状態報告の警告を片づけるよう案内しています。*6

外部に頼むときに確認しておきたい点

社内にPHPとComposerを扱える担当者がいて、毎月のセキュリティの修正版を追える体制があれば、自社で保守することもできます。そうでない場合や、Drupal 10の期限が近い場合は、バージョンアップと保守を外部に頼むのが現実的です。頼む前に、次の点を確かめておきます。

ノートPCの一覧を指す外部技術者と書き留める社内担当者の打ち合わせ

  • どこまで頼むか:本体の更新、追加したモジュールの入れ替え、自社で書いた部分の手直し、サーバーのPHPの更新のうち、どれを任せるか
  • 事前の調査:追加したモジュールの対応状況を、更新の前に一覧にして見せてもらえるか
  • 検証の方法:検証用の環境で、主要なページと入力フォームをどう確かめるか
  • 保守の範囲:毎月のセキュリティの修正版を誰がいつ当てるか。緊急の修正版が出たときの連絡の手順
  • 移る先の比較:同じDrupalで上げるか、別のCMSへ移すかを、費用と手間の両方で比べてもらえるか

別のCMSへの移行も選択肢に入る場合は、ヘッドレスCMSの導入・構築の考え方も参考になります。どの道を選んでも、期限の日から逆算して、調査と検証の時間を先に確保しておくことが大切です。

まとめ:Drupalで確かめておきたい3つの点

Drupalのサイトを保守するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、使っている大きな版と小さな版を確かめ、それぞれのサポート期限を公式のリリース予定表で押さえること。第二に、大きな版を上げる前に、追加したモジュールと自社で書いた部分の対応状況を洗い出すこと。第三に、毎月のセキュリティの修正版を誰が当てるかを決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「サポートが切れてから慌てて更新しようとしたら、モジュールが動かなかった」という事態を避けやすくなります。バージョンアップの進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Drupalのバージョンアップでは、まず本体の版とComposerで管理している部品の一覧を取り出し、追加したモジュールごとに新しい版への対応状況を表にします。設計の段階では、本体だけを更新するか、対応していないモジュールを別のモジュールに置き換えるか、自社で書いた部分を直すかを、サイトの機能ごとに決めます。あわせて、サーバーのPHPとMariaDB・MySQL・PostgreSQLの版を、新しい版の動作条件に合わせる計画を立てます。検証では、Gitで管理した同じコードを検証用の環境に置き、更新の前後で管理画面の状態報告と主要なページの表示を照らし合わせます。運用では、毎月のセキュリティの修正版を当てる手順と、戻すためのバックアップの手順を文書にします。

よくある質問

Drupal 10のサポートが終わったら、サイトは見られなくなりますか

サポートが終わってもサイトがすぐに止まるわけではありません。ただし、2026年12月9日以降はDrupal 10の新しい版が出ないため、見つかった弱点が直らないまま残ります。外部に公開しているサイトは、期限の前に新しい版へ上げておくことをおすすめします。

Drupalのサイトを残したまま、少しずつWordPressに移せますか

できるかどうかは、サイトの規模と、追加したモジュールでどんな機能を作っているかによって変わります。会員の管理や入力フォームを独自に作り込んでいると、移す先で作り直す量が増えます。まずはページの数と主な機能を一覧にして、同じDrupalで上げる場合と手間を比べると判断しやすくなります。

バージョンアップの間、サイトを止める必要はありますか

検証用の環境で先に試しておけば、本番で止める時間は更新の作業中だけに抑えられます。止める時間の長さは、データの量と追加したモジュールの数で変わるため、検証の段階で実際にかかった時間を測っておくと、本番の計画を立てやすくなります。

Drupalのバージョンアップと保守のご相談

Drupalのサポート期限に向けた調査と検証から、バージョンアップ後の保守まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Drupal.org「Licensing」(https://www.drupal.org/about/licensing)。出典:DrupalがGNU GPLのバージョン2以降で提供されていることの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Drupal.org「Drupal core release schedule」(https://www.drupal.org/about/core/policies/core-release-cycles/schedule)。出典:Drupal 10のサポート終了日(2026年12月9日)、Drupal 12の公開予定、11.3系のセキュリティ対応の終了、Drupal 7のサポート終了日、セキュリティの修正版の公開枠の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Drupal.org「Release process overview」(https://www.drupal.org/about/core/policies/core-release-cycles/release-process-overview)。出典:大きな版・小さな版・修正版の公開の間隔、小さな版の保守期間、大きな版の保守期間、大きな版を上げる前の確認の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Drupal.org「Database server requirements」(https://www.drupal.org/docs/getting-started/system-requirements/database-server-requirements)。出典:対応するデータベース(MariaDB・MySQL・PostgreSQL・SQLite)の記述を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:Drupal.org「PHP requirements」(https://www.drupal.org/docs/getting-started/system-requirements/php-requirements)。出典:Drupalの版ごとに対応するPHPの版の表を参照(2026年10月確認)
  6. *6 参考:Drupal.org「Updating Drupal core via Composer」(https://www.drupal.org/docs/updating-drupal/updating-drupal-core-via-composer)。出典:Composerによる更新の手順、更新前のバックアップと状態報告の確認、2つの大きな版とそれぞれの小さな版2つを保守する方針の記述を参照(2026年10月確認)
  7. *7 参考:WordPress.org「GNU Public License」(https://wordpress.org/about/license/)。出典:WordPressがGPLv2(またはそれ以降)で提供されていること、DrupalのモジュールがWordPressのプラグインにあたることの記述を参照(2026年10月確認)
  8. *8 参考:WordPress.org「Security」(https://wordpress.org/about/security/)。出典:公式に保守されるのは最新版だけで、古い版にも好意で修正を移していることの記述を参照(2026年10月確認)
  9. *9 参考:WordPress.org「Updating WordPress」(https://wordpress.org/documentation/article/updating-wordpress/)。出典:小さな更新とセキュリティ更新がバックグラウンドで自動で当たることの記述を参照(2026年10月確認)
  10. *10 参考:WordPress.org「Requirements」(https://wordpress.org/about/requirements/)。出典:推奨するデータベース(MariaDBかMySQL)の記述を参照(2026年10月確認)
  11. *11 参考:WordPress.org「WordPress Versions」(https://wordpress.org/documentation/article/wordpress-versions/)。出典:次の版の予定日を載せた公式の版の一覧を参照(2026年10月確認)




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