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2026.11.03 らしくコラム

CTIシステムとは?電話と顧客情報を連携する仕組みと選び方を解説

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ヘッドセットで通話しながらモニターの顧客情報に目を移すコールセンターの担当

この記事の結論

  • CTIシステムは電話とコンピュータをつなぎ、着信時の顧客表示や通話の記録を自動にする仕組みです。
  • 問い合わせ管理システムとは違い、電話の設備とCRMの間をつなぐ部分を受け持ちます。
  • 選ぶときは、いまのPBXの対応状況、つなぐ先のAPI、電話番号を引き継げるかを先に確かめます。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

電話を取ってから相手の名前を聞き、顧客管理の画面で検索しているうちに相手を待たせてしまう。通話の内容は後からまとめて入力するので、記録が抜けたり遅れたりする——。電話で問い合わせや注文を受ける部署では、こうした手間が日々積み重なりがちです。CTIシステムは、電話とコンピュータをつなぎ、着信と同時に顧客の情報を画面に出したり、通話の記録を顧客管理の仕組みに残したりするための仕組みです。

コールセンターだけでなく、営業部門や保守の窓口でも使われます。ただし万能ではなく、電話の設備やCRMの作りによって入れ方も手間も変わります。本記事では、電話とCRMの連携を検討している情報システムの担当者に向けて、CTIシステムの仕組み、CRMや問い合わせ管理システムとの違い、選び方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

CTIシステムとは

CTIは「Computer Telephony Integration」の略で、コンピュータと電話を結びつけることを指します。国際的な規格にはEcma InternationalのCSTA(ECMA-269)があり、コンピュータのネットワークと電話のネットワークを機能の面で統合するためのサービスを定めています。*1 主な機能は次の4つです。

  • 着信時の顧客表示:かけてきた人の電話番号で顧客管理の仕組みを検索し、名前や過去の対応を画面に出します
  • クリック発信:画面に表示された電話番号を選ぶだけで電話をかけられます
  • 通話の記録:通話の日時・長さ・応対した担当者を、顧客ごとの履歴に残します。録音を残せるものもあります
  • 着信の振り分け:自動音声の案内(IVR)や、空いている担当者へ電話を回す仕組み(ACD)を組み合わせます

CSTAは、業務アプリケーションとPBX(社内の電話をつなぐ構内交換機)や電話機などの間のやりとりを対象にしています。*1 CTIシステムは単独では動かず、電話の設備と顧客情報の仕組みの両方につないで初めて役に立ちます。

CRMや問い合わせ管理との違い

CTIシステムは、CRM(顧客管理システム)などと一緒に語られることが多い仕組みです。役割で分けると、CTIは「電話」と「顧客の記録」の間をつなぐ部分にあたります。

電話まわりの仕組みの役割の違い
仕組み 主な役割 CTIとの関係
PBX・クラウドPBX 外線を社内の内線につなぎ、着信を電話機へ回す 着信・応答・切断などの出来事をCTIに伝える側
CTIシステム 電話の出来事をコンピュータに伝え、画面や記録と結びつける 電話と業務の仕組みの間をつなぐ部分
CRM(顧客管理システム) 顧客の基本情報と、これまでの対応の履歴をためる 着信時に検索され、通話の記録が書き込まれる側
問い合わせ管理システム メール・フォーム・電話の問い合わせを1件ずつ受け付け、解決まで追う 電話の問い合わせを1件として登録するときにつなぐ

問い合わせを解決まで追う仕組みの作り方は問い合わせ管理システムの開発を外注で扱っています。営業の案件管理と電話をつなぎたい場合は、SFA(営業支援システム)開発の外注の進め方も参考になります。本記事では、電話とCRMをつなぐ部分に絞って説明します。

電話とCRMがつながる仕組み

いまの電話は、インターネットと同じ通信の上で動くIP電話が増えています。IP電話で通話を始めたり終えたりする手順には、SIPという規格が広く使われています。SIPは、通話のような「セッション」を作り、変え、終えるための汎用の仕組みとして定められています。*2 CTIシステムは、PBXやクラウドPBXから「着信した」「応答した」「切れた」という出来事を受け取り、それをきっかけにCRMを動かします。

卓上電話の受話器を耳に当てる男性と、ノートPCから顔を上げて目で合図する開発担当

  • ステップ1:PBXが着信を受け、かけてきた人の電話番号をCTIに知らせる
  • ステップ2:CTIがその電話番号でCRMを検索する
  • ステップ3:見つかった顧客の名前や過去の対応を、担当者の画面に出す
  • ステップ4:通話が終わったら、日時・長さ・担当者をCRMの履歴に書き戻す

CTIシステムで電話とCRMがつながる流れを4つの段階で左から順に並べた図。STEP1 PBXが着信をCTIに知らせる、STEP2 発信者番号でCRMを検索、STEP3 顧客情報を画面に表示、STEP4 通話の記録をCRMに書き戻す。

つなぐ方法は、PBXが用意する連携の口、CSTAのような規格、Windowsの電話向けAPI(TAPI)などがあります。MicrosoftはTAPIを、コールセンター向けの通信アプリケーションまで作れるAPIと説明しています。*3 どれが使えるかは、いまのPBXの対応で決まります。

つまずきやすいのはステップ2です。CRMの電話番号の書き方がそろっていないと、同じ番号でも検索に当たりません。番号を通知しない着信や、代表番号から複数の人がかけてくる会社のときの画面の出し方も決めておきます。

CTIシステムの選び方

CTIシステムを選ぶときは、機能の多さよりも、いまの電話の設備と、つなぎたい顧客管理の仕組みから考えると迷いにくくなります。入れ方は大きく3つに分けられます。

円卓の電話機を前に手で示して話す責任者と、ヘッドセットを持つ担当、腕を組む担当

CTIシステムの3つの入れ方
入れ方 向いている場面 確かめたい点
いまのPBXにCTIをつなぐ PBXを使い続け、内線の構成を変えたくない PBXが外部との連携に対応しているか。PBXの保守がいつまで続くか
クラウドPBXと一体のCTIを使う 拠点が多い、在宅で電話を受ける担当者がいる 使える電話番号の種類。いまの番号を引き継げるか
CRMとの連携部分を個別に作る 自社のCRMや業務システムが独自に作られている 連携の部分の保守を誰が受け持つか

見落としやすいのが電話番号の種類です。総務省の電気通信番号制度では、固定電話番号(0AB~J番号)と050から始まる特定IP電話番号は別の種別です。*4 代表番号を変えたくないなら、クラウド型を選ぶ前にその番号が使えるかを確かめます。

なお令和7年1月末日以降、固定電話番号を使うサービスの事業者は、原則として番号ポータビリティ(番号を変えずに電話会社を変えられる仕組み)を可能にする必要があります。*5 例外もあるため、引き継げるかは移る先の事業者に確かめます。

  • いまの電話の設備:PBXかクラウドPBXか、外部との連携に対応しているか
  • つなぐ先:CRMや問い合わせ管理システムに、外部から検索・登録できる口(API)があるか
  • 使う場所:本社だけか、拠点や在宅の担当者も同じ仕組みで電話を受けるか
  • 電話番号:いまの代表番号をそのまま使えるか

外部に頼むときに確認しておきたい点

CTIシステムの導入には、電話の設備とCRMをつなぐ設計と、つないだ後の運用の取り決めが要ります。外部に頼むときは、見積もりの前に次の点を確かめておきます。

  • 連携の範囲:着信時の顧客表示だけか、通話記録の書き戻しや問い合わせの登録までか
  • 電話番号の照合のルール:表記の違い、番号を通知しない着信、代表番号のときに画面へ何を出すか
  • 録音の扱い:保存する期間、聞ける人、顧客への利用目的の示し方
  • 止まったときの動き:CRMやCTIが止まっても電話を受けられるか、記録を後から補えるか
  • 運用後の見直し:PBXやCRMを更新したときに、連携の部分を誰が直すか

なかでも録音の扱いは、導入の前に決めておきたい点です。個人情報保護委員会のガイドラインは、個人情報に当たる例として「本人の氏名が含まれる等の理由により、特定の個人を識別できる音声録音情報」を挙げています。*6 録音を残すなら、ほかの顧客情報と同じように、保存の期間や聞ける人を決めておきます。どこまでの対応が必要かは、自社の個人情報の取扱いの方針や専門家に確かめてください。

まとめ:CTIシステムで確かめておきたい3つの点

CTIシステムを入れるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、いまのPBXが外部との連携に対応しているか、CRMに検索や登録の口があるかを確かめること。第二に、電話番号の照合のルールと、非通知や代表番号のときの画面の出し方を決めること。第三に、録音の保存期間や聞ける人など、運用の取り決めを導入の前に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、結局電話を取ってから手で検索している」という事態を避けやすくなります。電話とCRMの連携の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

CTIシステムの導入では、PBXの連携の口、CSTA(ECMA-269)、SIP、TAPIのうちお客様の設備で使えるものを確かめ、CRMのREST APIとつなぐ構成を設計します。設計では、電話番号を国際形式(E.164)にそろえて照合するか、非通知や代表番号のときの表示、録音の閲覧権限を決めます。検証では着信・不在・転送の各パターンを試験用の番号で確かめ、運用では連携が止まったときの通知と見直しの手順を文書にします。

よくある質問

電話の件数が少ない部署でもCTIシステムは必要ですか

必ずしも必要ではありません。担当者が少なく相手もほぼ決まっているなら、着信履歴と顧客の一覧で足りることもあります。誰がどの顧客と話したかを追えなくなってきたときが、検討を始める目安です。

在宅勤務の担当者も同じ仕組みで電話を受けられますか

クラウドPBXと一体のCTIであれば、パソコンで動く電話(ソフトフォン)を使って、社外からも同じ番号の電話を受けられるものがあります。社内のPBXにつなぐ形の場合は、社外から内線を使えるかどうかがPBXの設定によって変わるため、事前に確かめておきます。

いま使っているCRMとつなげますか

CRMに外部から顧客を検索したり履歴を登録したりできる口(API)があれば、多くの場合つなげます。口が無い場合は通話の記録をファイルで取り込む方法もありますが、着信時の顧客表示は難しくなります。まずはCRMの仕様書でAPIの有無を確かめるとよいでしょう。

電話とCRMの連携開発のご相談

CTIシステムの選定から、PBXやクラウドPBXとCRMをつなぐ連携開発、録音や通話記録の運用設計まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Ecma International「ECMA-269 Services for Computer Supported Telecommunications Applications (CSTA) Phase III」(https://ecma-international.org/publications-and-standards/standards/ecma-269/)。出典:コンピュータのネットワークと電話のネットワークの機能の統合を可能にするサービスであること、対象となる構成要素(アプリケーション、PBX、IP-PBX、電話機、ソフトフォン等)、ISO/IEC 18051 の記述を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:IETF「RFC 3261 SIP: Session Initiation Protocol」(https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc3261.txt)。出典:1章 Introduction の、セッションを作成・変更・終了するための汎用の仕組みであるとの記述を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:Microsoft Learn「Telephony Application Programming Interfaces」(https://learn.microsoft.com/en-us/windows/win32/tapi/telephony-application-programming-interfaces)。出典:TAPI 2.x の説明(モデムの制御から、複数のエージェントと交換機を持つコールセンターまでの通信アプリケーション)を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:総務省「電気通信番号制度」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/)。出典:電気通信番号の種別(固定電話番号 0AB~J番号、特定IP電話番号 050番号)を参照(2026年11月確認)
  5. *5 参考:総務省「固定電話の番号ポータビリティ」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/tel_number/kotei_portability.html)。出典:固定電話番号の番号ポータビリティの定義、令和7年1月末日以降の原則と実施の例外の記述を参照(2026年11月確認)
  6. *6 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:2-1「個人情報」の【個人情報に該当する事例】事例4(特定の個人を識別できる音声録音情報)を参照(2026年11月確認)




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