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2026.11.03 らしくコラム

電子帳票システムと帳票システムの違い|保管の仕組みと選び方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

モニターの帳票一覧の行を指で示す経理担当と、後ろから身をかがめて見る情シス担当

この記事の結論

  • 電子帳票システムは、出力した帳票をデータのまま保管し、検索・閲覧できるようにする仕組みです。
  • 帳票を作って出す帳票システムとは役割が違い、出した後の保管と探しやすさを受け持ちます。
  • 電子帳簿保存法の要件は帳票の画像だけでは満たせない場合があり、明細のデータの扱いも決めておきます。

※ 本記事は2026年11月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

月末に出力した請求書の控えを、紙のまま段ボール箱に詰めて保管している。過去の帳票を確かめるたびに、出力し直すか箱を開けるしかない——。帳票を大量に出す会社の経理や情報システムの現場では、こうした保管の手間がたまりがちです。電子帳票システムは、システムから出力した帳票を紙に印刷せずデータのまま保管し、必要なときに画面で検索・閲覧できるようにする仕組みです。

過去の帳票をすぐに呼び出せ、紙の保管場所も減らせます。ただし万能ではなく、帳票を画像のような形で残すだけでは、電子帳簿保存法の要件をすべて満たせない場合があります。本記事では、帳票の保管を任された情報システムの担当者に向けて、電子帳票システムの役割、帳票システムとの違い、電子帳簿保存法との関係、選び方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

電子帳票システムとは

国税庁は、いわゆる電子帳票システムについて、会計システムなどで作られたデータを帳票として出力するために、帳票作成ツールで一部のデータを抽出・編集した印刷データや帳票データ、オーバーレイデータを「イメージデータ形式」で保存しているもの、と説明しています。*1 出力した帳票の見た目をそのまま残し、あとから同じ形で開けるようにすることが中心の役割です。

  • 保管:基幹システムや会計システムが出力した帳票を、紙に印刷せずデータで蓄えます
  • 検索:日付や取引先、帳票の種類などで探し、画面に表示します
  • 閲覧の権限:部署や役職ごとに、見てよい帳票を分けます
  • 保存期間の管理:法人の場合、帳簿と書類の保存期間は原則7年です(青色申告で欠損金が生じた事業年度などは10年)*2

紙と違って同じ帳票を複数の担当者が同時に開けます。一方で、保存されているのは「出力した結果」であり、元になった明細のデータがすべて残っているとは限りません。

帳票システムとの違い

帳票システムと電子帳票システムは受け持つ場面が違います。帳票システムは、データから請求書や納品書を作って出す側の仕組みです。電子帳票システムは、出した帳票をしまって、あとで探す側を受け持ちます。

プリンターの排紙トレイから印刷した帳票の束を取り上げる総務担当

帳票システムと電子帳票システムの違い
項目 帳票システム 電子帳票システム
主な役割 帳票の様式を作り、データを差し込んで印刷やPDFで出力する 出力された帳票を保管し、検索・閲覧できるようにする
扱うもの 様式(レイアウト)と差し込むデータ 出力済みの帳票の印刷データや画像
主な利用者 様式を作る担当者、帳票を発行する部署 過去の帳票を確かめる経理・営業・監査の担当者
よくある困りごと 様式の変更に時間がかかる、月末の出力が遅い 過去の帳票がすぐに見つからない、紙の保管場所が足りない

どちらを先に見直すかは、困りごとで決まります。様式の作り直しや出力の速さが課題なら帳票システムを、出した後の保管や検索が課題なら電子帳票システムを先に検討します。帳票を作る側の選び方は帳票システムの選び方で扱っています。

電子帳簿保存法との関係

請求書の控えのように、自社が一貫してコンピュータで作成した書類は、一定の要件のもとで紙ではなく電子データのまま保存できます。*3 電子帳票システムで控えを保管するなら、この要件に沿えることが前提です。施行規則が定める主な要件は次のとおりです。*4

  • システムの概要を記した書類や操作説明書などを備え付けておく
  • 保存する場所にディスプレイやプリンタを置き、画面と書面に整然とした形式で速やかに出力できるようにしておく
  • 税務職員からデータの提示や提出を求められたときに応じられるようにしておく。または、取引年月日などの日付で検索でき、範囲を指定して探せる機能を備える
  • 残すのは相手に交付した時点のデータ。見積書の内容を変えて何度も出したなら、交付したすべてを残す*2

注意したいのは、帳票の画像だけでは足りない場面があることです。国税庁は、電子帳票システムのみでは取引の訂正・削除の履歴の確保などがされず、優良な電子帳簿(訂正・削除の履歴が残るなどの要件を満たした電子の帳簿)の要件を満たしていないことを前提にした事例を示しています。*1

帳簿をPDFや画像に変換して保存する場合も、CSV形式など検索しやすいデータを併せて保存していなければ、ダウンロードの求めに応じられる状態とは認められないとしています。*2 また、PDFの請求書を電子メールで送る取引は電子取引にあたり、別の保存の要件がかかります。*3 改修の進め方は電子帳簿保存法対応のシステム改修にまとめています。

電子帳票システムの選び方

電子帳票システムは、製品の機能表を比べる前に、自社が何をどれだけ保管するかを決めておくと選びやすくなります。次の4つのステップで進めると、保存の形式の作り直しを避けられます。

  • ステップ1:対象の帳票と保存期間を洗い出す(請求書の控え、納品書、帳簿など、種類ごとに確かめる)
  • ステップ2:保存する形式を決める(帳票の見た目だけを残すか、明細のデータも併せて残すか)
  • ステップ3:検索の条件と閲覧の権限を決める(日付の範囲で探せるか、誰がどの帳票を見られるか)
  • ステップ4:つなぎ方と移行を決める(出力元のシステムからどう受け取るか、過去の帳票をどこまで移すか)

電子帳票システムの選び方を4つの段階で左から順に並べた流れ図。STEP1 対象の帳票と保存期間を洗い出す、STEP2 保存する形式を決める、STEP3 検索と権限を決める、STEP4 つなぎ方と移行を決める。

迷いやすいのはステップ2です。帳票の画像だけを残すなら仕組みは単純ですが、帳簿として保存するなら明細のデータも要ります。紙で受け取った書類をスキャンして残す場合は、スキャナ保存という別の制度になり、要件も変わります。*3 扱う範囲は、帳票の種類ごとに最初に線引きしておきます。

外部に頼むときに確認しておきたい点

電子帳票システムの導入は、製品を入れるだけでは終わりません。出力元のシステムとのつなぎ込みや過去の帳票の移行が伴うため、外部に頼むときは見積もりの前に次の点を確かめておきます。

円卓で手を広げて話す外部のエンジニアと、ノートにペンで書き留める情シス担当

  • 対象の範囲:どの帳票を電子で保管し、どれを紙のまま残すか。帳簿と書類を分けて決めているか
  • 要件の確認:電子帳簿保存法の要件を、誰がどの資料(国税庁の一問一答や施行規則)で確かめるか
  • つなぎ込み:帳票システムや基幹システムから、帳票と明細のデータをどの形で受け取るか
  • 移行の検証:過去の帳票を移す前と後で、件数と中身をどう突き合わせるか
  • 運用後の見直し:保存期間を過ぎた帳票の扱いや、権限の変更を誰が受け持つか

特に要件の確認は、製品の説明だけで済ませがちな点です。国税庁は、JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の認証を受けたソフトであっても、事務手続関係書類の備付けなど機能以外の要件を含め、すべてを満たす必要があると注意を促しています。*5 製品の機能と自社の運用の両方で要件を満たせるかを、導入の前に確かめておきます。

まとめ:電子帳票システムで確かめておきたい3つの点

電子帳票システムを選ぶうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、帳票を作る帳票システムと、出した帳票を保管する電子帳票システムの役割を分けて考えること。第二に、帳票の種類ごとに、帳簿と書類のどちらとして保存するか、明細のデータも残すかを決めること。第三に、電子帳簿保存法の要件を、製品の機能だけでなく自社の運用も含めて確かめることです。この3点を踏まえておけば、「電子化したのに、税務調査で求められたデータを出せなかった」という事態を避けやすくなります。要件の確かめ方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

電子帳票システムの構築では、出力元から帳票のPDFと明細のCSVを対にして受け取り、取引年月日・取引金額・取引先を検索の索引として持たせます。保管先には、Amazon S3のObject LockやAzure Blob Storageの不変ストレージのように、保存期間中の上書きや削除を止められる仕組みを候補にし、閲覧の権限はActive DirectoryやSAMLによるシングルサインオンと連携して部署ごとに分けます。設計の段階では、帳票の種類ごとに帳簿と書類のどちらとして保存するか、交付した時点のデータをどこで確定させるかを決めます。移行では、旧システムの帳票の件数と索引の値を移す前と後で突き合わせ、運用では保存期間の満了とバックアップ・復元の手順を文書にします。

よくある質問

印刷して押印した請求書も、データで控えを保存できますか

保存できます。国税庁の一問一答では、パソコンで作成した請求書を印刷して代表者印などを押して送った場合も、印影のない状態の電子データで控えの保存に代えられるとしています。*2 ただし、印刷した後に手書きで情報を書き足して渡したものは、書面で保存する必要があります。

紙で保管している過去の帳票も、電子データにして紙を捨てられますか

紙の原本を処分して電子データだけで保存するには、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。施行規則では、読み取りの解像度や色の階調、タイムスタンプなどの要件が定められています。*4 処分する前に、対象の書類が要件に沿って取り込まれているかを確かめましょう。

保存したデータのバックアップは法律で決められていますか

国税庁の一問一答では、バックアップデータの保存は法令上の要件ではないとしています。*2 ただし、保存期間を通じて適切に保存するために、バックアップを取っておくことが望まれるとも案内しています。保管先と復元の手順は、導入の段階で決めておきます。

電子帳票システムの導入と帳票保管の見直しのご相談

電子帳票システムの構築から、出力元のシステムとのつなぎ込み、過去の帳票の移行まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:国税庁「電子帳簿システム別の対応関係」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/06.htm)。出典:前提条件の「電子帳票システム」の説明(イメージデータ形式での保存、優良な電子帳簿の要件を満たしていないことを前提とした事例)を参照(2026年11月確認)
  2. *2 参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」(令和8年7月)(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0026007-006_01.pdf)。出典:問3(保存期間・バックアップ)、問22(PDF・画像形式での帳簿の保存)、問23(保存すべき時点)、問24・問25(請求書の控え)を参照(2026年11月確認)
  3. *3 参考:国税庁「電子帳簿保存法の概要」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/02.htm)。出典:国税関係書類の電磁的記録による保存、スキャナ保存制度、電子取引の定義の記述を参照(2026年11月確認)
  4. *4 参考:e-Gov法令検索「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/410M50000040043)。出典:第2条第2項・第3項(国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存の要件)、第2条第6項(スキャナ保存の要件)を参照(2026年11月確認)
  5. *5 参考:国税庁「JIIMA認証情報リスト」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/11.htm)。出典:JIIMA認証ソフトの位置づけと、機能以外の要件も満たす必要があるとの注意書きを参照(2026年11月確認)




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