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2026.07.24 らしくコラム

エレベーター保守点検の記録を一元管理|定期検査報告に対応

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

エレベーター保守点検のイメージ

この記事のポイント

  • 昇降機の日常の保守点検(メンテナンス)と、建築基準法に基づく定期検査報告は目的も実施主体も異なる仕組みです。本記事はこの2つの記録をシステムで管理する視点を扱います。
  • 定期検査報告は、昇降機等検査員などの有資格者が検査を行い、結果を特定行政庁へ報告する法定の手続きです。実施時期は物件ごとに特定行政庁が個別に定めます。
  • 複数物件・多数号機を扱う管理会社ほど、点検記録と検査期限を紙やExcelで管理すると期限の見落としや書類の散逸が起きやすく、システムによる一元管理が有効な対策になります。

保守点検と定期検査報告の違い、消防設備点検・設備保全との線引き

ビル設備管理のイメージ

本記事が扱う範囲:建築基準法の定期検査報告と保守点検記録

本記事は、建築基準法に基づく昇降機の「定期検査報告」と、日常の保守点検記録をシステムで管理する方法をテーマにしています。消防法に基づく消防用設備等の点検や、設備全般の故障予防を目的とする設備保全(CMMS)は、根拠となる法令も点検の対象も異なる別の制度です。両者を扱う記事は当サイトに別途用意しているため、本稿では昇降機の保守点検と定期検査報告に絞って解説を進めます。ビル・マンション・商業施設を運営する管理会社や建物所有者、保守点検業者の管理担当者に向けて、実務で押さえておきたい要点を整理しました。

現場では、保守契約を結んでいれば定期検査報告も自動的に完了していると思い込んでいる担当者が見られます。しかし実際には、保守点検と定期検査報告は別の枠組みであり、保守会社が検査資格者を兼ねていない限り、報告手続きは管理会社・所有者側で別途手配する必要があるでしょう。この認識のずれが、期限管理の抜け漏れにつながる一因になっているケースも少なくありません。

保守点検とは:契約に基づく任意の点検・整備

保守点検とは、昇降機の保守会社と管理会社・所有者との間で結ぶ保守契約に基づき、部品の摩耗や動作状態を定期的に確認し、注油・調整・部品交換などを行う業務を指します。実施の頻度や点検項目は契約内容によって決まるものであり、法令で回数が一律に定められた業務ではありません。

定期検査報告とは:建築基準法に基づく法定の手続き

一方、定期検査報告は建築基準法第12条第3項に基づき、建物の所有者または管理者に課される法定の義務です*1。有資格者による検査を受けたうえで、その結果を特定行政庁へ報告する必要があり、実施の有無や実施者を任意に選べる保守点検とは性質が異なります。この違いを理解しないまま両者を同じ台帳で管理すると、法定報告の期限を日常の保守作業の記録と混同し、見落としにつながる場合があります。

比較項目 保守点検(メンテナンス) 定期検査報告
根拠 保守会社との契約 建築基準法第12条第3項*1
実施の要否 契約内容による任意の取り決め 所有者・管理者に課される法定の義務
実施者 契約した保守会社の担当者 昇降機等検査員資格者証の保有者、一級建築士・二級建築士
結果の提出先 社内記録として保管(提出義務なし) 特定行政庁への報告が必要

特定行政庁とは:報告先の考え方

特定行政庁とは、建築主事を置く市区町村または都道府県の長を指す用語で、建築確認や定期報告の受付窓口となる行政機関です。定期検査報告の提出先は物件の所在地によって決まり、様式や受付方法は自治体ごとに定められています。複数の都道府県・市区町村にまたがって物件を保有する管理会社は、報告先が物件ごとに異なる点をあらかじめ把握しておく必要があるでしょう。

報告を行わない場合や、内容に虚偽があった場合は、建築基準法上の是正指導や罰則の対象となり得ます*2。具体的な手続きや量定は個別の事情によって異なるため、対応に迷う場合は管轄の特定行政庁または国土交通省公式サイトで確認することが望ましいでしょう。

建築基準法は、建物の敷地・構造・設備に関する国民の生命・健康・財産保護を目的として最低限の基準を定めた法律であり、昇降機の定期検査報告制度もこの枠組みの一部として位置づけられています*2。個別の建物ごとに条文の適用関係を判断する場面では、管轄の特定行政庁や建築士など専門家への確認が有効です。

建築基準法に基づく定期検査報告制度の仕組み

対象となる昇降機の種類と法的根拠

国土交通省の資料によると、定期検査報告の対象にはロープ式・油圧式のエレベーターのほか、段差解消機、いす式階段昇降機、エスカレーター、小荷物専用昇降機が含まれます*1。建築基準法第12条第3項は、これらを含む建築設備について、所有者が国土交通省令の定めに従って有資格者に検査させ、結果を報告する義務を規定しています*2。国等が所有・管理する建築物は対象から除かれる点にも留意が必要です。

管理会社が扱う物件のなかには、住居用マンション、オフィスビル、商業施設など用途が異なる建物が混在することも珍しくありません。用途や規模によって対象となる昇降機の種類や台数は異なりますが、いずれの物件でも定期検査報告の対象となる号機を漏れなく把握しておくことが、台帳整備の出発点になります。

検査を行う資格者:昇降機等検査員・建築士

検査を担当できるのは、国土交通大臣の登録講習を修了して昇降機等検査員資格者証の交付を受けた者、または一級建築士・二級建築士です*1。昇降機等検査員は平成28年の制度改正により、従前の昇降機検査資格者に代わって設けられた資格です。資格者証を持たない担当者が検査を行うことはできないため、依頼する検査会社の資格保有状況を事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

実施頻度と報告先(特定行政庁)

検査の実施間隔は建築基準法施行規則で定められており、多くの検査項目でおおむね6か月から1年の範囲、一部の検査項目は1年から3年の範囲とされていますが、具体的な報告時期は物件所在地の特定行政庁が個別に定めます。報告先も特定行政庁であり、自治体ごとに提出様式や運用に差がある場合があるため、詳細な頻度・様式については国土交通省公式サイトまたは管轄の特定行政庁で確認する必要があります*1

間隔に幅が設けられているのは、ロープ式・油圧式といった昇降機の種類や、設置環境、検査項目の性質によって劣化の進み方が異なるためと考えられます。同じ物件でも号機ごとに設置年や仕様が異なる場合は、次回の報告時期が号機単位でずれることも珍しくないでしょう。物件単位ではなく号機単位で期限を管理する発想が、複数号機を抱える物件では特に重要になります。

検査で不具合が見つかった場合の対応

検査結果は、要是正の指摘事項がある場合とない場合とで区分されます。指摘事項がある場合は、是正の実施状況もあわせて特定行政庁へ伝える運用が一般的です。是正の完了時期や対応内容を記録として残しておくことも求められるでしょう。複数物件を抱える管理会社では、どの号機にどのような指摘があり、いつ是正が完了したかを号機単位で追跡できる状態を保つことが、後日の照会対応にもつながります。

検査記録・報告書の保存期間についての考え方

定期検査報告書や検査済証は、次回の検査時期を判断する材料になるだけでなく、行政からの照会や物件売買時の説明資料としても参照される書類です。何年分を保存するかは物件の管理方針によって幅がありますが、号機の設置から現在までの履歴をたどれる状態にしておくと、経年劣化の傾向を把握しやすくなります。紙の報告書を物件ごとにファイリングしている場合、保管場所の分散や紙自体の劣化により、必要なタイミングで参照できなくなるリスクも考慮しておくべきでしょう。

日常の保守点検契約の種類:フルメンテナンス契約とPOG契約

フルメンテナンス(FM)契約の特徴

フルメンテナンス契約は、定期点検に加えて消耗品の交換や修理・部品交換の費用までを月額料金に含める契約形態です。突発的な故障が起きた場合でも追加費用が発生しにくく、修繕費の予算を平準化しやすい点が特徴とされています。契約範囲は保守会社によって幅があるため、対象となる部品や作業内容は契約書での確認が欠かせません。

POG契約の特徴

POG契約は、Parts(部品)・Oil(油)・Grease(グリス)の頭文字を取った呼び方で、消耗品や油脂類の交換は契約に含まれますが、大規模な修理や主要部品の交換は別途費用が発生する契約形態です。月額費用を抑えられる一方、経年劣化が進んだ号機では修繕費が想定より膨らむ場合があるため、号機の築年数や稼働状況を踏まえた選択が求められます。

どちらの契約形態が適しているかは、号機ごとの築年数・故障頻度・修繕費の見通しによって変わります。複数号機を抱える物件では、号機ごとに異なる契約形態を組み合わせる管理会社も見られ、その場合は契約形態の違いを号機単位で記録しておかないと、更新時期や費用の見込みを見誤りやすくなるでしょう。

メーカー系保守と独立系保守会社の違い

保守会社には、昇降機を製造したメーカー系の会社と、メーカーを問わず複数機種を扱う独立系の会社があります。メーカー系は自社製品に関する部品供給や技術情報へのアクセスに強みがある一方、独立系は複数メーカーの号機を横断して契約を一本化できる点や、費用面での柔軟さを打ち出している場合があるでしょう。どちらを選ぶ場合でも、契約書に記載された作業範囲・対応時間・部品供給の条件を個別に確認することが欠かせません。

契約時に確認しておきたい役割分担

保守契約と定期検査報告は別の枠組みですが、実務上は保守会社が検査資格者を兼ねて定期検査を代行するケースも見られます。契約時には、日常の保守点検と定期検査報告のどちらまでを保守会社が担うのか、報告書の作成・提出を管理会社側で行うのかを、あらかじめ役割分担として明確にしておくと、後々の責任範囲の食い違いを防ぎやすくなります。

遠隔監視サービスの広がりと記録管理への影響

近年は、昇降機の稼働状況をセンサーで把握し、異常の予兆を保守会社側で検知する遠隔監視サービスを組み合わせた契約も増えています。こうしたサービスは日常の稼働データが中心であり、建築基準法に基づく定期検査報告に代わるものではありません。ただし、稼働データと点検・検査記録をあわせて管理できれば、号機ごとの状態をより立体的に把握でき、保守契約の見直し時期を判断する材料にもなるでしょう。

比較項目 フルメンテナンス契約 POG契約
月額費用の水準 修理費を含むため高めになりやすい 消耗品・油脂中心のため抑えやすい
突発的な修理費 契約範囲内であれば追加費用が生じにくい 大規模修理は別途費用が発生しやすい
向いている号機 築年数が経過し故障リスクが高い号機 比較的新しく稼働が安定している号機
契約更新時の確認点 対象部品・作業範囲の細目 契約範囲外となる修理費の見込み

複数物件・多数号機を管理する現場が抱える課題

期限管理の複雑さと見落としのリスク

管理会社が扱う物件数・号機数が増えるほど、保守契約の更新時期、日常点検の周期、定期検査報告の期限がそれぞれ異なるタイミングで到来するようになります。紙の台帳やExcelで管理していると、更新作業のたびに複数のファイルを突き合わせる手間が発生し、担当者が変わった際に引き継ぎが不十分なまま期限を過ぎてしまう事例も起こり得ます。定期検査報告の未実施は所有者・管理者の法令違反にあたるため、期限管理の精度は経営上のリスクに直結する問題です。号機数が数十・数百に達する管理会社では、担当者の目視確認だけで期限を洗い出す作業自体が大きな負担になっているケースもあるでしょう。

点検記録・報告書の保管と検索性

点検記録や検査報告書を紙またはローカルのExcelファイルで保管していると、物件数が増えるにつれて検索性が下がっていきます。過去の指摘事項や部品の交換履歴を号機単位で追いたい場面で、担当者の記憶やファイルの手作業検索に頼る運用では、監査や行政からの問い合わせへの対応に時間がかかりやすくなります。

保守業者・複数拠点との情報共有の難しさ

物件ごとに異なる保守会社と契約している場合、点検結果の報告方法や記録の形式が会社ごとにばらつき、管理会社側で情報を統一的に把握しにくくなります。担当者が拠点間を兼務しているケースでは、共有フォルダの版管理が乱れ、最新の点検記録がどれか分からなくなるといった運用上の課題も生じやすいでしょう。

行政からの照会・入居者対応の負荷

特定行政庁から過去の検査結果について照会があった場合や、テナント・居住者から点検状況を尋ねられた場合、担当者は該当する号機の記録を探し出して回答する必要があります。物件・号機ごとに記録の所在がばらばらだと、回答までに時間がかかり、問い合わせをした側に不十分な印象を与えかねないでしょう。日頃から号機単位で記録をたどれる状態にしておくことが、こうした場面での対応力につながります。

修繕費の予測・予算計画への影響

点検・検査で蓄積された指摘事項や部品交換の履歴は、号機ごとの劣化傾向を把握し、将来の大規模修繕やリニューアル時期を見積もる材料にもなります。記録が号機単位で整理されていないと、老朽化が進んだ号機を優先的に手当てするといった予算配分の判断が後手に回りやすく、突発的な故障対応に追われる運用から抜け出しにくくなるでしょう。

担当者の異動・引き継ぎに伴うリスク

物件管理の担当者は数年単位で異動することが珍しくありません。属人的なExcelファイルや個人のメールボックスに点検記録・期限情報が分散していると、引き継ぎの際に情報が漏れ、後任者が把握していない期限を超過してしまう事態が起こり得ます。担当者が変わっても同じ画面・同じ台帳を参照できる状態にしておくことが、こうした引き継ぎリスクを抑える基本的な対策になるでしょう。

点検記録と検査報告をシステムで一元管理する

紙・Excel管理の限界を解消するには、物件・号機単位で点検と検査の情報を一元管理できるシステムが有効です。以下の要素を備えることで、複数物件・多数号機を抱える管理会社でも運用の抜け漏れを防ぎやすくなります。担当者ごとの経験や記憶に頼っていた運用を仕組みに落とし込むことが、規模が拡大しても品質を保ちながら管理体制を維持するための土台になるでしょう。

要件 内容
物件×号機台帳 物件ごとに設置されている号機を型式・設置年・保守会社とあわせて登録し、台帳として一元管理する
スケジュールと期限アラート 保守契約の更新日、日常点検の周期、定期検査報告の期限を号機単位で管理し、期日が近づくと担当者へ通知する
点検記録のデジタル化 点検結果・指摘事項・写真をスマートフォンやタブレットから入力し、紙の点検票への転記作業をなくす
報告書の出力 蓄積したデータから定期検査報告書や社内向けの点検レポートを様式に沿って出力する
履歴の保全 過去の点検・検査・修繕履歴を号機単位で長期保存し、監査や行政からの照会にも対応できる状態を保つ
保守業者との情報共有 保守会社が入力した点検結果を管理会社側からも閲覧できるようにし、情報のやり取りを一本化する

報告書の出力機能は、特定行政庁へ提出する定期検査報告書に限らず、経営会議向けに号機ごとの状態をまとめたサマリーや、監査対応時に求められる証跡資料としても活用できます。台帳・スケジュール・記録が同じシステム上でつながっていれば、こうした資料を都度作成し直す手間を減らせるでしょう。

拠点をまたぐ閲覧権限の設計

複数拠点・複数担当者で物件を分担している管理会社では、誰がどの物件・号機の記録を閲覧・編集できるかという権限設計も欠かせない要素です。本社が全物件を横断して確認できる一方、各拠点の担当者は自分が担当する物件だけを扱える、といった権限の切り分けができると、情報漏えいのリスクを抑えながら現場の担当者が必要な記録にすぐたどり着ける状態をつくれます。

既存の基幹システム・保守業者システムとの連携

物件管理会社の多くは、入居者管理や契約管理を担う既存の基幹システムをすでに運用しています。昇降機の点検・検査管理を新たに導入する際は、こうした既存システムと物件情報を二重入力しなくて済むよう連携させる設計が実務上重要になります。保守業者側が自社専用の点検システムを使っている場合は、データの受け渡し方法(ファイル連携かAPI連携か等)を事前にすり合わせておくと、稼働後の手作業を減らせるでしょう。

移行時に検討しておきたいこと

既存のExcel台帳や紙の点検票からシステムへ移行する際は、まず物件×号機単位でデータ項目をどこまで揃えられているかを棚卸しすることから始めるとスムーズです。過去の点検・検査記録をどこまで遡って取り込むか、保守業者からの記録受け取り方法をどう変えるかをあわせて設計しておくと、稼働後の運用負荷を抑えやすくなります。

これらの要件は、市販のパッケージ製品だけでは自社の物件構成や既存の管理帳票に合わない場合があります。物件数・号機数の規模や、既存の保守業者とのデータ連携方法にあわせてシステムを開発することで、現場の運用に即した一元管理を実現しやすくなるでしょう。

まとめ:昇降機の保守点検・定期検査報告管理の3つの要点

本稿では、昇降機の保守点検と建築基準法に基づく定期検査報告の違い、検査の資格者・報告先の仕組み、複数物件・多数号機を管理する際の課題を整理しました。要点は次の3つに集約されるでしょう。第一に、保守点検は契約に基づく任意の業務であるのに対し、定期検査報告は有資格者による検査と特定行政庁への報告が義務づけられた法定の手続きです*1。第二に、検査の実施間隔と報告時期の詳細は特定行政庁によって異なるため、公式情報での確認をそのつど行う必要があります。第三に、複数物件・多数号機を扱う管理会社ほど、点検記録と検査期限をシステムで一元管理する体制が、期限の見落としや書類散逸を防ぐ有効な対策になります。

紙やExcelでの管理から一歩進めるかどうかを検討する際は、まず自社が抱える物件数・号機数と、現状の記録方法でどこまで対応できているかを棚卸しすることが出発点になります。物件×号機台帳の整備、期限アラート、報告書出力といった要件を自社の運用に落とし込むには、既存の帳票や保守業者との連携方法を踏まえた個別の設計が求められるでしょう。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムの構築を元請(プライムベンダー)として受託しています。昇降機の物件×号機台帳、点検・検査のスケジュール管理と期限アラート、報告書出力、保守業者との情報共有まで、管理会社様の既存の運用や帳票にあわせたシステムの構築に対応する体制を整えています。既存の基幹システムとの連携や、拠点をまたぐ閲覧権限の設計といった個別の要件にも対応可能です。紙やExcelでの管理に限界を感じている企業様は、まずは現状の点検・検査記録の棚卸しからご相談ください。

よくある質問

保守点検と定期検査報告の違いは何ですか。

保守点検は、保守会社との契約に基づいて実施する任意の点検・整備業務です。一方、定期検査報告は建築基準法第12条第3項に基づき、有資格者による検査結果を特定行政庁へ報告することが所有者・管理者に義務づけられた法定の手続きです*1。両者は根拠も実施義務の有無も異なるため、別々の記録として管理する視点が欠かせません。保守契約を結んでいても定期検査報告が自動的に完了するわけではない点にも注意が必要です。

定期検査は誰が実施し、頻度はどのくらいですか。

検査は昇降機等検査員資格者証を持つ者、または一級建築士・二級建築士が実施します*1。実施間隔はおおむね6か月から1年、一部の検査項目は1年から3年の範囲とされていますが、具体的な時期は物件所在地の特定行政庁が個別に定めます。物件が複数の自治体にまたがる場合は報告先も異なるため、詳細は国土交通省公式サイトまたは管轄の特定行政庁で確認する必要があります。

消防設備点検や設備保全(CMMS)との違いは何ですか。

消防設備点検は消防法に基づき消防用設備等を対象とする点検であり、設備保全(CMMS)は設備全般の故障予防を目的とした管理手法です。いずれも建築基準法に基づく昇降機の定期検査報告とは根拠法・対象範囲が異なる別の制度にあたります。1つの建物に複数の点検・検査義務が並行して存在する場合、それぞれを別の枠組みとして管理する意識が重要です。

複数物件・多数号機の点検記録をシステム化するメリットは何ですか。

物件×号機単位で保守契約の更新日や定期検査報告の期限を一元管理でき、期限が近づいた際の通知や点検記録のデジタル化により、紙・Excel管理で起こりやすい期限の見落としや書類の散逸を防ぎやすくなります。保守業者との情報共有も一本化しやすくなり、担当者の異動時にも同じ台帳を引き継げる点も利点でしょう。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:国土交通省「昇降機(エレベーター、エスカレーター等)について」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000105.html
  2. *2 出典:e-Gov法令検索「建築基準法」第12条(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201


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