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ラボ型開発を国内で頼む費用|見積もりで確かめる5つの内訳
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- 国内のラボ型開発は準委任の形が基本で、月額はメンバーの単価と稼働で決まります。
- 見積もりは5つの内訳に分け、機器やライセンス、移動の費用が月額に入るかを確かめます。
- 拠点の地域と自社側の稼働も費用に含め、交代や途中終了の扱いを契約前に決めておきます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
ラボ型開発を国内の会社に頼もうと見積もりを取ったら、月額の合計しか書かれていない。2社の金額を並べても、どこが違うのか分からない——。開発チームを外部に持つのが初めての会社では、こうした戸惑いが起こりがちです。ラボ型開発は、決まったメンバーのチームを一定の期間確保し、優先順位を見直しながら開発を続けてもらう頼み方です。
リリース後も改善を続けるサービスなどで使いどころがあります。ただし万能ではなく、毎月の費用が続くうえ、自社の側にも優先順位を決める担当者が要ります。本記事では、国内でラボ型開発を検討している情報システムの担当者に向けて、契約の形、費用の5つの内訳、国内ラボの体制による違い、月額の決まり方、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。
ラボ型開発とは
ラボ型開発の費用を理解するには、まず契約の形を押さえておくと近道です。IPA(情報処理推進機構)が公開しているアジャイル開発外部委託モデル契約は、チームで開発を続ける頼み方を、準委任契約(作業の遂行そのものに報酬を払う契約)を前提に組み立てています。*1 民法では、法律行為でない事務の委託を準委任と呼び、委任の規定を当てはめます。*2
- 費用は「何を作ったか」ではなく「誰がどれだけ働いたか」で決まります。モデル契約では、委託料をメンバーの単価と稼働時間で計算する例を示しています*1
- チームの体制は、役割ごとに人数と月額の単価を決めて契約に書きます
- 期間を決めて契約し、続けるときは延長を話し合います
- 何から作るかの優先順位を決める役(プロダクトオーナー)は、発注者の側が受け持ちます
ほかの頼み方との違いはラボ型開発とSESの違いで扱っています。本記事では、国内で頼むときの費用の中身に絞ります。
費用の5つの内訳
ラボ型開発の見積もりは、月額の合計だけを並べても違いが見えてきません。中身を次の5つに分けて、どれが月額に含まれ、どれが別に請求されるのかを確かめていきます。

| 内訳 | 中身 | 金額を左右するもの |
|---|---|---|
| 1. 開発メンバーの費用 | エンジニアやデザイナーの月額 | 役割ごとの単価・人数・期間 |
| 2. 取りまとめ役の費用 | チームの進め方を支える役や、ベンダー側の責任者 | 専任か、ほかの仕事と兼ねるか |
| 3. 立ち上げと引き継ぎの費用 | 業務の説明、開発環境の準備、メンバー交代時の引き継ぎ | 業務の複雑さ・交代の回数 |
| 4. 機器・ライセンス・クラウドの費用 | 開発用の機器、有料のソフトウェア、検証用の環境 | 発注者が用意するか、ベンダーが調達するか |
| 5. 打ち合わせと移動の費用 | 定例の会議、拠点への出張 | 拠点との距離・対面で会う回数 |
見落としやすいのは4つ目です。モデル契約の解説は、開発用の機器や第三者のソフトウェアのライセンス、稼働環境(クラウド)の費用を、発注者が負担することが想定されるとしています。*1 月額に含まれていると思い込んでいると、あとから別の請求が届くことになります。2つ目の取りまとめ役も、モデル契約の体制表の例では開発メンバーとは別の行に、0.8人分として書かれています。*1 ここでいう人数はFTE(フルタイムで働く人に換算した人数)なので、1人に満たない値も使います。
国内ラボの体制と費用の違い
同じ国内でも、チームをどこに置き、自社の社員がどう加わるかで費用の出方が変わります。モデル契約は、開発チームをベンダーのメンバーだけで組む形と、発注者の社員と混ぜて組む形の両方を想定しています。
| 体制 | 費用の出方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 自社に近い都市部の拠点 | 対面で会いやすく、移動の費用は小さく済む | 業務の説明や対面での相談が多いとき |
| 地方の拠点(ニアショア) | 拠点との往復に移動の費用がかかる。単価は拠点ごとに見積もりで確かめる | 長く続く開発を、オンライン中心で回せるとき |
| 自社の社員との混成チーム | ベンダーへの支払いは減るが、自社の社員の稼働も費用になる | 知識を社内に残し、いずれ自社で開発したいとき |
地域による違いの目安として、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査があります。一般労働者の賃金(2025年6月分の所定内給与額の平均)は全国計で34万600円、東京都は41万8,300円で、全国計を上回ったのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県でした。*3 エンジニアに限った数字ではありませんが、拠点の地域を変えると人件費の前提が変わることは押さえておきたい点です。地方の拠点の向き不向きはニアショア開発のメリット・デメリットにまとめています。
見積もりに出てこない自社側の稼働も忘れずに数えます。モデル契約の体制表の例では、発注者の側にもプロダクトオーナー1人分と、開発チームの1.5人分を置いています。*1 自社の担当者の稼働も、実際にかかる費用の一部です。
月額の決まり方と進め方
ラボ型開発の月額は、契約の前に決める体制と、契約の後に毎月確かめる稼働の2つで決まります。次の4つの段階で進めると、見積もりと請求のずれを小さくできます。
- ステップ1:役割ごとに必要な人数を、フルタイムに換算した人数で決める
- ステップ2:役割ごとの月額の単価を決め、人数と掛けて月額の見込みを出す
- ステップ3:毎月、実施した業務と稼働時間の報告を受け、中身を確かめてから支払う
- ステップ4:期間の終わりに向けて、延長と体制の見直しを話し合う
モデル契約では、ベンダーが当月の業務の概要や稼働時間数などを翌月に報告し、発注者が確かめてから請求書を出す流れを例にしています。*1 報告を確かめる手間は発注者の側に残ります。また民法は、委任が途中で終わったとき、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求できると定めています。*2 期間の途中でやめる可能性があるなら、精算の仕方も契約の前に決めておきます。
外部に頼むときに確認しておきたい点
国内でラボ型開発を頼むときは、月額の安さよりも、金額の根拠と体制の続け方を見積もりの段階で確かめておきます。

- 体制表:役割ごとの人数(フルタイム換算)と月額の単価が、分けて書かれているか
- 含まれる費用:機器・ライセンス・クラウド、打ち合わせや出張の費用が、月額に入るのか別に請求されるのか
- メンバーの決め方:求める経験やスキルは発注者が示し、人選はベンダーが行う形になっているか。発注者がメンバーを選ぶと労働者派遣と評価されうると、モデル契約の解説は注意を促しています*1
- 稼働の報告:毎月の報告に業務の概要と稼働時間が入り、確かめる期限が決まっているか
- 体制の固定と見直し:チームのメンバーを固定できるか。交代のときの引き継ぎと、延長の決め方
特に体制の固定は、費用にも関わる点です。モデル契約の解説は、うまく回っているチームのメンバー交代はなるべく避けることが望ましいとし、交代するときは事前に知らせて十分に引き継ぐことを求めています。*1 交代のたびに、3つ目の内訳である引き継ぎの費用がかかります。
まとめ:ラボ型開発の費用で確かめたい3つの点
国内でラボ型開発を頼むうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、見積もりを5つの内訳に分け、機器やライセンス、移動の費用が月額に含まれるかを確かめること。第二に、拠点の地域と自社側の稼働も含めて体制を決めること。第三に、毎月の稼働報告の確かめ方と、交代・延長・途中終了のときの扱いを契約の前に決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「月額は安かったのに、別の請求と社内の手間で予算を超えてしまった」という事態を避けやすくなります。体制の組み方や見積もりの読み方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
請負で頼む場合と費用の考え方はどう違いますか
請負は成果物の完成に対して対価を払う契約で、対価は事前の見積もりで決めた固定の金額になるのが一般的です。*1 ラボ型開発は稼働に対して払うため、作る機能の追加や入れ替えに合わせやすい一方、総額は期間と体制で変わります。作る物がはっきり決まっているなら、請負と見比べてから選ぶとよいでしょう。
メンバーが交代すると費用はどうなりますか
モデル契約は、メンバーを交代させるときは事前に書面で相手に知らせ、十分に引き継ぐことを求めています。*1 引き継ぎの期間に新旧のメンバーが並んで働く分を、どちらの負担にするかは契約ごとに決めます。見積もりの段階で、交代時の扱いを確かめておきます。
契約の期間はどう決めればよいですか
モデル契約は、期間を定めて契約し、書面で合意して延長する形と、どちらからも終了の申し出がなければ同じ条件で更新する形の2つを示しています。*1 初めてなら、短めの期間で始めて延長を話し合う進め方もあります。
国内でのラボ型開発のご相談
ラボ型開発の体制づくりから見積もりの内訳の整理、毎月の稼働報告の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。
2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。
出典
- *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「アジャイル開発外部委託モデル契約(解説付き)」(2025年4月8日更新)(https://www.ipa.go.jp/digital/model/agile20200331.html)。出典:準委任契約を前提とすること、委託料を単価と稼働時間で算定する例、体制表(FTEと1FTE当たりの基準単価)、実施業務の報告、機器・ライセンス・クラウド費用の負担、業務従事者の選任と交代、契約期間と延長の記述を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)。出典:第六百四十八条(受任者の報酬)第3項、第六百五十六条(準委任)を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)。出典:一般労働者の都道府県別にみた賃金(全国計、東京都、全国計を上回った4都府県)を参照。賃金は令和7年6月分の所定内給与額の平均(2026年10月確認)