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2026.10.22 らしくコラム

Mauticの導入で押さえる5つのポイントと外注の判断基準

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ノートPCで配信の流れ図を操作する手と右奥の小型サーバー

この記事の結論

  • Mauticは無料で自社のサーバーに置けるMAツールで、行動に合わせたメールの自動送信と見込み客の管理ができます。
  • 導入の前に、サーバーの置き場所・定期実行・送信経路・点数の基準・配信の同意の5つを決めておくことが大切です。
  • 広告宣伝メールは原則として同意した相手にだけ送れるため、同意の記録と配信停止の仕組みを最初から用意します。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

メールの一斉配信はしているが、誰が資料を読み、誰が商談に近いのかが分からない。展示会で集めた名刺のリストに、いつ、何を送ってよいのかもはっきりしない——。法人向けのマーケティングを担う部門では、こうした食い違いが起こりがちです。Mautic(マウティック)は、見込み客の行動に合わせてメールの送信や点数の付与を自動で行うマーケティングオートメーション(MA)を、自社のサーバーで無料で使えるオープンソースのソフトウェアです。

ライセンス費用がかからず、顧客のデータを自社で持てる点が利点です。ただし万能ではなく、サーバーの運用やメールの送信経路、配信の同意の管理は自社の責任になります。本記事では、MAツールの導入を検討するマーケティングの担当者と情報システムの担当者に向けて、Mauticでできること、メール配信ツールやCDPとの違い、導入で押さえる5つのポイント、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Mauticとは

Mauticは、公式のドキュメントでオープンソースのマーケティングオートメーション基盤と紹介されているソフトウェアです。*3 見込み客(Mauticでは「コンタクト」と呼びます)の情報と行動を1か所に集め、あらかじめ決めた流れに沿ってメールなどを自動で送ります。

  • ライセンスはGPL(GNU一般公衆利用許諾書)の第3版以降で、自社のサーバーに置いて無料で使えます*1
  • コンタクトを条件で分けた「セグメント」(配信先のグループ)を作れます
  • 「キャンペーン」で、日時を基準にした流れと、メールの開封やページの閲覧といった行動を基準にした流れを組めます*3
  • 行動に応じて「ポイント」(点数)を足し引きし、「ステージ」で検討の段階を管理します
  • メールやランディングページ(申し込み用のページ)を、画面上でドラッグ操作で作れます*2

Mauticの基本の流れを5つの段階で左から順に並べた図。STEP1 フォームで登録と同意、STEP2 セグメントに振り分け、STEP3 キャンペーンでメール送信、STEP4 行動に応じて点数を加算、STEP5 ステージで営業へ引継ぎ。

流れの中心はキャンペーンです。たとえば資料請求のフォームから入った人をセグメントに入れ、数日後に関連資料のメールを送り、開封したら点数を足す、といった手順を一度組めば、あとは自動で動きます。キャンペーンの中からは、別のセグメントへの移動や、CRM(顧客管理システム)など外部の仕組みへの連携も指定できます。

メール配信ツールやCDPとの違い

Mauticを検討するとき、比べる相手になりやすいのはメール配信ツールとCDP(顧客データ基盤)です。どれも顧客の情報を扱いますが、得意なことが違います。

一覧表と枝分かれした流れ図の2台のモニターをペン先で見比べる手元

メール配信ツール・MAツール・CDPの違い
選択肢 得意なこと 向いている場面
メール配信ツール 多くの購読者へ同じ内容のメールをまとめて届けること ニュースレターやお知らせを定期的に送りたいとき
MAツール(Mautic) 行動に合わせたメールの自動送信と、点数・段階による見込み客の管理 資料請求から商談までを段階に分けて追いたいとき
CDP 複数の仕組みにある顧客データをまとめ、1人ずつの顧客像を作ること 部門ごとに分かれた顧客データを統合したいとき

メールを届けることが目的ならメール配信ツール、データの統合が目的ならCDP、見込み客を育てて営業に渡す流れを自動にしたいならMAツール、という分け方です。メール配信の仕組みを自社で持つ方法はListmonkでメール配信基盤をセルフホスト構築、顧客データの統合はCDP(顧客データ基盤)の選び方で扱っています。

導入で押さえる5つのポイント

Mauticは、インストールしただけでは動き続けません。導入の前に、次の5つを決めておく必要があります。

  • ポイント1 サーバーの置き場所:開発元は共有ホスティング(1台のサーバーを複数の利用者で分け合う形)を勧めておらず、VPS(仮想の専用サーバー)か専用サーバーを推奨しています*4
  • ポイント2 定期実行の設定:セグメントの更新、キャンペーンの実行、メールの送信などは、サーバー側の定期実行(cron)で動かします*3
  • ポイント3 メールの送信経路:SMTPサーバー(メールを送り出すサーバー)か、メール配信事業者のAPI(外部の仕組みとつなぐ窓口)を指定して送ります
  • ポイント4 点数と段階の基準:どの行動に何点を付け、どの段階で営業に渡すかを、営業部門と先に決めます
  • ポイント5 配信の同意と記録:広告宣伝のメールは、原則としてあらかじめ同意した相手にだけ送れます*5

つまずきやすいのはポイント2と3です。定期実行が止まると、画面の上では正常に見えても、セグメントが更新されずメールも送られません。開発元は、必要な定期処理を同じ時刻に重ねず、時間をずらして登録するよう勧めています。*3 送信経路は、送信ドメイン認証(なりすましを防ぐ設定)とあわせて決めます。設定の考え方はDMARC導入と送信ドメイン認証の整備にまとめています。

配信の同意と表示のルール

MAツールで送るメールの多くは、自社の製品やセミナーを案内する広告宣伝メールです。総務省の資料は、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)により、原則としてあらかじめ同意した者にだけ広告宣伝メールの送信が認められる「オプトイン方式」が導入されていると説明しています。*5 非営利団体や、営業を営まない個人が送るメールは対象外です。

特定電子メール法の主な決まりとMauticで確かめること
項目 総務省の資料の説明 Mauticで確かめること
同意 あらかじめ同意した相手にだけ送れる。名刺などの書面でアドレスを通知した相手などの例外がある フォームに同意の項目を設け、同意のないコンタクトを配信先から外す
同意の記録 同意を受けた時期と方法などの記録を、最後に送った日から1か月保存する(措置命令を受けた場合は1年間)*5 フォームの送信日時と、そのとき表示した文面を残す
表示 送信者の氏名または名称、受信拒否ができる旨、受信拒否の連絡先を表示する メールのひな形に送信者名と配信停止のリンクを入れる
受信拒否 同意があっても、受信拒否の通知を受けたら以後は送れない 配信停止をした人に、どのキャンペーンからも送られないようにする

Mauticには、コンタクトが自分で受け取るセグメントや頻度を選べる「プリファレンスセンター」(配信設定のページ)があります。*3 ただし、こうした機能を有効にしても、同意をどこで取り、どの記録を残すかは自社で決める必要があります。通信販売の広告メールを個人に送る場合は特定商取引法も関わるため、*5 個別の判断は専門家に確かめてください。

外部に頼むときに確認しておきたい点

Mauticはライセンス費用がかかりませんが、サーバーの運用、定期実行の監視、版の更新は自社で持つことになります。開発元のサイトには、加盟するパートナーによるホスティングや構築の案内もあります。*2 自社で運用するか外部に頼むかは、次の点を見積もりの前に確かめて決めます。

夜の会議室で監視画面のノートPCを挟んで向き合う2人の手

  • どこまで頼むか:サーバーの用意、Mauticの設定、キャンペーンの設計、いまのリストの取り込みのうち、どれを任せるか
  • 定期実行と送信の監視:処理やメールの送信が止まったときに誰が気づき、どう再開するか
  • 同意の記録:いまのリストのうち、同意の記録がないアドレスをどう扱うか
  • 他の仕組みとの連携:CRMや問い合わせフォームとつなぐか。つなぐなら、どちらのデータを正とするか
  • 更新とバックアップ:新しい版への更新を誰がいつ行い、データをどこへ保存するか

特に、いまのリストの扱いは導入時に決めないまま取り込みやすい点です。同意を確かめられないアドレスを一括で入れると、最初の配信の前に法令の確認が必要になります。CRMとの連携の考え方はCRM・SFAの連携開発にまとめています。

まとめ:Mauticで確かめておきたい3つの点

Mauticを自社で動かすうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、共有ホスティングを避けてサーバーを用意し、定期実行とメールの送信を見守れる形にすること。第二に、点数と段階の基準を営業部門と決めてからキャンペーンを組むこと。第三に、配信の同意をフォームで取り、その記録と配信停止の仕組みを最初から用意することです。この3点を踏まえておけば、「入れてはみたが、メールが止まっていることに誰も気づかなかった」という事態を避けやすくなります。構築や運用の分担に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Mauticの構築では、PHPとMySQL(またはMariaDB)の版を公式の要件に合わせて選び、共有ホスティングではなくVPSか専用サーバーに置きます。設計の段階では、セグメントの条件、キャンペーンの分岐、ポイントとステージの基準、同意を取るフォームの項目を、お客様の営業の流れに合わせて決めます。送信はSMTPかメール配信事業者のAPIを選び、SPF・DKIM・DMARCの設定を確かめてから配信を始めます。運用では、定期実行の失敗を検知する監視と、版の更新・バックアップの手順を文書にして引き継ぎます。

よくある質問

Mauticの利用に費用はかかりますか

ソフトウェア自体は無料で使えます。ただし、サーバーの費用、メール配信事業者の費用、構築と運用の手間は別にかかります。運用の手間を減らしたい場合は、パートナーが提供するホスティングを使う方法もあります。

Webサイトの閲覧の記録もキャンペーンに使えますか

使えます。キャンペーンは、ページの閲覧やWebサイトでの滞在時間といったコンタクトの行動をきっかけに動かせます。*3 閲覧の記録は個人に関する情報にあたり得るため、プライバシーポリシーでの説明もあわせて確かめておきます。

いま使っているCRMとつなげられますか

公式のドキュメントには、SalesforceやMicrosoft Dynamics CRM、Zoho CRMなどとつなぐプラグインの説明があります。つなぐ場合は、どちらのデータを正とするかと、項目の対応を先に決めておくと、二重登録や上書きの事故を減らせます。

MAツールの構築と運用のご相談

Mauticなどのマーケティングオートメーションの構築から、送信経路の設定、定期実行と更新の運用まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:mautic/mautic(GitHub)LICENSE.txt(https://github.com/mautic/mautic/blob/7.x/LICENSE.txt)。出典:GNU General Public License 第3版(またはそれ以降の版)で配布されることの記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Mautic 公式サイト(トップページ・ホスティングの案内)(https://mautic.org/)。出典:自社のインフラでのセルフホスト、ドラッグ操作によるメールとランディングページの作成、パートナーによるホスティングの案内を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Mautic Documentation(5.x)(https://docs.mautic.org/en/5.x/)。出典:Campaigns overview、Managing Segments、Points、Stages、Cron jobs、Preference center、インストール手順(Mailer transport)、Plugins の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Mautic 公式サイト「Requirements」(https://mautic.org/mautic-requirements/)。出典:共有ホスティングを推奨せずVPSか専用サーバーを推奨する記述、PHPとMySQL/MariaDBの要件を参照(2026年10月確認)
  5. *5 参考:総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/m_mail_pamphlet.pdf)。出典:オプトイン方式、同意の例外、同意を証する記録と保存期間、表示義務、受信拒否、特定商取引法との関係の記述を参照(2026年10月確認)




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