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2026.08.18 らしくコラム

教師あり学習と教師なし学習とは|違いと使い分け

AIの活用を検討していると、「教師あり学習」「教師なし学習」といった言葉に出会います。なんとなく専門的で、身構えてしまうかもしれません。けれど、これらは「AIがどうやって学ぶか」という学び方の種類を表しているだけで、考え方そのものは決して難しくないのです。そして、この学び方の違いを押さえておくと、自社のやりたいことにどのタイプのAIが向くのかを、見立てやすくなります。

機械学習の学び方は、大きく「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分けられます。本記事では、AIの業務活用を検討する情報システム部門や事業部門の担当者に向けて、それぞれが何を指すのか、どう違うのか、自社の目的に照らしてどう選ぶのか、そして外注の勘所を整理します。

機械学習の学び方の違いを表すイメージ

機械学習の学び方は大きく3つ

機械学習とは、AIがデータから規則性を学び取る仕組みのことです。その「学び方」は、大きく3つに分けられます。教師あり学習、教師なし学習、そして強化学習です。分かれ目は、ざっくりいえば「正解つきのデータで学ぶのか」「正解なしでデータの中から手がかりを探すのか」「試行錯誤を通じて学ぶのか」という点にあります。全体像を図にまとめました。

機械学習の3つの学び方(教師あり・教師なし・強化学習)を示す図

大切なのは、どれか一つが優れているという話ではない、という点です。それぞれ得意とすることが違うため、自社のやりたいことや、手元にどんなデータがあるかによって、向く学び方は変わります。まずは3つの学び方が、それぞれ何をしているのかを順に見ていきましょう。

この記事のポイント

  • 機械学習の学び方は、教師あり・教師なし・強化学習の大きく3つに分けられます。
  • 分かれ目は、正解つきのデータで学ぶか、正解なしで構造を探すか、試行錯誤で学ぶかです。
  • 手元のデータに正解があるか、何をしたいかで、向く学び方が決まります。

教師あり学習——正解を手本に学ぶ

教師あり学習は、「正解」がついたデータを手本にして学ぶやり方です。ここでいう正解は「ラベル」とも呼ばれます。たとえば、たくさんの製品画像に「良品」「不良品」という正解を添えて学ばせれば、AIは新しい画像を見て、どちらかを見分けられるようになっていきます。まさに、正解つきの問題集で練習を積むようなイメージです。

この学び方は、大きく二つの用途に使われます。一つは「分類」で、先ほどの良品・不良品のように、データをいくつかの種類に振り分けるものです。迷惑メールかどうかの判定なども、これにあたります。もう一つは「予測」で、過去のデータをもとに、売上や需要の見通しといった数値を見積もるものです。教師あり学習は、やりたいことがはっきりしていて、正解つきのデータをそろえられる場面で力を発揮します。ただし、その正解づくり——ラベル付けには、相応の手間がかかる点は見込んでおく必要があります。

教師なし学習——正解なしで構造を見つける

教師なし学習は、正解のついていないデータから、その中に隠れた構造やパターンを見つけ出すやり方です。あらかじめ「これが正解」という手本を与えないため、AIはデータそのものの特徴を手がかりに、似たものどうしをまとめたり、いつもと違うものを浮かび上がらせたりします。正解を教わらずに、データを眺めて自分なりの見取り図を描く、というイメージです。

代表的な使い方の一つが「クラスタリング」で、顧客を購買の傾向ごとにグループ分けする、といった場面で使われます。あらかじめ「こういうグループがある」と決めておかなくても、データが自然と語るまとまりを見つけられるのが持ち味です。もう一つが「異常検知」で、大多数とは違う振る舞いを見つけ出すものです。設備のいつもと違う動きや、不審な取引の兆しをとらえる、といった用途が考えられます。教師なし学習は、正解を用意しづらいけれど、データの中から気づきを得たい場面に向くのです。一方で、見つかった結果が何を意味するのかの解釈は、人が担う必要があります。

強化学習——試行錯誤で学ぶ

強化学習は、試行錯誤を通じて、望ましい行動を学んでいくやり方です。AIは、ある行動をとった結果に対して与えられる「報酬」を手がかりに、報酬がより大きくなる振る舞いを少しずつ身につけていきます。犬に、うまくできたらごほうびを与えて芸を覚えさせるのに近い発想、といえば分かりやすいかもしれません。正解を一つずつ教わるのではなく、「やってみて、結果から学ぶ」のが特徴です。

身近なところでは、対話AIの受け答えを望ましい方向へ整えるRLHF(人間のフィードバックによる強化学習)が、この考え方を使っています。ほかにも、機器の制御を効率よく行う、限られた資源の配分を最適化するといった、行動の積み重ねで結果が決まる問題に向くものです。ただし、何をもって「よい結果」とするか——報酬の設計が難しく、ここを誤ると、思わぬ方向に学習が進んでしまうこともあります。強化学習は可能性の大きい手法ですが、扱いには相応の工夫が要る、と踏まえておきましょう。

どの学び方を選ぶか

では、自社のタスクには、どの学び方が向くのでしょうか。判断の軸は、大きく二つに整理できます。踏まえておくと、見立てがしやすくなります。

学び方 手元のデータ 向く目的
教師あり学習 正解(ラベル)つき 分類・数値の予測
教師なし学習 正解なし グループ分け・異常の発見
強化学習 行動への報酬 試行錯誤での最適化

一つ目の軸は、手元のデータに「正解」があるかどうかです。良品・不良品のような正解つきのデータがそろうなら、教師あり学習が候補になります。正解を用意しづらいなら、教師なし学習でデータの構造を探る道があります。二つ目の軸は、何をしたいかです。何かを分類したり数値を見積もったりしたいのか、データの中からグループや異常を見つけたいのか、それとも試行錯誤で行動を最適化したいのか。目的によって、向く学び方は自然と絞られてきます。実際には、これらをきれいに一つに決められないことや、複数を組み合わせることもあります。大切なのは、「正解データの有無」と「目的」という二つの軸で、あたりをつけることです。

外注時に確認しておきたい点

AIの開発を外部に委託する場合は、学び方について次の点をすり合わせておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。まず、やりたいことに対して、どの学び方が適するのかの見極めです。ここが定まらないまま進むと、手戻りのもとになります。手元にどんなデータがあるのか、正解つきのデータをそろえられるのかも含めて、一緒に整理してもらうとよいでしょう。目的とデータの両面から、無理のない進め方を描いてもらえると心強いところです。

次に、教師あり学習を選ぶ場合の、正解づくりの負担です。ラベル付けには手間がかかるため、誰が、どれくらいの量を用意するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。データのラベル付けをどう進めるかは、費用と期間に直結するのです。あわせて、でき上がったモデルが期待どおりに働くかを、どう確かめるのかも取り決めておきましょう。学び方の選定から、データの準備、検証までを一貫して相談できると、任せたあとのつまずきを抑えやすくなります。

まとめ:学び方の違いで押さえる3つの視点

機械学習の学び方の違いは、AIを業務に使ううえでの、いわば地図のようなものです。押さえておきたい視点は3つに整理できます。第一に、機械学習の学び方は教師あり・教師なし・強化学習の大きく3つに分けられ、それぞれ正解つきのデータで学ぶ・正解なしで構造を探す・試行錯誤で学ぶという違いがあること。第二に、教師ありは分類や予測、教師なしはグループ分けや異常の発見、強化学習は試行錯誤での最適化、と得意が分かれること。第三に、「手元のデータに正解があるか」と「何をしたいか」の二つの軸で、向く学び方を見立てられることです。この3点を押さえておけば、AIの相談をする際にも、話の見通しが立てやすくなります。どの学び方が適するかの判断に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)としてAIの活用から運用までを一貫して受託しています。やりたいことにどの学び方が適するかの見極めから、手元のデータの整理、正解づくり(ラベル付け)の進め方、そしてでき上がったモデルの検証まで、分断せずに対応できるのが強みです。どこから手を付けるべきか、現状把握の段階からご相談いただけます。

よくある質問

教師あり学習と教師なし学習は、何が違いますか。

いちばんの違いは、学ぶときに「正解」を使うかどうかです。教師あり学習は、良品・不良品のような正解(ラベル)つきのデータを手本に、分類や予測を学びます。教師なし学習は、正解を与えず、データの中の構造やまとまり、異常を見つけ出すものです。正解を用意できるか、何をしたいかによって、どちらが向くかが変わります。

強化学習は、ほかの二つと何が違いますか。

強化学習は、正解を一つずつ教わるのではなく、行動の結果に与えられる「報酬」を手がかりに、試行錯誤しながら望ましい行動を学ぶやり方です。教師あり・教師なしが、あるデータから規則性を学ぶのに対し、強化学習は「やってみて、結果から学ぶ」点が特徴です。対話AIの受け答えの調整などに使われています。

自社のタスクに、どの学び方が向くか分かりません。

まずは二つの軸で考えてみてください。一つは、手元のデータに正解(ラベル)があるか。もう一つは、分類・予測をしたいのか、グループ分けや異常の発見をしたいのか、という目的です。正解つきのデータがあり分類や予測をしたいなら教師あり、正解がなく構造を探りたいなら教師なしが候補になります。判断に迷う場合は、外部に相談するのも一つの手です。

教師あり学習の「ラベル付け」とは何ですか。

学習に使うデータへ、正解を書き添える作業のことです。たとえば製品画像に「良品」「不良品」と印を付けていく、といった具合です。教師あり学習には欠かせない準備ですが、量が多いほど手間と費用がかかります。誰が、どれくらいの量を用意するのかを、あらかじめ見込んでおくことが大切です。

3つの学び方は、どれか一つを選ぶものですか。

どれか一つに絞るとはかぎりません。実際には、目的に応じて複数を組み合わせることもあります。たとえば、まず教師なし学習でデータの傾向をつかんでから、教師あり学習で予測モデルを作る、といった具合です。まずはそれぞれの得意を理解し、自社の目的に照らして柔軟に考えるとよいでしょう。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑

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  1. *1 参考:IBM「Supervised versus unsupervised learning: What’s the difference?」(https://www.ibm.com/think/topics/supervised-vs-unsupervised-learning)。機械学習の学び方の一般的な解説の参考として。


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