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2026.09.29 採用支援コラム

フリーランス活用で上流工程の業務要件整理、書き出す8つの項目




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 業務要件整理では、手順・規模・時期・場所・指標・システム化の範囲・継続の方針・情報セキュリティの8項目を書き出します。
  • フリーランスには聞き取りの記録や図表の下書きを頼み、業務をどう変えるかは業務部門が決めます。
  • いまの業務フローに問題点を書き込み、やめる作業やまとめる作業を探したうえで、新しい業務の流れを描きます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

要件定義(システムに必要な機能や性能を決める工程)を始めたいのに、業務部門の話がまとまらず、何から書けばよいか分からない。外部のフリーランスに業務フローを描いてもらったら、いまの業務をそのまま写した図が出てきた——。上流工程(企画や要件定義など、開発の初めの工程)を外部の人と進める現場では、こうした食い違いが起こりがちです。業務要件整理とは、新しいシステムを使って業務をどう進めるのかを、手順・量・時期などの項目に分けて書き出し、関係者で確かめる作業を指します。

業務要件整理は、フリーランスに頼みやすい作業です。聞き取りをして図や表にまとめる手間が大きく、社内の担当者だけでは時間が足りないことが多いためです。ただし万能ではなく、業務をどう変えるかを決めるのは、その業務を担う部門です。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、業務要件整理で書き出す項目、業務から先に整理する理由、進め方と業務を減らす観点、つまずきやすい点、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

物流拠点の駐車場に、白い荷台の大型トラックが斜めに2列並んでいる様子を真上から写した写真。人も読める文字も写っていない

業務要件整理とは

業務要件整理で書き出す項目は、デジタル庁の「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(DS-100)が具体的に挙げています。政府の情報システムを整備するときに各府省が従う共通のルールで、最新の改定は2026年6月12日です。第3編第4章「サービス・業務企画」は、要件定義に入る前に、次の8つの事項を業務要件として定義するよう定めています。*1

業務要件として定義する8つの事項と書き方の例(DS-100 第3編第4章をもとに作成。例は受注から出荷までの業務を想定)
事項 DS-100が挙げる内容 民間企業での書き方の例
業務実施手順 業務に必要な体制と手順、業務フロー図、やり取りする情報とその量、管理する情報の一覧 注文を受け付けてから出荷を指示するまでの担当者と順序、注文書の項目
規模 サービスの利用者数と情報システムの利用者数、単位あたりの処理件数 1日あたりの受注件数、システムを使う担当者の人数
時期・時間 業務の実施時期、期間、繁忙期、実施・提供時間 月末の締め、年末の繁忙期、注文の受付時間
場所等 業務の実施場所、設備、必要な物品などの種類と量 本社と倉庫のどちらで行うか、使う端末
管理すべき指標 業務の運営で把握する指標と、把握の手順・頻度 注文の当日に出荷できた割合を毎週集計する
情報システム化の範囲 システムを使って行う業務と、使わずに行う業務 電話注文の聞き取りは人が行い、入力からシステムを使う
業務の継続の方針等 障害や災害のときに続けるべき業務と、その基本的な考え方 システムが止まったときに出荷を続ける手順
情報セキュリティ 扱う情報の重要度や、見てよい人の制限に応じた対策の基本的な考え方 取引先の担当者名や住所を誰が見られるか

民間企業の開発を定めた文書ではありませんが、8つの事項は業種を問わず当てはまる内容で、書き出した結果に抜けがないかを確かめる一覧として使えます。画面や機能をどうするかは、この業務要件を踏まえて、次の要件定義の中で決めます。業務要件整理は、その前に仕事の決まりごとを言葉にしておく段階です。

いまある業務を置き換える場合について、DS-100は「定義する業務要件と既存実施している業務との差異が、明確に把握できるよう留意する」としています。*1 新しい業務だけを書くのではなく、いまの業務のどこが変わるのかを並べて示す、ということです。この違いが書かれていれば、業務部門の担当者は、自分の仕事のどこが変わるのかをすぐに確かめられます。

なぜ業務から先に整理するのか

IPA(情報処理推進機構)の「ユーザのための要件定義ガイド 第2版」は、要件定義書に、変更に対応しやすいシステムにするための技術の導入だけが書かれ、業務そのものを見直す施策が書かれていない例を挙げています。そのうえで、システムの柔軟性が欠けている「根本原因は業務そのものが複雑であることが多い」と指摘しています。*2 業務が複雑とは、商品の種類や契約の仕方ごとに処理の決まりが分かれ、めったに起こらない処理まで残っている状態のことです。

ガイドは、処理の流れの型(パターン)について、一般的な企業では「上位2割のパターンで業務量の8割をカバーできているという」見方も紹介しています。*2 あわせて、利用の少ない残りのパターンのほうが、開発が難しく品質を保ちにくいことも多いとしています。業務を整理しないまま要件定義に進むと、年に数回しか起こらない処理まで、よく使う処理と同じ手間をかけて作ることになります。

整理する材料として、DS-100は、利用者、業務、データ、既存の情報システム、情報システムの運用の5つを把握・分析し、類似の事例などの関連調査も行うよう挙げています。業務については、業務フロー、業務量、実施体制、実施の時期や場所を調べる対象にしています。こうした事実を先に集めておくと、8つの事項の多くはそこから書けます。

フリーランスに頼める作業と社内で決めること

業務要件整理のうち、フリーランス活用で任せやすいのは、聞き取りの結果を図や表にまとめる作業です。要件定義ガイドは、概念データモデル(業務で扱う情報とその関係を表した図)は業務部門には作成が難しいといわれるとしたうえで、システム部門や開発会社が聞き取りをもとに作り、それを業務部門に確かめてもらう進め方がよく用いられると書いています。図を作る技能を持つ人が下書きし、業務を知る人が確かめる分担です。

一方で、業務フローについては注意も書かれています。システム部門や、そこから委託された開発会社がフロー図を作ると、いまのシステムに新しい要件を加える形で検討が進み、業務が期待したほど変わらない結果になりがちだというのです。そのため、フロー図は「利用部門が主体となって検討を行うことが望ましい」としています。*2 外部の人には作図を頼み、検討の場には業務部門の担当者が出る形にしておきます。

DS-100も、業務要件の検討では、府省の中でプロジェクトを支援する組織などから支援や助言を受けることが望ましいとしています。社内だけで抱え込まず、図や表を作る作業には外部の人に加わってもらい、決める作業は社内に残す、という分け方です。分担の例を表にすると、次のようになります。

業務要件整理でのフリーランスと社内の分担の例
作業 フリーランスに頼める作業 社内で決めること
聞き取り 質問項目の準備、聞き取りの記録 聞き取りの相手と日程
業務用語 用語の一覧の下書き、同じ意味の言葉の洗い出し どの言葉を正式に使うか
業務の一覧 業務の一覧表(業務機能構成表)の作成 システムを使わない業務と、その理由
業務フロー いまの業務フローの作図、問題点の書き込み やめる業務、まとめる業務
8つの事項 項目ごとの下書き、抜けている項目の指摘 管理する指標、継続の方針、情報の扱い方

どう進めるのか

進め方は、言葉をそろえる、業務を一覧にする、いまの業務に問題点を書き込む、8つの事項を書き出す、の4段階に分けると、フリーランスに頼む作業も段階ごとに決めやすくなります。

業務要件整理の4つの段階と分担を示した表形式の図。1 言葉をそろえる段階では、フリーランスが業務用語の一覧を下書きし、社内は正式に使う言葉を決める。2 業務を一覧にする段階では、フリーランスが業務機能構成表を作り、社内はシステムを使わない業務とその理由を決める。3 問題点を書き込む段階では、フリーランスがいまの業務フローと見直しの候補の表を作り、社内はやめる業務とまとめる業務を決める。4 8つの事項を書く段階では、フリーランスが事項ごとの下書きを作り、社内は管理する指標、継続の方針、情報の扱い方を決める。DS-100 第3編第4章とIPAのユーザのための要件定義ガイド第2版をもとに作成。

一つ目は業務用語の一覧です。要件定義ガイドは、同じ意味なのに違う言葉で呼ばれている用語と、同じ言葉なのに部門ごとに意味が違う用語をなくし、略語の使い方にも注意するよう求めています。たとえば「顧客」と「販売先」が同じ意味なら、どちらかに決めて、もう一方は資料に使わないようにします。ガイドは、すべての用語を最初から定義しようとせず、定義できた用語から順に公開して増やしていく進め方を示しています。

二つ目は業務の一覧です。ガイドの業務機能構成表は、対象の業務を大分類、中分類、小分類の3階層程度に分けて並べる表です。*2 注意点として、人の手で行う業務も漏れなく書き出し、システムを使わないことにした業務はその理由も書いておくよう挙げています。DS-100の「情報システム化の範囲」は、この表から書けます。

三つ目は、いまの業務フローへの問題点の書き込みです。ガイドは、業務フロー図の横に問題点・課題の欄を設け、いまの業務の図に経営の課題と現場の問題点を対応づけてから、関係者で認識を合わせる手順を示しています。新しい業務の図には、経営や現場の目的と、それを実現する手段を書き添えながら描きます。どの作業にどの問題点を書き込んだかが残るので、新しい図がどの問題に答えているかを後から確かめられます。

四つ目は、8つの事項に沿った書き出しです。業務実施手順は三つ目の図から、情報システム化の範囲は二つ目の表から、規模や時期は聞き取りで集めた件数や繁忙期から書けます。管理すべき指標、業務の継続の方針、情報セキュリティの考え方は、聞き取りの記録だけでは決まりません。業務部門の責任者に決めてもらう項目として、下書きの段階で分けておきます。

業務を減らすときの観点

新しい業務を描く前に、やめられる業務やまとめられる業務を探しておくと、システムで作るものが減ります。要件定義ガイドは、業務プロセス(仕事の手順)を見直す観点として、次の4つを挙げています。

  • 廃止:必要のない作業をなくす。システムで行っている作業を人の手に戻すことも検討する
  • 集約:似ているが少しずつ違う作業を、1つの決まりにまとめる
  • 連結:複数の人が順に行っている作業を、1人で行えないか考える
  • 並行化:順番に行っている作業を、同時に進められないか考える

連結について、ガイドは、作業が複数の人に分かれると受け渡しが生まれ、効率を落としたり、意思疎通の食い違いを生んだりする原因になると説明しています。取引先の区分のような分類についても、いま使っていない区分をなくし、部署ごとに違う区分をそろえることを検討するよう挙げています。区分が減れば、区分ごとに分かれていた処理の決まりも減ります。

フリーランスに頼めるのは、見直しの候補を並べるところです。ガイドは、一連の業務の流れをパターンごとに表にして発生する頻度を書き、めったに起こらないパターンをまとめたり、システムではなく運用で対応したりできないかを検討する方法を紹介しています。頻度を数えて表にする作業は外部の人でもできますが、その業務をやめてよいかは、業務部門の責任者が判断します。

つまずきやすい点

一つ目は、描き終えたフロー図がいまの業務とほとんど変わらないことです。要件定義ガイドも、現状の業務を中心に業務フローを作った結果、「作成が終わったときには現状とそう変わりのないフローになっていた」プロジェクトは少なくないと書いています。*2 問題点を書き込む段階と、やめる業務を探す段階を、作図とは別の予定として日程に入れておきます。

二つ目は、図を全部描き終えることが目的になることです。フロー図は細かく書くほど量が増え、対象をすべて書くだけで手一杯になって、業務をどう変えるかの議論がおろそかになりがちだとガイドは指摘しています。フリーランスに作図を頼むときも、全部の業務を同じ細かさで描いてもらう必要はありません。変える業務は細かく描き、変えない業務は業務機能構成表に名前を載せる程度にとどめます。

三つ目は、変わる部分だけを描いて、いまと同じ部分を省いてしまうことです。ガイドは、業務フローに新しく変わる部分しか書かず、現行と同じ部分を省いたような場合には、一覧で漏れなく洗い出す必要があるとしています。業務機能構成表を先に作っておけば、フロー図に描かなかった業務も一覧に残り、人の手で続ける業務の書き漏らしも防げます。

外部に委託するときに確認しておきたい点

フリーランスに業務要件整理を頼む前に、社内で次の4つを決めておくと、依頼の中身が伝わりやすくなります。

  • 対象の業務と期間(例:注文の受付から出荷の指示までを、6週間で整理する)
  • 作ってもらう資料(業務用語の一覧、業務機能構成表、業務フロー、8つの事項の下書き)
  • 聞き取りの相手と、業務部門が聞き取りに使える時間
  • どの業務をやめるか、まとめるかを決める社内の責任者

資料の置き場所も決めておきます。要件定義ガイドは業務用語の一覧について、いつでも見られるように公開場所を分かりやすくするよう書いています。用語の一覧に限らず、作った図や表は社内の共有の場所に置き、フリーランスの手元にだけ残らないようにしておくと、次の要件定義を担当する人がそのまま使えます。契約が終わった後に資料を探し直す手間も省けます。

上流工程をフリーランスに任せるときに発注側に残る責任は「フリーランス活用で上流工程を任せるとき、発注側に残る責任とは」で、いまのシステムを調べてから刷新の要件定義を進める手順は「SESのエンジニアとシステム刷新の要件定義を進める手順」で扱っています。

まとめ:業務要件整理で確かめておきたい3つの点

フリーランス活用で上流工程の業務要件整理を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、8つの事項を、いまの業務との違いが分かる形で書き出すこと。第二に、図や表を作る作業と、業務の変え方を決める作業を分けて頼むこと。第三に、作図とは別に、やめる作業やまとめる作業を探す日程を取っておくことです。この3点を踏まえておけば、「外部の人に描いてもらった業務フローが、いまの業務を写しただけだった」という事態を避けやすくなります。業務要件整理を社内だけで進めることに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

業務要件整理は、聞き取りと図表づくりに時間がかかる作業です。業務フローや業務用語の一覧を作った経験のある専門人材に加わってもらえば、社内の担当者は、業務をどう変えるかを決めることに時間を使えます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務要件整理にかかる期間は、どう見積もればよいですか

対象の業務の数と、業務部門が聞き取りに使える時間から見積もります。先に業務機能構成表の小分類まで業務を数え、1つの業務に何回聞き取りをするかを決めると、全体の回数が出ます。業務部門が忙しい時期と重なる場合は、聞き取りの日程を先に押さえておくと予定がずれにくくなります。

パッケージ製品を導入する予定でも、業務要件整理は必要ですか

必要です。要件定義ガイドは、パッケージ製品(市販の業務ソフト)の導入では、業務をパッケージに合わせる意識が大切だとし、カスタマイズ(製品の作り変え)が「20%以上あると新規開発と変わらないと言われている」と紹介しています。*2 業務を整理しておくと、製品に合わせられる業務と合わせられない業務を分けやすくなります。

フリーランスを選ぶとき、どんな経験を確かめればよいですか

業務用語の一覧や業務フローを、業務部門への聞き取りをもとに作った経験を確かめます。面談では、守秘義務に触れない範囲で、過去に作った資料の構成と、誰に確認してもらったかを聞くと、作図だけを担当してきた人か、聞き取りから担当してきた人かを見分けやすくなります。

業務要件整理で作った資料は、その後どう使いますか

要件定義で、機能や画面を決める材料として使います。DS-100も、要件定義書に書く業務要件は、業務企画の段階で検討した内容を基に、他の要件との整合性を確認して更新するとしています。*1 資料を作って終わりにせず、要件定義の担当者に引き継ぐ時期も決めておきます。

上流工程の業務要件整理を相談したいとき

対象の業務と、外部の人に頼む作業の分け方からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:デジタル庁「DS-100 デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」(PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/54d8725e/20260715_resources_standard_guidelines_guideline_01.pdf)。出典:2026年(令和8年)6月12日 デジタル社会推進会議幹事会決定。第3編第4章「サービス・業務企画」の2.現状の把握と分析、5.業務要件の定義(1)業務実施手順〜8)情報セキュリティ、既存業務との差異、支援や助言)、第3編第5章 2.1)ア 業務要件の定義を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:IPA「ユーザのための要件定義ガイド 第2版 要件定義を成功に導く128の勘どころ」(PDF)(https://www.ipa.go.jp/archive/publish/qv6pgp0000000wrt-att/000079352.pdf)。出典:独立行政法人情報処理推進機構 社会基盤センター(2019年)。4.2.2 要求の具体化(冒頭の業務の複雑さ、(1)勘どころ②④、(2)勘どころ①〜④、(3)勘どころ②)、7.5.2 業務機能構成表、7.7.1 業務用語定義を参照(2026年9月確認)




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