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2026.09.01 採用支援コラム

技術士の情報工学部門とは?試験の中身と応募者の評価の仕方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

試験の解答用紙に鉛筆で記入する手元

この記事の結論

  • 技術士(情報工学部門)は、第二次試験に合格し、登録を受けた人だけが名乗れる国家資格です。
  • 選択科目はコンピュータ工学、ソフトウェア工学、情報システム、情報基盤の4つです。
  • 令和7年度の第二次試験では、情報工学部門の受験者430人のうち合格者は18人でした。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

技術士(情報工学部門)とは、技術士法に基づく国家資格である技術士のうち、情報工学部門の第二次試験に合格し、登録を受けた人のことです。選択科目はコンピュータ工学、ソフトウェア工学、情報システム、情報基盤の4つで、令和7年度の第二次試験では情報工学部門の受験者430人のうち合格者は18人、合格率は4.2%でした*8。21ある技術部門のなかで最も低い合格率です。

応募者の資格欄に技術士(情報工学部門)とあったとき、あるいは求人票の歓迎要件に技術士と書こうとしたとき、試験の中身を知らないと評価の重さを決めにくいものです。本記事では、技術士法と施行規則、日本技術士会が公表する試験の資料をもとに、選択科目、試験の科目と配点、受験資格、合格者数を整理し、採用する側がこの資格から何を読み取れるかをまとめます。

技術士(情報工学部門)とは

技術士の定義は技術士法第2条第1項にあります*2。登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項について、計画、研究、設計、分析、試験、評価、またはこれらに関する指導の業務を行う者です。第二次試験に合格しただけでは、技術士となる資格を持つ段階にとどまります。名乗るには第32条の登録が必要で、技術士でない者が技術士やこれに類似する名称を使うことは第57条で禁じられています。

試験は技術の部門ごとに行われ、部門は技術士法施行規則第2条に21並んでいます*3。情報工学部門はそのうちの第16号です。技術士登録簿に載るのは合格した第二次試験の技術部門の名称で、技術士がその業務で名称を表示するときは、登録を受けた技術部門を明示しなければなりません(技術士法第46条)。同じ技術士でも、建設部門と情報工学部門は別の資格として扱われるということです。

部門の名前には経緯があります。平成6年の施行規則の改正より前は、第16号は情報処理部門でした。改正前に情報処理部門で合格した人は情報工学部門で合格したものとみなされ、情報処理部門で登録された人は、名称を情報工学部門に変える届出ができます。経歴書に情報処理部門とあれば、同じ部門の資格として読めます。

試験事務と登録事務は、指定試験機関かつ指定登録機関である公益社団法人日本技術士会が行います。文部科学省は、第一次試験を理工系大学卒業程度の専門的学識などを確かめる試験、第二次試験を技術士にふさわしい高等の専門的応用能力を確かめる試験と位置づけています。

情報工学部門の4つの選択科目

第二次試験の科目は、技術士法施行規則第11条の表で決まっています*3。情報工学部門の必須科目は情報工学一般で、選択科目はコンピュータ工学、ソフトウェア工学、情報システム、情報基盤の4つです。受験者はこの4つのうち1つをあらかじめ選んで受けます。

表1:技術士第二次試験 情報工学部門の選択科目と内容
選択科目 選択科目の内容
コンピュータ工学 ディジタル論理、コンピュータのアーキテクチャ及び構成、回路設計、ディジタル信号処理、オペレーティングシステム、組込システム(設計、実装、評価、保守等)に関する事項
ソフトウェア工学 要求工学、ソフトウェアのモデリング及び分析、ソフトウェアの設計、構築及び進化、テスト(理論、検証と確認、自動化等)、ソフトウェアプロセスと品質、ソフトウェアメトリクス、プロジェクトマネジメントに関する事項
情報システム システム理論、組織の課題及び解決、システムライフサイクル、情報システムの設計、情報システムの運営、データ管理及びデータベース、人とコンピュータのインタラクション、プログラムマネジメントに関する事項
情報基盤 ネットワーク通信技術(伝送理論、暗号化等)、ネットワークとシステム管理、情報セキュリティ、システム統合技術、基盤の構築及びアーキテクチャ、ウェブシステム及び関連技術に関する事項

公益社団法人日本技術士会「技術士第二次試験の科目表」より作成(確認日2026年10月7日)*4

4つの科目は守備範囲がはっきり分かれています。コンピュータ工学はハードウェアに近い層と組込システム、ソフトウェア工学は要求工学からテスト、品質までソフトウェアを作る工程そのものが対象です。

情報システムは業務で使うシステムを企画し運営する側の科目で、情報基盤はネットワークや情報セキュリティ、基盤の構築を扱い、インフラの仕事に近い内容です。同じ技術士(情報工学部門)でも、どの選択科目で受けたかによって専門の軸が違うので、面接では受験した選択科目と、そのときに書いた業務を本人に聞いておくと評価がしやすくなります。

第二次試験の科目と配点

第二次試験は筆記と口頭の方法で行い、口頭試験は筆記試験に合格した人について行います(技術士法施行規則第8条)。技術士第二次試験実施大綱によると、総合技術監理部門を除く20部門では、筆記試験は必須科目も選択科目も記述式です。

Ⅰの必須科目は、技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力を問うもので、解答時間は2時間、配点は40点満点です*5。選択科目はⅡとⅢに分かれ、合わせて3時間30分で解きます。Ⅱは選択科目についての専門知識及び応用能力、Ⅲは問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので、配点は30点ずつ、計60点満点です。Ⅰで情報工学の全般を、ⅡとⅢで選んだ科目の深さと課題の解き方を書かせる構成です。

口頭試験は、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験の答案と業務経歴を踏まえて行うとされています。試問時間は20分です。技術士としての実務能力として「マネジメント、評価」と「コミュニケーション、リーダーシップ」を各30点満点、技術士としての取組姿勢として「技術者倫理」と「継続研さん」を各20点満点で見ます。

日程は、令和8年度の場合、筆記試験が7月20日に行われ、筆記試験の合格発表は11月上旬、口頭試験は12月上旬から令和9年1月中旬のうち受験者に通知する日、最終の合格発表は令和9年3月中旬です*6。受験手数料は1技術部門につき20,500円です。応募者が受験中と申告したら、筆記と口頭のどの段階にいるのかを確かめておくと話が早くなります。

受験資格と第一次試験の免除

第二次試験を受けるには、まず技術士補となる資格が要ります。第一次試験に合格すると技術士補となる資格を持ちます(技術士法第4条第2項)。第一次試験の科目は基礎科目、適性科目、専門科目の3つです(施行規則第5条)。文部科学省は、JABEE認定プログラムを修了した人は修習技術者となり、第一次試験が免除されると説明しています。

情報処理技術者試験との接続も施行規則に書かれています。第6条第2項第2号により、情報処理安全確保支援士試験または高度試験に合格した人は、申請により第一次試験のうち情報工学部門の専門科目が免除されます*3。免除されるのは専門科目だけで、基礎科目と適性科目は受ける必要があります。支援士の資格を採用でどう確かめるかは情報処理安全確保支援士を採用要件にするなら登録証を確かめるで扱いました。

そのうえで実務の期間が必要です。施行規則第10条は、技術士補として技術士を補助した期間、または監督の下で業務に従事した期間なら通算4年、監督のない業務従事なら通算7年としています*3。監督する人には、業務に従事した期間が7年を超え、受験者を適切に監督できる職務上の地位にあることが求められます。理科系統の大学院修士課程を修了した人などは、在学した期間を2年を限度として差し引けます。

つまり第一次試験の合格後も、第二次試験までに4年から7年の実務を積みます。社内に監督の要件を満たす人がいなければ4年の経路は使えません。

合格者数と合格率

試験の結果は、日本技術士会が年度ごとの統計として公表しています。令和7年度の数字を、第一次試験と第二次試験に分けて並べます。

表2:令和7年度技術士試験の結果(単位は人、合格率は受験者数に対する割合)
区分 受験申込者数 受験者数 合格者数 合格率
第一次試験・情報工学部門 722 547 245 44.8%
第一次試験・全部門の計 22,756 17,013 5,754 33.8%
第二次試験・情報工学部門 523 430 18 4.2%
第二次試験・全部門の合計 30,700 24,135 2,752 11.4%

公益社団法人日本技術士会「令和7年度技術士第一次試験統計」「令和7年度技術士第二次試験統計」より作成(確認日2026年10月7日)*7*8

第一次試験の情報工学部門は、受験者547人のうち245人が合格し、合格率は44.8%でした。全部門の計の33.8%より高く、入口の段階では情報工学部門は通りやすい部門です。ところが第二次試験になると、受験者430人のうち合格者は18人で、合格率は4.2%まで下がります。全部門の合計は受験者24,135人、合格者2,752人で合格率11.4%なので、情報工学部門はその半分にも届きません。

令和7年度の技術士第二次試験における情報工学部門の選択科目別の受験者数と合格者数の棒グラフ。コンピュータ工学は受験者44人・合格者2人(4.5%)、ソフトウェア工学は受験者124人・合格者7人(5.6%)、情報システムは受験者177人・合格者4人(2.3%)、情報基盤は受験者85人・合格者5人(5.9%)で、部門の計は受験者430人のうち合格者18人(4.2%)

選択科目別に見ても、合格者はどこも1桁です。受験者が最も多い情報システムは177人のうち合格者4人で、合格率は2.3%でした。ソフトウェア工学は124人のうち7人、情報基盤は85人のうち5人、コンピュータ工学は44人のうち2人です。4科目の合格者を足すと部門の計の18人になります。

年代の内訳は全部門の合計でしか公表されていません。第二次試験の合格者2,752人では30代が955人、40代が773人と多く、合格者の平均年齢は42.1歳でした*8。受験に4年から7年の実務が要ることを考えると、技術士(情報工学部門)を持つ人の多くは中堅以上の技術者だと見てよいでしょう。

技術士が何人いるのかを部門別に示した数字は、日本技術士会の統計情報には載っていません。公表されているのは試験結果で、第二次試験の合格者は昭和33年度から令和7年度までの全部門の累計で141,180人です*9。情報工学部門の合格者は令和7年度で18人という規模なので、登録者を探して採るより、育てる道筋として扱うほうが現実的です。

採用でこの資格から分かること

技術士(情報工学部門)の登録があれば、採用する側は少なくとも3つのことを読み取れます。1つ目は、技術士補となる資格を得たうえで4年から7年の実務を積んでいることです。2つ目は、情報工学の全般と選んだ科目について、課題を解く道筋を記述式の答案で示せたことです。3つ目は、口頭試験でマネジメント、コミュニケーション、技術者倫理、継続研さんについて、自分の業務経歴をもとに説明できたことです。

法律上の義務を負っている点も評価の材料になります。技術士は、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしたり盗用したりしてはならず、技術士でなくなった後も同様です(技術士法第45条)*2。公共の安全や環境の保全その他の公益を害さないよう努める責務(第45条の2)と、知識と技能の水準を高め続ける責務(第47条の2)もあります。

一方で、求人票の必須要件に置くのは現実的ではありません。第二次試験の情報工学部門の合格者は令和7年度で18人なので、必須にすると応募できる人がほとんど残らなくなります。書くなら歓迎要件にとどめ、技術士とだけ書かずに技術士(情報工学部門)と部門まで示します。第46条が名称の表示に部門の明示を求めているのと同じ単位です。確認は合格の通知ではなく、技術士登録証などで登録の有無を見るのが確実です。

情報処理技術者試験の区分と並べて要件を書く場合は、区分ごとの対象者像を使う書き方を情報処理技術者試験の対象者像で書く、レベル2と3の要件の違いで扱いました。技術士の部門と選択科目、情報処理技術者試験の区分をそろえて読むと、応募者の専門がつかみやすくなります。

まとめ:技術士(情報工学部門)で確かめる3つの点

技術士(情報工学部門)を採用で評価するうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、合格だけでなく登録まで済んでいること。技術士を名乗れるのは技術士登録簿に登録された人だけで、名称には部門を明示する決まりがあります。第二に、受験した選択科目。コンピュータ工学、ソフトウェア工学、情報システム、情報基盤のどれで合格したかによって専門の軸が変わります。第三に、資格の希少さを踏まえた要件の置き方です。令和7年度の第二次試験で情報工学部門に合格したのは18人で、必須要件にすると母集団がほとんど残りません。この3点を踏まえておけば、「資格名だけで期待した仕事と、本人の専門がずれていた」という事態を避けやすくなります。要件の書き方や、資格に頼らない評価の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

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よくある質問

技術士の情報工学部門とはどんな資格ですか。

技術士法に基づく国家資格である技術士のうち、情報工学部門の第二次試験に合格し、技術士登録簿に登録された人が名乗れる資格です。必須科目は情報工学一般、選択科目はコンピュータ工学、ソフトウェア工学、情報システム、情報基盤の4つです。令和7年度の第二次試験では、情報工学部門の受験者430人のうち合格者は18人でした。

情報処理技術者試験に合格していると有利になりますか。

第一次試験で免除があります。技術士法施行規則第6条第2項第2号により、情報処理安全確保支援士試験または高度試験に合格した人は、申請により第一次試験のうち情報工学部門の専門科目が免除されます。基礎科目と適性科目は残り、受験申込書に合格を証する書面を添えます。第二次試験には、情報処理技術者試験の合格による免除の定めはありません。

技術士(情報工学部門)は、ほかの資格の受験資格になりますか。

文部科学省は、平成31年度以降に実施された第二次試験の情報工学部門、または総合技術監理部門(情報工学)に合格した人に、令和8年度の高等学校(情報)教員資格認定試験の受験資格が与えられたと案内しています。詳しい要件は、文部科学省が案内先として示している独立行政法人教職員支援機構のページで確かめてください。

総合技術監理部門とはどう違いますか。

総合技術監理部門は、施行規則第2条の第21号に置かれた部門です。受験に必要な期間がほかの部門より3年長く、既に情報工学部門などで技術士となる資格を持つ人は、その部門に対応する選択科目が免除されます。情報工学部門の選択科目で総合技術監理部門を受けることもできます。

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出典

  1. *1 参考:文部科学省「技術士について」(https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/gijutsushi/index.htm)。制度の所管、指定試験機関と指定登録機関、第一次試験と第二次試験の位置づけ、JABEE、高等学校(情報)教員資格認定試験の案内として(2026年10月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「技術士法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/358AC0000000025)。第2条の定義、第4条の試験、第32条の登録、第45条から第47条の2の義務、第57条の名称制限として(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「技術士法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/359M50000002005)。第2条の技術部門、第5条の科目、第6条の免除、第8条の方法、第10条と第10条の2の期間と監督の要件、第11条の試験科目、平成6年総理府令第4号附則として(2026年10月確認)
  4. *4 参考:公益社団法人日本技術士会「技術士第二次試験の科目表」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/002/attached/attach_2255_1.pdf)。情報工学部門の選択科目の内容として(2026年10月確認)
  5. *5 参考:科学技術・学術審議会技術士分科会試験部会「技術士第二次試験実施大綱」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/011/attached/attach_11631_1.pdf)。筆記試験の問題の種類・解答時間・配点、口頭試験の試問事項・試問時間・配点として(2026年10月確認)
  6. *6 参考:公益社団法人日本技術士会「令和8年度技術士第二次試験 実施案内」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/011/011631.html)。令和8年度の日程と受験手数料、総合技術監理部門の受験資格として(2026年10月確認)
  7. *7 参考:公益社団法人日本技術士会「令和7年度技術士第一次試験統計」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/001/attached/attach_1012_2.pdf)。第一次試験の技術部門別結果として(2026年10月確認)
  8. *8 参考:公益社団法人日本技術士会「令和7年度技術士第二次試験統計」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/attached/attach_10868_2.pdf)。第二次試験の技術部門別・選択科目別結果と年代別試験結果として(2026年10月確認)
  9. *9 参考:公益社団法人日本技術士会「技術士第二次試験 統計情報」(https://www.engineer.or.jp/c_topics/010/010868.html)。昭和33年度から令和7年度までの第二次試験結果一覧表(累計)の掲載元として(2026年10月確認)




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