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2026.10.17 採用支援コラム

データサイエンティストの採用|分析担当と橋渡し役で分ける要件

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

面接の白い机で候補者が点と黄色の直線の散布図を印刷した紙を差し出し、面接担当が手のひらを向けて受け取ろうとしている

この記事の結論

  • データサイエンティストには事業とデータをつなぐ橋渡し役と分析の担い手の2つの役割があり、先に採る方を決めて求人を書きます。
  • 分析の成果はモデルの精度だけでなく業務の判断が変わったかで測り、採用前に結果で決めたいことを書き出します。
  • テーマと期間が決まった分析は業務委託の専門人材、事業の判断に続けて組み込む役割は社員と分けて考えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

「データサイエンティストを採用したいが、求人票に何を書けばよいか分からない」「分析のできる人を採ったのに、結果が現場で使われない」——。データの活用を進める会社では、こうした迷いが起こりがちです。迷いの元になりやすいのは、データサイエンティストという1つの職種名に、性格の違う2つの仕事が含まれていることです。

経済産業省とIPAがまとめた「デジタルスキル標準」(デジタル人材に求める力の一覧)は、2026年4月のver.2.0で、データサイエンティストを事業とデータをつなぐ「データビジネスストラテジスト」と、分析を担う「データサイエンスプロフェッショナル」の2つの役割に分けています。*1 本記事では、エンジニア採用の担当者や開発マネージャーに向けて、どちらを求めるかで要件をどう分けるか、分析の成果の測り方、面接での確かめ方、社員と外部人材の分け方を整理します。

データサイエンティストとは

デジタルスキル標準は、データサイエンティストに期待する役割について「データ・AIの活用や分析業務自体にとどまらず、その成果を自社や自組織の競争力の向上につなげることが必須」と書いています。*1 そのうえで、仕事の違いから次の2つの役割(ロール)に分けています。

データサイエンティストの2つの役割と周りとのつながりを示した図。左の事業部門・現場から中央の橋渡し役(データビジネスストラテジスト)へ判断したいことが渡り、橋渡し役から現場へ業務の変え方が返る。橋渡し役から右の分析の担い手(データサイエンスプロフェッショナル)へ分析の問いが渡り、分析の担い手から評価した結果が返る。分析の担い手の下には、データマネジメントの類型が整えたデータが届く。下の帯には、成果は現場の判断や業務が変わったかで測ると書かれている。

データサイエンティストの2つの役割(デジタルスキル標準 ver.2.0から要約)
役割 主な仕事 高い実践力が必要とされる力
データビジネスストラテジスト(橋渡し役) 事業の戦略に沿ってデータとAIの使い道を決め、現場の部門と一緒に業務を作り直す。取組みの成果と課題をつかみ、次の取組みにつなげる データ・AIの活用戦略の設計、データ・AIを使う業務の設計と運用、ガバナンス(守るべきルール)の体制づくりなど5項目
データサイエンスプロフェッショナル(分析の担い手) データを処理・解析して結果を評価し、業務の改善や新しい事業につながる知見を見える形にする。運用の状況を見て分析モデルを直す 数理統計・多変量解析・データ可視化、機械学習・深層学習、AIの実装と運用の3項目

橋渡し役には「ビジネス系やマネジメント系のスキルが他のロールよりも強く求められる」とされ、分析の担い手には分析と評価の力に加えて、現場の関係者と話すための力も求められています。*1 なお、データを集めて整える基盤づくりは、ver.2.0では「データマネジメント」という別の類型です。その職種の要件は「データエンジニアの採用要件とデータサイエンティストとの違い」で扱っています。

どちらの役割を先に採るか

標準は、データサイエンティストを目指す人は2つの役割の「いずれか得意とする領域から専門性を高めていく」ことが期待されるとし、複数の役割を担えるようになるのはその先としています。*1 最初から1人に両方を求めると、当てはまる候補者がほとんどいない求人になりがちです。社内の状況から、先に採る役割を決めます。

店のバックヤードで店長が棚の段ボール箱を指し、隣の分析担当者がクリップボードに書き込んでいる後ろ姿

  • 分析したい問いとデータがそろっていて、手を動かす人がいない → 分析の担い手
  • データはたまっているが、何に使うかが決まっていない → 橋渡し役
  • 分析の結果が出ても、現場の業務が変わらない → 橋渡し役
  • 使い道を決める人はいるが、分析の手法が社内に無い → 分析の担い手

IPAの調査「DX動向2025」では、データの整備・管理・流通の課題を聞いた設問で、日本企業は「人材の確保が難しい」の回答率が他の項目より高く、米国とドイツと比べても突出していました。*2 採りにくい職種なので、求人票では役割をはっきりさせ、次の点を書いておきます。

  • 分析の結果で決めたい業務上の判断(発注の量、営業が訪ねる顧客の順番など)
  • 使えるデータの種類と、どこにたまっているか
  • 結果を受け取る部署と、伝え方(報告会、現場で見る画面など)
  • 求める役割と、もう一方の役割を社内の誰が受け持つか

分析の成果の測り方

標準は、橋渡し役の業務に「取組みの成果や課題を把握し、次の取組みへとつなげる」ことを挙げています。分析の担い手には、解析の結果を「適切に評価・分析する」ことと、運用の状況や新しい要求を踏まえた「分析モデルの改善」を求めています。*1 分析の成果は、予測の当たり具合のような分析の内側の数字だけでなく、業務の判断が変わったかどうかで測ります。

分析の成果を測る段階と担う役割
段階 測ること 主に担う役割
分析の前 結果で何を決めるか。比べる元の数字(今の在庫の量、問い合わせの件数など) 橋渡し役
分析の途中 結果の確からしさと、前提にしたデータの範囲 分析の担い手
使い始めた後 判断や業務がどう変わったか。元の数字との差 橋渡し役
運用の途中 結果が古くなっていないか。モデルを見直す時期 分析の担い手

採用の前に表の「分析の前」を埋めておくと、入社後の目標を候補者に具体的に示せます。目標を決めないまま採ると、何をもって活躍とするかが社内でそろわず、評価の場面で行き違いが起こりやすくなります。

面接での確かめ方

面接では、標準が挙げる主な業務に沿って、過去の仕事で実際にしたことを聞きます。手法の名前を知っているかより、結果を誰がどう使ったかまで話せるかを見ると、実務の深さが分かります。

面接で確かめたいことと聞き方の例
確かめたいこと 聞き方の例
解析と結果の評価 結果が想定と違ったとき、何を確かめてどう判断したか
知見を見える形にする力 分析の結果を誰に、どんな形で見せたか
現場で使う仕組みと教育 現場の人が自分で使えるように、何を用意したか
使い道を決める力(橋渡し役) 分析のテーマをどう選んだか。データを使わないと決めたことはあるか
成果のつかみ方 分析の後に業務の何が変わり、それをどう確かめたか

実技の課題を出すときは、自社の実データではなく、公開されているデータか、個人を特定できないように加工したデータを使います。課題の結果だけでなく、どの前提を置いて何を確かめなかったかを説明してもらうと、評価の観点がそろいます。AI人材全般の採用基準は「AI人材の採用基準」にまとめています。

社員か外部人材か

DX動向2025では、DXを進める人材の量が「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた日本企業は合わせて85.1%、質について「過不足はない」と答えた企業は3.8%でした。*2 米国とドイツは「特定技術を有する企業や個人との契約」を使う割合が日本より高いと報告されています。*2 社員の採用だけにこだわらず、場面ごとに確保の方法を選びます。

窓際の机で外部の専門人材がモニターの折れ線を指し、隣の社員がノートに書き込んでいる後ろ姿

場面ごとに向いている確保の方法
場面 向いている方法
分析のテーマと期間が決まっている 業務委託の専門人材にテーマ単位で頼む
分析を事業の判断に続けて組み込む 社員を採る(とくに橋渡し役)
社内に候補者の力を評価できる人がいない 業務委託で一緒に進め、要件を固めてから社員を採る
近くで候補者が見つからない リモートワークの社員採用で探す

外部の専門人材に分析を頼むときは、契約の前に次の点を確かめておきます。

  • 分析のテーマと、何が出たら完了とするか
  • 扱うデータに個人情報や取引先の情報が含まれるか、含まれるならその管理の方法
  • 分析の手順と前提を、社員が後から追える資料で残すか
  • 結果を使う社員が、途中の打ち合わせに加われるか
  • 成果を何で測るか(前の節の表の「分析の前」)

外注と育成で不足を補う進め方は「データサイエンティスト不足を外注と育成で補完する進め方」で扱っています。契約やデータの扱いは、法務の担当者や専門家に確かめてください。

まとめ:データサイエンティスト採用で確かめたい3つの点

データサイエンティストの採用で確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、データサイエンティストには事業とデータをつなぐ橋渡し役と分析の担い手の2つの役割があり、先に採る方を決めてから求人を書くこと。第二に、分析の成果を業務の判断が変わったかで測り、採用前に結果で決めたいことと比べる元の数字を書き出すこと。第三に、テーマと期間が決まった分析は業務委託の専門人材、事業の判断に続けて組み込む役割は社員と分けて考えることです。この3点を押さえておけば、「分析はできるが結果が使われない」という事態を避けやすくなります。社員を採るか外部人材で始めるかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

分析の結果で決めたいことと、先に採る役割が書き出せたら、確保の方法を決める段階です。テーマ単位の分析は業務委託で加わる専門人材と進め、事業の判断に続けて関わる担い手はリモートワークの社員の採用で探す、という分け方でご相談いただけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

未経験のデータサイエンティストを採用してもよいですか

統計や分析の基礎を学んだ人を候補に入れることはできます。その場合は、分析の手法を教えられる人か、結果の使い道を決める橋渡し役が社内にいることを前提に計画を立てます。

機械学習エンジニアとデータサイエンティストは同じ求人で募集してよいですか

求める中心の仕事が違うときは分けて募集します。分析して知見を出す仕事か、学習したモデルを業務のシステムに組み込んで動かす仕事かを決めてから、求人票に書きます。

分析を業務委託で始めて、あとから社員を採用してもよいですか

そのように進められます。業務委託の専門人材と一緒に分析を進めるうちに、社内で受け持つ範囲と求める力がはっきりし、社員の求人票を具体的に書けるようになります。

データサイエンティストの確保を相談したいとき

分析したいテーマやデータの種類が分かっていれば、そのままご相談いただけます。社員を採るか、業務委託で分析から始めるかを決めきれていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:IPA「デジタルスキル標準(DSS)」(https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/dss/index.html)。出典:経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構「デジタルスキル標準 ver.2.0」(2026年4月・PDF)。ロール一覧、データサイエンティストとは(期待される役割)、データサイエンティストのロール(ロール区分とキャリアアップの考え方)、スキルマッピングの考え方、担うべき責務・主な業務・スキル(データビジネスストラテジスト/データサイエンスプロフェッショナル)を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:IPA「DX動向2025」(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)。出典:独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2025」(PDF)。図表2-4 データ整備・管理・流通の課題、図表3-1 DXを推進する人材の「量」の確保(日本の不足の合計85.1%)、図表3-2 「質」の確保(日本の過不足はない3.8%)、図表3-5 獲得・確保の方法を参照。2024年度調査(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)




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