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ブランクのあるエンジニア採用の見極め方と入社後の立ち上げ方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- ブランクのあるエンジニアには実務の経験があり、確かめるのはブランク前にできたことと離れていた間に変わった部分です。
- 書類と面接では仕事に関わる経験と今の力を見て、育児・介護・療養などの詳しい事情はこちらから聞きません。
- 入社後は変わった道具や手順を最初に洗い出し、見極めきれないときは業務委託で期間を決めて組む方法もあります。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
「応募してきたエンジニアの職務経歴に、3年の空白がある」「育児で現場を離れていた人に、すぐ開発を任せてよいのか」——。ブランクのあるエンジニアの応募を受けた開発マネージャや採用担当が、判断に迷いやすい点です。未経験の人の採用と違い、実務の経験はあります。確かめたいのは、ブランク前に何ができたかと、離れていた間に変わった部分をどう埋めるかです。
本記事では、総務省と厚生労働省の統計と、公正な採用選考についての厚生労働省の考え方をもとに、ブランクのあるエンジニアを書類と面接でどう見極め、入社後にどう立ち上げてもらうかを整理します。
ブランクのある応募者の背景
総務省の令和4年就業構造基本調査では、過去5年間に前の仕事を辞めた人は1994.6万人でした。辞めた理由を見ると、「出産・育児のため」が69.6万人、「介護・看護のため」が47.4万人、「病気・高齢のため」が215.9万人です。*1 育児や介護、療養で仕事を離れることは、エンジニアに限らずどの職種でも起こります。
一方、厚生労働省の令和2年転職者実態調査で、前の勤め先を辞めてから今の勤め先に就くまでの期間を見ると、10か月以上空いた転職者は5.5%でした。*2 年単位のブランクがある応募者は転職者の中では少数で、社内に見方の前例が無いことも多いと考えられます。未経験の応募者とは、次の点が違います。
- ブランク前の実務で担った工程と役割を、具体的に話せる
- 離れていた間に、使う道具や開発の進め方が変わっていることがある
- 復帰の時点で、働ける時間や場所に条件が付くことがある
辞めてから次に就くまでの期間と選考の日程の関係は、エンジニア中途採用の選考期間で扱っています。
書類で確かめること
同じ転職者実態調査で情報通信業の事業所を見ると、転職者の処遇を決める際に「これまでの経験・能力・知識」を考えた事業所は81.0%でした。*2 ブランクのある応募者でも、書類で最初に読むのはブランク前の経験です。

| 確かめる点 | 書類で見るところ |
|---|---|
| 担った工程と役割 | 要件定義・設計・開発・テスト・運用のどこを、どの立場で担ったか |
| 使っていた技術 | 言語・データベース・クラウドなどと、仕事で使った期間 |
| ブランクの期間 | いつからいつまでか(理由の詳しい事情までは求めない) |
| 離れていた間の学び | 学び直しや資格の勉強など、本人が書いている範囲 |
厚生労働省は、公正な採用選考の基本として「応募者が、求人職種の職務遂行上必要な適性・能力をもっているかどうか」という基準で選考することを挙げています。*3 適性・能力に関係のない事項は、採用基準にしないつもりでも、たずねれば結果として採否の決定に影響するおそれがあるとしています。*3 家族の状況や病気の詳しい事情は本人が話した範囲にとどめ、こちらからは聞かないようにします。
転職回数の多い応募者の書類の読み方は、エンジニアの転職回数の見方で扱っています。
面接で今の力を確かめる
情報通信業で転職者の採用に問題があるとした事業所のうち、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」を挙げたのは45.6%でした。*2 ブランクのある応募者は書類だけでは今の力が分かりにくく、この悩みが大きくなりがちです。面接では、ブランクの年数そのものより、次の点を聞きます。
- ブランク前の最後の案件で、自分が担った作業と判断したこと
- 離れていた間に変わったと本人が考えている技術や進め方
- その差をどう埋めてきたか、これから何を学ぶつもりか
- 入社後すぐに任せられる作業と、時間をもらいたい作業
過去に作った物の設計や工夫を、守秘の範囲で説明してもらう方法もあります。離れていた間の変化を本人がどこまでつかんでいるかは、入社後の立ち上がりを見通す手がかりになります。
入社後の立ち上げ方
情報通信業では、転職者に教育訓練を実施した事業所が82.4%で、そのうち計画的なOJT(日常の業務に就きながら行う、計画的な教育訓練)が79.7%、入職時のガイダンスが69.5%でした。*2 ブランクのあるエンジニアでも、立ち上げの組み立ては中途入社の人と大きく変わりません。違うのは、離れていた間に変わった部分を最初に洗い出すことです。

| 時期 | 任せること | 確かめること |
|---|---|---|
| 最初の2週間 | 開発環境の準備と、社内の開発の進め方の説明 | ブランク前と変わった道具や手順 |
| 1〜3か月 | ブランク前に得意だった分野の小さな作業 | レビューで指摘された点と、つまずいた点 |
| 3か月以降 | 担当する範囲を少しずつ広げる | 本人との面談で、次に任せる範囲 |
働ける時間や在宅勤務の条件は、入社前に本人と決めておきます。条件をあとから変えると、立ち上げの計画も組み直しになるためです。入社後の面談の進め方は、中途採用の早期離職を防ぐ面談で扱っています。
業務委託から始める選択肢
任せたい仕事が決まっていて、応募者の今の力をまだ見極めきれないときは、最初は業務委託で期間と作業を決めて組み、様子を見てから社員として迎える段階も考えられます。リモートワークを条件にすれば、育児や介護と両立しながら働きたい経験者にも声をかけやすくなります。
| 方法 | 向いている場面 |
|---|---|
| 社員として採る | ブランク前の経験が任せたい仕事と合い、面接で今の力も確かめられた |
| 業務委託で期間を決めて組む | 今の力を見極めきれない/期間の決まった作業がある |
| リモートワークの社員として採る | 近くで経験者が見つからない/通勤が難しい経験者にも広げたい |
業務委託で組むときは、任せる作業・期間・進み具合を確かめる頻度を最初に決めておきます。業務委託から社員に切り替えるときの契約や働き方の扱いは、契約書と専門家に確かめてください。
まとめ:ブランクのある応募者で確かめたい3つの点
ブランクのあるエンジニアの採用で確かめておきたい点は3つです。第一に、未経験の人と違って実務の経験があり、見るのはブランク前にできたことと離れていた間に変わった部分だということ。第二に、書類と面接では仕事に関わる経験と今の力を確かめ、育児・介護・療養などの詳しい事情はこちらから聞かないこと。第三に、入社後は変わった道具や手順を最初に洗い出して得意な分野から任せ、見極めきれないときは業務委託で期間を決めて組む方法も考えることです。
よくある質問
ブランクが何年あると採用は難しいですか
何年で線を引くという決まった目安はありません。ブランク前の経験が任せたい仕事と合っているか、離れていた間の変化を本人がつかんでいるかを、面接で確かめます。
ブランクの理由はどこまで聞いてよいですか
厚生労働省は、職務遂行上必要な適性・能力に基づいて選考することを公正な採用選考の基本としています。*3 聞くのは入社できる時期や働ける時間など仕事に関わることにとどめ、家族の状況や病気の詳しい事情はこちらからは聞かないようにします。
ブランクのある人に最初から開発を任せてもよいですか
ブランク前に得意だった分野の小さな作業から任せ、レビューで今の力を確かめながら範囲を広げる方法が使えます。最初の2週間ほどで、離れていた間に変わった道具や手順を洗い出しておくと、つまずきが見えやすくなります。
ブランクのある経験者の受け入れを相談
任せたい仕事と期間が決まっていれば、そのままご相談いただけます。社員として採るか、業務委託で期間を決めて組むかを決めきれていない段階でも構いません。
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出典
- *1 参考:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査 結果の概要」(PDF)(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf)。出典:総務省統計局(令和5年7月21日)。8 転職就業者及び離職非就業者の表8-2(前職の離職理由別過去5年間に前職を離職した者の数)を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
- *2 参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査」図表データ(Excel)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/xls/6-18c-r02-zuhyo.xlsx)。出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査」図表データ。個人調査の表20(直前の勤め先を離職してから現在の勤め先に就職するまでの期間階級別転職者割合、総数)、事業所調査の表6(転職者の処遇決定の際に考慮した要素)・表7(転職者を採用する際の問題)・表8(転職者に対する教育訓練)の情報通信業の行を参照。表7の問題別の割合の分母は問題があるとした事業所、表8の種類別の割合の分母は教育訓練を実施した事業所(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)
- *3 参考:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時の基本的な考え方・公正な採用選考の基本」(https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html)。出典:厚生労働省。適性・能力に基づいた採用基準とすること、適性・能力に関係のない事項の把握を参照(確認日2026年10月17日)(2026年10月確認)