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2026.09.28 採用支援コラム

エンジニア採用の求人票に書く業務内容、5つの要素で整理




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 転職者が勤め先を選んだ理由は「仕事の内容・職種に満足がいくから」が最も多く、正社員では42.7%です。
  • 業務内容には、対象のシステム、作業の段階、使う技術、一緒に働く人、変更の範囲を書きます。
  • 選考の途中で業務内容を変えるときは、変わった内容を相手に明示する必要があります。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

求人票を出しているのに、応募してくる人の経験が任せたい仕事と合わない。入社した人から「聞いていた仕事と違う」と言われてしまった——。エンジニア採用の現場では、こうした食い違いが起こりがちです。求人票の業務内容とは、入社した人に担当してもらう仕事の中身を、応募を考えている人に向けて書く欄のことです。

業務内容の欄は、応募する人が自分の経験と比べ、応募するかどうかを決める材料になります。ただし万能ではなく、丁寧に書いても、それだけで応募の数が増えるわけではありません。本記事では、エンジニアを採用する開発の現場のマネージャーに向けて、業務内容が読まれる理由、法令と指針が求めていること、業務内容に書く5つの要素、そして選考の途中で仕事が変わるときの対応を整理します。

窓際の木の机に置かれた、画面の消えたノートパソコンと白いコーヒーカップ。人も読める文字も写っていない

求人票の業務内容とは

求人票の項目は、大きく2つに分かれます。賃金や就業時間、休日のように、数字や決まった言葉で書ける項目と、業務内容のように文章で書く項目です。業務内容の欄は、ハローワークの求人票では「仕事の内容」、求人サイトでは「業務内容」や「仕事内容」と呼ばれています。法律では「従事すべき業務の内容」という言葉が使われます。

業務内容は、応募に必要な経験や資格とは別のものです。必要な経験は「どんな人に応募してほしいか」を書く欄で、業務内容は「入社した人に何をしてもらうか」を書く欄です。たとえば「Javaでの開発経験3年以上」は応募の条件であって、入社した後に何を作るのかは伝えていません。この2つが混ざると、応募する人は仕事の中身を読み取れなくなります。

職種名だけでも、仕事の中身は伝わりません。同じ「Webエンジニア」でも、社内の人が使う業務システムを直す仕事と、一般の利用者が使う通販サイトを一から作る仕事とでは、必要な経験がまったく違います。業務内容の欄は、こうした違いを、応募する前の人に伝えるための欄です。

なぜ業務内容が読まれるのか

厚生労働省の2020年の「転職者実態調査」は、転職した人に、いまの勤め先を選んだ理由を3つまで尋ねています(個人調査の有効回答は5,530人)。*1 いま正社員として働く転職者では、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が42.7%で最も多く、「自分の技能・能力が活かせるから」の37.4%、「労働条件(賃金以外)がよいから」の26.1%が続きます。「賃金が高いから」は14.9%でした。*1

いま正社員として働く転職者が、現在の勤め先を選んだ理由を3つまでの複数回答で尋ねた結果の横棒グラフ。仕事の内容・職種に満足がいくから42.7%、自分の技能・能力が活かせるから37.4%、労働条件(賃金以外)がよいから26.1%、転勤が少ない、通勤が便利だから21.5%、賃金が高いから14.9%、地元だから(Uターンを含む)13.6%、会社に将来性があるから13.3%、会社の規模・知名度のため9.1%、安全や衛生等の職場環境がよいから7.5%、前の会社の紹介4.6%、その他19.9%。出典は厚生労働省「令和2年転職者実態調査」個人調査 表21-1。

最も大きな理由を1つだけ選んでもらった集計でも、「仕事の内容・職種に満足がいくから」が20.7%で最も多く、「自分の技能・能力が活かせるから」の17.9%を上回っています。*1 応募する人が勤め先を決めるときに重く見ているのは、仕事の中身と、自分の技能を生かせるかどうかです。この2つは、どちらも求人票の業務内容の欄から読み取るものです。

前の勤め先を辞めた理由にも、仕事の内容が出てきます。自己都合で前の会社を辞め、いま正社員として働く転職者では、「満足のいく仕事内容でなかったから」が26.0%でした。「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」の27.3%、「会社の将来に不安を感じたから」の27.0%とほぼ並んでいます(3つまでの複数回答)。*1 この調査は職種を分けていないので、エンジニアだけの値ではありません。それでも、仕事の内容を理由に勤め先を選ぶ人も、辞める人も少なくないことは読み取れます。

法令と指針が求めていること

業務内容を示すことは、法律で義務づけられています。職業安定法第5条の3第1項は、労働者を募集する会社が、応募しようとする人に「その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。*2 ハローワークや人材紹介会社に求人を申し込む会社にも、同じ条の第2項が明示を求めています。

明示する事項は、職業安定法施行規則第4条の2第3項に並んでいます。その第1号が「労働者が従事すべき業務の内容に関する事項(従事すべき業務の内容の変更の範囲を含む。)」です。*3 括弧の中の変更の範囲は、2024年4月1日の改正で加わりました。厚生労働省のリーフレットは、変更の範囲を「雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲のこと」と説明しています。*4 入社した後に担当する可能性がある業務まで示す、ということです。

どう書くかについては、厚生労働大臣の指針(平成11年労働省告示第141号)に定めがあります。明示する業務の内容等は「虚偽又は誇大な内容としないこと」とされています。さらに配慮する事項として、業務の内容等の「水準、範囲等を可能な限り限定すること」と、業務の内容について「職場環境を含め、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること」が挙げられています。*5 「開発全般」のように広く書かず、担当する作業を絞って具体的に書くことを求めたものです。指針は、明示した内容が契約を結ぶときの内容と異なる可能性があるなら、その旨もあわせて明示するよう求めています。

業務内容に書く5つの要素

調査の結果と指針を合わせると、エンジニア採用の求人票の業務内容には、次の5つを書いておくと、応募する人が判断しやすくなります。

  • 対象のシステムと、それを使う人
  • 担当する作業の段階
  • 使う技術と道具
  • 一緒に働く人と進め方
  • 入社直後の仕事と、その後の変更の範囲

1つ目の対象のシステムは、何を作る仕事なのかです。社内の人が使う業務システムなのか、一般の利用者が使うスマートフォンのアプリなのかで、求められる経験は変わります。システムの名前だけでなく、誰が何のために使っているのかを1文で書き添えると、社外の人にも伝わります。

2つ目の作業の段階は、要件定義(システムに必要な機能を決める作業)、設計、プログラムの作成、テスト、運用のうち、どこを担当するかです。前の章で見たとおり、勤め先を選んだ理由の2番目は「自分の技能・能力が活かせるから」でした。担当する段階が書いてあれば、応募する人は自分の経験がどこで生かせるのかを判断できます。

3つ目の使う技術と道具は、プログラミング言語、フレームワーク(よく使う処理をあらかじめまとめた部品の集まり)、データベース(データを保存して取り出す仕組み)、クラウドのサービス、ソースコード(プログラムの本文)や作業の管理に使う道具などです。すべてを並べる必要はありません。入社してすぐに触るものと、これから入れ替える予定のものを分けて書くと、いまの開発の状態が伝わります。

4つ目の一緒に働く人と進め方は、指針が「職場環境を含め」と書いている部分に当たります。チームの人数、誰に報告するのか、委託先の会社と分担しているならどの作業を誰が受け持つのか、出社とリモートワークの割合などを書きます。同じ設計の仕事でも、1人で全体を見るのか、10人のチームの一員として担当するのかで、仕事の中身は大きく変わります。

5つ目は、入社直後の仕事と、その後の変更の範囲です。最初の3か月は既存の画面の改修を担当し、慣れてきたら新しい機能の設計に移ってもらう、といった予定があるなら、その順番を書きます。将来、別のシステムや別の部署の担当に移る可能性があるなら、変更の範囲として示します。

業務内容の書き方の例

物流会社の社内で使われている配送管理システムを、改修しながら運用する仕事を例にします。職種名だけに近い書き方と、5つの要素を入れた書き方を並べると、次のようになります。

求人票の業務内容の書き方の例
要素 短すぎる書き方 5つの要素を入れた書き方
対象のシステム 自社システムの開発 配送センターの担当者が、荷物の出荷予定と配送の状況を確かめるための社内向けのWebシステム
作業の段階 開発全般 既存の機能を改修するときの設計、プログラムの作成、テスト。要件定義は、入社する人と先輩の社員の2人で担当
使う技術と道具 Javaなど Java、PostgreSQL(データベースの製品)、AWS(Amazonのクラウドのサービス)。ソースコードはGit(変更の履歴を残す道具)で管理
一緒に働く人と進め方 チームで開発 社員4名と委託先の3名のチーム。開発課長に報告。出社は週2日、ほかの日はリモートワーク
入社直後の仕事と変更の範囲 (書いていない) 入社後3か月は画面の改修を担当し、その後は新しい機能の設計へ。変更の範囲は「社内の業務システムの開発と運用」

右の列は長く見えますが、1行ずつ読めば、応募する人は自分の経験と照らし合わせられます。ハローワークの求人検索では、一覧の画面に仕事の内容の冒頭だけが表示されるので、1つ目の要素である何をする仕事なのかを最初に書きます。一覧に表示される項目と字数は「ハローワーク求人の出し方」で、明示が必要な労働条件の全体は「エンジニア求人票の書き方と必須14項目」で扱っています。

選考の途中で業務内容が変わるとき

選考を進めるうちに、求人票に書いた業務内容を変えたくなることがあります。面接で話を聞いた結果、最初は設計ではなくテストを担当してもらいたくなった、といった場合です。職業安定法第5条の3第3項は、明示した業務の内容等を変更して労働契約を結ぼうとする場合に、変更する内容を、契約を結ぼうとする応募者に明示するよう求めています。*2

明示が必要になる場面は、施行規則第4条の2第1項に3つ挙がっています。明示した内容の中から業務を絞り込む「範囲内で従事すべき業務の内容等を特定する場合」、明示した内容を「削除する場合」、そして「追加する場合」です。*3 求人票に「設計、プログラムの作成、テスト」と書いておき、採用する人にはテストだけを任せるなら特定に、求人票に無かった夜間の運用の当番を加えるなら追加に当たります。

指針は、明示した内容と異なることとなった場合には、明示を受けた応募者に「速やかに知らせること」も求めています。*5 内定を出す前の面談で、求人票との違いを文書にして示しておくと、入社した後の食い違いを防ぎやすくなります。

つまずきやすい点

一つ目は、技術の名前を並べただけで業務内容を書いたつもりになることです。「Java、Python、AWS」と並んでいても、それを使って何を作るのかが書かれていなければ、応募する人は仕事の中身を判断できません。技術は3つ目の要素として、対象のシステムと作業の段階の後に書きます。

二つ目は、応募を集めたいあまり、業務内容を実際より魅力的に書いてしまうことです。予定のない新規開発や、使う予定のない新しい技術を並べると、指針のいう「虚偽又は誇大な内容」に近づきます。入社してから違いに気づいた人は、先の調査で見た「満足のいく仕事内容でなかったから」という理由で、また転職を考えることになりかねません。

三つ目は、変更の範囲を書かずに済ませることです。施行規則は、業務の内容に変更の範囲を含めて明示するよう定めています。雇入れ直後の業務しか書いていないと、入社した後の担当替えも説明しにくくなります。見込みがあるなら、「社内の業務システムの開発と運用」のように、どんな仕事に移りうるのかが分かる言葉で書いておきます。

まとめ:求人票の業務内容で確かめておきたい3つの点

エンジニア採用の求人票で業務内容を書くうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、業務内容を5つの要素に分けて書くこと。第二に、指針に沿って、業務の内容を実際どおりに、職場環境も含めて具体的に書くこと。第三に、選考の途中で業務内容が変わるときは、変わった内容を相手に明示することです。この3点を踏まえておけば、「入社してもらったのに、聞いていた仕事と違うと言われた」という事態を避けやすくなります。業務内容の書き方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

業務内容を5つの要素で書き出してみると、採用が決まるまでの間、担当する人がいない作業が見えてくることがあります。その作業だけを期間を決めて外部の専門人材に任せる方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

業務内容は、誰が書けばよいですか

実際に仕事を任せる開発の現場のマネージャーが下書きし、人事の担当者が法令で明示が必要な事項と照らし合わせる分担がおすすめです。対象のシステムや作業の段階は現場でないと書けず、労働条件の明示のしかたは人事の担当者のほうが詳しいためです。

複数のポジションを1つの求人票にまとめてもよいですか

できれば分けるほうが伝わります。指針は、求職者等に具体的に理解されるよう、業務の内容等の水準、範囲等を可能な限り限定するよう求めています。*5 設計を任せる人とテストを任せる人を1枚にまとめると、応募する人はどちらの仕事なのかを読み取りにくくなります。

試用期間中だけ業務内容が違う場合は、どう書けばよいですか

試用期間中の業務と、試用期間が終わった後の業務を、それぞれ示します。職業安定法施行規則第4条の2第6項が、両者が異なる場合には、それぞれの業務の内容等を示して明示するよう定めています。*3

求人票に書いた業務内容の記録は、いつまで残せばよいですか

募集が終わる日までは保存します。職業安定法施行規則第4条の2第7項が、明示した内容の記録を、募集が終了する日まで保存するよう定めており、その日より後に労働契約を結ぶ場合は契約を結ぶ日までです。*3 求人票を書き換えたときは前の版も残しておくと、誰にどの内容を示したのかを後から確かめられます。

エンジニアの求人票を相談したいとき

任せる仕事の整理から、業務内容の書き方までご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html)。出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」。調査の概要(個人調査の有効回答5,530人)と、統計表(Excel)の個人調査 表16(自己都合による離職の理由、3つまでの複数回答)・表21-1(現在の勤め先を選んだ理由、3つまでの複数回答)・表21-2(現在の勤め先を選んだ一番の理由)の「正社員」の行を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3第1項〜第3項(労働条件等の明示)を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40002000012)。出典:職業安定法施行規則(昭和22年労働省令第12号)第4条の2第1項・第3項第1号・第6項・第7項を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf)。出典:2024(令和6)年4月1日施行の改正職業安定法施行規則に関する求人企業向けリーフレット。変更の範囲の説明を参照(2026年9月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/001003997.pdf)。出典:平成11年労働省告示第141号。第三 一(三)イ(虚偽又は誇大な内容としないこと)と(五)イ〜ハ(水準、範囲等の限定、職場環境を含めた具体的かつ詳細な明示、異なることとなった場合の通知)を参照(2026年9月確認)




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