LASSIC Media らしくメディア
レガシー人材の確保方法|社内の育成・採用・外部人材の選び方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論
- IPAの調査では、人材の欠乏を挙げた割合が、汎用機の独自開発システムで64.0%、パッケージ(カスタマイズあり)で29.5%と、システムの種類で差がありました。
- 企画から運用まで全て内製化している会社の62.7%が人材の欠乏を挙げ、ベンダーと協力して進める会社の40.0%より高くなっています。
- 社内の育成・採用・外部人材は1つに決めず、日々の運用、障害対応、改修の作業ごとに振り分けます。
※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
COBOLで書かれた基幹システムを直せる人が、定年で社内からいなくなった。VBで作った業務アプリは、触れる人がもう1人しかいない——。古いシステムを抱える会社では、こうした悩みが起こりがちです。レガシー人材とは、COBOLや汎用機(メインフレーム)、VB、古い業務パッケージなど、いま新しく学ぶ人が少なくなった技術で動くシステムを、保守できる人を指します。
探す言語の名前よりも、システムの種類と、いまどこまで社内で抱えているかによって、確保の難しさも向く手段も変わります。ただし万能な手段はなく、どれにも弱点があります。本記事では、情報システム部門の責任者や開発マネージャーに向けて、人材の欠乏が多いシステムの種類、社内の育成・採用・外部人材の比べ方、進め方、外部に頼むときの確認点を整理します。
目次
レガシー人材とは
IPA(情報処理推進機構)の「2024年度ソフトウェア動向調査」*1は、老朽化・陳腐化、複雑化・肥大化、ブラックボックス化のいずれかに当てはまるシステムをレガシーと呼んでいます。老朽化・陳腐化の説明には、古い技術でできていて、故障すると代わりがきかない、もしくは技術者の確保が難しい、とあります。*2 つまり、人を確保しにくいこと自体が、レガシーの特徴の1つです。

レガシー人材が担う仕事は、大きく3つに分けられます。
- 動かし続ける:毎日の運用と、定期の作業を止めずに回す
- 直す:障害の原因を調べ、小さな修正を入れる
- 中身を知っている:仕様や業務の経緯を覚えていて、聞かれれば答えられる
1人がこの3つを兼ねていると、その人が抜けたときに3つが同時に空きます。調査では、レガシーシステムを保有している322社と、過去に保有していた62社の計384社が、放置した場合に影響が大きいものを3つまで選んでいます。「技術及び業務知識を持つ人材の欠乏」を選んだのは172社、44.8%でした。*3
システムの種類で違う人材の欠乏
同じ384社を、最も重要なレガシーシステムのタイプ別に分けると、人材の欠乏を選んだ割合に差が出ます。*3 次の図は、3つのタイプで並べたものです。
| システムのタイプ | 回答した社数 | 人材の欠乏を選んだ社数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 汎用機上の独自開発の業務アプリ | 111社 | 71社 | 64.0% |
| 独自開発の業務アプリ(スクラッチ) | 133社 | 55社 | 41.4% |
| パッケージ(業務に合わせた改修あり) | 88社 | 26社 | 29.5% |
3つのタイプで332社です。残りの52社はOffice系ソフトウェアなど少数のタイプや「わからない」で、載せていません。
- 汎用機の独自開発システムは、3つのうち最も人材の欠乏を選んだ割合が高い
- パッケージは、製品の保守を提供元や販売元が持つ場合があり、割合が最も低い
- 言語や製品の名前ではなく、システムの種類で見ると、確保の難しさの見当がつけやすい
この設問は「放置した場合に影響が大きいと思うもの」を選ぶ形式で、いま何人足りないかを数えたものではありません。割合の差は、確保の難しさの目安として読みます。
社内・採用・外部人材の比べ方
確保の経路は、社内で育てる、採用する、外部の人材に頼むの3つです。合うものは、担当者がいつまで在籍するか、教える時間が取れるかで変わります。
| 経路 | 向く場面 | 弱点 | 先に確かめる点 |
|---|---|---|---|
| 社内で育てる | いまの担当者が在籍していて、教える時間が取れる | 教える人が辞めると止まり、育つまでに時間がかかる | 誰が誰に、どの作業から教えるか |
| 採用する | 長く任せたい。社内に知識を残したい | 古い技術の経験者は、応募が集まりにくい場合がある | 求める経験を、言語の名前ではなく作業で書けるか |
| 外部の人材に頼む | 期間を決めて調べたい。教える人が社内にいない | 引き受けられる人がいるとは限らず、知識が外に残る | 文書に残してもらい、社内に渡せるか |
人の確保そのものが難しいことは、調査にも表れています。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査報告書2026」では、IT組織の17項目の機能・能力のうち、不足の割合が最も高かったのは「IT人材の採用・育成」の73.9%でした。*4 また、主な課題を人材の流出(高齢化を含む)とした企業の割合が最も高い担当業務は、運用管理・運用担当の13.5%です。*4
社内に教える人が少ない企業が、外部の人材と並走する工夫をしている例も、JUASの自由回答で報告されています。*4 ただし、プロジェクトマネジメントや上流工程の育成の話で、古いシステムの保守を尋ねたものではありません。
IPAの調査には、社内で抱える度合いごとの違いも出ています。企画から運用まで全て内製化している75社では47社、62.7%が人材の欠乏を選びました。企画と要件定義は社内で行い、設計・開発・運用はベンダーと協力して進める130社では52社、40.0%です。*3
- 全て内製化している:75社中47社(62.7%)
- 企画後の工程はベンダー主体:44社中22社(50.0%)
- 企画と要件定義は社内、あとはベンダーと協力:130社中52社(40.0%)
- 全工程でベンダーの提案を受けて依頼:83社中32社(38.6%)
全て社内で抱えるほど人材が足りなくなる、とまでは言えません。ただ、社内だけで保守する会社ほど人材の欠乏を重く見ており、外部に分ける検討の材料になります。
どう進めるのか
確保の経路は1つに決め打ちせず、作業ごとに振り分けます。手順は4つです。

- システムごとに、保守できる人が何人いるか、いつまで在籍する見込みかを書き出す
- 保守の作業を、日々の運用、障害対応、改修の3つに分ける
- 社内に残す作業を決め、残りを採用か外部の人材に振り分ける
- 外部に頼んだ作業は、手順と仕様を文書に残してもらい、社内の人に渡す
2つ目の手順で、日々の運用は社内で育てやすく、障害対応と改修は外部の経験者に分けやすい作業です。仕様が分からないものは、期間を決めて調べてもらうと進めやすくなります。担当者が辞めたあとの進め方は、レガシー放置の影響と立て直し方で扱っています。
移行まで見据えるなら、設計できる人が先に要ります。人材の種類はレガシー移行に必要な人材で、刷新の課題としての要員不足の統計はレガシー刷新の課題で整理しています。
外部に委託するときに確認しておきたい点
外部の人材に頼むときは、頼む前に次の点を確かめます。
- 同じ種類のシステム(汎用機、VB、パッケージなど)で、どんな作業を経験したか
- 参画できる人数と、その人が抜けたときの代わりの人がいるか
- 参画の前に、秘密保持の契約と、渡す権限の範囲が決まっているか
- 手順と仕様の文書づくりが、業務に含まれているか
- 契約が終わったあとも、質問できる窓口があるか
2つ目の人数の確認は、IPAの調査でも課題に挙がっています。移行がうまく進まない原因のうちベンダー側に起因する課題として、「ベンダーに対応要員がいない」を選んだのは384社中63社、16.4%でした。独自開発の業務アプリが最も重要なシステムの会社に限ると、133社中31社で23.3%です。*3 移行について尋ねた設問ですが、頼む先に人がいるかを契約の前に聞く理由になります。
COBOLなど特定の言語を受託やニアショアで補う進め方は、COBOL技術者不足をニアショア・受託で補完するレガシー保守の進め方で扱っています。契約の形や責任の分け方は、専門家への相談が欠かせません。
まとめ:レガシー人材の確保で確かめておきたい3つの点
古いシステムを保守できる人を確保するとき、確かめておきたい点は3つです。第一に、言語の名前ではなくシステムの種類で、確保の難しさの見当をつけること。第二に、社内で育てる、採用する、外部の人材に頼むを比べ、全て社内で抱えている作業がないかを見直すこと。第三に、保守の作業を日々の運用、障害対応、改修に分けて、作業ごとに経路を振り分けることです。抱えきれない作業は、外部の人材に分けることも選択肢になります。
よくある質問
COBOLなど古い言語の経験者は、採用で見つかりますか
見つかるかどうかは、求める経験や条件、時期で変わり、この記事の調査では測っていません。採用だけに決め打ちせず、外部の人材に頼む方法と並べて、作業ごとに選びます。
社内の誰も仕様が分からないシステムでも、外部の人に頼めますか
頼める場合はあります。ただし、最初の作業は保守ではなく、仕様と手順を調べて文書にすることです。期間を決めて調べてもらい、結果を文書で受け取る形にします。
社内で育てるときは、何から教えればよいですか
担当者が在籍している間に、毎日の運用と定期の作業の手順を、後任の人が自分で動かしながら書き留めるところからです。障害対応や仕様の経緯は、本人に聞ける時間を日付つきで押さえます。
古いシステムを保守できる人を探す
保守したいシステムの種類と、頼みたい作業が分かっていれば、そのままご相談いただけます。仕様書がない段階でも構いません。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査」調査結果データの公開と分析レポートの募集(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/result-software2024.html)。出典:公開日2025年2月27日・最終更新日2025年4月25日。調査期間(2024年12月17日〜2025年2月14日)、2025年4月7日時点の回答件数(企業799件・個人74件)、オープンデータとしての公開を参照(2026年10月確認)
- *2 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 設問一覧」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-questions.xlsx)。出典:Q5-2のレガシーシステムの考え方(老朽化・陳腐化の説明を含む)、Q5-3・Q5-9・Q5-10・Q5-22の設問文と選択肢を参照(2026年10月確認)
- *3 参考:IPA「2024年度ソフトウェア動向調査 企業向け 調査結果(選択肢項目文字列)」(https://www.ipa.go.jp/digital/software-survey/software-engineering/h5f8pg00000028n8-att/software2024-c-result-data-str.csv)。出典:Q5-2・Q5-3・Q5-9・Q5-10・Q5-22の回答。社数と割合は、Q5-2でレガシーを保有している、または過去に保有していた384社を母数に、このCSVから集計・計算した値(2026年10月確認)
- *4 参考:JUAS「企業IT動向調査報告書2026」(PDF)(https://juas.or.jp/cms/media/2026/04/JUAS_IT2026.pdf)。出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)。2025年度調査。6.3(2)(IT組織の機能・能力の充足状況)、6.4(2)図表6-4-5(流出で課題感の高い担当業務)、6.4(3)(育成の取組み)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)