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エンジニア中途採用の選考期間が延びる理由と、面接回数を決める手順
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 5年以内に転職したIT・デジタル人材の53.5%は、転職活動を3か月未満で終えています。
- 面接回数は、面接で評価したいことを書き出し、それを評価する人ごとに回を分けて決めます。
- デジタル庁は、面接2〜3回程度と、応募から内定まで4〜6週間ほどを求人票で伝えています。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
書類選考から内定まで2か月かかり、最終面接の前に候補者から辞退の連絡が来た。面接を何回にすればよいのか、社内で決まった考え方がない——。エンジニア中途採用では、こうしたことが起こりがちです。選考期間とは、応募を受け付けてから内定を出すまでの期間を指し、その長さは面接回数と、回と回のあいだに入る日程調整や結果の連絡で決まります。
選考の流れを見直すときは、候補者がどのくらいの期間で転職先を決めているかと、公的機関が公表している選考の流れが手がかりになります。ただし、面接の回数を減らせば期間は短くなる一方で、面接で確かめられることも減ります。本記事では、エンジニアの中途採用を進める開発部門の責任者に向けて、候補者の転職活動の期間、公的機関の選考の流れ、選考期間が延びる理由、そして面接回数の決め方を整理します。
目次
選考期間と面接回数とは
中途採用の選考は、書類選考、面接、適性検査といった段階に分かれます。段階ごとに、候補者と面接する人の日程を合わせ、面接を行い、社内で合否を決め、結果を伝えるという作業が繰り返されます。面接回数が1回増えると、この一続きの作業も1回分増えます。選考期間を短くしたいときに、まず面接の回数に目が向くのはこのためです。
一方で、選考期間は面接回数だけでは決まりません。面接そのものは1時間ほどで終わっても、次の日程を合わせるのに1週間、合否を決めて連絡するのにさらに1週間かかれば、1回の面接で2週間が過ぎます。面接の回数を減らすことと、回と回のあいだの日数を縮めることは、別々に考えておくと見直しやすくなります。
候補者の転職活動の期間
厚生労働省が2023年9月に行った個人アンケートは、IT・デジタル関連の職種で働く2,000人のうち、5年以内に転職した342人に、直近の転職での転職活動期間を尋ねています。*1 最も多いのは「1か月~3か月未満」で114人(33.3%)、次いで「3か月~半年未満」が73人(21.3%)、「1か月未満」が69人(20.2%)でした。*1
人数を足し合わせると、3か月未満は183人で342人の53.5%、半年未満まで広げると256人で74.9%になります。転職したIT・デジタル人材の半数あまりは、活動を始めてから3か月たたないうちに次の勤め先を決めていることになります。
候補者は、この期間の中で応募先を探し、いくつかの会社の選考を受け、転職先を決めます。1社の選考に2か月かかると、1か月未満で活動を終える人は、その会社の選考が終わる前に別の会社に決めてしまいます。自社の選考期間が候補者の活動期間の中に収まるかどうかを一度確かめておくと、面接の回数や日程をどこまで縮めるかを決めやすくなります。
公的機関が公表している選考の流れ
面接の回数や選考にかかる期間を、募集の段階で公表している公的機関もあります。デジタル庁は、ソフトウェアエンジニアなど民間の専門人材を募る求人票に、書類選考の後に「2〜3回程度の面接」を予定していることと、応募から内定まで「4週間~6週間ほど」かかることを載せています。*2 各選考の結果は2週間以内を目安に連絡するとし、応募者が多いときは面接の日程調整の都合で延びることがあるとも書いています。*2
東京都の職員(ICT)の経験者採用選考は、日程をあらかじめ決めて、応募した人を同じ時期にまとめて選考する方式です。ICTは情報通信技術のことで、この区分の職員は都の業務システムの企画や運用などを担います。2026年度の3回目の募集にあたる第3期では、申込を11月4日に締め切り、書類選考と適性検査の1次選考を11月20日~12月3日、個別面接2回の2次選考を1月13日~1月17日に行い、1月26日に合格を発表します。*3 申込の締め切りから合格発表までは83日です。
同じサイトに載っているGovTech東京(東京都と連携して行政のデジタル化を進める団体)の職員採用は、「応募→書類選考→面接(2~3回)→内定」を基本とし、面接回数は状況に応じて変えることがあるとしています。*3
| 募集 | 選考の段階 | 面接回数 | 期間の示し方 |
|---|---|---|---|
| デジタル庁(民間の専門人材) | 書類選考→面接 | 2〜3回程度 | 応募から内定まで4〜6週間ほど。各選考の結果は2週間以内を目安に連絡 |
| 東京都 職員(ICT)経験者採用選考(2026年度第3期) | 書類選考・適性検査→個別面接 | 2回 | 申込の締め切り11月4日、合格発表1月26日 |
| GovTech東京 職員採用 | 書類選考→面接 | 2〜3回(状況に応じて変更あり) | — |
3つとも面接は2〜3回で、回数を募集の段階で示しています。期間については、応募を受けるたびに選考を進めるデジタル庁は応募から内定までの週数を、日程を固定する東京都は選考の日付を載せています。選考の進め方によって、候補者に伝えやすい期間の形も変わります。
なぜ選考期間が延びるのか
一つ目の理由は、結果の連絡にかける日数です。デジタル庁の例で計算してみます。書類選考と面接3回では結果の連絡が4回あり、どの回も2週間の目安を使い切ると、結果を待つ期間だけで8週間になります。公表している「4週間~6週間ほど」に収めるには、いくつかの段階で、目安の2週間より早く結果を伝える必要があります。結果を連絡するまでの日数は、面接の回数と同じくらい選考期間を左右します。
二つ目は、回と回のあいだに生まれる待ち時間です。面接する人が開発部門の責任者や役員であれば、その人たちの予定が空くまで次の面接を入れられません。面接の回数が増えるほど、こうした待ち時間が生まれる回数も増えます。
三つ目は、合否を決めるのに時間がかかることです。面接した人どうしで評価が分かれると、追加の面接を入れたり、別の人の意見を聞いたりすることになり、予定していた回数を超えてしまいます。日程を決めて一斉に選考する方式なら途中で日程を合わせ直す手間は減りますが、東京都の例では申込の締め切りから合格発表まで83日かかっており、期間の長さそのものは短くなりません。
面接回数の決め方
面接回数は、面接で評価したいことを書き出し、それを誰が評価するかで回を分けると決めやすくなります。エンジニアの中途採用で評価したいことは、おおむね次の3つです。
- 技術と経験(任せる仕事に近い作業をしてきたか)
- 一緒に働くチームでの仕事の進め方
- 処遇と入社時期(候補者と会社の条件が合うか)
3つを別々の人が評価するなら3回、技術と仕事の進め方を開発部門の責任者が1回で評価するなら2回になります。評価する人が同じなのに回を分けると、面接が1回増えても判断の材料は増えません。反対に、評価の視点が違う人を1回の面接に同席させれば、回数を増やさずに評価できることを増やせます。
| 回 | 面接する人 | 確かめること |
|---|---|---|
| 1回目 | 開発部門の責任者と、一緒に働くエンジニア | 担当してきた作業の中身、任せる仕事に近い経験、チームでの仕事の進め方 |
| 2回目 | 部門長と人事の担当者 | 処遇、入社時期、入社後に任せる仕事の見通し。候補者からの質問にも答える |
選考期間を見積もるときは、書類選考も、結果を連絡するまでの待ち時間が生まれる段階の1つとして数えます。書類選考を通った人に、結果と一緒に1回目の面接の候補日を送れば、連絡のやり取りを1往復減らせます。面接の回数は変わらなくても、選考期間は短くなります。
回数を決めたら、応募を受け付けた最初の連絡で候補者に伝えます。デジタル庁やGovTech東京のように、面接の回数と結果を連絡するまでの目安を先に示しておけば、候補者は他社の選考と並べて予定を立てられます。*2*3 技術の経験を確かめる面接の評価項目は「エンジニア採用の技術面接、評価項目をスキルの水準から決める」で扱っています。
つまずきやすい点
一つ目は、面接が終わるたびに次の日程を調整することです。面接の後で次の候補日を出すと、そのたびに候補者と面接する人の予定を合わせ直すことになります。最初の面接の前に、2回目の面接をする人の予定を仮に押さえておけば、回と回のあいだの待ち時間を短くできます。
二つ目は、結果の連絡日を決めていないことです。「結果は追ってご連絡します」だけでは、候補者はいつまで待てばよいのか分かりません。結果を連絡するまでの日数を候補者に示し、その日数を社内で合否を決める締め切りにもしておくと、判断が後回しになりにくくなります。
三つ目は、判断がつかないときに面接を1回追加することです。追加の面接は候補者にとって予定していなかった日程になり、そのあいだに他社の選考が先に進むこともあります。追加する前に、面接した人どうしで評価が分かれた点を書き出し、その点だけを短いオンラインの面談で確かめられないかを考えます。選考期間と入社時期の関係は「エンジニア中途採用の選考期間、入社時期と分けて日程を決める」で扱っています。
四つ目は、処遇や入社時期の話を最後の面接まで持ち越すことです。最後の面接で初めて条件が合わないと分かれば、それまでの面接にかけた期間がむだになり、また一から候補者を探し直すことになります。条件の大まかな幅は、1回目の面接か、その前の連絡の段階で伝えておけば、条件が合わないことに早い段階で気づけます。
まとめ:面接回数と選考期間で確かめたい3つの点
エンジニア中途採用の選考期間と面接回数を決めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、自社の選考期間が、候補者の転職活動の期間の中に収まるかを点検すること。第二に、面接で評価したいことを書き出し、それを評価する人ごとに回を分けて面接回数を決めること。第三に、面接の回数と結果を連絡するまでの日数を、応募を受け付けた段階で候補者に伝えることです。この3点を踏まえておけば、「最終面接の日程を合わせているあいだに、候補者が他社に決めてしまった」という事態を避けやすくなります。選考の進め方や面接する人の手配に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
エンジニア中途採用の面接回数は、何回が適切ですか
決まった回数はなく、評価したいことの数と、それを評価する人の数で決めます。公的機関の例では、デジタル庁とGovTech東京が2〜3回、東京都の経験者採用選考が個別面接2回です。*2*3
選考期間の見通しは、候補者にいつ伝えればよいですか
求人票か、応募を受け付けた最初の連絡で伝えます。デジタル庁は求人票に、応募から内定までの週数と、各選考の結果を連絡する目安を載せています。*2 途中で面接を追加するときは、その時点で新しい見通しを伝え直します。
候補者が他社の選考も受けているとき、選考を早めてもよいですか
早めること自体は問題ありませんが、評価することは省かないようにします。評価する項目を削って回数を減らすより、面接する人を同じ回に同席させて回をまとめる、次の面接の日程を先に押さえるといったやり方のほうが、判断の材料を減らさずに期間を縮められます。
オンラインの面接にすると、選考期間は短くなりますか
候補者と面接する人の移動がなくなるので、日程は合わせやすくなります。どの回を対面にするかは組織ごとに決めており、東京都は職員の面接を対面で行っています。*3 1回目をオンライン、最後の面接を対面にするなど、回ごとに決めておく方法もあります。
エンジニアの中途採用の選考を相談したいとき
面接回数や選考の流れの見直しからご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf)。出典:厚生労働省「IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業」調査報告書(令和6年3月)。個人アンケート(2023年9月15日~19日、インターネット調査、IT・デジタル関連の職種で働く2,000人)の実施概要と、別添5「個人アンケート_単純集計」Q17「直近の転職における転職活動期間」(単一回答、5年以内に転職した342人)の人数と割合を参照。3か月未満・半年未満の合計は人数から計算(2026年9月確認)
- *2 参考:デジタル庁 求人票「【F_04】ソフトウェアエンジニア」(https://herp.careers/v1/digitalsaiyo/E9zyCfLbWdED)。出典:デジタル庁「中途採用(専門人材)」のページ(https://www.digital.go.jp/recruitment/career)から案内されている求人一覧のうち、ソフトウェアエンジニアの求人票。【選考プロセス】の記載(面接の回数、応募から内定までの期間、結果連絡の目安、日程が延びる場合)を参照。同じ記載は他のエンジニア職の求人票にもある(2026年9月確認)
- *3 参考:東京都デジタル人材採用情報「採用種別」(https://www.digital-recruit.metro.tokyo.lg.jp/job/)。出典:東京都デジタル人材採用情報サイト「採用種別」。東京都職員(ICT)経験者採用選考の選考フロー(2026年度第3期)、GovTech東京職員採用の選考フロー、FAQ(面接の実施方法)を参照。日数は掲載の日付から計算(2026年9月確認)