LASSIC Media らしくメディア
衛生委員会の進め方|毎月1回の開催と議事の周知
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 50人で設置:施行令第9条が常時50人以上の事業場としています*2。
- 毎月1回以上:規則第23条第1項が開催の頻度を定めています*2。
- 議事は周知して残す:概要の周知と3年間の記録保存があります*2。
※ 本記事は2026年8月時点の公式情報(省庁・公的機関・ベンダー公式ドキュメント)に基づきます。
人が増えて事業場が50人を超えると、それまでなかった会議体が必要になります。衛生委員会です*1*2。
根拠は労働安全衛生法第18条第1項です*1。政令で定める規模の事業場ごとに、一定の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならないとしています*1。
その規模は施行令にあります*2。第9条は、常時50人以上の労働者を使用する事業場としています*2。
本記事では、設置の線、委員の決め方、調査審議する事項、そして会議の運営ルールを条文の順に整理します。
目次
設置の線は業種を問わず50人
まず全体像からです。
第18条第1項が設置の義務を置いています*1。政令で定める規模の事業場ごとに、衛生委員会を設けなければならないとしています*1。
目的も条文に書かれています*1。一定の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるためです*1。
報告を聞く場ではありません*1。委員会が審議し、事業者へ意見を述べるという向きです*1。
規模は施行令が定めます*2。第9条は、常時50人以上の労働者を使用する事業場としています*2。
業種の区分はありません*2。第17条の安全委員会は施行令第8条で業種ごとに50人または100人と分かれますが、衛生委員会は一律です*2。
| 項目 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 設置義務 | 法第18条第1項/施行令第9条 | 常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに設置 |
| 委員の構成 | 法第18条第2項・第3項 | 4つの区分から事業者が指名。第1号の者である委員は1人 |
| 半数の推薦 | 法第17条第4項の準用 | 過半数労働組合または過半数代表者の推薦に基づき指名 |
| 付議事項 | 規則第22条 | 重要事項に含まれるものとして12項目を列挙 |
| 会議の運営 | 規則第23条 | 毎月1回以上の開催、議事の概要の周知、3年間の記録保存 |
労働安全衛生法第17条・第18条、同法施行令第8条・第9条、労働安全衛生規則第22条・第23条より作成*1*2。
厚生労働省も同じ線を示しています*3。常時50人以上の労働者を使用する事業で設置が義務付けられているとしています*3。
以下では、委員をどう決めるのかを見ます*1。ここに手続きがあります*1。
委員は4つの区分から指名し、半数は推薦に基づく
委員の構成です。
第18条第2項が4つの区分を並べています*1。第1号は、総括安全衛生管理者、またはそれ以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者です*1。
この区分だけ人数が決まっています*1。同項ただし書は、第1号の者である委員は1人とするとしています*1。
残りの3つです*1。第2号は衛生管理者のうちから、第3号は産業医のうちから、第4号は当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有するもののうちから、それぞれ事業者が指名した者です*1。
産業医が独立した区分になっています*1。衛生管理者とは別に立てられています*1。
もう1つ指名できる人もいます*1。第18条第3項は、当該事業場の労働者で作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを委員として指名することができるとしています*1。
こちらは任意です*1。できる規定として書かれています*1。
議長も決まっています*1。第18条第4項が第17条第3項を準用し、第18条第2項第1号の者である委員が議長になるとしています*1。
そして半数のルールです*1。第17条第4項の準用により、第1号の者である委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないとしています*1。
会社が全員を選ぶ形ではありません*1。半数は推薦を経ます*1。
例外もあります*1。第17条第5項の準用により、過半数で組織する労働組合との間における労働協約に別段の定めがあるときは、その限度において適用しないとしています*1。
過半数代表者そのものの選び方は過半数代表者の選出の進め方|2つの要件と投票・挙手で整理しました*1。
調査審議するのは4つの事項
何を審議するかです。
第18条第1項が4つ挙げています*1。第1号は、労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関することです*1。
第2号は前向きな側です*1。労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関することです*1。
第3号は起きた後です*1。労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関することです*1。
第4号が受け皿になっています*1。前3号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項です*1。
この第4号の中身が規則にあります*2。第22条は、法第18条第1項第4号の重要事項に含まれるものとして12の事項を列挙しています*2。
厚生労働省も12項目としています*3。委員会は12項目を調査審議するとしています*3。
災害の原因の側は安全委員会と分担します*1。衛生に係るものが衛生委員会の担当です*1。
労働災害が起きたときの手続きそのものは別の話です。健康を確保する措置の例は面接指導が必要になる3つの場面と、会社が行う4つの作業で扱いました*1。
審議の結果は意見として出ます*1。第18条第1項が、事業者に対し意見を述べさせるためと書いているためです*1。
その意見をどう扱ったかは記録に残ります*2。規則第23条第4項が記録の対象としています*2。
次に、12の付議事項を見ます*2。実務の議題がここに並んでいます*2。
規則22条が並べる12の付議事項
議題の一覧です。
第22条は規程から始めます*2。第1号は衛生に関する規程の作成に関することです*2。
第2号はリスクアセスメントです*2。法第28条の2第1項または第57条の3第1項及び第2項の危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関することです*2。
第3号は計画です*2。安全衛生に関する計画(衛生に係る部分に限る)の作成、実施、評価及び改善に関することです*2。
第4号は教育です*2。衛生教育の実施計画の作成に関することです*2。
第5号は有害性の調査です*2。法第57条の4第1項及び第57条の5第1項の規定により行われる有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関することです*2。
第6号は測定です*2。法第65条第1項または第5項の規定により行われる作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関することです*2。
第7号は健康診断です*2。定期に行われる健康診断や臨時の健康診断、自ら受けた健康診断などの結果並びにその結果に対する対策の樹立に関することです*2。
第8号から第10号は施策です*2。健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成、長時間にわたる労働による健康障害の防止を図るための対策の樹立、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立です*2。
第11号は第577条の2に関する事項です*2。同条第1項、第2項及び第8項の規定により講ずる措置、並びに同条第3項及び第4項の医師又は歯科医師による健康診断の実施に関することです*2。
第12号は行政からの指摘です*2。厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関することです*2。
メンタルヘルスの対策も第10号として明記されています*2。取り組みの型はメンタルヘルス対策はなぜ人事労務と切り離せないのかで扱っています*2。
会議は毎月1回以上、議事の概要は周知する
運営のルールです。
規則第23条第1項が頻度を定めています*2。事業者は、委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないとしています*2。
ほかの運営事項は委ねられています*2。同条第2項は、委員会の運営について必要な事項は委員会が定めるとしています*2。
次に周知です*2。同条第3項は、開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を労働者に周知させなければならないとしています*2。
方法は3つのいずれかです*2。第1号は常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることです*2。
第2号は書面の交付です*2。書面を労働者に交付することとされています*2。
第3号は電子的な方法です*2。事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル等に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することとされています*2。
社内ネットワークに置くだけでは足りない書き方です*2。確認できる機器の設置が条件に入っています*2。
そして記録です*2。同条第4項は、開催の都度、委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容と、そのほか議事で重要なものを記録し、これを3年間保存しなければならないとしています*2。
議事録がそのまま要件を満たすとは限りません*2。意見と、それを踏まえて講じた措置が記録の対象です*2。
産業医の権限も置かれています*2。同条第5項は、産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができるとしています*2。
厚生労働省も同じ点を挙げています*3。毎月1回以上の開催が必須であり、事項の周知と3年間の記録保存も義務付けられているとしています*3。
安全委員会との関係と、50人未満の事業場
隣の条文です。
第17条第1項が安全委員会を定めています*1。政令で定める業種及び規模の事業場ごとに設けなければならないとしています*1。
こちらは業種で分かれます*2。施行令第8条は、林業、鉱業、建設業、製造業のうち一部の業種、運送業のうち一部の業種などを50人、それ以外の一定の業種を100人としています*2。
両方が必要になる事業場もあります*1。その場合の受け皿が第19条です*1。
第19条第1項が置き換えを認めています*1。第17条及び第18条の規定により両方を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて安全衛生委員会を設置することができるとしています*1。
委員の区分は5つになります*1。第19条第2項は、統括管理する者等、安全管理者及び衛生管理者、産業医、そして安全衛生の両面についてそれぞれ経験を有する当該事業場の労働者を挙げています*1。
議長と半数のルールも同じです*1。同条第4項が第17条第3項から第5項までを準用しています*1。
50人未満の事業場にも規定があります*2。規則第23条の2は、委員会を設けている事業者以外の事業者について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならないとしています*2。
会議体がなくても意見を聴く場面は残ります*2。設けるようにしなければならないという書き方です*2。
10人以上の事業場では別の選任もあります。安全衛生推進者の選び方|10人からの選任と業種の分かれ目で扱いました*2。
人数が増える過程で、必要な体制が段階的に変わっていきます*1*2。50人が衛生委員会と産業医の線です*2。
高年齢の労働者への配慮も委員会の議題になり得ます。整理はエイジフレンドリーガイドラインが分ける、場のリスクと人のリスクで扱っています*2。
採用実務で押さえる3点
最後に、採用や労務の担当が押さえる3点です。
1点目は、50人に届く前から準備を始めることです。施行令第9条が常時50人以上の事業場に設置を求めているためです*2。
委員には衛生管理者と産業医が入ります*1。第18条第2項第2号と第3号が区分として立てているため、選任が済んでいないと委員会も組めません*1。
採用が続いて人数が伸びる見通しなら、線に達する時期を先に見ておく作業になります*2。事業場ごとの人数で判断します*2。
2点目は、半数の推薦の手順を決めておくことです。第17条第4項の準用により、第1号以外の委員の半数を推薦に基づき指名する必要があるためです*1。
過半数労働組合がない事業場では、過半数を代表する者の推薦になります*1。誰がどう選ぶかを決めておく作業が先に来ます*1。
労働協約に別段の定めがある場合の扱いも条文にあります*1。第17条第5項の準用です*1。
3点目は、周知と記録を毎回の作業として組むことです。規則第23条第3項が開催の都度、遅滞なく議事の概要を周知させなければならないとしているためです*2。
記録は3年間保存です*2。同条第4項が、委員会の意見と、それを踏まえて講じた措置の内容を記録の対象としています*2。
開催そのものは毎月1回以上です*2。年に数回にまとめる形は条文の想定から外れます*2。
人数が増える時期は、この委員会の立ち上げと日々の採用実務が重なります。実務を回す人手を外に求める選択もありますが、委員の区分と推薦の手順を決めておく作業は先に済ませておく価値があります*1*2。
まとめ:衛生委員会の要点
第一に、設置です。労働安全衛生法第18条第1項は、政令で定める規模の事業場ごとに、労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策、健康の保持増進を図るための基本となるべき対策、労働災害の原因及び再発防止対策で衛生に係るもの、その他の重要事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならないとしています。同法施行令第9条は、その規模を常時50人以上の労働者を使用する事業場としています。第二に、委員です。第18条第2項は、総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者、衛生管理者、産業医、当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有するものの4つの区分から事業者が指名するとし、第1号の者である委員は1人としています。第3項は作業環境測定を実施している作業環境測定士である労働者を委員として指名することができるとしています。第4項が第17条第3項から第5項までを準用するため、議長は第1号の者である委員がなり、それ以外の委員の半数は過半数労働組合または過半数代表者の推薦に基づき指名します。第三に、運営です。労働安全衛生規則第23条は、委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないとし、運営について必要な事項は委員会が定めるとしています。開催の都度、遅滞なく議事の概要を、掲示または備え付け、書面の交付、電子計算機のファイルへの記録と常時確認できる機器の設置のいずれかの方法で労働者に周知させ、委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容と議事で重要なものを記録して3年間保存します。産業医は、労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができます。
よくある質問
衛生委員会はどの規模から必要ですか。
労働安全衛生法第18条第1項は政令で定める規模の事業場ごとに衛生委員会を設けなければならないとしており、同法施行令第9条がその規模を常時50人以上の労働者を使用する事業場としています。業種による区分はありません。第17条の安全委員会は施行令第8条により業種ごとに50人または100人と分かれます。厚生労働省も、常時50人以上の労働者を使用する事業で設置が義務付けられていると説明しています。
委員はどのように決めますか。
労働安全衛生法第18条第2項は、総括安全衛生管理者またはその事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者、衛生管理者、産業医、当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有するものの4つの区分から事業者が指名するとし、第1号の者である委員は1人としています。第4項が第17条第4項を準用するため、第1号の者である委員以外の委員の半数は、過半数で組織する労働組合、ないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名します。
開催の頻度と記録はどうなりますか。
労働安全衛生規則第23条第1項は、事業者は委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないとしています。第4項は、開催の都度、委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容と、そのほか議事で重要なものを記録し、これを3年間保存しなければならないとしています。運営について必要なその他の事項は、第2項により委員会が定めます。
議事の概要はどう周知しますか。
労働安全衛生規則第23条第3項は、開催の都度、遅滞なく議事の概要を、常時各作業場の見やすい場所に掲示し又は備え付けること、書面を労働者に交付すること、事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル等に記録し各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかの方法によって労働者に周知させなければならないとしています。
安全委員会と分けて設ける必要がありますか。
労働安全衛生法第19条第1項は、第17条及び第18条の規定により安全委員会及び衛生委員会を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて安全衛生委員会を設置することができるとしています。委員会を設けている事業者以外の事業者については、労働安全衛生規則第23条の2が、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならないとしています。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(昭和四十七年法律第五十七号)(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057)。第17条(安全委員会。政令で定める業種及び規模、委員の構成、議長、第1号以外の委員の半数の推薦に基づく指名、労働協約に別段の定めがある場合)、第18条(衛生委員会。調査審議して事業者に意見を述べさせる4つの事項、委員の4区分と第1号の者である委員が1人であること、作業環境測定士の指名、第17条第3項から第5項までの準用)、第19条(安全衛生委員会。両方を設けなければならないときの置き換え、委員の5区分、準用)の一次情報として(2026年8月確認)
- *2 参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」および「労働安全衛生規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032)。労働安全衛生規則第22条(衛生委員会の付議事項として12項目。衛生に関する規程の作成、危険性又は有害性等の調査、安全衛生に関する計画、衛生教育の実施計画、有害性の調査、作業環境測定の結果と対策、健康診断の結果と対策、健康の保持増進の実施計画、長時間労働による健康障害の防止、精神的健康の保持増進、第577条の2に関する事項、行政から文書により受けた命令等)、第23条(毎月1回以上の開催、運営事項は委員会が定めること、議事の概要の周知の3つの方法、委員会の意見と講じた措置の内容の記録と3年間保存、産業医による調査審議の求め)、第23条の2(委員会を設けている事業者以外の事業者による関係労働者の意見を聴く機会)、および労働安全衛生法施行令第8条・第9条(安全委員会は業種と規模で50人または100人、衛生委員会は常時50人以上)の一次情報として(2026年8月確認)
- *3 参考:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「衛生委員会」(確認日2026年8月31日)(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo44_1.html)。常時50人以上の労働者を使用する事業で設置が義務付けられていること、委員の構成が総括安全衛生管理者等・衛生管理者・産業医・衛生に関する経験を有する労働者であること、委員会が12項目を調査審議すること、毎月1回以上の開催が必須であること、事項の周知と3年間の記録保存が義務付けられていることの一次情報として(2026年8月確認)