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2026.09.19 採用支援コラム

外部人材活用と上場準備、社外高度人材の要件は全9号




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 法律に「社外の人」の定義がある:中小企業等経営強化法は社外高度人材を、その会社の役員や使用人その他の従業者以外の者で、新事業活動に有用な高度な知識又は技能を有する者として省令の要件に当たる者と定めています。*1
  • 要件は9つの号:省令は当たり方を9つの号に分けています。*2 資格や学位で当たる号と、実務の年数で当たる号があります。
  • 条件を書き分けているのは開発の号だけ:数字を見る第7号から第9号のうち、勤め先が上場会社等である場合の条件まで書いているのは開発の第7号だけで、第8号と第9号は上場会社等でない場合についてだけ条件を置いています。*2

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

上場準備の段階で、社外のエンジニアに新株予約権、いわゆるストックオプションで報いたい話が出ることがあります。租税特別措置法の第29条の2は、特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等を定めた条文で、その対象に、認定を受けた計画に従って新株予約権を与えられる社外高度人材が挙げられています。*3 外部人材活用をこの枠組みで進めるとき、誰でも社外高度人材になるわけではありません。

根拠は中小企業等経営強化法と、その施行規則です。法律が社外高度人材の輪郭を決め、細かい要件は経済産業省令に預けられています。*1 この記事では、その要件を条文から読み取れる範囲で並べます。

先に断っておくと、税額や認定が下りるかどうかは扱いません。扱うのは、条文が社外高度人材と会社にどんな条件を置いているかまでです。上場準備の実務では、ここを早めに見ておくと外部人材活用の選択肢が絞れます。

白い背景に茶色の紙袋がひとつ置かれた写真。人もロゴも画面も写っていない

法律は社外高度人材を「従業者以外の者」と定めている

中小企業等経営強化法の第2条第8項にある社外高度人材活用新事業分野開拓という語の、かっこ書きで社外高度人材が定義されています。*1

条文は社外高度人材を「当該新規中小企業者等の役員及び使用人その他の従業者以外の者であつて、新事業活動に有用な高度な知識又は技能を有する者として経済産業省令で定める要件に該当する者」としています。*1 人についての条件は2つです。社内の人ではないこと、そして省令の要件に当たることです。

同じ項には、次の条件も書かれています。新規中小企業者等が、投資及び指導を業とする者として省令の要件に当たる者から投資及び指導を受けていることです。*1 相手は省令で、組合、匿名組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、これらに類似する外国の団体、株式会社または合同会社とされています。*2

会社の側にも枠があります。この枠組みは会社が計画を作り国の認定を受ける形で使い、*1 認定を受けられるのは新規中小企業者等です。法律はこれを、事業の開始または設立から五年未満の個人や会社などとしています。*1 五年以上十年未満の会社も入りますが、その場合は、プログラムの開発その他の情報処理に関する高度な知識又は技能を活用して行う業務に従事する従業員の割合が、省令で定める割合を超えることが条件です。*1 条文はこの2つしか挙げておらず、設立から十年を過ぎた会社の受け皿は書かれていません。

社外高度人材の要件9号を3つのまとまりに分けた図。第1号から第4号は資格・学位・在留資格・大学の職で当たる。第5号と第6号は役員等の経験や国の育成事業への選定で当たる。第7号から第9号は開発・販売・資金調達の実務年数に加えて前の勤め先の数字の条件が付く。号の中身は省令の記述で、3つにまとめたのはこの記事。

社外の人に声をかけただけでは乗りません。会社が若いことと、条文のいう投資及び指導を受ける相手がいることが前提です。これはこの記事の読み方です。

省令は当たり方を9つの号に分けている

ここでいう経済産業省令は中小企業等経営強化法施行規則で、要件はその第4条にあり、9つの号のいずれかに当たるとされています。*2

先に語を決めておきます。条文の上場会社等は、金融商品取引所に上場されている株式などの発行者である会社です。*2 当該機関は、その人が契約に基づいて働いていた勤め先で、条文は本邦の公私の機関とし、契約の種類は書いていません。*2 イとロは条文の枝番号で、号によって使い分け方が違います。第7号から第9号の十年間は計画を開始しようとする日から遡って数え、二年以上の従事がその中に入っていること、および勤め先が上場会社等だったかどうかをその十年間で見ること、の2つにかかります。*2

社外高度人材の要件(中小企業等経営強化法施行規則第4条第1号から第9号を要約。号の番号と年数は条文のまま。確認日2026年9月19日)
何によって当たるか
1 我が国の国家資格を有すること
2 博士の学位を有すること
3 高度専門職の在留資格をもって在留していること
4 大学において教授又は准教授の職にあること
5 上場会社等又は投資及び指導を受ける会社の役員又は重要な使用人(会社法にいう支配人その他の重要な使用人)として一年以上の実務経験があること
6 国又は国から委託を受けた機関の先端的な人材育成事業に選定され従事していたこと
7 製品又は役務の開発に二年以上従事し、勤め先が十年間継続して上場会社等ならイ、そうでなければロに該当すること
8 製品又は役務の販売又は提供に二年以上従事し、勤め先が十年間継続して上場会社等でない場合はイ又はロに該当すること
9 資金調達に二年以上従事し、勤め先が十年間継続して上場会社等でない場合は資本金等の額が百分の百以上増えて一千万円以上であること

第1号の国家資格には省令の中に定義があります。資格のうち、法令において当該資格を有しない者は、その資格に係る業務若しくは行為を行い、又はその資格に係る名称を使用することができないこととされているものです。*2 資格が無ければその仕事をしてはいけない、または肩書きを名乗ってはいけない、と法令が定めている資格です。条文は個別の資格を列挙していないので、資格名は挙げません。

号は3つのまとまりに分かれます。第1号から第4号は、資格、学位、在留資格、大学の職という、その人が持っているもので当たります。第5号と第6号は、役員等としての経験や国の事業への選定という過去の立場で当たります。*2 第5号にも一年以上という年数はありますが、勤め先の数字を調べる条件は付いていません。*2

第7号から第9号は、開発、販売、資金調達という実務の年数で当たります。この3つだけは、年数に加えて勤め先の数字を見る条件が置かれています。*2 第7号は売上高と試験研究費等の額、第8号は売上高、第9号は法人税法が定める資本金等の額です。*2 条件が働く場面は号によって違い、エンジニアに声をかける場合はこの3つを見ることが多くなります。

先に触れた十年間は、この3つの号に共通して置かれています。*2 何年前の経歴まで持ち出せるかが、ここで決まります。二年以上は従事した長さ、十年間はその二年が収まる枠であり、同時に勤め先の上場の有無を見る期間でもあります。*2

第7号から第9号のうち、上場会社等である場合を書いているのは開発だけ

第8号の販売と第9号の資金調達は、数字の条件の前に、当該機関が計画を開始しようとする日から遡って十年間において継続して上場会社等でない場合、という限定を置いています。*2 十年間ずっと上場していなかった勤め先についてだけ条件が書かれています。

では、勤め先が上場会社等だった場合はどうなるか。条文はこの場合について何も書いていません。二年以上の従事だけで足りると読むこともできますが、条文が明言していることではないので、結論を出しません。

第7号の開発は書き方が違います。イが上場会社等である場合、ロが上場会社等でない場合で、どちらでも条件が続きます。*2 イとロは選ぶものではなく、勤め先が上場していたかどうかで決まります。上場会社等である場合の条件まで書いているのは、この3つでは第7号だけです。

イは3つの条件を「かつ」でつなぎ、3つとも満たすことを求めます。*2 開発に従事していた期間について、開始時点に比べて終了時点でその製品又は役務の売上高が増えていること、開始時点ではその売上高が勤め先の全事業の売上高の百分の一未満、終了時点では百分の一以上になっていることです。*2

ロは上場会社等でない場合で、4つのどれかに当たれば足ります。ここでの百分の百以上増えるは二倍以上、百分の四十以上増えるは1.4倍以上になることです。全事業の売上高が百分の百以上増えて二十億円以上、製品又は役務の売上高が百分の百以上増えて二億円以上、全事業の試験研究費等合計額が百分の四十以上増えて二千五百万円以上、その製品又は役務の試験研究費等合計額が百分の四十以上増えて二百五十万円以上です。いずれも終了時点の額です。*2 試験研究費等合計額の中身は、省令ではなく政令である施行令に委ねられており、この記事では確かめていません。

後ろの2つは売上ではなく試験研究費等の額で、売上が立つ前に開発をしていた人にも道が残ります。これはこの記事の読み方です。第8号のイとロは、全事業の売上高が百分の百以上増えて二十億円以上、または製品又は役務の売上高が百分の百以上増えて二億円以上で、第7号ロの前半2つと同じ形です。*2 第9号は資本金等の額が百分の百以上増え、一千万円以上であることです。*2

上場準備で確かめておきたい点

進める前に、確かめる点を5つ挙げます。並べ方はこの記事のものです。

1つめは、条文の「上場会社等」が誰のことかです。第7号から第9号では、来てもらう人の過去の勤め先を指しています。*2 上場準備という言葉につられて自社のことだと読まないことです。これはこの記事の読み方です。

2つめは、社内の人ではないことの確認です。法律はこの区分から社内の従業者を外しているので、*1 自社の従業者は扱えません。ただし第5号がいう投資及び指導を受ける会社は、自社と同じ形の会社です。自社の元役員が当たるのかは条文から読み取れないので、結論を出しません。*2

3つめは、投資及び指導を受ける相手がいるかです。法律はこれを条件に置いています。*1

4つめは、自社が年数の枠に入っているかです。事業の開始または設立から五年未満か、五年以上十年未満で情報処理の業務に就く従業員の割合が省令の割合を超えるかです。*1 この割合の数値は確かめていません。

5つめは、どの号で当たるつもりかを先に決めることです。本人の手元で確かめられる号と、前の勤め先の数字を調べる号では、用意するものが変わります。*2

自社で高める機能と社外に任せる機能の切り分けという別の論点は、記事「外部人材活用と内製化の進め方|自社で高めたい機能は3つ」で扱っています。

まとめ:社外高度人材に当たるかは9つの号で決まる

上場準備の段階で社外のエンジニアに新株予約権で報いたいとき、その人が社外高度人材に当たるかどうかが入口になります。租税特別措置法が対象に挙げているのは、認定を受けた計画に従って新株予約権を与えられる社外高度人材だからです。*3読み取れることは3つです。第一に、法律は社外高度人材を社内の従業者ではない者と定め、細かい要件を省令に預けています。*1 第二に、省令はその要件を9つの号に分け、資格や学位で当たる号と実務の年数で当たる号を並べています。*2 第三に、数字を見る3つの号のうち、勤め先が上場会社等である場合の条件まで書いているのは第7号だけで、第8号と第9号は上場会社等でない場合についてだけ条件を置いています。*2 以上から、確かめるのは条文の上場会社等が誰を指すか、社内の人でないか、投資及び指導を受ける相手がいるか、自社が年数の枠に入っているか、どの号で当たるつもりかの5つです。これはこの記事の読み方です。

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よくある質問

エンジニアはどの号で当たりますか

開発の経歴で見るなら第7号です。製品又は役務の開発に二年以上従事したことに加え、前の勤め先の売上高または試験研究費等の額の条件が続きます。*2 十年間の中に二年以上が入っている必要もあります。*2 資格や学位で当たる号もあるので、どの号かは人によります。

自社の社員を社外高度人材にできますか

法律は社外高度人材を、社内の従業者ではない者で、かつ高度な知識又は技能について省令の要件に当たる者としています。*1 社内の従業者はこの区分から外れています。ただし第5号の読み方には条文から決まらない部分があります。社内の人に新株予約権を出すこと自体は別の話で、ここでは扱いません。

どの号で当たるかから相談したいときは

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出典

  1. *1 参考:中小企業等経営強化法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000018)。出典:中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)第二条第三項、第四項および第八項。社外高度人材活用新事業分野開拓の定義、社外高度人材が当該新規中小企業者等の役員及び使用人その他の従業者以外の者であること、投資及び指導を業とする者から投資及び指導を受けること、新規中小企業者等が事業の開始または設立から五年未満の者などであること、五年以上十年未満の会社については情報処理に関する業務に従事する従業員の割合が省令の割合を超えることの一次情報として(2026年9月確認)
  2. *2 参考:中小企業等経営強化法施行規則(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000400074)。出典:中小企業等経営強化法施行規則(平成十一年通商産業省令第七十四号)第三条および第四条。投資及び指導を行うことを業とする者の要件、社外高度人材の要件が第一号から第九号までの九号であること、第七号がイとロで上場会社等である場合とそうでない場合の両方に条件を置いていること、第八号と第九号が上場会社等でない場合についてだけ条件を置いていること、第七号イの三つの条件と第七号ロの四つの基準、第八号のイとロ、第九号の資本金等の額が百分の百以上増加し一千万円以上であること、第五号が会社法第三百六十二条第四項第三号の重要な使用人を引くこと、第九号が法人税法第二条第十六項の資本金等の額を引くことの一次情報として(2026年9月確認)
  3. *3 参考:租税特別措置法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026)。出典:租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二十九条の二。条見出しが特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等であること、その対象となる個人の中に、認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画に従って新株予約権を与えられる社外高度人材が挙げられていることの一次情報として(2026年9月確認)




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