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外部人材活用と認定制度の落とし穴、実績要件は3年か10者
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 法律が並べた条件は4つ:ソフトウェア業等に属する事業を行うこと、情報処理について高度な知識及び経験を有すること、情報処理支援業務を行うこと、基本方針に適合することの4つに当たるものを、申請により認定できるとしています。*1
- 命令が見るとしたのは2つの号:第1号は法律にもある基本方針への適合です。第2号はイとロの両方に当たることが要り、イが提供していること、ロが三年以上か十者以上の中小企業等への実績のどちらかです。*2
- 認定は三年ごとの更新:更新を受けなければ三年で効力を失います。*1 更新の申請は有効期間の満了する日の三十日前までです。*2
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
IT関連の仕事を社外に任せるとき、相手が国の認定を受けているかを見ることがあります。外部人材活用の相手を選ぶ場面で、認定制度が判断材料のひとつになるからです。
取り上げるのは、認定情報処理支援機関という制度です。中小企業等経営強化法に根拠があり、経済産業大臣が認定します。*1 通称はスマートSMEサポーターですが、条文の名前は認定情報処理支援機関です。
この記事で扱うのは、条文と命令に書かれた要件と、そこから何が分かるかまでです。ある会社が認定を取れるかどうかや、認定が下りるかどうかは扱いません。審査の運用は所管の一次情報で確かめてください。
目次
法律は「高度な知識及び経験」を持つ者を認定するとしている
根拠は中小企業等経営強化法の第43条です。第1項が並べている条件は4つです。*1 ソフトウェア業又は情報処理サービス業に属する事業を行う者であること、情報処理に関する高度な知識及び経験を有すること、情報処理支援業務を行うこと、そして基本方針に適合すると認められること。この4つに当たるものを、経済産業大臣がその申請により認定することができる、という作りです。*1
情報処理支援業務は同じ条の第2項にあります。経営能率の相当程度の向上を行おうとする中小企業等に対する、情報処理を行う方法に係る指導、助言、情報の提供その他の情報処理に関する支援です。*1 かっこ書きで、この情報処理を行う方法にはサイバーセキュリティの確保を含むとされています。*1
法律の文面は、相手が中小企業等であること、支援の中身が指導や助言であること、そこにセキュリティの確保が含まれることを決めています。*1 高度な知識及び経験が何で確かめられるかは、この条だけでは決まりません。基本方針への適合も、この段階ですでに条件に入っています。*1 これはこの記事の読み方です。
命令が認定のときに見るとした2つの号
では、命令は何を見るとしているか。中小企業等経営強化法第四十三条第一項に規定する情報処理支援業務を行う者の認定等に関する命令の第2条です。*2 条文は条、項、号の順に細かくなり、号の中がさらにイ、ロと分かれます。どこが「いずれにも」でどこが「又は」かは、この入れ子のどの段かで決まります。
第2条第1項は、次の各号に掲げる要件のいずれにも適合していると認めるときに認定を行うとし、2つの号を並べています。*2 第1号は基本方針に適合すると認められることで、法第43条第1項にもあった条件です。*1*2 第2号は「次のいずれにも適合していると認められること」としたうえでイとロを置く形で、両方に当たる必要があります。*2 第2号にはかっこ書きも付いていて、法人にあってはその人的構成に照らしてイとロに適合していると認められること、という書き方です。*2 人的構成は、その法人にどういう人がいるかという意味です。
| 号・細目 | 条文が求めていること |
|---|---|
| 1 | 基本方針に適合すると認められること |
| 2イ | ソフトウェア又は情報処理サービスを提供していること |
| 2ロ | 三年以上のソフトウェア又は情報処理サービスの提供実績、又は十者以上の中小企業等に対する提供実績を有していること |
ロの中では、三年以上の提供実績と十者以上の中小企業等に対する提供実績が「又は」でつながれているので、どちらか一方で足ります。*2 号と号の間もイとロの間も「いずれにも」なので、2つのうち1つでよいのは、この実績の部分だけです。*2 なおイにある「ソフトウェア又は情報処理サービス」は、提供するものの種類を並べた「又は」です。*2
法律の4条件と命令の2つの号を突き合わせると、対応関係は条文に書かれていません。第1号は法律にもあった基本方針への適合です。第2号のイは提供しているものの種類を、ロは提供の年数か件数を見ています。高度な知識及び経験という言葉は、命令の号には出てきません。*2
近いのは、第2号のかっこ書きで法人について人的構成に照らして見るとしている部分です。*2 ただし命令が置いたのはこの見方までで、技術の水準を測る数値はありません。*2 どの条件がどの号に対応するかを条文から決めることはできない、というのがこの記事の読み方です。
第1号の基本方針への適合が、内容の薄い条件だという意味ではありません。基本方針は法第3条に基づき主務大臣が定めるもので、情報処理支援業務については、業務の内容に関する事項、実施体制に関する事項、実施に当たって配慮すべき事項を定めるとされています。*1 その中身は別の文書にあり、この記事では確かめていません。技術の水準がそこに書かれているかも分かりません。
もうひとつ、認定を受けられない側からの条件もあります。ここで準用という書き方が出てきます。別の条文を、必要な語を入れ替えてこちらにも当てはめる作りです。法第47条は、認定経営革新等支援機関という別の認定制度の第32条から第36条までを、認定情報処理支援機関に準用するとしています。*1
その第32条が、認定を受けることができない者を8つの号で並べています。*1
8つの内訳は号の順に、刑罰が2つ、心身の故障が1つ、破産が1つ、過去の取消しが1つ、反社会的勢力が2つ、役員の欠格が1つです。*1 技術の水準を条件にした号はありません。*1 この8つは当てはまる相手を外すための条件で、当てはまらない相手の順位を付けるものではありません。これはこの記事の読み方です。
認定は三年ごとに更新しないと効力を失う
認定には期限があります。先ほどの準用で、法第47条は第33条第1項の「五年」を「三年」と読み替えるとも書いています。*1
もとの第33条第1項は、認定は五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって効力を失うという規定です。*1 これを三年に読み替えるので、認定情報処理支援機関の認定は三年ごとの更新になります。この筋道はこの記事の整理です。
手続の期限は命令の第8条です。更新を受けようとするときは、現に受けている認定の有効期間が満了する日の三十日前までに、様式第一による更新申請書を経済産業大臣に提出しなければならないとされています。*2 同条第2項は第2条第1項を更新にも準用するので、*2 更新でも同じ号を見ます。
過去に認定を受けたという説明だけでは、それが今も生きているかは決まりません。いつ受けた認定で、いつまでの有効期間かを分けて聞くことになります。これはこの記事の読み方です。
途中で終わる道も準用されています。第35条は、基本方針に照らして業務の運営に改善が必要であると認めるときに、改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができるとしています。*1 基本方針は認定した後も効いてきます。
第36条は認定の取消しです。取り消せるのは、第32条各号のいずれかに該当するに至ったとき、前条の規定による命令に違反したとき、不正の手段により認定または更新を受けたことが判明したときの3つです。*1 ただし第32条第5号、取消しを受けて五年を経過しない者という号だけは、ここから除かれています。*1 取り消された者であることを理由に再び取り消す形を避けるためだと読めます。これはこの記事の読み方です。
第34条は、認定に係る業務を廃止しようとするときに、あらかじめ届け出なければならないとしています。*1 事業者の側から降りる道もあります。
委託先を選ぶときに確かめておきたい点
判断材料にする前に、確かめる点を4つ挙げます。並べ方はこの記事のものです。
1つめは、認定が自社の任せたい領域と重なっているかです。第2号が見るのは、ソフトウェア又は情報処理サービスを提供していることと、三年以上か十者以上の実績です。*2 領域までは号に書かれていないので、どの分野の実績かは別に聞くことになります。これはこの記事の読み方です。
2つめは、どちらの実績で満たしたのかが外からは分からないことです。両者は「又は」の関係なので、*2 条文の上では、年数の短い事業者が十者の実績で満たすことも、件数の少ない事業者が三年で満たすこともできます。どちらで満たしたかは聞かなければ分かりません。これはこの記事の読み方です。
3つめは、認定の時期です。三年ごとの更新なので、*1 取得した年と現在の有効期間を分けて確かめます。
4つめは、自社がこの制度の想定する相手に当たるかです。法第43条第2項は、支援の相手を経営能率の相当程度の向上を行おうとする中小企業等としています。*1 自社が中小企業等に当たるかは法が別に定める範囲で決まるので、そこを先に確かめます。当たらないなら、この認定は自社向けの支援に付いたものではない、と読むことになります。
社外の人に新株予約権で報いる場面の認定制度は、記事「外部人材活用と上場準備、社外高度人材の要件は全9号」で扱っています。
まとめ:どちらかでよいのは年数か件数の部分だけ
外部人材活用の相手を選ぶとき、認定情報処理支援機関という認定制度をどこまで判断材料にできるか。読み取れることは3つです。第一に、法律は情報処理に関する高度な知識及び経験を有する者を認定するとしています。*1 第二に、命令が認定のときに見るとしたのは2つの号で、第1号の基本方針への適合は法律にもあった条件です。*1*2 第2号はイとロの両方に当たることが要り、イが提供していること、ロが三年以上の提供実績か十者以上の中小企業等に対する提供実績のどちらかです。*2 どちらかでよいのはロの中だけです。*2 第1号の基本方針の中身は別の文書にあり、この記事では確かめていないので、技術の水準がそこで見られているかどうかは分かりません。第三に、認定は三年ごとの更新で、*1 更新申請は有効期間の満了する日の三十日前までです。*2 以上から、確かめるのは、認定が自社の任せたい領域と重なっているか、どちらの実績で満たしたか、認定の時期、自社がこの制度の想定する相手に当たるかの4つです。自社が中小企業等に当たらないなら、この認定は自社向けの支援に付いたものではないので、判断材料にはなりません。これはこの記事の読み方です。
よくある質問
認定があれば技術力は確かめなくてよいですか
命令の第2号が見るのは、提供していることと、三年以上か十者以上の中小企業等に対する実績です。どちらかでよいのは後ろの実績の部分だけです。*2 残る第1号の基本方針の中身はこの記事では確かめていないので、この記事の材料だけでは、任せたい領域の技術力が見られているかどうかまでは分かりません。
認定に期限はありますか
あります。法第47条が第33条第1項の五年を三年と読み替えて準用するので、三年ごとの更新です。*1 更新申請は有効期間が満了する日の三十日前までです。*2
委託先の選び方から相談したいときは
任せたい領域が固まっていない段階でもご相談ください。
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出典
- *1 参考:中小企業等経営強化法(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000018)。出典:中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)第三条第二項、第三十二条、第三十三条第一項、第三十四条から第三十六条まで、第四十三条および第四十七条。認定情報処理支援機関の認定の根拠、情報処理支援業務の内容とサイバーセキュリティの確保を含む旨、基本方針が情報処理支援業務について定める事項、第四十七条が第三十二条から第三十六条までを準用し第三十三条第一項の五年を三年と読み替えること、第三十二条の欠格条項が八号であることとその並び順、第三十四条の廃止の届出、第三十五条の改善命令、第三十六条の認定の取消しの三つの事由の一次情報として(2026年9月確認)
- *2 参考:中小企業等経営強化法第四十三条第一項に規定する情報処理支援業務を行う者の認定等に関する命令(e-Gov法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/430M60000400041)。出典:中小企業等経営強化法第四十三条第一項に規定する情報処理支援業務を行う者の認定等に関する命令(平成三十年経済産業省令第四十一号)第二条および第八条。認定の要件が二つの号であること、第二号イとロの内容、三年以上の提供実績と十者以上への提供実績が「又は」で結ばれていること、更新申請が有効期間の満了する日の三十日前までであることの一次情報として(2026年9月確認)