LASSIC Media らしくメディア

2026.10.16 採用支援コラム

育休の代替要員がいない場合の4つの確保策とエンジニアの選び方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

並んだ2つの木目の机の境目に開いた白いバインダーと付箋、右の机の開いたノートPC、左の机の閉じたPC

この記事の結論

  • 育休の代替要員がいないときは、手段を選ぶ前に休業する人の仕事を棚卸しし、社内で持つ仕事と外から入ってもらう仕事を分けます。
  • 社内の異動、派遣、業務委託、期間を定めた採用は、休業の長さと仕事の切り出しやすさで選びます。
  • 引き継ぎは業務引継書と面談で組み、代替の人から復帰する本人へ戻す手順も先に決めておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

来春から担当のエンジニアが育休に入る。ところが代替の要員を探す当てがなく、その人の仕事を社内の誰に渡すかも決まっていない——。開発チームや情報システム部門では、こうした場面が起こりがちです。厚生労働省の委託調査では、企業の46.7%が両立支援を進める課題に「代替要員の確保が難しく、管理職や周囲の従業員の業務量が増えた」を挙げています。*1 育休の代替要員の確保とは、休業に入る人の仕事を、休業の間だけ誰がどう受け持つかを決めて手当てすることを指します。

代替要員がいないまま休業の日を迎えると、周囲の負担が急に増えます。本記事では、IT部門の責任者や開発マネージャーに向けて、代替要員が見つからない現状、4つの手段の違い、仕事の種類による選び方、復帰までの引き継ぎ、外部の人に頼むときの確認点を整理します。育休の制度そのものは扱いません。

代替要員がいない企業の現状

日本能率協会総合研究所が厚生労働省の委託で行った令和4年度の企業調査は、農林水産業と公務を除く従業員50人以上の企業5,000社に郵送で尋ね、926社が回答しました。*1

仕事と育児の両立支援を進めるうえでの障壁・課題(複数回答)で最も多かったのは、代替要員の確保が難しく、管理職や周囲の従業員の業務量が増えたことで、46.7%でした。2番目の不公平感の26.9%を大きく上回っています。*1

半年以上の育児休業を取る人がいるとき、企業は実際に何をしているのか。同じ調査の上位3つを表にします(回答企業全体に占める割合、複数回答)。

半年以上の育児休業取得者がいる場合の職場の対応(回答の多かった上位3つ)
職場の対応 割合
周囲の労働者の業務分担の見直しを行う 39.7%
代替要員(新規雇い入れ、派遣の受け入れ)を確保する 20.3%
社内における配置転換等により代替要員を確保する 15.8%

最も多いのは周囲で分担する対応で、外から入れる企業は約2割です。*1 開発や情報システムの仕事は担当者ごとに中身が違い、周囲で分担しようにも誰も中身を知らないことが起こりがちです。分担で済ませるか人を入れるかは、仕事の種類を見て決めます。

代替要員を確保する手段の違い

代替要員の確保は、大きく4つの手段に分けられます。厚生労働省の「育休復帰支援プラン策定マニュアル」は、有期雇用の労働者を雇う方法と、社内の他部署からの異動で対応する方法を挙げています。*2 ここに派遣と業務委託を加えて比べます。

会議室の白いテーブルで、並べた3枚の経歴書の中央の1枚に丸印を付ける両手

育休の代替要員を確保する4つの手段と選び方(考え方の例)
手段 向く場面 先に確かめる点
社内の異動 システムの経緯や社内の事情を知る人がいる。本番環境の権限が要る仕事 異動元の部署に穴があかないか。休業が明けたとき、戻る席があるか
派遣 休業の期間が見えていて、作業の内容を決めて指示を出せる仕事(運用や定期の作業など) 依頼から参画までの日数、受け入れ側での教育の手間
業務委託 改修、調査、設計の一部など、作業のまとまりを切り出せる仕事 成果や作業の範囲を契約で決めること。日々の指示の出し方が契約の種類に合うか
期間を定めた採用 休業が長く、数か月かけて社内の仕事を覚えてもらえる 契約の期間と更新の扱い、休業が明けたときの終了の伝え方

派遣には、同じ事業所の同じ業務で受け入れられる期間に原則3年の制限があります。ただし、労働者派遣法第40条の2第1項第4号は、派遣先の労働者が育児休業などで休業する場合のその労働者の業務への派遣を、この制限の対象外としています。*3 詳しい扱いは派遣元や専門家に確かめてください。

どの手段にも共通する注意点があります。マニュアルは、代替要員を確保する場合には休業取得者の復職時の原職復帰に配慮する必要があるとして、方策を先に検討するよう求めています。*2 復帰する本人の席と仕事をどう戻すかまで含めて手段を選びます。

仕事の種類で手段を選ぶ

手段を選ぶ前に、仕事を棚卸しします。マニュアルは、どのような業務にどれくらいの分量(工数)があるのかを一覧にし、必要性や重要性で分類するよう示しています。*2 分類後の扱いは次の3つです。

  • 必要性の低い仕事:省略や廃止を考え、外部化も選ぶ
  • 重要度が高い仕事や一定の権限が要る仕事:職位が上の人に引き継ぐ
  • それ以外の仕事:職位が下の人に分担する

開発・情報システムの仕事に当てはめると、次の表のようになります。休業の長さやチームの構成で変わる、一つの考え方の例です。

エンジニアの仕事の種類と合う手段の例
仕事の種類 例 合う手段
決まった手順で進める仕事 定期の作業、監視、問い合わせの一次対応 派遣、期間を定めた採用、周囲で分担
作業のまとまりを切り出せる仕事 小さな改修、テスト、調査、資料の作成 業務委託
判断や権限が要る仕事 本番環境の変更の承認、障害時の最終判断 社内の異動、上位の人への引き継ぎ

マニュアルは、社内の人でないと任せづらい仕事や、特殊な資格が要りすぐに代替要員を確保できない仕事は、職場のメンバーで分担してカバーすることになるとしています。その場合は、負荷の増えるメンバーの理解を促し、業務のスリム化や多能工化も進めておくことが大切です。*2

復帰までの引き継ぎの組み方

引き継ぎは、休業に入る前と、復帰したあとの2回あります。入るときは本人から代替の人や周囲へ、戻るときは代替の人から本人へ渡します。

窓際の木目の机で、罫線だけの表を綴じたバインダーの空欄にペンで丸い印をつける手元

マニュアルには、業務引継書の記載例が載っています。引き継ぐ内容、備考、完了日の3つを並べた表で、引き継ぐたびに完了日を埋めていく形です。*2 エンジニアの仕事に置き換えると、次のような項目が考えられます。

  • 引き継ぐ内容:定期の作業の名前と、実行する日付
  • 備考:手順書の置き場所、動かすときの注意点
  • 完了日:代替の人が自分の手で1回動かせた日

育休に入る担当エンジニアの引き継ぎを、左から右へ4つの箱で示した図。1つ目は業務の棚卸しで、仕事を一覧にして工数を書き出し、必要性と重要度で分ける。2つ目は業務引継書で、引き継ぐ内容、備考、完了日を書いて代替の人と確かめる。3つ目は面談で、休業前、休業中、復帰後の3つの時期に上司や人事と話す。4つ目は復帰の引き継ぎで、代替の人から復帰する本人へ仕事を戻す。下の帯には、代替要員を入れるときは復帰する本人が元の仕事に戻れるように、戻し方を先に決めると書かれている。厚生労働省の育休復帰支援プラン策定マニュアルをもとに作成。

面談は、妊娠報告後、休業前、休業中、復帰後の複数の時期に行うよう、マニュアルは勧めています。上司とは仕事の引き継ぎや復帰後の業務内容、人事とは制度の利用について確かめます。*2

外部の人が代替で入った場合の引き継ぎは、SES契約終了の後任への引き継ぎ、要員交代と会社交代の違いでも整理しています。

外部人材に頼むときに確認したい点

派遣や業務委託で代替の人を入れるときは、頼む前に次の点を確かめます。

窓際の机で社内の担当者と外部の支援担当者が1台のノートPCの表を一緒に確かめている

  • 休業に入る本人が出勤している間に参画でき、引き継ぎに同席できるか
  • 契約の期間が、休業の見込みの期間と復帰のあとの引き戻しの日程に合っているか
  • 同じ言語、同じ構成のシステムを触った経験があるか
  • 渡すアカウントと権限の範囲、秘密保持の契約が参画の前に決まっているか
  • 復帰のときに、代替の人から本人へ引き戻すところまでが業務に含まれているか

休業の期間は延びたり短くなったりします。契約の延長や終了の扱いは、頼む前に決めておきます。

外部の人に渡す権限は業務委託エンジニアの受け入れ時の権限管理、付与から削除までの手順で、人が抜けたときの手段はエンジニア中途採用だけに頼らない欠員補充、9つの選択肢で、育休取得率の公表はなぜ育児休業取得率の公表には2つの式があるのかで扱っています。

まとめ:育休の代替で確かめておきたい3つの点

担当エンジニアの育休に代替要員がいないとき、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、休業する人の仕事を棚卸しし、社内で持つ仕事と外から入ってもらう仕事を分けること。第二に、異動、派遣、業務委託、期間を定めた採用を、休業の長さと仕事の切り出しやすさで選ぶこと。第三に、業務引継書と面談で引き継ぎを組み、復帰する本人へ戻す手順も先に決めておくことです。切り出し方に迷うときは、外部の手を借りる手もあります。

LASSICに相談するメリット

休業に入る人の担当範囲と、休業の見込みの期間が分かれば、社内で分担する部分と外から入ってもらう部分を切り分けやすくなります。リモートで関わってもらう前提で探したいのか、社員として迎えたいのかも、あわせてお伝えください。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

代替要員が見つからないまま休業の日が来たら、どうすればよいですか

休業に入る人の仕事を棚卸しし、必要性と重要度で仕分けします。厚生労働省のマニュアルは、代替要員を確保しにくい仕事は職場のメンバーで分担し、負荷の増えるメンバーへの理解を促すことなどを挙げています。*2 分担で済まない仕事だけを、派遣や業務委託で切り出す方法もあります。

育休が数か月と短いときも、外部の人を入れたほうがよいですか

短い休業では、引き継ぎの手間のほうが大きくなることもあります。同じ調査でも、半年未満の育児休業取得者がいる場合の対応は、周囲の業務分担の見直しが37.4%で最も多くなっています。*1 休業の長さと、引き継ぐ仕事の量を見比べて決めてください。

代替で入った人を、本人の復帰後も続けて使えますか

マニュアルは原職復帰への配慮を求めているため、代替の人の契約は、復帰の日を見込んで期間と更新の扱いを決めておく必要があります。*2 個別の判断は専門家に相談してください。

育休の代替で入ってもらう人を探す

休業に入る人の担当範囲と休業の見込みの期間が分かっていれば、そのままご相談いただけます。引き継ぎの資料が整っていない段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

無料相談はこちら

出典

  1. *1 参考:厚生労働省委託事業 令和4年度 仕事と育児の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 企業調査 結果の概要(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001086989.pdf)。出典:厚生労働省(実施:株式会社日本能率協会総合研究所、令和5年3月)。農林水産業と公務を除く従業員数50人以上の企業5,000社に郵送・有効回収926票。図表27(育児のための制度利用者がいる場合の職場の対応)、図表33(両立支援を推進する上での障壁・課題)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「育休復帰支援プラン策定マニュアル」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001553125.pdf)。出典:厚生労働省。令和6年の育児・介護休業法の改正を踏まえた版。3-3 ステップ3(業務の棚卸しと業務分担の見直し、代替要員の確保)、面談、業務引継書の記載例を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第40条の2(https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088)。出典:e-Gov法令検索。第40条の2第1項第4号・第2項(労働者派遣の役務の提供を受ける期間)を参照(確認日2026年10月16日)(2026年10月確認)




View