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2026.10.20 採用支援コラム

SESを使う企業側のメリット・デメリットと向いている場面

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

開発フロアの長い机にSESで来た3人が並んで作業を始め机の端に相手側の責任者が手をついて立つ

この記事の結論

  • SESを使う企業側のメリットは、エンジニアを探す・雇う・入れ替える手間をSESの会社が受け持つことです。
  • 一方で現場から直接指示はできず、来てもらう人も相手が決め、仕様の知識は社内に残りにくくなります。
  • 期間の決まった開発に数人で加わってほしいならSES、知識を社内に残したいなら社員採用と場面で選びます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

開発の人手が足りないのに、社員の採用はすぐには決まらない。SESで来てもらう話が出ているものの、個人に業務委託で頼む方法や採用を待つ方法と比べて、何が得で何に気をつければよいのか分からない——。外部の力を借りて開発を進めたい企業では、こうした迷いがよく聞かれます。

本記事は、開発マネージャーや情報システムの責任者、エンジニアの確保を任された担当者に向けて、SESを使う企業側のメリットとデメリット、社員採用や個人の業務委託との比べ方、SESが向く場面と頼む前に決めておく点を、厚生労働省とIPAの資料をもとに整理します。

企業側から見たSESの仕組み

SES(システムエンジニアリングサービス)は、エンジニアの技術力を提供する会社と契約を結び、その会社に所属するエンジニアに自社の開発や運用へ加わってもらう形です。契約は一般に準委任契約(仕事の完成ではなく、作業を行うこと自体を頼む契約)で結びます。企業が契約を結び、支払いをする相手は、エンジニア本人ではなくSESの会社です。

SESの契約の関係を示した図。左の自社と右のSESの会社が準委任契約を結び、自社はSESの会社に委託料を支払う。SESの会社は雇っているエンジニアを自社の開発に送り、作業の指示もSESの会社の責任者からエンジニアへ伝える。自社とエンジニアの間は作業の相談と報告で、直接の指示は行わない。

  • 契約と支払いの相手:SESの会社
  • 誰に来てもらうか、入れ替えるか:SESの会社が決める
  • 日々の作業の指示:SESの会社の責任者を通して伝える
  • 頼む中身:作業を行うこと(決まった成果物の完成までは約束しない)

指示の出し方には法律上の線引きがあります。厚生労働省の疑義応答集は、準委任契約も請負と同じく、発注者と受注者側の労働者の間に指揮命令関係を生じない形だとしています。*1 実態として企業がエンジニアへ直接指示していれば、契約の形式を問わず労働者派遣に当たります。*1 区分の基準(37号告示)も、業務の進め方の指示や配置の決定・変更を受注者が自ら行うことを求めています。*2 契約の違いの詳しい説明はSESと準委任契約の違いにまとめています。

SESを使う企業側のメリット

企業側のメリットは、エンジニアを探す・雇う・入れ替える手間をSESの会社が受け持つ点に集まります。

夕方のフロアで5人が輪になって立ったまま打ち合わせし1人が手のひらを差し出す胸から下

  • 人を探す手間が少ない:必要な技術と期間を伝えると、SESの会社が候補を挙げる
  • 必要な期間だけ頼める:開発の山場やシステムの刷新など、仕事のある間だけ契約できる
  • 雇用の手続きが要らない:社会保険や勤怠の管理、教育はSESの会社が雇い主として受け持つ
  • 抜けたときに相談できる:急な退職などで人が抜けても、代わりの人を相談できる(どこまで応じるかは契約しだい)
  • 数人をまとめて頼める:チーム単位で加わってもらう相談もしやすい

社員として雇う場合は、給与のほかにも会社が負担する費用がかかります。厚生労働省の令和3年就労条件総合調査では、情報通信業の常用労働者1人1か月平均の労働費用総額は577,690円で、そのうち19.3%にあたる111,667円が法定福利費や退職給付などの現金給与以外の費用でした。*3 SESへの支払いを社員の給与と比べるときは、こうした費用と採用・教育の手間も含めて比べます。

人材の確保そのものが難しいという事情もあります。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」では、DXに取り組む日本企業のうち、DXを進める人材の量が「やや不足している」「大幅に不足している」と答えた割合が合わせて85.1%でした。*4 採用で埋まるのを待てない仕事があるとき、SESは開発を止めないための手段の一つになります。

SESのデメリットと注意点

一方で、SESには契約の形から来る制約があります。頼む前に知っておけば、使い始めてからの食い違いを防げます。

  • 現場で直接指示できない:作業の指示はSESの会社の責任者を通す。一つずつ細かく指示したい仕事には合わない
  • 来てもらう人を自社だけでは決められない:配置はSESの会社が決めるため、入れ替えにも相手の判断が入る
  • 仕様の知識が社内に残りにくい:契約が終わると、作業の経緯を知る人が抜ける
  • 支払いにはエンジニア本人の報酬のほか、人の手配や管理の分も含まれる
  • 完成の責任は負わない:決まった成果物の完成まで約束してほしいなら、請負など別の契約を検討する

なかでも知識が残りにくい点は、長く使うほど効いてきます。作業の記録を社内の決まった場所に残してもらう、設計の判断には社内の担当者が加わる、といった約束を最初に決めておきます。外部への依存を減らす手順はSESの外注依存を見直し、ベンダーロックインを防ぐ4つの手順で扱っています。

社員採用・個人の業務委託との比較

開発の人手を確保する手段には、SESのほかに、社員として雇う方法と、フリーランスなど個人と直接業務委託の契約を結ぶ方法があります。企業側から見た違いは次のとおりです。

SES・個人の業務委託・社員採用を企業側で比べた表(一般的な形の例)
項目 SES 個人の業務委託 社員採用
契約の相手 SESの会社 エンジニア本人 本人(雇用契約)
人を探す SESの会社が候補を挙げる 自社か仲介会社で探す 自社で募集し選考する
作業の指示 SESの会社の責任者を通す 本人に任せる 自社が直接指示できる
費用の払い方 SESの会社へ委託料 本人へ報酬 給与と社会保険料などの会社負担
期間 契約の期間ごとに更新 契約の期間ごとに更新 長く働く前提
抜けたとき SESの会社に代わりを相談 自社で探し直す 自社で採用し直す
向いている場面 期間の決まった開発に数人で加わってほしい 特定の技術を持つ1人に続けて頼みたい 中心の仕事を長く任せ、知識を社内に残したい

どれか1つが常によいわけではありません。期間と人数、指示の出し方、知識を社内に残したいかどうかで選び分け、組み合わせて使う企業もあります。個人の業務委託は、契約の事務と抜けたときの探し直しを自社が受け持つ形です。SESの体制から個人への切り替えを考えている場合はSESからフリーランスへの切り替え|企業の判断基準と進め方が参考になります。

SESが向く場面と頼む前の確認点

SESが向くのは、人を探す手間を省きたく、仕事の進め方をSESの会社の責任者に任せられる場面です。

夜の机でSESのエンジニアが隣の社員へノートPCの画面を向けて作業の記録を引き継ぐ

  • 開発の山場やシステムの刷新など、期間の決まった仕事に人手が要る
  • 数人のまとまりで加わってほしい
  • 採用が決まるまでの間、開発を止めたくない
  • 作業の段取りと進み具合の管理をSESの会社の責任者に任せられる

反対に、作業を一つずつ細かく指示したい、仕様の知識をすべて社内に残したいという場合は、社員採用や、自社が直接指示できる派遣契約のほうが合います。

SESでも個人の業務委託でも、外部に頼むときは次の点を先に決めておくと、見積もりを比べやすくなり、相談も早く進みます。

  • 範囲:任せたい作業と、社内に残す判断
  • 期間:始めてほしい時期と、契約の単位や更新の見通し
  • 体制:人数と必要な技術、社内の窓口、相手側の責任者
  • 費用の決まり方:月ごとの定額か、作業時間に応じて精算するか
  • 引き継ぎ:作業の記録の残し方と、契約が終わるときの引き継ぎの期間

見積もりの比べ方はSESパートナー選定の見積もり比較|金額より先に決める3つのことにまとめています。

まとめ:SESを使う企業側のメリットと選び方

SESを使うかどうかを決めるときに押さえたい点は3つです。第一に、企業側のメリットは、エンジニアを探す・雇う・入れ替える手間をSESの会社が受け持つことだと押さえること。第二に、現場から直接指示できず、仕様の知識が社内に残りにくいという制約を、作業の記録の残し方などの約束で補うこと。第三に、期間・人数・指示の出し方・知識を残したいかで、SES、個人の業務委託、社員採用を選び分けることです。どの形で人を確保するか迷うときは、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

任せたい作業の範囲と期間、必要な人数を書き出しておけば、業務委託で開発に加わる専門人材や、リモートワークで働く社員の候補を探す相談に進めます。SESと比べている段階でも、条件の整理から相談できます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

SESで来ているエンジニアに直接作業を指示してもよいですか

準委任契約のSESでは、作業の指示はSESの会社の責任者を通すのが原則です。実態として企業が直接指示していれば、契約の形式を問わず労働者派遣に当たります。*1 判断に迷う場合は、契約の相手先と専門家に確かめてください。

SESと派遣はどう違いますか

派遣は、自社が来てもらった人に直接指示できる形です。SESは準委任契約で、指示や配置はSESの会社が行います。細かく指示しながら進めたい仕事なら、派遣や社員採用のほうが合います。

SESと個人の業務委託ではどちらの費用が安くなりますか

一概には言えません。SESへの支払いには人の手配や管理の分が含まれ、個人の業務委託では契約の事務と抜けたときの探し直しを自社が受け持ちます。範囲・期間・体制をそろえた見積もりで比べるのが確実です。

開発に加わるエンジニアを業務委託や採用で探す

任せたい作業の範囲と期間が分かっていれば、そのままご相談いただけます。SESと比べている段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001704257.pdf)。出典:厚生労働省。Q1・A1(準委任契約でも指揮命令関係を生じない点は請負と同じ/実態で指揮命令があれば契約形式を問わず労働者派遣)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号)(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf)。出典:厚生労働省。第二条(業務の遂行方法に関する指示、配置等の決定及び変更を自ら行うこと)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査 結果の概況」3 労働費用(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/21/dl/gaiyou03.pdf)。出典:厚生労働省。第16表 常用労働者1人1か月平均労働費用(情報通信業)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)
  4. *4 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2025」(https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html)。出典:IPA。報告書3.2「人材の過不足状況」図表3-1(DXを推進する人材の「量」の確保、日本)を参照(確認日2026年10月20日)(2026年10月確認)




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