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2026.07.07 らしくコラム

Exchange Server 2016サポート終了、移行を外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

メールサーバー基盤

この記事のポイント

  • Exchange Server 2016・2019のサポート終了時期と、終了後に失われる保護の内容を整理します。
  • 移行先の選択肢であるExchange OnlineとExchange Server SEの違いを比較する内容です。
  • Exchange Server 2016からの移行を外部パートナーに委託する際の進め方と確認点をまとめます。

Exchange Server 2016・2019、2025年10月14日でサポート終了

法人のメール環境

Exchange Server 2016とは、2015年10月に登場したオンプレミス型のメールサーバー製品です。そのサポートはExchange Server 2019とともに2025年10月14日(米国太平洋時間)に終了しました*1。移行先はExchange OnlineとExchange Server SEの2択になります。

図
Exchange Server 2016移行の4ステップ

Exchange Server 2016は2015年10月1日に提供が始まりました。メインストリームサポートは2020年10月13日、延長サポートは2025年10月14日(米国太平洋時間)にそれぞれ終了しています*2

延長サポートの終了以降、Exchange Server 2016・2019にはセキュリティ更新プログラムが提供されません。オンプレミスでメール基盤を運用する企業は、移行の判断を先送りできない段階に入っています。

メール基盤の移行は、現状のメールボックス数やデータ量の棚卸し、移行方式の選定、テスト移行、本番移行という複数の工程を経て完了します。サポート終了から時間が経つほど、脆弱性を抱えたまま運用する期間が延びる点に注意が必要です。

メールは受発注・見積・契約のやり取りが日常的に行き交うB2Bの業務基盤です。基盤が停止すれば取引先との連絡が滞り、社内の承認フローや請求業務にも影響が広がります。情報システム部門の担当者にとって、Exchange Server 2016・2019の扱いは避けて通れないテーマになっています。

サポート終了で失われる4つの保護

Microsoftはサポート終了後、Exchange Server 2016・2019に対して次の4つを提供しないと明記しています*1

  • 発生した問題への技術サポート
  • サーバーの安定性・可用性に関わる不具合修正
  • 脆弱性を塞ぐセキュリティ更新プログラム
  • タイムゾーン更新プログラム

サーバー自体はサポート終了後も稼働を続けます。しかし新たに見つかった脆弱性が修正されないまま公開状態が続くと、メールサーバーが社内外への攻撃経路になるリスクが高まります*1

メールは請求書・契約書・個人情報のやり取りに使われる基盤です。侵害を受ければ情報漏えいや取引先への二次被害に発展しかねず、事後対応のコストが移行費用を上回ることも考えられます。

取引先や監査法人からセキュリティ対応状況を確認される場面では、サポート終了製品を運用している事実そのものが指摘対象になりかねません。契約審査や情報セキュリティ監査の基準に、サポート状況の確認項目を設ける企業もあります。

不具合修正が止まる影響も見過ごせません。メールの送受信遅延やアーカイブ機能の不具合が発生しても、Microsoftによる原因調査や修正パッチの提供は受けられなくなります*1。業務メールが一時的に使えなくなれば、社内外の連絡・承認フローが止まり、取引の遅延に直結します。

移行先の選択肢 — Exchange OnlineとExchange Server SEの比較

Microsoftが案内する移行先は2つあります。1つはクラウド版の「Exchange Online」(Microsoft 365のメール機能)です。もう1つはオンプレミス後継版の「Exchange Server Subscription Edition」(SE)です*1

SEは年号バージョンを持たない継続提供型の製品で、2025年7月1日から提供が始まっています*3

Exchange Server SEはモダンライフサイクルポリシー(固定の終了日を定めず、構成を最新に保つ限り継続的にサポートする方針)の対象製品です*3。従来のように数年おきに年号付きの新バージョンへ移行する必要がなく、累積更新プログラムの適用によって継続的に最新状態を保つ考え方に変わります。

比較軸 Exchange Online(Microsoft 365) Exchange Server SE
運用場所 Microsoftが管理するクラウド環境です。 自社データセンター等のオンプレミス環境です。
サーバー管理・保守 Microsoftが実施します。自社での保守作業は発生しません。 自社または委託先が実施します。OS・ハードウェアの保守も必要です。
アップデート 自動で適用されます。 累積更新プログラム(CU、複数の修正をまとめた更新パッケージ)を自社のタイミングで適用します。
主な選定理由 ハードウェア投資や保守の負荷を抑えたい企業向けです。 データの保管場所や既存システムとの連携要件でオンプレミスを維持したい場合に選ばれます。

Microsoftはドキュメント内で、オンプレミスからの移行先としてMicrosoft 365への移行を工程がシンプルな選択肢の一つと位置づけています*1。データ保管場所の規制や既存システムとの連携要件がある企業にとって、Exchange Server SEへの切り替えは現実的な選択肢です。

Exchange Server 2016はSEへ直接アップグレードできない制約

Exchange Server SEへの切り替え方法には「イン・プレース・アップグレード」と「レガシーアップグレード」の2種類が用意されています*4

イン・プレース・アップグレードとは、既存サーバーに新バージョンを上書き導入する方式です。この方式が使えるのはExchange Server 2019のCU14またはCU15からのみで、Exchange Server 2016は対象に含まれません*4

レガシーアップグレードとは、新しいサーバーを組織に追加してメールボックスを移行し、旧サーバーを廃止する方式です。Exchange Server 2016からSEへ移行する場合、経路は2つあります。

1つはこのレガシーアップグレードを選ぶ経路です。もう1つは、先にExchange Server 2019へ更新してからSEへ進む経路になります*4

Exchange Server SEのCU2リリース以降は、サポート対象外バージョンとの共存構成自体が導入時にブロックされる予定です*1。Exchange Server 2016を残したままの延命は、選択肢としてさらに狭まっていくでしょう。

累積更新プログラム(CU、複数の修正・機能追加をまとめて配布する更新パッケージ)には適用漏れが生じることがあります。適用漏れは、その後のアップグレード経路の選択肢を狭める要因です。現在稼働しているサーバーのCU適用状況を確認することが、移行計画の出発点になります。

Active Directory連携を残す場合はExchange Serverの継続が必要

サーバー移行の作業

Microsoft 365への移行後もオンプレミスのActive Directoryをアカウント管理の基盤として使い続ける場合があります。この場合、Exchange Serverを1台も残さない構成は選べません*1

Microsoft Entra Connectとは、オンプレミスのActive DirectoryとMicrosoft 365のアカウントを同期する仕組みです。この仕組みでアカウントを同期している組織は注意が必要です。

Exchangeサーバーをすべて撤去すると、Exchange Online側から受信者情報を変更できなくなります*1。アカウント管理の基準がオンプレミスのActive Directoryのままだからです。

この構成を維持する企業に対して、Microsoftは2つの進め方を案内しています*1。1つは、既存のExchange Server 2016・2019でメールボックスをMicrosoft 365へ移行させる進め方です。移行後に、環境自体をExchange Server SEへ切り替えます。

もう1つは、先にExchange Server SEへ切り替えてから、SE経由でメールボックスをMicrosoft 365へ移す進め方です。

どちらの順序を選ぶかによって、検証すべき項目や切り戻し手順は変わります。Active Directoryの構成やハイブリッド運用の方針と合わせて、事前に整理しておくことが欠かせません。

移行を内製で進める場合に必要な体制と工数

Exchange Server 2016からの移行を内製で進めるには、複数分野の知識が必要です。Active Directoryとの連携設計、メールボックス移行ツールの操作、移行後のDNS・MXレコード切り替え、旧環境の廃止手順が挙げられます。

ハイブリッド移行(オンプレミスとExchange Onlineを一定期間併存させる移行方式)を選ぶ場合があります。この場合はMicrosoft Entra Connectの設計・検証も欠かせません*1。担当者が本業と兼務する体制では、検証工程が後回しになりやすい領域です。

移行方式の選定を誤ると、想定していた運用に戻せなくなる場合があります。レガシーアップグレードを選んだ後にActive Directory連携の要件を見落とすケースがあります。

その場合、Exchangeサーバーの追加撤去をやり直す事態になりかねません。工程ごとに前提条件を洗い出し、検証してから次の工程に進む進め方が欠かせません。

専門パートナーに委託すれば、現状棚卸から移行方式の選定、テスト移行、本番移行、運用引き継ぎまでを一括で任せられます。内製の場合はこの工程をすべて自社で設計し、切り戻し手順まで自前で用意することになります。

DNS・MXレコードの切り替えを誤ると、メールの遅延や不達が発生し、取引先とのやり取りが止まりかねません。移行計画には切り戻し手順の準備が欠かせません。

まとめ:Exchange Server 2016移行を判断する3つの軸

本稿ではExchange Server 2016・2019のサポート終了と、移行先の選択肢を整理しました。本稿の要点は、次の3つに集約できるでしょう。第一に、サポートは2025年10月14日に終了済みで、放置するほどセキュリティリスクが積み上がります*1。第二に、移行先はExchange OnlineとExchange Server SEの2択で、データ保管要件によって適した先が変わります。第三に、Exchange Server 2016はSEへ直接アップグレードできず、レガシーアップグレードや段階的な更新が必要です*4。自社の体制と照らし合わせ、外部パートナーの活用も含めて移行方式を検討することが現実的な進め方と言えるでしょう。

LASSICに相談するメリット

LASSICはIT事業部として、元請の立場でシステムの保守・運用を受託する体制を整えています。Exchange Server 2016からの移行では、現状棚卸から移行方式の選定、テスト移行、本番移行、旧環境の廃止までを伴走します。

よくある質問

Exchange Server 2016のサポートはいつ終了しましたか。

Exchange Server 2016は、Exchange Server 2019とともに2025年10月14日(米国太平洋時間)にサポートが終了しました*1。以降は技術サポート・不具合修正・セキュリティ更新・タイムゾーン更新が提供されません。

サポート終了後もExchange Server 2016を使い続けることはできますか。

サーバー自体は稼働を続けられますが、Microsoftによる不具合修正・セキュリティ更新・技術サポートは受けられません*1。脆弱性が放置される期間が長くなるほど、侵害のリスクは高まります。

Exchange Server 2016からExchange Server SEへ直接アップグレードできますか。

直接のイン・プレース・アップグレードはできません*4。対応するのはExchange Server 2019のCU14・CU15からの切り替えのみです。2016からはレガシーアップグレードか、先に2019へ更新する経路が必要です。

移行を外部に委託する場合、何を確認すればよいですか。

確認するとよい点は4つあります。移行先(Exchange OnlineかExchange Server SEか)の選定根拠とテスト移行の実施範囲です。加えて、DNS・MXレコード切り替えの手順と切り戻し可否も確認します。委託先には移行後の運用引き継ぎ方針も事前に確認しておくことが大切です。

情報システム部門の担当者が少人数の場合、何から着手すればよいですか。

まずは現状のExchange Serverのバージョン・CU適用状況・メールボックス数の棚卸しから着手するとよいでしょう。棚卸しの結果によって、選べる移行方式やアップグレード経路が変わるためです。棚卸しの段階から専門パートナーに相談すれば、方式選定の手戻りを避けやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Microsoft「Exchange Server 2019 and 2016 End of Support Roadmap」(2025年)
  2. *2 出典:Microsoft「Exchange Server 2016 – Microsoft Lifecycle」(2024年)
  3. *3 出典:Microsoft「Exchange Server Subscription Edition – Microsoft Lifecycle」(2025年)
  4. *4 出典:Microsoft「Upgrading to Exchange Server Subscription Edition (SE)」(2025年)


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