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2026.07.13 らしくコラム

販売管理システムの開発を外注する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム開発・保守運用を受託

販売管理のイメージ

この記事のポイント

  • 販売管理システムは、見積・受注・出荷/在庫引当・売上計上・請求・入金消込・与信管理という販売プロセスを一つの仕組みで扱うシステムです。
  • 卸売業・製造業・商社・小売業では掛率設定やロット単位、締め請求のルールが異なり、この違いがパッケージ選定とカスタマイズ範囲の判断を左右します。
  • 2023年10月開始のインボイス制度と、電子帳簿保存法の電子取引データ保存義務化により、請求書の発行・保存の仕組みにも対応が求められています*1*3

販売管理システムとは——見積から入金までを一元管理する仕組み

請求システムのイメージ

販売管理システムとは、企業が商品やサービスを販売する過程で発生する一連の業務を、一つの仕組みで管理するシステムを指します。見積書の作成から受注登録、出荷、売上計上、請求書発行、入金消込までの流れを扱う点が特徴です。基幹システム(ERP。企業の主要業務を統合的に管理する情報システム)を構成する機能の一部として位置づけられ、在庫管理・生産管理・会計システムと連携しながら運用されるケースが一般的です。

図
図:販売管理システムが扱う販売プロセスの流れ(見積→受注/与信確認→出荷/在庫引当→売上計上→請求→入金消込)

具体的には、見積書の作成から受注登録、在庫引当を伴う出荷指示、売上計上、請求書発行、入金消込という一連の流れを一つのシステムで扱います。手作業やExcel管理では、同じ取引先情報や単価を複数の帳票に転記する手間が生じやすく、転記ミスや二重入力も起こりがちです。販売管理システムを導入する狙いは、この一連の流れをデータとしてつなぎ、部門間で情報を共有しやすくする点にあります。

販売管理システムという呼び方は業種や導入形態によって幅があります。卸売業向けパッケージでは「販売仕入在庫システム」、製造業向けでは基幹システムの一機能として扱われるなど、呼称の分かれ方もさまざまです。ただし対象とする業務範囲は、見積から入金消込までの販売プロセスという点でおおむね共通しています。

販売管理システムがカバーする業務範囲——見積・受注から入金消込・与信管理まで

販売管理システムが扱う業務は、大きく7つの工程に分けて整理できます。それぞれの工程で必要になる機能と管理のポイントは次の通りです。

工程 主な機能 管理のポイント
見積 見積書の作成、単価・値引率の設定 取引先ごとの掛率や過去の見積履歴の参照
受注 受注登録、与信確認 与信限度額との照合、受注残の把握
出荷/在庫引当 出荷指示、在庫引当と引当解除 在庫管理システムとのリアルタイム連携
売上計上 出荷基準・検収基準に応じた計上処理 会計システムへの仕訳連携
請求 請求書発行、締め処理 取引先ごとの締め日・支払サイトの管理
入金消込 入金データと請求データの突合 未消込・入金差異の早期把握
与信管理 取引先ごとの与信限度額の設定 与信超過時のアラート、滞留債権の確認

この7工程のうち、どこまでをシステム化の対象にするかは企業によって異なります。見積から請求までを一気通貫で扱う企業もあれば、入金消込は会計システム側に任せ、販売管理システムは受注から請求までに範囲を絞る企業もあります。対象範囲の線引きは、外注先に要件を伝える際の起点になる部分です。

業種で異なる要件——卸・製造・商社・小売の掛率・ロット・締め請求

販売管理システムに求められる要件は、業種によって細部が変わります。共通の骨格は先述の7工程ですが、業界特有の商習慣を反映できるかどうかが、パッケージ選定やカスタマイズ範囲を左右します。

卸売業——得意先ごとの掛率と多段階の卸値

卸売業では、得意先ごとに異なる掛率(仕入原価や定価に対する掛け率で販売単価を決める仕組み)を設定するケースが多く見られます。同じ商品でも取引先の規模や取引条件によって単価が変わるため、単価マスタを取引先軸・商品軸の両方から柔軟に持てる設計が求められます。

製造業——ロット単位と原価計算との連動

製造業向けの販売管理システムでは、ロット単位での受発注管理や、原価計算・生産管理システムとの連携が論点になります。受注生産と見込み生産のどちらを主軸にするかによって、受注から出荷引当までのフローも変わってきます。

商社——複数の仕入先・得意先を横断する仲介機能

商社は自社で在庫を持たず取引を仲介する形態も多く、複数の仕入先と複数の得意先の取引を横断して管理する機能が求められます。外貨建て取引を扱う場合は為替レートの管理も加わり、要件がさらに複雑になりがちです。

小売業——店舗単位の集計とPOSとの連携

小売業では、店舗ごとの売上集計やPOS(販売時点情報管理。店舗レジでの販売データを収集する仕組み)システムとの連携が中心的な要件になります。EC(電子商取引)チャネルを併用する場合は、在庫の引当ルールを店舗とECで統一するかどうかも検討事項です。

共通の悩み——締め請求のルール管理

業種を問わず共通して負荷が高いのが、締め請求(月末締め翌月末払いなど、取引先ごとに定めた締め日にまとめて請求する方式)の管理です。取引先ごとに締め日や支払サイトが異なると、請求書発行のタイミングを個別に制御する仕組みが必要になります。この部分の作り込みが甘いと、請求漏れや二重請求につながりかねません。

在庫管理・生産管理・会計システムとの連携ポイント

販売管理システムは単独で完結するものではなく、周辺システムとの連携を前提に設計します。連携範囲の設計次第で、日々の運用負荷が大きく変わってきます。

在庫管理システムとの連携

出荷指示に伴う在庫引当や、入荷に伴う在庫積み増しは、在庫管理システムとリアルタイムに連携させるのが一般的です。在庫そのものの入出庫管理や棚卸の詳細な仕組みは在庫管理システム側が担う役割であり、販売管理システムは受注残と引当可能数量の突合に主眼を置きます。両者の機能分担を明確にしておくと、どちらのシステムを起点に改修すべきかが判断しやすくなります。

生産管理システムとの連携

受注生産型のビジネスでは、受注情報を生産計画に反映する連携が欠かせません。生産管理システム側の生産進捗を販売管理システムが参照し、出荷可能時期を得意先に案内する運用も見られます。生産管理システム自体の機能や導入の進め方は専門性の高い領域のため、別途検討が必要です。

会計システムとの連携

売上計上や請求・入金のデータは、最終的に会計システムへ仕訳として連携されます。手作業での二重入力を避けるためには、売上計上基準(出荷基準・検収基準など)を会計側の基準とそろえたうえで、自動仕訳の設計を詰めておくことが実務的です。

受発注システムとの連携

取引先とのやり取りをWeb受発注システムやEDI(電子データ交換)で行っている場合は、そこから届く受注データを販売管理システムへ自動で取り込む連携も検討対象になります。取引先側の発注データと自社の商品コードが異なる場合は、コード変換の仕組みも合わせて必要です。

パッケージ導入かスクラッチ開発か——選定の分かれ目

出荷物流のイメージ

販売管理システムの構築方式は、大きく販売管理パッケージ(汎用的な機能をあらかじめ備えた既製ソフトウェア)の導入と、スクラッチ開発(要件に合わせてゼロから設計・実装する開発方式)の2つに分かれます。両者の中間として、パッケージをベースに一部だけカスタマイズする方式も広く採られています。

パッケージ導入が向くのは、標準的な卸売・請求フローに大きくずれがなく、短期間での稼働開始を優先したい場合です。業種特化型のパッケージであれば、掛率設定や締め請求といった業界慣習にあらかじめ対応していることもあります。一方で、自社固有の掛率体系や、複数の締め日パターンが複雑に絡み合う運用がある場合、標準機能だけでは吸収しきれず、追加のアドオン開発が積み重なっていく傾向があります。

スクラッチ開発が向くのは、既存の基幹システムとの接続要件が特殊な場合や、自社の商習慣がパッケージの標準機能から大きく外れている場合です。開発コストと期間はパッケージより増えますが、業務フローに合わせた作り込みができる点がメリットになります。どちらを選ぶ場合も、まずは自社の業務フローのうち、パッケージの標準機能で対応できる部分とできない部分を切り分ける作業から始めることになります。

なお、業務システムの導入に対しては、デジタル化・AI導入補助金などの公的な支援制度が用意されている年度もあります*4。対象となるツールの範囲や申請要件は年度ごとに見直されるため、活用を検討する場合は最新の公募要領を確認する必要があります。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応の考え方

販売管理システムを検討するうえで避けて通れないのが、請求書に関わる制度対応です。ここでは販売管理システム側で確認すべき対応ポイントに絞って整理します。制度そのものの詳しい解説は、専門の記事や国税庁の公式情報を確認することをおすすめします。

インボイス制度(適格請求書等保存方式。複数税率に対応するため、正確な税率と消費税額を記載した請求書のやり取りを求める仕組み)は、2023年10月1日から始まっています*1。買手が仕入税額控除を受けるには、適格請求書発行事業者が交付した、登録番号や税率区分ごとの対価・消費税額などの記載事項を満たす請求書等の保存が要件になります*2。販売管理システムで請求書を発行する場合は、登録番号と税率区分ごとの表示に対応したテンプレートを備えているかどうかを確認します。

取引先の中に免税事業者が含まれる場合の経過措置も押さえておきたい点です。免税事業者など適格請求書発行事業者以外からの仕入れについては、2023年10月から2026年9月までは仕入税額相当額の80%を、2026年10月から2029年9月までは50%を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています*2。卸売業や商社のように多数の仕入先と取引する業態では、取引先マスタで適格請求書発行事業者かどうかを管理しておくと、経理処理の見通しが立てやすくなります。

電子帳簿保存法については、電子取引データ保存の区分が実務への影響が大きい部分です。注文書・見積書・請求書・領収書などに相当する電子データを取引先とやり取りした場合、そのデータを保存する義務があり、2024年1月からは猶予期間が終了して原則対応が求められています*3。保存にあたっては、ディスプレイなどでの可視性の確保と、改ざん防止のための真実性の確保という2つの要件を満たす必要があります*3。販売管理システムがメールやWeb経由で請求書・注文書データをやり取りする場合、その保存機能が要件を満たしているかどうかを確認しておく必要があります。

導入の進め方と外注時に確認すべきポイント

販売管理システムの導入は、おおむね次の流れで進みます。まず現状の業務フローを、見積から入金消込までの工程ごとに棚卸しするところから始めるのが基本です。次にどこまでをシステム化の対象にするか、どの周辺システムと連携させるかを含めて要件を定義します。そのうえでパッケージ導入かスクラッチ開発かを判断し、移行データの整備や並行稼働期間を経て本稼働へと進めていく流れです。

基幹システム全体を刷新するタイミングで販売管理機能を見直す企業も少なくありません。この場合、販売管理システム単独の要件だけでなく、在庫管理・生産管理・会計システムとの連携範囲を含めた全体設計が必要で、検討の規模も大きくなりがちです。逆に、既存の基幹システムは維持したまま、販売管理の一部機能だけを刷新するという選択肢もあります。自社の状況に応じて、どちらの進め方が現実的かを見極めることが検討の出発点です。

外注先を選ぶ際には、自社の業種特有の要件(掛率設定・ロット管理・締め請求など)への対応実績があるかどうかを確認します。加えて、在庫管理・生産管理・会計システムなど周辺システムとの連携実装をどこまで担当できるか、インボイス制度・電子帳簿保存法に対応した請求書発行・保存機能を実装した経験があるかも確認したい点です。稼働後の保守体制や、業務フロー変更時の追加開発への対応可否も、契約前にすり合わせておくとよいでしょう。

。対象となる業務範囲や既存システムとの連携要件によって、必要な工数や進め方は変わってきます。現状の業務フローを整理したうえで、外注範囲を検討することが実務的な進め方です。

まとめ:販売管理システム開発を外注する際の3つの判断軸

本稿では販売管理システムの範囲と外注時の勘所を整理しました。要点は次の3点です。第一に、販売管理システムは見積・受注・出荷/在庫引当・売上計上・請求・入金消込・与信管理という一連の販売プロセスを扱う仕組みであり、どこまでをシステム化の対象にするかが検討の出発点になります。第二に、卸売業・製造業・商社・小売業では掛率設定やロット単位、締め請求のルールが異なり、この違いが、パッケージ導入とスクラッチ開発のどちらを選ぶかを左右する分かれ目です。第三に、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応状況、在庫管理・生産管理・会計システムとの連携実績が、外注先を見極める材料になります*1*3

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、元請(プライムベンダー)として業務システムの開発・保守運用を受託しています。販売管理システムの業務範囲の整理からパッケージ選定支援、在庫管理・生産管理・会計システムとの連携設計、インボイス制度・電子帳簿保存法に対応した請求書機能の実装まで、一貫して対応する体制を整えています。業種特有の掛率・締め請求のルールを反映した仕組みを検討したい企業様は、現状の業務フロー整理からご相談いただけます。

よくある質問

販売管理システムと在庫管理システムの違いは何ですか。

販売管理システムは見積から受注・出荷・売上計上・請求・入金消込までの販売プロセス管理が中心です。一方、在庫管理システムは入出庫や棚卸など在庫そのものの管理に主眼を置きます。多くの現場では出荷時の在庫引当などで両者を連携させて運用しますが、扱う業務範囲は異なります。

パッケージ導入とスクラッチ開発は、どちらを選べばよいですか。

標準的な卸売・請求フローに大きなずれがなければパッケージ導入が短期間・低コストで進めやすい選択肢です。自社固有の掛率体系や複雑な締め請求ルールがある場合は、スクラッチ開発やカスタマイズ性の高いパッケージが選択肢になります。まずは業務フローのうち標準機能で対応できる部分とできない部分の切り分けが出発点です。

インボイス制度に対応するために、販売管理システムで何を確認すればよいですか。

発行する請求書に登録番号と税率区分ごとの対価・消費税額を表示できるかを確認します。加えて、メールなどでやり取りする請求書・注文書データについて、電子帳簿保存法が求める可視性・真実性の要件を満たす保存機能があるかもあわせて確認します。

締め請求や与信管理はどのように組み込みますか。

取引先ごとに与信限度額を設定し、受注登録の時点で与信残高と照合してアラートを出す仕組みが一般的です。締め日や支払サイトが取引先ごとに異なる場合は、請求書発行のタイミングを取引先マスタに紐づけて管理します。

販売管理システムの導入には、どのくらいの期間がかかりますか。

パッケージの標準機能だけを利用する場合は数か月程度で稼働できることもありますが、業種特有の要件を反映したカスタマイズやスクラッチ開発を伴う場合は、より長い期間を見込む必要があります。対象業務の範囲と既存システムとの連携要件によって変わるため、要件定義の段階で見極めることが実務的です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:国税庁「インボイス制度について」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice_about.htm
  2. *2 出典:国税庁「No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)」(タックスアンサー)(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6498.htm
  3. *3 出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/index.htm
  4. *4 出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」(ミラサポplus)(https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/ithojo/


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