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2026.07.13 らしくコラム

PLM・図面/CADデータ管理の開発を外注

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として設計・生産管理システムの開発を受託

CAD設計のイメージ

この記事のポイント

  • PDM(図面・CADデータ管理)は設計データの管理に特化し、PLMは企画から廃棄までの製品ライフサイクル全体を管理する仕組みで、PLMはPDMを内包する関係にあります。
  • 設計変更は依頼側のECR(Engineering Change Request)と指示側のECO(Engineering Change Order)の2段階で進む業務であり、PDM/PLMはこの管理の中核を担います。
  • 図面やCADデータをファイル共有だけで管理していると、最新版の判別や関連ファイルの分断といったトラブルが起こりやすく、これが導入検討のきっかけになります。

PLM・図面/CADデータ管理とは——PDMとの違いとライフサイクルの全体像

図面のイメージ

図
図:PLMが管理するライフサイクル全体と、PDMが担う設計・開発領域の位置づけ

PLM(Product Lifecycle Management。製品ライフサイクル管理)とは、製品の企画から設計、製造、販売、保守、廃棄までの各工程で発生する情報を一元的に管理する考え方とシステムを指します*3。PLMは設計・開発だけでなく、調達・品質管理・在庫管理まで含めた全社的な仕組みとして位置づけられています*5

一方のPDM(Product Data Management。図面/CADデータ管理)は、製品の企画・設計・開発に関連するデータの管理に特化したシステムです*4。管理対象は設計図やCADデータ、仕様書、BOM(部品表)とそれに紐づく変更履歴が中心になります*4。PDMとPLMの関係は、PLMがPDMを包含する形で整理されることが一般的です*5。設計・開発領域のデータ管理を固めたいのか、企画から保守までの情報連携を広げたいのかによって、まず取り組むべき範囲が変わってきます。

JEITA(一般社団法人電子情報技術産業協会)の三次元CAD情報標準化専門委員会は2007年9月に設立され、3D CADモデルの利用促進やPLM/PDMに関するガイドラインの発行を続けています*1。国際標準(ISO)や国内標準(JIS)への準拠を掲げ、設計・製造の効率化に向けた技術的な整備が業界横断で進められてきました*1

経済産業省の2020年版ものづくり白書では、製品設計力を高める取り組みとして「生産技術、製造、調達といった他部門との連携促進」を重視する企業が半数以上に上るとされ、エンジニアリングチェーン(研究開発から設計・工程設計・生産までの一連の流れ)の強化が課題として挙げられています*2。図面やCADデータをどう管理し、どう他部門へ連携させるかは、この課題と直結するテーマです。

PDMとPLMの違いを整理すると次の通りです。

項目 PDM(図面/CADデータ管理) PLM(製品ライフサイクル管理)
管理対象の範囲 設計図・CADデータ・BOM・仕様書*4 企画〜廃棄までの全工程の情報*3
主な利用部門 設計・開発部門が中心 設計・調達・製造・品質・販売など全社*5
中心となる機能 版管理・BOM管理・検索/流用*4 PDM機能に加え工程・品質・在庫管理*5
両者の関係 PLMの一部として位置づけられる PDMを包含する上位概念*5

図面・CADデータ管理(PDM)の主要機能——版管理・BOM・検索/流用

PDMの中核となるのは、設計図やCADデータ、部品表を関連づけて一元的に保存・管理する機能です*4。図面単体ではなく、関連する仕様書やCADファイルをひとまとまりのデータとして扱える点が、単純なファイルサーバーとの違いになります。

版管理(バージョン管理)——最新版の判別と変更履歴の把握

PDMは製品のバージョン管理を担い、最新版かどうかの確認や変更履歴の把握を容易にします*4。設計図面やCADデータは改訂を重ねるため、どの版が現在有効かを明確にできる仕組みが欠かせません。版が切り替わるたびに履歴が記録され、過去の版へさかのぼって参照することもできます。

BOM(部品表)管理——構成管理と変更履歴の連動

BOM(Bill of Materials。製品を構成するすべての部品・材料の一覧)についても、PDMはバージョン管理や変更履歴管理を自動的に行う機能を備えています*4。設計時のE-BOM(設計部品表)から製造時のM-BOM(製造部品表)へ展開する構成管理は、図面の版と部品表の版がずれると製造側に誤りが伝わるため、両者を連動させて管理する意義は大きいといえます。

検索・流用——過去資産を探し出し再利用する

設計・CADデータが体系的に登録されていれば、類似形状や過去の設計資産を検索し、新規設計に流用しやすくなります。逆に整理されていない環境では、どこに何があるか分からなくなり、過去資産を探す時間そのものが設計工数を圧迫します*6。検索性を高めることは、単なる整理整頓ではなく設計リードタイムに直結するテーマです。

設計変更(ECR/ECO)ワークフローとアクセス権・セキュリティ

設計変更には大きく2つの段階があります。ECR(Engineering Change Request。設計変更要求)は、試作テストを担当する部門やサプライヤーが発行し、不具合の修正や改善を依頼するドキュメントです*8。ECRが承認されると、次はECO(Engineering Change Order。設計変更指示)の工程に移ります*8

ECOは、承認された変更を実施するにあたり、影響範囲と影響の大きさを判断したうえで関係部門へ指示する業務です*7。変更が軽微であれば承認者が直接指示しますが、複雑な変更を伴う場合は製造技術・IT・研究開発など各部門の担当者を指名し、詳細を起票して指示する体制がとられます*7。代替部品を採用する変更では、購買部門のBOMリストだけで完結するのか、受け入れ検査を行う外部業者まで含めるのかといった関連部署の特定も、ECOの重要な業務です*7

PDM/PLMはこうした設計変更の追跡と管理を支える基盤で、変更が発生するたびに関係者全員へ通知する機能を持ちます*5。自社の業務プロセスに合わせたワークフローを設定し、設計レビューや承認ポイントを組み込むことで、業務の可視化と標準化を実現します*5

あわせて欠かせないのがアクセス権とセキュリティの管理です。誰がどのデータを閲覧・編集できるかを権限設定によって制御し、情報漏えいの防止と知的財産の保護を図ります*4。設計図面やCADデータには自社の技術情報が凝縮されているため、部門やプロジェクト単位での権限分離は、外部委託先とのデータ共有を進めるうえでも前提になる管理項目です。

属人管理・共有フォルダの限界——現場で起こりがちなトラブル

図面やCADデータの保存管理方法が定まっていない現場では、ファイル名の付け方が統一されず、正しくリスト管理されないままどこに何があるか分からなくなるケースが生じます*6。共有フォルダとファイル名だけに依存した運用は、担当者の異動や退職をきっかけに、参照先が分からなくなるリスクをはらんでいます。

リビジョン管理が適切でない環境では、最新データがどれか分からない、最新だと思って流用したデータが実は古かった、修正前のデータを見たいのに上書きされてしまっている、といった事象も起こりやすくなります*6。CADデータとBOMが別々に管理されて連携できていない場合は、図面と部品の対応関係そのものがあいまいになります*6

3D CADデータをWindowsのエクスプローラーだけで管理していると、関連ファイルの一部だけを移動したりリネームしたりした際に、他のファイルが参照先を見失って開けなくなるおそれもあります*6。3D CADは形状データと属性データ、関連図面が相互に参照し合う構造になっているため、フォルダとファイル名の工夫だけで整合性を保ち続けるのは負荷の大きい運用です。こうした限界が、PDM/PLM導入を検討する起点になっています。

CADツール連携と生産管理・ERP連携——設計から製造・保守までをつなぐ

製品設計データのイメージ

PDM/PLMは単独で完結する仕組みではなく、設計・製造の周辺システムと連携して初めて効果を発揮します。CADツールとの連携では、複数の2D CAD・3D CAD・エレキCADで作成したデータを統合的に取り込み、設計変更や版の更新をシステム側に反映させる仕組みが求められます。CADベンダーが異なる複数チームが並行して設計を進める場合、CADの種類を問わずデータを一元管理できるかどうかが選定時の分かれ目です。

製造・生産管理システムとの連携では、設計側で確定したE-BOMを、製造側が使うM-BOMへ正しく展開できるかが重要です。ERP(Enterprise Resource Planning。基幹業務システム)や生産管理システムとBOM情報を連携させることで、設計変更が発生した際に、製造計画や調達計画への反映漏れを防ぎやすくなります。設計・製造・保守の各部門が同じ版の情報を参照できる状態を維持することが、エンジニアリングチェーン全体の連携を強化する取り組みにつながります*2

保守フェーズにおいても、出荷後の製品に対応する図面・部品構成をたどれる状態を保つことは、修理対応や仕様変更時の問い合わせに応える基盤になります。PLMが企画から廃棄までを対象とする仕組みである以上、製造・保守という後工程まで見据えたデータ連携の設計が導入の成否を分けます*3

パッケージ(PLM製品)導入かスクラッチ開発か——外注時の進め方

PDM/PLMの導入方法は、大きくパッケージ製品の導入と、スクラッチ(自社仕様に合わせたフルカスタム)開発の2つに分かれます。パッケージ製品は、版管理やBOM管理、ワークフローといった標準機能があらかじめ用意されており、比較的短期間で稼働させやすい選択肢です。一方で承認段階が複数部門にまたがる自社フローや、既存の基幹システムとの連携仕様が標準機能でカバーしきれない場合は、アドオン開発やスクラッチ開発を組み合わせる判断が必要になります。

どちらを選ぶにせよ、外注先の選定では次の観点が判断材料になります。第一に、既存のCAD環境や基幹システムとの連携実績です。使用しているCADの種類やERPの仕様に応じた連携経験があるかどうかで、開発工数の見立ては大きく変わります。第二に、設計変更ワークフローの要件定義を、現場の運用に即して詰められる体制かどうかです。ECR/ECOの承認ルートは企業ごとに異なるため、既製のテンプレートをそのまま当てはめるだけでは運用に合わないことがあります。

第三に、元請(プライムベンダー)として要件定義から開発・移行・保守までを一貫して担えるか、それとも複数の協力会社をまたいだ体制になるかという点です。図面・CADデータという機微な情報を扱う以上、責任の所在が明確な発注形態を選ぶことが、長期運用を見据えたリスク管理につながります。自社のCAD環境・基幹システム構成を棚卸ししたうえで、パッケージとスクラッチのどちらが適するかを診断することが実務的な進め方です。

まとめ:PLM・図面/CADデータ管理システム導入で押さえる3つの判断軸

本稿ではPLM・図面/CADデータ管理(PDM)の仕組みと導入の考え方を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、PDMは設計データの管理に特化し、PLMは企画から廃棄までのライフサイクル全体を管理する仕組みで、両者は包含関係にあります*5。第二に、設計変更はECR(依頼)とECO(指示)の2段階で進み、版管理・BOM管理・アクセス権の設計がその土台になります*7*8。第三に、共有フォルダや属人管理には限界があり、CADツール連携やERP連携まで見据えた導入方法(パッケージかスクラッチか)と外注先の体制が、運用の安定度を左右します。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、設計・生産管理領域のシステム開発を元請(プライムベンダー)として受託しています。既存のCAD環境や基幹システムの構成調査から、版管理・BOM管理・設計変更ワークフローの要件定義、パッケージ選定とアドオン開発、既存システムとの連携まで、一貫して対応する体制を整えています。現状の図面・CADデータ管理の運用課題を整理したいという企業様は、現状診断からご相談いただけます。

よくある質問

PLMと図面/CADデータ管理(PDM)は何が違うのですか。

PDMは設計図・CADデータ・BOM(部品表)といった設計関連データの管理に特化した仕組みです*4。PLMは企画から設計・製造・販売・保守・廃棄までの製品ライフサイクル全体を対象とし、PDMを包含する上位の概念として位置づけられています*5

ECRとECOはどう違うのですか。

ECR(Engineering Change Request)は設計変更を依頼するドキュメントで、試作テストの担当部門やサプライヤーが発行します*8。ECRが承認されると、変更の影響範囲を判断し関係部門へ指示するECO(Engineering Change Order)の工程に進みます*7

共有フォルダでの図面管理には、どのような限界がありますか。

ファイル名の付け方が統一されず所在が分からなくなる、最新版と旧版の判別ができない、CADデータとBOMが別管理で連携できないといった問題が起こりやすくなります*6。3D CADは関連ファイルが相互参照する構造のため、移動やリネームだけでファイルが開けなくなるおそれもあります*6

PLM製品(パッケージ)とスクラッチ開発は、どちらを選べばよいですか。

版管理やBOM管理、ワークフローなど標準機能で運用を賄えるならパッケージ製品が短期間で稼働しやすい選択肢です。承認段階が複数部門にまたがる自社フローや既存基幹システムとの連携が標準機能でカバーしきれない場合は、アドオン開発やスクラッチ開発を組み合わせる判断が必要になります。自社のCAD環境・基幹システム構成の棚卸しが判断の出発点です。

PDM/PLM関連システムの開発を外注する場合、何を確認すればよいですか。

既存のCAD環境やERPとの連携実績、設計変更ワークフローの要件定義を現場の運用に即して詰められる体制かどうかを確認します。あわせて元請(プライムベンダー)として要件定義から保守までを一貫して担えるか、複数の協力会社をまたぐ体制かという発注形態も確認しておくと、責任の所在が明確になります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:JEITA「三次元CAD情報標準化専門委員会」(一般社団法人電子情報技術産業協会)(https://home.jeita.or.jp/3d/
  2. *2 出典:経済産業省「2020年版ものづくり白書 第1部第1章第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」(https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2020/honbun_html/honbun/101031_2.html)※アクセス制限のためリンク省略
  3. *3 出典:テクノプロ・シミュレーション「PLMとは?PDMとの違いやおもな機能、導入するメリットを解説」(https://www.technopro-simulation.com/knowledge/441/
  4. *4 出典:Koto Online「PDMとは?メリットと活用方法、PLMシステムとの違いを解説」(https://www.cct-inc.co.jp/koto-online/archives/498
  5. *5 出典:Centric Software「PDMとは?PLMとの違い、導入するメリットを簡単解説」(https://www.centricsoftware.com/ja/blogs/pdm-vs-plm/
  6. *6 出典:Veeam「製造業におけるCADデータ・図面データの管理課題に関する解説記事」(https://www.veeam.com/blog/jp/manufacturing-manage-cad-data.html
  7. *7 出典:西部電気工業「【製造業向け】MES導入の失敗を避ける!部門間連携を円滑にする「ECO」とは?」(https://www.seibu-denki.co.jp/solution/columns/engineering-change-order/
  8. *8 出典:Presight「ECR|PLMシステム、ナレッジマネジメントシステム」(https://www.presight.co.jp/glossary/detail/ecr.php


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