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2026.07.13 らしくコラム

DAM(デジタルアセット管理)開発の外注の進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム開発・保守運用を受託

デジタルアセットのイメージ

この記事のポイント

  • DAM(デジタルアセット管理)は、画像・動画・デザインデータなどのクリエイティブ資産を一元管理し、メタデータや権利情報で整理して配信するための仕組みです。
  • DAMの市場は拡大傾向にあり、調査会社Mordor Intelligenceは2025年の市場規模を64.2億米ドルと推計しています。
  • 大容量メディアの配信、メタデータ設計、既存CMS・PIMとの連携が、開発を外注する際に確認しておきたい要点になります。

DAM(デジタルアセット管理)とは——クリエイティブ資産を一元管理する仕組み

制作物管理のイメージ

DAM(デジタルアセット管理。Digital Asset Management)とは、画像・動画・音声・デザインデータ・ドキュメントといったデジタル資産(アセット)を一元的に保存し、メタデータで整理して検索・共有・配信するための仕組みを指します。写真や動画といった多様なファイル形式のアセットを扱い、カテゴリ分類やタグ付け、追跡、変換までを一つの基盤で担う点が特徴です*2

図
図:DAMにおけるアセットの流れ(取込・登録→メタデータ付与→検索・権利管理→承認→配信・連携)

対象となるアセットの中心は、マーケティングやブランド管理の現場で日々生み出される制作物です。商品写真、ブランドロゴ、動画広告、バナー、印刷用データ、プレゼン資料などが該当します。これらは複数の部門や外部の制作会社にまたがって作られ、そのまま放置すると担当者のPCや共有フォルダ、クラウドストレージに散らばりがちです。

DAMの狙いは、こうした散在したアセットを一つの基盤に集約し、「どこにあるか」「最新版はどれか」「誰がどこまで使ってよいか」を明確にすることにあります。単なるファイル置き場との違いは、メタデータや権利情報に基づく管理と、承認や配信までを含めた運用にある点です。次章以降で、その必要性と機能を順に整理していきます。

なぜ今DAMなのか——制作物の散在と権利・利用期限という課題

デジタルマーケティングの広がりに伴い、企業が扱うクリエイティブ資産の量と種類は増え続けています。Webサイト、SNS、ECモール、動画配信、店頭サイネージ、印刷物と、同じ商品でも掲載チャネルごとに異なるサイズや形式の素材が必要です。制作物が増えるほど、探す・使い回す・差し替えるという日常作業の負荷は高まっていきます。

市場の拡大もこの流れを裏づけています。調査会社Mordor Intelligenceのレポートでは、DAM市場の規模は2025年に64.2億米ドル、2031年には144.2億米ドルへ達すると予測され、2026年から2031年の年平均成長率(CAGR)は13.94%と見込まれています*1。同レポートでは2025年時点でオンプレミス型が59.76%のシェアを占める一方、クラウド型がより速いペースで拡大すると分析されています*1

現場でよく起きるのは、アセットの散在に起因する非効率です。過去に作った素材が見つからず作り直す、古いロゴが誤って公開される、といった事態は珍しくありません。担当者の異動や退職で保管場所が分からなくなるケースもあります。

さらに見落とされやすいのが、権利と利用期限の管理です。写真やモデル、音楽、フォントなどの素材には、使用許諾の範囲や契約期限が定められている場合があります。著作物の利用には原則として著作権者の許諾が必要で、私的使用のための複製など法律で定められた例外を除いて、無断利用は権利侵害となり得ます*4。契約期限を過ぎた写真をうっかり使い続ければ、思わぬトラブルにつながりかねません。こうした権利情報を素材そのものにひも付けて管理できる点が、DAMを検討する大きな動機になっています。

DAMの主要機能——メタデータ・検索・権利管理・レンディション・配信

DAMが備える機能は多岐にわたりますが、クリエイティブ資産の管理という観点から中心となるものを整理すると、次のようになります。

機能 概要
メタデータ・タグ付け 内容を説明する記述情報、権利や作成日時などの管理情報、ファイル形式・解像度などの技術情報、アセット間の関連を示す構造情報を付与する*3
全文・画像検索 メタデータやタグを手がかりに、必要なアセットを素早く探し出す
バージョン管理 同一アセットの改訂履歴を残し、最新版と過去版を取り違えないようにする
権利・利用期限管理 使用許諾の範囲や契約期限を素材にひも付け、期限切れ素材の利用を防ぐ*3
承認ワークフロー 公開前の確認・承認の流れを定義し、役割ごとの権限で統制する*2
レンディション 用途に応じてリサイズ・切り抜き・形式変換を行い、最適化した派生ファイルを生成する*2
配信・外部共有・連携 CMSやECなど外部システムへ配信し、APIで他ツールと連携する*2

とりわけ差が出やすいのがメタデータの扱いです。国際的な標準として広く使われるIPTC写真メタデータ標準は、著作権や利用許諾を含む管理情報や記述情報を画像に埋め込む仕組みを定めています*3。標準に沿ってメタデータを設計すると、後からの検索や権利確認、外部との受け渡しがしやすくなります。

レンディションも実務上の要点です。1枚の元画像から、Web用・SNS用・印刷用など複数の派生ファイルを自動生成できれば、制作の手戻りを減らせます。デバイスやプラットフォームに合わせてサイズや形式をプログラム的に変換できる点は、配信の効率に直結する機能といえるでしょう*2

文書管理・PIM・ナレッジベース・CMSとの違いと連携

DAMは、隣接する複数のシステムと混同されやすい存在です。役割の違いを押さえておくと、開発範囲の線引きがしやすくなります。主な違いを整理すると次の通りです。

システム 主に管理する対象 DAMとの関係
DAM 画像・動画・デザインデータなどのクリエイティブ資産 本記事の主題。素材そのものと権利情報を一元管理する
文書管理 契約書・申請書などの業務文書 扱うのはテキスト中心の文書。大容量メディアの配信や派生生成は主眼ではない
PIM 商品名・仕様・価格などの商品情報 商品情報を管理し、商品画像はDAMから参照して連携する構成が多い
ナレッジベース 社内の知識・ノウハウ・FAQ 知識の蓄積・再利用が目的。素材の権利管理や配信は対象外
CMS Webページの構成・コンテンツ ページを組み立てる側。掲載する画像・動画はDAMから配信して連携する

ポイントは、DAMが「素材そのもの」を扱うのに対し、PIMは「商品の情報」を、CMSは「ページの中身」を扱うという役割分担です。実際の運用では、これらは競合するのではなく連携して機能します。たとえばPIMが管理する商品ページに、DAMの商品画像を差し込む、CMSが記事を公開する際にDAMからバナーを取得する、といった形です。

この連携は、当メディアで別途扱っているPIM(商品情報管理)やナレッジベースのテーマとも重なる部分がありますが、DAMの軸足はあくまでクリエイティブ資産の一元管理と権利管理にあります。開発の際は、自社が抱える課題が「素材の散在と権利管理」なのか、「商品情報の整備」なのかを見極めることが、システム選定の出発点になります。

連携を前提とする場合、どのシステムがマスター(正となるデータの保持元)を担うかを整理しておくことも欠かせません。商品画像をDAMで一元管理し、PIMやCMSからはそれを参照するだけにすれば、素材の重複や版ずれを避けやすくなります。

パッケージ(DAM SaaS)とスクラッチ——DAM開発の選び方

メディア管理のイメージ

DAMを導入・開発する際は、既製のパッケージ(DAM SaaS)を使うか、要件に合わせてスクラッチで開発するかという判断が最初の分岐点になります。それぞれに向き不向きがあります。

パッケージ(DAM SaaS)が向くケース

メタデータ管理、検索、レンディション、権利管理、配信といった基本機能は、多くのDAM SaaSがあらかじめ備えています。標準的な運用に収まるのであれば、パッケージの採用が現実的な選択肢です。初期構築の期間を短縮でき、機能追加もベンダー側の更新に乗れる利点があります。クラウド型が拡大している背景には、こうした導入のしやすさもあると考えられます*1

スクラッチ開発が向くケース

一方で、自社固有の承認フローや、基幹システム・PIM・CMSとの複雑な連携、特殊なファイル形式への対応など、パッケージの標準機能では吸収しきれない要件がある場合は、スクラッチ開発や大幅なカスタマイズが検討対象になります。既存の業務プロセスに深く組み込む必要があるほど、作り込みの余地は大きくなるでしょう。

判断軸として有効なのは、大容量メディアの配信要件、権利・期限管理の厳密さ、既存システムとの連携範囲の3点です。標準機能で足りるならパッケージ、独自要件が多いならスクラッチという整理が基本になりますが、実務では「パッケージを基盤にしつつ連携部分を作り込む」という中間的な進め方も少なくありません。自社の要件がどこに位置するかを見極めたうえで、初期費用と運用費用の両面から比較することが大切です。

DAM開発を外注する際の確認点——配信・メタデータ設計・既存連携

DAM開発を外部の専門パートナーに委託する場合、一般的なシステム開発の観点に加えて、DAM特有の論点を確認しておくと認識のずれを防げます。ここでは代表的な3点を挙げます。

大容量メディアのストレージと配信

DAMは動画や高解像度画像など、容量の大きなファイルを大量に扱います。保存先のストレージ設計に加えて、閲覧やダウンロード時の配信性能が実用性を左右します。CDN(コンテンツ配信網。世界各地のサーバーからファイルを効率よく届ける仕組み)を使った配信や、アクセス集中時の挙動をどう設計するかは、事前にすり合わせておきたい点です。レンディションを自動生成する場合、その処理負荷とストレージ増加も見積もりに含める必要があります。

メタデータ設計と権利情報の管理

メタデータの設計は、後からの検索性と権利管理の精度を決める土台です。どの項目を必須とし、どの語彙(タグの選択肢)をそろえるか、IPTCのような標準に準拠するかどうかを、運用を担う部門と一緒に決めていく必要があります*3。使用許諾の範囲や利用期限をどう保持し、期限が近づいた際にどう通知するかも、権利トラブルを防ぐうえで確認しておきたい仕様です*4

既存CMS・PIMとの連携

DAM単体で完結するケースはむしろ少なく、多くはCMSやPIM、ECサイトと連携します。連携方式(APIの有無や仕様)、どのシステムをマスターとするか、認証・権限をどう統合するかは、開発着手前に整理しておくべき論点です*2。委託先が連携先システムの経験を持っているかどうかも、選定の判断材料になります。

内製と外注の分かれ目は、これらを一貫して担える体制が社内にあるかどうかです。大容量配信の設計、メタデータ設計、複数システムの連携を通常業務と並行して進めるのは負荷が大きく、専門パートナーへの委託が現実的な場面は少なくありません。元請(プライムベンダー)として要件定義から連携先の調整まで引き受けられる委託先であれば、複数ベンダーにまたがる調整の手間を減らせます。

まとめ:DAM開発の外注で押さえる3つの判断軸

本稿では、DAM(デジタルアセット管理)の仕組みと機能、隣接システムとの違い、開発を外注する際の確認点を整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、DAMは画像・動画などのクリエイティブ資産を、メタデータと権利情報にもとづいて一元管理し、承認と配信までを担う仕組みです*2。第二に、標準機能で足りるならパッケージ(DAM SaaS)、自社固有の連携や承認フローが必要ならスクラッチと、要件の位置づけで開発方針を選びます。第三に、大容量メディアの配信、メタデータ設計、既存CMS・PIMとの連携が外注時の主要な確認点であり、これらを一貫して担える体制の有無が内製と外注の判断材料になります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、システム開発から保守・運用までを元請(プライムベンダー)として受託しています。DAM(デジタルアセット管理)の要件定義、メタデータ設計、大容量メディアの配信基盤、既存CMS・PIMとの連携まで、一貫して対応する体制を整えています。マーケティング資産の散在や権利管理に課題を抱える企業様は、現状の整理からご相談いただけます。

よくある質問

DAMとオンラインストレージは何が違うのですか。

オンラインストレージはファイルを保存・共有する場ですが、DAMはメタデータやタグによる整理・検索、バージョン管理、権利や利用期限の管理、用途別の派生ファイル生成(レンディション)、承認や配信までを担う点が異なります*2。素材の「置き場」ではなく「運用の基盤」と捉えると違いが分かりやすくなります。

DAMとPIMやCMSは併用すべきですか。

役割が異なるため、併用して連携させる構成が一般的です。PIMは商品情報を、CMSはWebページを扱い、そこに掲載する画像・動画はDAMから配信します。どのシステムをマスターとするかを整理し、API連携の可否を確認しておくと、素材の重複や版ずれを避けやすくなります。

写真やフォントの利用期限はDAMで管理できますか。

多くのDAMは、使用許諾の範囲や契約期限を素材のメタデータとして保持できます*3。著作物の利用には原則として権利者の許諾が必要なため*4、期限管理は権利トラブルを防ぐうえで重要な機能です。開発時には、期限が近づいた際の通知や、期限切れ素材の利用制限をどう実装するかを確認しておくとよいでしょう。

DAMはパッケージとスクラッチのどちらで開発すべきですか。

標準的な機能で運用が収まるならパッケージ(DAM SaaS)、自社固有の承認フローや複雑な連携が必要ならスクラッチやカスタマイズが選択肢になります。大容量配信・権利管理の厳密さ・既存システムとの連携範囲の3点を軸に、自社要件の位置づけを見極めて判断することをおすすめします。

DAM開発を外注する際、最初に何を確認すればよいですか。

大容量メディアの配信設計、メタデータ設計の方針、既存CMS・PIMとの連携方式の3点をまず確認します。加えて、委託先が連携先システムの開発経験を持つか、要件定義から運用まで一貫して担えるかを見ておくと、複数ベンダーにまたがる調整の負荷を抑えやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:Mordor Intelligence「Digital Asset Management Market Size, Report, Trends & Share Analysis」(https://www.mordorintelligence.com/industry-reports/digital-asset-management-dam-market
  2. *2 出典:Cloudinary「Digital Asset Management API」(Glossary)(https://cloudinary.com/glossary/digital-asset-management
  3. *3 出典:IPTC「Photo Metadata Standard」(https://iptc.org/standards/photo-metadata/
  4. *4 出典:公益社団法人著作権情報センター(CRIC)「著作権が制限されるのはどんな場合?」(https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html


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