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2026.07.16 らしくコラム

CBT試験システムの選び方|受験者・問題・配信の管理

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として業務システムの企画・開発・運用を受託

CBT試験のイメージ

この記事のポイント

  • CBT試験システムは、問題の作成・配信・実施・採点までを担う仕組みで、学習の管理を主目的とするLMSやeラーニングとは役割が異なります。
  • IPAは情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験を既にCBT方式で実施し、2026年度からは応用情報技術者試験や高度試験なども移行予定と公表しています。
  • 選定・開発では、問題バンク、受験者管理・本人確認、不正防止(プロクタリング)、採点・分析の4要素をどこまで担うかが判断軸になります。

課題:紙の試験と会場運営にかかる運用負荷

オンライン受験のイメージ

検定や社内試験を紙で運用してきた企業では、問題冊子の印刷・輸送・保管、会場の手配、監督員の配置、答案の回収と採点、結果の通知まで、実施のたびに多くの工程が発生します。受験者を一斉に集める形式では、開催日時と会場の制約も大きくなりがちです。

コンピュータを使う試験、いわゆるCBT(Computer Based Testing)は、こうした工程の多くをシステム側に載せ替える方式です。独立行政法人 大学入試センターは、CBTを「パソコンやタブレットなどを用いて行われる試験」と定義し、紙と鉛筆で行うPBT(Paper Based Testing)と対比して説明しています*4

図
図:CBT試験システムが担う試験運用の流れ(問題バンク→受験者管理→配信・受験→採点・分析)

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)の情報処理技術者試験も、この方式への移行を進めています。基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験は既にCBT方式で実施されており*2、2026年度(令和8年度)に実施する試験からは、応用情報技術者試験や高度試験、情報処理安全確保支援士試験もペーパー方式からCBT方式へ移行する予定と公表されています*1。公的な資格試験でも、紙からコンピュータへの移行が現実の選択肢になっているわけです。

ただし、こうした仕組みを自社の検定や社内試験で使おうとすると、市販のLMS(学習管理システム)では役割が合わないことがあります。次章から、CBT試験システムが何を担うのか、そしてLMSやeラーニングと何が違うのかを順に整理します。

CBT試験システムとは——試験の作成・配信・実施を担う仕組み

CBT試験システムとは、コンピュータを用いた試験の「作成・配信・実施・採点」を一連の流れとして扱うためのシステムです。受験者は画面に表示された問題を読み、キーボードとマウスで解答します*1。この操作の裏側で、問題の出題順や受験者の識別、解答の記録、採点までがシステム上で処理されます。

受験日時と会場を選べる運用が前提になる

CBT方式の特徴のひとつが、実施のタイミングを分散できる点です。IPAの案内では、受験者が申込み時に試験日時と試験会場を自身で選択する運用が示されています*2。会場ごとに設定された予約枠から都合に合わせて日時を選べるため、一斉開催に比べて受験機会の自由度が高まります*1。IPAは移行にあたり、受験者の負担軽減と利便性の向上が見込まれるとしています*3

会場型とリモート型の2つの実施形態がある

CBTには、テストセンターなどの会場に設置した端末で受験する会場型と、受験者の自宅などから受験するリモート型があります。IPAの試験では、テストセンターを株式会社シー・ビー・ティ・ソリューションズが運営し、多人数による一斉受験の場合は座席数について相談できる旨が案内されています*2。一方、国際的なテスト運用の指針をまとめた国際テスト委員会(ITC)のガイドラインは、コンピュータ配信・インターネット配信のテストについて、監督(プロクタリング)を自動的な仕組みから人による監視まで、実施状況や求められる厳密さに応じて使い分ける考え方を示しています*5。会場型かリモート型かによって、後述する本人確認や不正防止の設計は変わってきます。

記述式の扱いやすさもコンピュータ化の利点

問題形式の面でも、コンピュータ化には利点があります。IPAは記述式・論述式の解答について、文章の途中への語句の挿入や削除が容易になり、書き直しの手間が紙方式に比べて軽減されると説明しています*1*3。選択式だけでなく、記述を伴う試験でも操作面の負担を下げられる余地があるわけです。

LMS・eラーニングとの違い——学習の管理か、試験の実施か

ここが検討の出発点で迷いやすい部分です。LMS(Learning Management System、学習管理システム)やeラーニングにも、確認テストやクイズの機能が含まれることが多く、「試験もこれで足りるのでは」と考えがちです。しかし両者は、主目的と設計思想が異なります。

LMSやeラーニングは、教材の配信、学習の進捗管理、受講履歴の記録など「学習の管理」を主目的とします。テスト機能は、あくまで学習理解度を確認する補助的な位置づけであることが少なくありません。これに対してCBT試験システムが担うのは、合否や資格の判定を伴う「試験の作成・配信・実施」そのものです。同じ「テスト」という言葉でも、学習の途中でおこなう理解度チェックと、公平性が問われる本番の試験とでは、求められる要件が変わります。

具体的には、次のような点で要件の重みが異なります。

観点 LMS・eラーニング CBT試験システム
主目的 教材配信と学習の進捗管理 試験の作成・配信・実施と合否判定
テストの位置づけ 理解度を確認する補助機能 中心機能(本番の試験そのもの)
問題の出し方 教材に紐づく確認問題が中心 問題バンクからの抽出・ランダム出題を重視
本人確認・不正防止 簡易な場合が多い 受験者本人の確認や監督を重視
重視される性質 学びやすさ・継続性 公平性・結果の再現性

もちろん、両者は排他的なものではありません。学習はLMSで、認定試験はCBT試験システムで、と役割を分けて連携させる構成もあります。大切なのは、「学習の管理」と「試験の実施」を同じ要件で扱わないことです。自社が実現したいのがどちらに軸足を置くのかを見極めると、選定や開発の方向性が定まりやすくなります。

CBT試験システムを構成する4つの機能要素

採点のイメージ

CBT試験システムを検討するときは、機能をひとかたまりで捉えるよりも、役割ごとに分解して考えると要件が整理しやすくなります。ここでは核となる4つの要素を取り上げます。

1. 問題バンクと出題(ランダム・難易度)

問題バンク(アイテムバンク)は、試験に使う問題をあらかじめ蓄積しておく仕組みです。大学入試センターも、大量の試験問題を問題バンクに貯めておく形態をCBTの一例として挙げています*4。ここから受験者ごとに問題を抽出したり、順序を入れ替えて出題したりできる点が、紙の一律配布との違いです。

出題では、問題や選択肢の並び順をランダム化したり、分野・難易度のバランスを取りながら組み合わせたりする制御が求められます。受験者ごとに出題内容を変えられれば、隣席や複数回受験による問題の使い回しの影響を抑えやすくなります。どの粒度でランダム化するか、難易度をどう管理するかは、試験の性質に応じて設計する部分です。

2. 受験者管理・受験予約・本人確認

受験者管理は、申込みの受付から受験資格の確認、受験予約、当日の本人確認までを扱う領域です。IPAの試験では、受験者が試験日時と会場を自ら選択して予約する運用が採られています*2。予約枠の管理や定員の制御、受験票の発行なども、この領域に含まれます。

本人確認は、受験者が申込者本人であることを照合する工程です。会場型では受付での証明書確認、リモート型ではカメラを使った顔と証明書の照合などが用いられます。国際テスト委員会のガイドラインも、実施形態に応じた本人性の担保と監督の設計を重視しています*5。替え玉受験を抑えるうえで、どの形態でどこまで確認するかは要件定義の要点になります。

3. 不正防止(プロクタリング・ロックダウン)

不正防止は、受験中の環境を監視・制御する領域です。監督を意味するプロクタリングには、試験官が遠隔で映像を確認する方式や、AIが挙動を解析して疑わしい動きを検知する方式などがあります。国際テスト委員会のガイドラインは、監督の水準を自動的な仕組みから人による監視まで、状況に応じて使い分ける考え方を示しています*5

あわせて、受験端末側で他アプリケーションの起動やコピー操作を制限するロックダウン(試験用ブラウザなどによる操作制限)を組み合わせる構成もあります。どこまで厳密に監視するかは、試験の重要度と受験者の利便性のバランスで決まります。過度な制限は受験者の負担にもなるため、試験の性質に見合った水準を選ぶことが現実的です。

4. 採点・成績・合否判定と分析

採点・成績の領域が担うのは、解答の自動採点、得点集計、合否判定、成績通知、そして結果の分析です。選択式は自動採点との相性がよく、記述式は自動採点と人手のレビューを組み合わせる設計が採られることもあります。IPAが記述式の操作面の負担軽減に触れているように*1、解答形式によって採点の設計は変わります。

試験結果を問題ごとの正答率などの形で集計できれば、問題の妥当性の点検や次回の出題改善にも活かせます。合否のしきい値をどう設定し、結果をどの範囲に、どのタイミングで通知するかも、この領域の設計事項です。

開発を外注する前に確認したい5つの点

CBT試験システムを外部のパートナーに開発委託する場合、機能一覧を並べるだけでは要件がすれ違いがちです。前章の4要素に沿って、次の観点を事前にすり合わせておくと、見積もりや設計の精度が上がります。

1つ目は、実施形態の範囲です。会場型のみか、リモート型を含むかで、本人確認と不正防止の作り込みは大きく変わります。両方を想定するのか、まず一方から始めるのかを決めておくと、初期の開発範囲を絞りやすくなります。

2つ目は、問題バンクと出題ロジックの要件です。問題の登録・改訂の運用、ランダム化の粒度、難易度や分野のバランス制御など、どこまでを自動化したいのかを具体化します。問題の作成主体(自社の担当者か、委託先か)も、運用設計に関わります。

3つ目は、不正防止の水準です。プロクタリングを人手で行うのか、自動検知を用いるのか、ロックダウンをどこまで課すのか。試験の重要度に見合った水準を、受験者の負担と合わせて検討します。国際テスト委員会のガイドラインが示すように、水準は一律ではなく状況に応じて選ぶ性質のものです*5

4つ目は、既存システムとの連携です。会員管理や決済、LMS、人事システムなどと連携するのかを確認します。前述のとおりLMSは学習の管理を主目的とするため、試験部分をCBT試験システムに切り出し、データ連携でつなぐ構成も選択肢になります。

5つ目は、運用・保守と個人情報の扱いです。受験者の個人情報や解答データ、監視映像などをどこに保管し、誰が運用するのかは、開発と同じくらい重要です。ピーク時のアクセス集中への備えや、障害時の対応体制も含め、稼働後の運用まで含めて委託範囲を確認しておくと、後戻りを減らせます。

これらは、自社で内製するか外注するかの判断にも直結します。試験の実施頻度が高く、機能も継続的に育てたい場合は、要件定義から運用までを一貫して相談できる元請(プライムベンダー)に委託する形が現実的な選択肢になります。

まとめ:CBT試験システム選びで押さえる観点

本稿では、CBT試験システムの役割と選定の観点を、IPAや大学入試センターなどの公式情報をもとに整理しました。要点は次の3つです。第一に、CBT試験システムは試験の作成・配信・実施・採点を担う仕組みであり、学習の管理を主目的とするLMSやeラーニングとは役割が異なります。第二に、機能は問題バンクと出題、受験者管理・本人確認、不正防止(プロクタリング)、採点・分析の4要素に分けて捉えると、要件が整理しやすくなります。第三に、外注時は実施形態・出題ロジック・不正防止の水準・既存システム連携・運用体制の5点を事前にすり合わせることが、認識のずれを防ぐ近道です。IPAが公的試験でCBT移行を進めているように*1*3、コンピュータを用いた試験は身近な選択肢になりつつあります。自社の試験がどの機能に重きを置くのかを見極めることが、システム選びの出発点になります。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムの企画・開発・運用を元請(プライムベンダー)として受託しています。CBT試験システムでは、問題バンクと出題ロジックの設計から、受験者管理・本人確認、プロクタリングやロックダウンによる不正防止、採点・成績・分析まで、試験運用の全体像を踏まえた要件定義からご一緒できるのが強みです。会場型・リモート型のどちらから始めるかの切り分けや、既存の会員管理・LMSとの連携もあわせてご相談いただけます。現状の試験運用の棚卸しから、内製・外注の切り分けの検討までお手伝いします。

よくある質問

CBT試験システムとLMSは何が違うのですか。

LMS(学習管理システム)は教材配信や学習の進捗管理を主目的とし、テストは理解度を確認する補助機能である場合が多いです。一方でCBT試験システムは、問題の作成・配信・実施と合否判定に特化します。学習を管理したいのか、公平性が問われる本番の試験を実施したいのかで、選ぶべきシステムが変わります。

会場に集めず、受験者の自宅から受験させることはできますか。

CBTには、テストセンターなどの会場で受験する会場型と、自宅などから受験するリモート型があります。リモート型ではカメラによる本人確認や監督(プロクタリング)の設計が重要になります。国際テスト委員会のガイドラインは、監督の水準を自動的な仕組みから人による監視まで状況に応じて使い分ける考え方を示しています*5。試験の重要度に見合った水準を選ぶことが現実的です。

受験のたびに同じ問題が出てしまう心配はありませんか。

問題バンクに問題を蓄積し、受験者ごとに問題を抽出したり出題順を入れ替えたりする出題制御を用いると、問題の使い回しの影響を抑えやすくなります*4。どの粒度でランダム化し、難易度や分野のバランスをどう取るかは、試験の性質に応じて設計します。

公的な資格試験でもCBTは使われていますか。

IPAの情報処理技術者試験では、基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験が既にCBT方式で実施されています*2。さらに2026年度に実施する試験からは、応用情報技術者試験や高度試験、情報処理安全確保支援士試験もCBT方式へ移行する予定と公表されています*1*3

開発を外注する際は、まず何を決めておくべきですか。

実施形態(会場型かリモート型か)、問題バンクと出題ロジックの要件、不正防止の水準、既存システムとの連携、運用・保守と個人情報の扱いの5点を事前にすり合わせておくと、見積もりや設計の精度が上がります。試験の重要度と受験者の負担のバランスを踏まえて、必要な水準を具体化しておくことが大切です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験におけるCBT方式での実施について」( https://www.ipa.go.jp/shiken/2026/ap_koudo_sc-cbt.html )
  2. *2 出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式)」( https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/cbt_sg_fe.html )
  3. *3 出典:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「プレス発表 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験がCBT方式での実施に移行予定」(2025年8月12日)( https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20250812.html )
  4. *4 出典:独立行政法人 大学入試センター「CBTについて」( https://www.dnc.ac.jp/research/cbt/ )
  5. *5 出典:International Test Commission「The ITC Guidelines on Computer-Based and Internet-Delivered Testing」(https://www.intestcom.org/page/18


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