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2026.07.23 らしくコラム

医療広告の規制対応|ガイドライン違反を防ぐ審査体制

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託

医療機関サイトの広告表現チェックのイメージ

この記事のポイント

  • 医療広告ガイドラインは医療法に基づき病院・クリニック・歯科・美容医療の広告を規律するもので、化粧品や健康食品の表示を規律する薬機法の広告規制とは対象も根拠法も異なります。
  • 2018年の医療法改正以降、医療機関のウェブサイト・LP・リスティング広告・SNS投稿も広告規制の対象に含まれ、比較優良広告や体験談の紹介などが禁止されています。
  • 担当者の経験だけに頼る掲載前審査は属人化しやすく、チェックリスト・NG表現辞書・承認ログをワークフローとして仕組み化する体制づくりが求められます。

医療広告ガイドラインとは?医療法が定める医療機関の広告規制

院内での掲載前審査体制のイメージ

本稿で扱う「医療広告」とは、医療法および厚生労働省の医療広告ガイドラインが規律する、病院・クリニック・歯科・美容医療といった医療機関そのものの広告を指します*1。医薬品・医療機器・化粧品・健康食品の表示を規律する薬機法の広告規制とは根拠法も対象も別であり、当サイトでは薬機法の広告チェックについて別の記事で扱っています。まずこの一文で線引きをしたうえで、本稿では医療機関の広告に絞って解説を進めます。

ガイドラインの正式名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」といい、厚生労働省が医療法第6条の5等の規定を踏まえて示しています*1。医療は患者の生命・身体に直結する情報を扱う領域であり、提供側と患者の間に大きな情報の非対称性が存在します。ガイドラインはこの非対称性を踏まえ、患者が治療を適切に選択するための情報提供を促す一方で、虚偽・誇大な広告によって不当に患者を誘引することを防ぐ狙いで整備されてきました*1。一般的な商品・サービスであれば購入後に評価をやり直すことも可能ですが、医療は身体への影響を伴うため、誤った情報に基づいて治療を選んでしまった場合の不利益は取り返しがつきにくいという性質を持ちます。ガイドラインが他業種の広告規制よりも厳格な仕組みを採用している背景には、こうした医療特有のリスクの重さがあると理解しておくと、個々の禁止事項の意味も飲み込みやすくなるでしょう。

対象となるのは病院・診療所を開設する医療法人や個人だけでなく、歯科医院、美容医療クリニックも含まれます。広告を実際に制作・出稿する広告代理店やWeb制作会社であっても、規制の趣旨を理解しないまま原稿を作成すると、依頼元の医療機関が行政指導を受ける事態につながりかねません。医療機関の広報担当・経営企画だけでなく、制作を担う外部パートナー側にも共通の知識として求められる領域だと言えるでしょう。

規制の重さは病床数の多い病院から個人開設のクリニックまで基本的に変わりません。単科の歯科医院であっても、複数拠点を展開する美容医療チェーンであっても、同じガイドラインが適用される点は共通しています*1。むしろ拠点数や発信媒体の数が増えるほど、院内で審査すべき原稿量は比例して増えていくため、規模が大きい医療機関ほど早い段階で審査体制を仕組み化しておく必要性が高いと言えるでしょう。

業態によって注意すべき論点の重心は変わる

同じガイドラインが適用されるとはいえ、業態によって注意すべき論点の重心は異なります。病院や一般診療所は保険診療が中心となるため、限定解除よりも広告可能事項そのものの範囲を正しく理解することが重要になりやすい一方、歯科医院はホワイトニングやインプラントのように保険外診療と保険診療が混在するため、費目ごとに広告可能事項と限定解除の適用範囲を切り分けて管理する必要があります。美容医療クリニックは自由診療が中心であるため、限定解除の4要件、とりわけ費用とリスクの記載を漏れなく運用できるかどうかが審査の中心的な論点になりやすいと言えるでしょう。

広報・経営企画が担う役割の整理

医療機関内で広告表現の最終責任を負うのは、多くの場合、院長や理事長といった開設者ですが、日々の原稿作成・一次チェックを担うのは広報担当や経営企画部門であるケースが一般的です。医師・歯科医師は診療に関する専門知識を持つ一方、広告規制の細部まで日常的に把握しているとは限らず、逆に広報担当は規制知識があっても治療内容の専門的な正確性までは判断しきれないという分業上の課題が生じがちです。誰が一次チェックを行い、誰が最終承認を行うのかという役割分担をあらかじめ明確にしておくことが、審査体制を機能させる前提になります。

複数の診療科を抱える病院では、診療科ごとに広告表現の傾向や自由診療の有無が異なるため、全科共通のチェックリストに加えて、診療科固有の留意点を補足として整備しておくと実務がスムーズになります。歯科医院や美容医療クリニックのように単科・少数拠点であっても、担当者が一人しかいない体制では、判断に迷った際の相談先が院内に存在しないという別の課題が生じやすく、外部の専門家や委託先との連携経路を確保しておく意味は小さくありません。

規制対象となる広告媒体の範囲—Webサイト・LP・SNSも含まれる

医療法の広告規制は、かつてはテレビCM・新聞広告・パンフレットといった伝統的な媒体を主な対象としていました。しかし平成29年の医療法等改正により、平成30年6月から医療機関のウェブサイトも広告に含まれることが明確になっています*1。院内で「うちのホームページは広告ではない」という認識のまま運用を続けている場合は、この前提から見直す必要があります。

誘引性と特定性で「広告」に該当するかを判断する

ガイドラインは、①患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)、②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名・名称または病院・診療所の名称が特定可能であること(特定性)の両方を満たす場合に、広告に該当すると整理しています*1。この2要件に照らすと、ウェブサイトの診療案内ページはもちろん、リスティング広告、バナー広告、SNSアカウントの投稿、動画配信サービス上のコンテンツも、誘引性と特定性を満たす限り広告として扱われます*1。逆に言えば、学術論文や学会発表そのものの紹介、医療従事者の採用のみを目的とした求人ページのように、患者の受診を誘引する意図が乏しいと整理できる情報は、直ちに広告として扱われるとは限りません*1。ただしこの線引きは個別の表現や導線設計によって変わり得るため、機械的に「求人ページだから大丈夫」と割り切ることはできず、ケースごとの確認が必要になります。

公式アカウント以外のSNS運用にも注意が及ぶ

SNSに関しては、医療機関が自ら運営する公式アカウントの投稿だけが対象になるわけではありません。医療機関が対価を支払って第三者に投稿を依頼した場合や、院長個人のアカウントで自院の施術を紹介する場合も、誘引性・特定性を満たせば広告として扱われ得ると整理されています*1*3。広報担当が公式チャネルのみを管理していても、院内の医師・スタッフが個人アカウントで発信する内容まで目が届いていないケースは少なくなく、審査対象の範囲を院内でどこまで広げて捉えるかという整理自体が最初の論点になります。

事例解説書とQ&Aが具体的な判断基準を補う

厚生労働省は「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を公表し、ウェブサイトに関する具体的な適否事例を継続的に更新しています*3。ガイドライン本体とQ&Aは制定後も複数回にわたり改正が重ねられており、SNSや動画プラットフォームを用いた広告に関する事例が追加される等、媒体の変化に応じたアップデートが続いています*1*2。最新の改正日や条文番号は変更され得るため、実務にあたる際は厚生労働省の公式ページで最新版を確認することが欠かせません。近年の改正では、動画共有サービスやショート動画形式のコンテンツを念頭に置いた事例が加わるなど、テキストベースのウェブサイトを前提とした従来の解説だけでは判断しづらい媒体にも解説の範囲が広がってきています*1*3

事例解説書が示す判断の分かれ目

事例解説書には、ウェブサイトの記載内容ごとに広告に該当するかどうかの考え方が示されています*3。たとえば、施術のビフォーアフター写真の横に「今すぐ相談する」といった申込み導線を配置しているページは誘引性が強く働くと整理される一方、院内報や学術目的の症例報告のように、閲覧対象を医療従事者に限定し受診を促す要素を持たないコンテンツは、広告に該当しないと判断される余地があるとされています*3。もっとも、こうした整理はあくまで個別の事例を踏まえた考え方であり、掲載する文言やページ構成が変われば判断も変わり得るため、自院のケースをそのまま当てはめられるとは限りません。判断に迷う原稿については、事例解説書の考え方を参照しつつ、個別に確認する姿勢が求められます。

ポータルサイト・口コミサイトへの関与の有無

医療機関検索ポータルや口コミサイト、比較サイトへの掲載については、医療機関が自ら運営に関与しているかどうかで扱いが変わってきます。第三者が独自に運営し、医療機関側が原稿の作成や対価の支払いに関与していない口コミサイトの投稿までは、医療機関自身の広告として直ちに規制の対象にはなりません*1。一方で、医療機関が自ら情報を入稿するポータルサイトへの掲載ページや、医療機関の依頼に基づいて第三者が作成した紹介記事は、誘引性・特定性を満たせば広告として扱われます*1。自院が直接運営していない媒体だからといって審査の対象外だと思い込むと、思わぬところで規制違反の指摘を受けるおそれがあるため、自院が情報提供に関与している媒体を洗い出しておくことが実務上の出発点になります。

ガイドライン改正への追随が実務の前提になる

医療広告ガイドラインとQ&A、事例解説書は、社会状況や広告媒体の変化に応じて改正が重ねられてきた経緯があります*1*2*3。数年前に作成したウェブサイトの表現が、当時は問題視されていなくても、その後の改正で新たに注意喚起の対象になるという事態は起こり得ます。院内審査の基準を一度作って終わりにするのではなく、改正情報を定期的に確認し、チェックリストや辞書に反映し続ける前提で運用を設計しておく必要があります。

禁止される広告の類型—虚偽・比較優良・誇大・体験談・術前術後写真

ガイドラインは、広告可能事項の限定とは別に、内容そのものが不適切とされる広告の類型を示しています。院内審査で最も判断に迷いやすい部分でもあるため、代表的な類型を整理します*1*2

虚偽広告・比較優良広告・誇大広告

虚偽広告は、事実と異なる内容を表示する広告全般を指し、程度の大小を問わず禁止されています*1。比較優良広告は、他の医療機関との比較によって自らを優良と示す表現であり、地域で最も優れている、他院より優れているといった客観的な根拠を欠いた比較表現が典型例です*1。誇大広告は、実際よりも著しく優れているかのように誤認させる表現を指し、Q&Aでは「○○手術は効果が高く、おすすめです」のように科学的根拠に乏しい有効性の強調が誇大広告に該当し得ると説明されています*2。ランキングサイトを装いながら特定の医療機関を強調するような手法も、比較優良広告に当たる可能性があると整理されています*2

これら3つの類型は互いに重なり合うこともあります。たとえば、他院にはない特別な治療で高い効果が得られると強調するような表現は、根拠のない比較優良の要素と、効果を誇張する誇大広告の要素を同時に含んでいます。院内審査では類型ごとに一つずつ機械的に照合するだけでなく、一文の中に複数の類型が重なっていないかという視点も持っておくと、見落としを減らせるでしょう。

体験談の紹介と術前術後写真の取り扱い

治療の内容や効果について、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談を、医療機関への誘引を目的として紹介することは禁止されています*2。好意的な感想だけを取捨選択して掲載する行為も、虚偽・誇大な広告に当たるとされています*2。術前術後の写真についても、治療の内容・費用・主なリスクや副作用等の情報を伴わずに掲載すると、患者に誤った期待を持たせるおそれがあるとして原則として認められません*1。加えて、公序良俗に反する内容の広告も禁止対象です*1。これらは単発の表現チェックだけでなく、掲載後も定期的に見直す運用が必要になるでしょう。

「限定に反する広告」と「内容自体が不適切な広告」の違い

ここまで見てきた虚偽広告・比較優良広告・誇大広告・体験談・術前術後写真は、内容そのものが不適切とされる広告類型です。これに対して、後述する広告可能事項の限定は、内容自体に問題がなくても「掲載してよい事項の一覧に含まれているか」という別の切り口から審査する仕組みになります*1。つまり院内の審査担当者は、表現の適否と掲載事項の適否という2つの異なる物差しを、それぞれ独立して確認する必要があるということです。この2軸を混同したまま運用すると、片方だけを確認できたつもりになってしまい、もう一方の見落としにつながりやすくなります。

動画・SNSに特有の禁止パターン

動画コンテンツやSNS投稿では、テキストとは異なる形で規制に触れやすいパターンがあります。施術の様子を再現したドラマ仕立ての動画で、実際の治療結果以上の効果を演出する構成にしてしまうと誇大広告に当たり得ますし、加工アプリ等でビフォーアフターの差を実際以上に強調した画像・動画も同様の懸念が生じます*1*2。また、フォロワー数や再生回数の多さだけを根拠に「支持されています」と強調するような表現も、客観的な調査に基づかない優良性の訴求として扱われる可能性があるため、動画・SNSを担当するスタッフにも文章原稿と同水準の審査基準を適用する必要があります。

自由診療領域で誇大表現のリスクが高まる理由

保険診療は診療報酬の点数が全国一律で定められているため、価格や内容を過度に誇張して集患を図る動機が生じにくい構造になっています。これに対して自由診療は医療機関ごとに価格設定や施術内容の裁量が大きく、他院との差別化を打ち出したいという動機が働きやすい領域です。この構造の違いが、美容医療をはじめとする自由診療分野で誇大広告・比較優良広告のリスクが相対的に高まりやすい背景になっていると考えられます。自由診療のメニューを扱う原稿ほど、審査の優先度を上げて重点的に確認する運用が現実的でしょう。

公序良俗に反する広告の考え方

公序良俗に反する広告とは、わいせつな表現や残虐な印象を与える画像、犯罪を助長・美化するような表現など、医療という文脈を離れても社会通念上不適切とされる内容を含む広告を指します*1。美容医療や自由診療領域では、症例写真の見せ方によっては意図せずこの類型に触れてしまう可能性もあるため、効果を伝えたいという制作意図と、閲覧者に与える印象とのバランスを審査段階で確認する視点が欠かせません。

過去の指摘事例を院内で共有する仕組み

自治体からの指導やネットパトロールからの照会を一度受けた医療機関では、その経緯と是正内容を院内で共有し、次回以降の審査に活かす運用が有効です。個別の指摘事例をNG表現辞書に反映していけば、辞書は自院の実際の指摘傾向を踏まえたものへと精度を高めていきます。逆に、指摘を受けた事実を担当者個人の記憶にとどめてしまうと、担当者が交代した時点でその教訓が失われ、同じ指摘を繰り返すリスクが残ります。指摘を受けたことそのものを隠すのではなく、再発防止のための材料として組織的に扱う姿勢が、結果的に審査体制の精度を底上げしていくことになるでしょう。

広告可能事項の限定—原則として決められた項目しか広告できない

医療法第6条の5第3項は、広告可能な事項を条文上で限定的に列挙する方式を採用しています*1。診療科名、病院・診療所の名称や電話番号・所在地、診療日・診療時間、予約診療の実施有無、医師・歯科医師の氏名や年齢・略歴といった事項がこれに当たり、原則としてここに列挙されていない事項は広告できません*1。他業種の広告規制の多くが「禁止事項」を列挙するのに対し、医療広告は「広告してよい事項」の側を限定列挙するという逆の構造を取っている点が特徴です。

広告可能事項に含まれる代表的な項目

ガイドラインが示す広告可能事項には、このほかにも病院・診療所の管理者の氏名、勤務する医師・歯科医師の性別や専門性に関する事項(学会等が認定する専門医の資格等)、施設の設備や人員配置、対応可能な言語、健康保険の取り扱いの有無等が含まれます*1。さらに、検査・手術その他の治療の方法のうち厚生労働大臣が定めるもの、平均的な入院日数や外来患者・入院患者数、一定の手術の実施件数についても、広告可能事項として個別に位置づけられています*1。いずれも医療を受ける者の適切な選択に資する情報として扱われている点が共通しており、単に「発信したい情報」を列挙しているわけではありません。

注意したいのは、治療の結果に関する数値を単独で強調する表現です。たとえば手術の成功率や治癒率、死亡率といった数値は、それ自体が事実であっても広告可能事項として個別に位置づけられていない限り、そのまま広告に掲載できるとは限りません*1。「事実だから問題ない」という発想だけで審査を通してしまうと、限定列挙という構造そのものを見落とすことになるため、数値を含む表現は特に慎重な確認が必要になります。

広告可能事項は多岐にわたるため、審査担当者がチェックリストを作る際の参考として、代表的なカテゴリーと具体例を次の表に整理しました。

カテゴリー 広告可能事項の例
医療機関の基本情報 診療科名、名称、電話番号、所在地、診療日・診療時間、予約診療の実施有無
医師・歯科医師に関する事項 氏名、性別、年齢、略歴、専門性に関する事項(学会等が認定する専門医の資格等)
提供する医療の内容 厚生労働大臣が定める検査・手術等の治療方法、対応可能な言語、健康保険の取り扱い
医療の提供体制・実績 平均的な入院日数、外来患者・入院患者数、一定の手術の実施件数

限定列挙方式が意味すること

この限定列挙方式のもとでは、たとえ虚偽でも誇大でもない事実であっても、リストにない事項を広告に載せること自体が規制の対象になり得ます。もっとも、この原則をそのまま適用すると、患者が治療選択に必要な詳細情報(自由診療の費用や治療内容、リスク等)を得にくくなるという副作用も生じます。そこで設けられているのが、次章で扱う「限定解除」という仕組みです*1

費用表示に関するもう一つの注意点

広告可能事項として費用を記載する際は、医療法上の限定解除要件を満たすかどうかに加えて、表示する価格そのものの適正さにも注意が必要です。実際にはほとんど適用されない条件でしか成立しない価格を通常価格であるかのように表示したり、一時的な値下げであるかのように見せながら実質的に常時同じ価格で提供していたりする表示は、医療広告ガイドラインの枠組みとは別に、価格表示の適正さを求める考え方に照らして問題視され得ます。費用に関する記載は、限定解除要件の充足だけでなく、価格表示自体の正確性も併せて確認する二段構えの審査が望ましいでしょう。

求人ページとの違いを整理しておく

医療機関のウェブサイトには、患者向けの診療案内ページと、医療従事者向けの求人ページが同居していることが多くあります。求人ページは患者の受診を誘引する目的を持たないため、医療広告ガイドラインの直接の対象にはなりにくい一方、性別や年齢を限定するような記載があれば、雇用に関する別の法令上の論点として検討が必要です。同じウェブサイト内であっても、ページごとに適用される規制の枠組みが異なるという前提を審査担当者が理解しておくことが、的確な仕分けにつながります。

広告可能事項の考え方をひとことでまとめると、「患者の治療選択に資する客観的な情報は広告できるが、それ以外の主観的・誘導的な情報は原則として広告できない」という物差しになります。個別の表現が広告可能事項に当たるかどうか迷った際は、この物差しに立ち返って、患者の選択に資する客観的情報と言えるかどうかを考えると、判断の軸がぶれにくくなるでしょう。

限定解除の4要件—自由診療の費用・内容・リスクの明示

限定解除とは、一定の要件を満たした場合に、広告可能事項の限定を解いて他の事項も広告できるようにする仕組みです*1。医療法施行規則が定める要件は主に次の4つに整理されます*1。第一に、医療に関する適切な選択に資する情報であって、患者等が自ら求めて入手するウェブサイト等であること。第二に、表示される情報について問い合わせ先を記載する等、閲覧者が容易に照会できるようにすること。第三に、自由診療に係る治療の内容や費用等を情報として記載すること。第四に、自由診療に係る主なリスクや副作用等の情報を記載することです*1

このうち第三・第四の要件は、自由診療(保険外診療)に関する情報を扱う場合に適用されるとされており、保険診療のみを扱うページでは第一・第二の要件を満たせば足りるという整理が示されています*1。美容医療クリニックのように自由診療が中心となる領域では、費用・治療内容・リスクの3点セットを漏れなく記載できているかどうかが、限定解除を成立させる実務上の要になります。逆に言えば、この記載が欠けたまま自由診療の詳細を広告してしまうと、限定解除の要件を満たさない広告として扱われるおそれがあるということです*1

実務上どこに何を記載するかを設計する

限定解除の4要件を満たすには、単に「費用を書いておけばよい」という発想では不十分です。問い合わせ先の要件を満たすには、電話番号や問い合わせフォームへの導線をページ内に明示する必要があり、費用の要件を満たすには自由診療メニューごとの費用一覧を、リスクの要件を満たすには合併症・副作用として想定される主な事項を、それぞれ該当ページに紐づけて記載する設計が求められます*1。美容医療のように施術メニューの追加・改定が頻繁な領域では、新しいメニューを公開するたびにこの3点セットの記載が漏れていないかを都度確認する運用が欠かせません。

実務でとりわけ争点になりやすいのが、リスクや副作用をどこまで詳細に書けば「主なリスク」の記載として十分と言えるかという粒度の問題です。ダウンタイムの有無、感染や腫れ等の一般的な合併症、まれに起こる重大な合併症まで、どの水準まで書き込むべきかは施術の性質によって異なり、機械的な正解が用意されているわけではありません。院内に蓄積されたインフォームドコンセントの説明資料と、ウェブサイト上のリスク表記との間で内容がずれていないかを突き合わせる作業も、審査体制に組み込んでおくとよいでしょう。

限定解除を自己点検する視点

限定解除の適否を自院で点検する際は、ページ単位で次の3点を確認すると抜け漏れを防ぎやすくなります。1つ目は、そのページが自由診療に関する情報を含むかどうかという切り分けです。2つ目は、費用・治療内容・リスクの3情報が、そのページ内またはそこから容易にたどり着けるリンク先に揃っているかを確認します。3つ目は、問い合わせ先の情報が形式的に置かれているだけでなく、実際に閲覧者が照会できる状態になっているかどうかです。この3点を原稿ごとにチェックリスト化しておけば、限定解除の該当性を都度一から検討する負担を減らせます。

限定解除の4要件(医療法施行規則第1条の9の2等)

  1. 患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること
  2. 問い合わせ先を記載する等、閲覧者が容易に照会できるようにすること
  3. 自由診療に係る治療の内容や費用等を情報として記載すること(自由診療を扱う場合)
  4. 自由診療に係る主なリスクや副作用等の情報を記載すること(自由診療を扱う場合)

違反時の指導・是正・罰則とネットパトロールによる監視

医療広告規制に違反した場合、まず医療機関を所管する都道府県等が中止命令や是正命令等の行政指導を行う運用が基本です*1。医療法第6条の8は、都道府県知事等が必要に応じて報告を求め、立入検査を行える旨を定めています。虚偽広告等の違反については懲役や罰金の規定が、報告命令や立入検査に応じない場合には別途の罰金の規定が医療法上に置かれており、悪質なケースでは開設許可の取消しに発展する可能性もあります。条項番号や金額の詳細はe-Gov法令検索で公開されている医療法の原文で確認できます*7

実務上のプロセスとしては、まず自治体の担当窓口から口頭または文書で中止・是正の指導が入り、医療機関がこれに応じて速やかに表現を修正すれば、罰則の適用まで進む事例は多くありません。問題は、指導を受けても是正されなかったり、繰り返し同様の違反が見つかったりする場合であり、そうした経緯を踏まえて報告命令・立入検査、さらには告発の検討へと段階が進んでいきます。裏を返せば、初回の指導段階で迅速かつ的確に対応できる体制を整えておくことが、その後のリスクを最小限に抑える最も現実的な手段だと言えるでしょう。

複数の都道府県にまたがって拠点を展開する医療機関の場合、指導や照会の窓口が拠点ごとの所管自治体に分かれる点にも注意が必要です。ある拠点の広告表現について指導を受けた場合、同様の表現を使っている他拠点のページが放置されていないかを横断的に点検できる体制がなければ、拠点ごとに同じ指摘を繰り返し受ける事態にもなりかねません。拠点横断で審査状況を一覧できる仕組みは、こうした点でも実務上の価値を持ちます。

各自治体は医療広告に関する相談窓口を設けており、判断に迷う表現については事前に所管の窓口へ照会できる場合があります*4。もっとも自治体ごとに対応の粒度や回答までの期間には差があり、すべての疑問に迅速に回答が得られるとは限りません。院内での一次審査を経たうえで、なお判断が割れる論点に絞って自治体や専門家へ照会する運用にしておくと、限られた相談機会を有効に使いやすくなります。

指導の傾向としては、自由診療を中心に扱う美容医療領域や、価格競争が生じやすい診療科で、比較優良広告・誇大広告に関する指摘が相対的に目立ちやすいという傾向が各種の解説記事等でも指摘されています。もっとも指導の実態は自治体や時期によって変動するため、自院が該当する診療領域の一般的な傾向として参考にしつつ、最終的には自院の広告表現を個別に点検する姿勢が欠かせません。

行政による指導とは別に、厚生労働省はウェブサイトの監視体制を強化する事業を民間事業者に委託しており、現在は「医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業」として運営されています*5。この事業は通称「医療機関ネットパトロール」と呼ばれ、ホームページだけでなくブログ・SNS・動画・口コミサイトも監視対象とし、専用の通報窓口も設けています*5。不適切な表示が確認されると、まず当該医療機関に自主的な見直しが求められ、改善が見られない場合は所管の自治体へ情報提供が行われる仕組みです。自院が意図せず通報の対象になる事態を避けるためにも、公開前の審査体制を整えておく意味は大きいでしょう。

広告規制と隣接する医療機能情報提供制度

医療機関が発信する情報の適正性を巡っては、広告規制とは別に「医療機能情報提供制度」という報告義務も存在します。医療法第6条の3に基づき、医療機関の管理者は診療科名や診療日、対応可能な疾患・治療内容等の医療機能情報を都道府県知事に報告する義務を負い、報告された情報は公表されます*6。2024年4月からは、従来都道府県ごとに分かれていた情報提供サイトが「医療情報ネット(ナビイ)」として全国横断で検索できる形に統合されました*6。広告規制が「誘引を目的とした情報発信の適正化」を目的とするのに対し、医療機能情報提供制度は「患者への基礎情報の開示」を目的とする別の枠組みですが、いずれも医療機関が発信する情報の正確性を担保する点では共通しており、審査体制を検討する際にはあわせて把握しておくとよいでしょう。

院内審査体制の仕組み化—チェックリスト・NG表現辞書・承認ログ

担当者の経験だけに頼る審査は属人化しやすい

医療機関の広報担当者やWeb制作会社の担当者が、個人の知識と経験だけを頼りに広告表現をチェックする体制には限界があります。診療科やキャンペーンごとに原稿が増えるほど確認すべき分量は膨らみ、担当者が不在の間はレビューが滞る、複数拠点で判断基準にばらつきが出るといった課題が表面化しやすくなります。ガイドラインやQ&A、事例解説書は改正が重ねられており、最新の解釈を個人の記憶だけで追い続けるのも現実的ではありません*1*2

図
図:医療広告の掲載前審査ワークフロー(原稿作成→NG語辞書スクリーニング→限定解除要件チェック→承認・記録保存)

チェックリスト化とNG表現辞書によるスクリーニング

属人化を避ける第一歩は、広告可能事項・限定解除の4要件・禁止される広告類型をチェックリストの形に落とし込むことです。次に、比較優良表現や断定的な効果表現、体験談的な表現をあらかじめ辞書として登録し、原稿の中から候補箇所を機械的に検知できるようにすると、担当者の見落としを補完できます。辞書はあくまで「要確認候補」を洗い出す役割であり、最終的な該当性の判断は文脈を踏まえて人が行う必要がありますが、最初の一次スクリーニングを仕組み化するだけでも審査にかかる負荷は大きく変わってくるはずです。

チェックリストとNG表現辞書は、新任担当者への教育教材としても活用できます。広報担当や制作会社の担当者が異動・入れ替わるたびに、規制の考え方を一から口頭で伝える方式では、伝達の精度が担当者間でばらつきやすくなります。チェック項目とその根拠となる条文・ガイドラインの該当箇所をセットで整備しておけば、担当者が変わっても審査水準を一定に保ちやすくなるでしょう。

もう一つ見落とされがちなのが、辞書とチェックリストそのものの保守担当を誰が担うかという点です。ガイドラインやQ&A、事例解説書の改正情報を継続的に追いかけ、辞書の内容に反映する役割を特定の担当者や部署に割り当てておかなければ、せっかく整備した辞書が更新されないまま古い基準で運用され続けるという状態に陥りかねません。辞書の中身だけでなく、その保守サイクルまで含めて仕組み化しておくことが重要です。

複数拠点・複数媒体を運営する医療機関では、原稿の型をテンプレート化しておくことも有効です。診療科ごと・施術ごとに、限定解除の3情報(費用・治療内容・リスク)を記載する定型フォーマットをあらかじめ用意しておけば、新しい拠点やメニューが増えるたびに一から表現を考える必要がなくなり、審査担当者が確認すべきポイントも絞り込みやすくなります。テンプレート自体もガイドラインの改正に合わせて更新する対象として管理しておくとよいでしょう。

院内の一次審査だけで判断がつかない原稿が生じることも見込んで、外部の専門家に相談できる経路をあらかじめ確保しておく発想も重要です。広告審査に詳しい弁護士や、医療広告規制を専門とするコンサルタントと顧問契約を結んでおけば、微妙な表現の是非についてスポットで意見を仰ぐことができます。ワークフローの設計段階で「どの水準の疑義であれば外部に相談するか」という基準をあらかじめ決めておくと、都度の判断に迷う時間を減らせるでしょう。

承認ログと修正履歴を残す運用

掲載前審査は、誰がいつどの原稿を確認し、どのような理由で承認・差し戻しをしたのかという記録を残す運用と組み合わせて初めて意味を持ちます。ネットパトロールからの通報や自治体からの照会があった際に、院内でどのような審査を経て掲載に至ったかを示せる状態にしておくことは、医療機関にとっての備えになります。紙やメールベースの承認では履歴が散逸しやすいため、システム上に一元的な記録を残す仕組みが実務上は望ましいでしょう。

公開後の定期見直しと判断に迷うケースの相談経路

掲載前審査を整えても、公開して終わりにしてよいわけではありません。自由診療の費用改定やキャンペーン終了後もページが更新されないまま残っていたり、過去に許容されていた表現がガイドラインの改正で扱いを変えられたりするケースは珍しくないため、公開済みのページを一定期間ごとに棚卸しする運用も併せて設計しておくことが望ましい対応です。加えて、辞書やチェックリストで機械的に判定しきれない微妙な表現については、担当者だけで抱え込まず、顧問弁護士や広告審査に詳しい専門家へ相談できる経路をあらかじめ決めておくと、判断のばらつきを抑えやすくなります。

掲載前審査をワークフローで支えるシステム化の効果

複数の診療科・複数の拠点・複数の広告媒体を抱える医療機関ほど、審査対象となる原稿の数は増えていきます。ワークフローシステムを導入すると、拠点や担当者が変わっても同一のチェック基準を適用でき、限定解除に必要な費用・治療内容・リスクの記載漏れをフォーム上で機械的に検知することも可能になります。修正履歴と承認ログが自動的に蓄積される点も、監査対応の観点から見逃せない利点です。

具体的な機能としては、原稿ごとの差し戻しコメント機能、改訂履歴のバージョン管理、複数拠点・複数媒体を横断して審査状況を一覧できるダッシュボード、自由診療メニューの公開から一定期間が経過したページを自動的にリマインドする仕組みなどが挙げられます。これらを個別のExcelやメールのやり取りで代替しようとすると、拠点や担当者が増えるたびに運用の抜け漏れが生じやすくなり、結局は属人的な確認に逆戻りしてしまいがちです。

すでに自院のウェブサイトをWordPress等のCMSで運用している場合は、審査ワークフローを独立したツールとして別に立てるのではなく、既存のCMSの投稿・更新フローと連携させる設計も選択肢になります。原稿の公開ボタンを押す前に審査ステータスを経由する手順を標準化する、審査未完了の状態では公開権限を制限するといった仕組みをCMS側に組み込むことで、審査を経ないままページが公開されてしまう抜け道を防ぎやすくなるでしょう。

導入のロードマップとしては、まず自院が発信している媒体(ウェブサイト、SNSアカウント、外部ポータル、広告出稿先)を棚卸しし、次に広告可能事項・禁止類型・限定解除要件をチェックリストの形に落とし込み、そのうえでNG表現辞書と承認フローをシステムに実装し、最後に公開後の定期見直しサイクルを運用に組み込むという順序が現実的です。一足飛びにシステム化から着手するのではなく、まず自院の現状を可視化する棚卸しの段階を丁寧に行うことが、後工程の設計精度を左右します。

審査ワークフローの構築には一定の投資が伴いますが、行政指導や自治体からの照会に個別対応するたびに担当者の工数が発生し続けることを踏まえると、仕組み化への投資は一過性のコストというより、継続的な対応コストを抑えるための備えとして捉えるべきものです。特に拠点数や発信媒体の数が多い医療機関ほど、属人的な運用を続けた場合の潜在的な工数は積み上がりやすく、仕組み化による効果も相対的に大きくなりやすいと考えられます。

一方で、こうした審査ワークフローを自院だけで一から設計・構築するには、医療法の知識に加えてシステム開発の専門知識も求められます。院内のリソースだけで完結させるか、外部の専門パートナーに委託して構築するかは、規模や更新頻度に応じて判断すべき論点です。両者の違いを次の表に整理しました。

比較項目 自院内製での審査体制構築 専門パートナーへの委託
必要な専門知識 医療法・ガイドラインの継続的な理解に加え、チェックツールの開発・保守スキルが必要です 医療広告規制の実務知見とシステム開発の両方を担うパートナーに任せられます
NG表現辞書の整備 改正のたびに自院で辞書内容を見直し、更新し続ける体制が必要です 改正動向を踏まえた辞書更新まで含めて依頼できます
承認フロー・記録管理 承認経路や記録項目の設計・保守を自院で担います 承認ログ・修正履歴の保全を含めた仕組みを構築してもらえます
導入までの期間 要件整理から開発まで自院リソースの状況に左右されます 類似システムの構築知見を活用し、期間を見通しやすくなります
担当者教育・浸透 教材やマニュアルの作成・更新を自院で継続する必要があります 運用定着に向けた教材整備やサポートまで依頼できます

まとめ:医療広告ガイドライン対応の3つの判断軸

本稿では、医療法および医療広告ガイドラインが定める規制の枠組みを、厚生労働省の公式情報に基づいて整理しました。要点は次の3つに集約できるでしょう。第一に、医療広告ガイドラインは医療機関の広告を規律するものであり、化粧品・健康食品を規律する薬機法の広告規制とは根拠法も対象も異なります*1。第二に、ウェブサイト・SNS・リスティング広告も規制対象であり、虚偽広告・比較優良広告・誇大広告・体験談の紹介・術前術後写真の不適切な掲載は禁止され、自由診療の広告には限定解除の4要件が関わってきます*1*2。第三に、違反への対応と日々のネットパトロール監視を踏まえると、掲載前審査をチェックリスト・NG表現辞書・承認ログのワークフローとして仕組み化しておくことが、継続的なリスク低減につながります*5

医療広告の規制対応は、一度チェックリストを整備すれば終わりという性質のものではなく、ガイドラインの改正、拠点や媒体の拡大、自由診療メニューの改定といった変化に合わせて継続的に見直していく取り組みです。まずは自院が発信している媒体を棚卸しし、どこにリスクが集中しているかを可視化するところから着手することが、無理のない第一歩になるでしょう。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、医療機関・医療系広告代理店向けに、掲載前審査のワークフローシステム構築を元請(プライムベンダー)として受託しています。医療法・医療広告ガイドラインに沿ったチェックリストの設計、NG表現辞書によるスクリーニング機能、限定解除の必須記載項目チェック、承認ログ・修正履歴の保全まで一貫して対応する体制を整えています。自院の審査体制に不安がある企業様は、まずは現状の掲載前チェックフローの棚卸しからご相談ください。既存のWordPress等のCMS運用と組み合わせた設計や、複数拠点・複数診療科を横断した審査状況の一元管理についても、要件整理の段階からご相談いただけます。

よくある質問

医療広告ガイドラインと薬機法の広告規制はどう違いますか。

医療広告ガイドラインは医療法に基づき、病院・クリニック・歯科・美容医療といった医療機関そのものの広告を規律するものです。一方、薬機法は医薬品・医療機器・化粧品・健康食品の広告表現を規律する別の法律であり、根拠法も規制対象も異なります*1。自院のウェブサイトで医薬品や化粧品を紹介するページを併設している場合は、医療機関の広告としては医療法、個別の製品の効能表現としては薬機法という2つの物差しをそれぞれ確認する必要があります。

自院のウェブサイトも医療広告規制の対象になりますか。

はい。医療法改正により、医療機関のウェブサイトは誘引性・特定性の両方を満たす場合に広告として扱われることが明確になっています。リスティング広告・SNS投稿・動画コンテンツも同様に対象となり得ます*1*3。公式アカウントだけでなく、院長や医師個人のアカウントでの発信も対象となり得るため、院内でどこまでを審査範囲に含めるかをあらかじめ整理しておくことが大切です。

限定解除の要件を満たせば、どのような内容でも広告できますか。

限定解除は、患者が自ら求める情報であることや問い合わせ先の明示、自由診療の費用・内容・リスクの記載といった要件を満たした場合に、広告可能事項の限定を解く仕組みです。虚偽広告・比較優良広告・誇大広告等はこれとは別の禁止規定に触れるため、限定解除の要件を満たしても認められません*1。費用・治療内容・リスクの3情報は、自由診療のメニューを掲載するページごとに漏れなく記載されているかを確認する必要があります。

患者の体験談や術前術後写真は一切掲載できませんか。

医療機関への誘引を目的とした主観的な体験談の紹介は、良い評価だけを選んだものも含めて禁止されています。術前術後写真も、治療内容・費用・主なリスクや副作用等の情報を伴わずに掲載すると、誤認を招く広告として扱われる可能性があります*2。掲載する場合は、写真単体ではなく治療内容・費用・リスク等の説明を添えて掲載する構成にしておくことが実務上の基本です。

掲載前の審査体制は、どのように仕組み化すればよいですか。

広告可能事項・禁止される広告類型・限定解除の4要件をチェックリストに落とし込み、NG表現辞書によるスクリーニングと複数担当者による承認フロー、修正履歴の記録をワークフローとして構築することが有効です*1*2。拠点や媒体が複数にまたがる場合は、審査状況を一元的に把握できるダッシュボードを整備すると、担当者間での基準のばらつきも抑えやすくなります。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」(医療広告ガイドライン)(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000927804.pdf
  2. *2 出典:厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」(https://www.mhlw.go.jp/content/000371812.pdf
  3. *3 出典:厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」(https://www.mhlw.go.jp/content/001439423.pdf
  4. *4 出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」特設ページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
  5. *5 出典:厚生労働省委託事業「医療機関ネットパトロール」通報窓口(https://iryoukoukoku-patrol.mhlw.go.jp
  6. *6 出典:厚生労働省「医療情報ネット(ナビイ)」医療機能情報提供制度(https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2300/initialize
  7. *7 出典:e-Gov法令検索「医療法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205/


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