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ステマ規制とは|景品表示法の告示対応と表示チェック
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託
この記事のポイント
- ステマ規制は景品表示法に基づき、広告であるにもかかわらず一般消費者が広告と判別できない表示を不当表示として規制する枠組みで、令和5年10月1日に施行されました。
- 事業者が表示内容の決定に関与しているかどうかが判断の分かれ目であり、第三者の自主的な投稿かアフィリエイト・インフルエンサー案件かで扱いが変わります。
- SNS投稿・レビュー・アフィリエイトを扱う事業者には、投稿前の表示チェックと依頼記録の保存をワークフローとして仕組み化する対応が求められます。
目次
ステマ規制とは|景品表示法が禁じる「広告であることを隠す表示」
ステマ規制とは、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に基づき、事業者の広告であるにもかかわらず広告と分からない表示、いわゆるステルスマーケティングを不当表示として規制する枠組みです。消費者庁は「広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる『ステルスマーケティング』」であり、「景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないもの」と説明しています*1。この規制は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」として指定告示が定められ、令和5年10月1日から施行されました*1。告示の具体的な番号や最新の運用状況は、消費者庁公式サイトで確認することをおすすめします。
あらかじめ線引きを明確にしておきます。本記事のテーマは、景品表示法に基づくステマ規制、つまり広告であることを隠す不当表示です。医薬品・医療機器等の効果効能表示を規制する薬機法や、医療機関の広告表現を規制する医療広告(医療法)は、根拠法も規制対象も異なる別の制度です。薬機法・医療広告に関する表示チェックをお探しの方は、当サイトの該当記事をあわせてご参照ください。本記事では、景品表示法のステマ規制に絞って解説を進めます。
景品表示法における位置づけ
景品表示法は、商品・役務の内容や取引条件について、実際よりも著しく優れている、または有利であると一般消費者に誤認させる表示を不当表示として規制しています*4。従来から知られている類型は、品質・規格等の内容に関する優良誤認表示と、価格等の取引条件に関する有利誤認表示です。ステマ規制は、これらとは別に、内閣総理大臣が指定する「指定告示」の一つとして新たに設けられた類型であり*3、表示内容そのものの真偽ではなく、「広告であることが分からない」という表示形式の問題を対象にしている点に特徴があります。優良誤認・有利誤認は表示の中身を問題にするのに対し、ステマ規制は表示の出所を隠す行為そのものを問題にするという整理をしておくと理解しやすいでしょう。
あわせて押さえておきたいのが、指定告示とセットで公表された「運用基準」の位置づけです。運用基準は、告示が定める「事業者の表示であることが判別困難な表示」の考え方を、具体例を交えて示した文書であり*3、企業が自社の施策を判断する際の実務上の拠り所になります。個別の事案がどこまで規制対象に含まれるかは最終的には事案ごとの判断になるため、運用基準の考え方を踏まえたうえで、疑わしい表示については保守的に運用しておく姿勢が実務上は無難と言えるでしょう。
実務上は、優良誤認・有利誤認表示のチェック体制と、ステマ規制(指定告示)のチェック体制を同じ観点で扱わないよう注意が必要です。前者は「表示内容が事実と合っているか」を確認する作業であるのに対し、後者は「表示の出所が分かるようになっているか」を確認する作業であり、確認すべきポイントが異なります。景品表示法対応の社内チェックリストを作成する際は、この2つを別項目として切り分けておくと、担当者が混同しにくくなるでしょう。
なぜステマ規制が必要とされたか
SNSやレビューサイトを通じた口コミは、一般消費者の購買判断に大きな影響を与える情報源になっています。広告であることを明示した通常の広告表現であれば、一般消費者は「宣伝を見ている」という前提のもとで内容を評価しているはずです。ところが、事業者から対価を得て投稿されたものであるにもかかわらず、第三者の自主的な感想であるかのように見える表示が広がると、一般消費者は広告であることを前提とした批判的な視点を持てないまま情報を受け取ることになります。こうした状況が消費者の自主的かつ合理的な商品選択を妨げるおそれがあるという問題意識が、ステマ規制の導入につながった背景にあります。広告主・広告代理店・インフルエンサーマーケティング会社にとっては、単なる法令順守の論点にとどまらず、消費者からの信頼をどう維持するかという経営課題としても捉える必要があるでしょう。
広告であることを隠す表示が問題視されるようになった背景には、SNSを通じた情報発信の担い手が、従来型のメディアや広告代理店だけでなく、個人のインフルエンサーや一般消費者自身にまで広がったという変化があります。発信の担い手が多様化するほど、誰がどのような立場で発信しているのかを一般消費者が見極めることは難しくなります。企業側としても、自社が直接管理できる広告表現だけでなく、第三者を介した表示についても一定の管理責任を意識する必要が出てきたと捉えることができるでしょう。
対象範囲はSNS投稿やレビュー投稿といったインターネット表示にとどまりません。消費者庁は、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌等の表示についても対象になると明記しています*1。つまり、広告主・広告代理店・インフルエンサーマーケティング会社が扱う媒体を問わず、事業者の表示であることが不明瞭な状態になっていないかを確認する必要があるということです。
SNSプラットフォーム各社も、広告投稿であることを示す機能や規約の整備を進める動きを見せています。プラットフォーム側の機能に頼るだけでなく、自社の投稿がどのプラットフォームでどう表示されるかを事業者自身が把握しておくことが、ステマ規制への実務対応の前提になります。プラットフォームの仕様は随時更新される可能性があるため、キャンペーン開始前に最新の表示仕様を確認する工程を組み込んでおくと確実です。
マーケティング施策全体の中でステマ規制対応を位置づける際は、景品表示法の他の規制(優良誤認・有利誤認表示、懸賞・景品類の提供制限等)とあわせて、表示・広告に関する社内チェック項目の一つとして扱うのが実務上は整理しやすい方法です。ステマ規制だけを切り出して単発のルールとして運用すると、他の表示ルールとの整合性が取れなくなる場合があるため、既存の広告審査フローに組み込む形で導入を検討するとよいでしょう。
規制対象となる「事業者の表示」の判断基準
「事業者が関与しているか」が出発点
ステマ規制の対象になるかどうかは、「事業者の表示」に該当するかどうかで決まります。消費者庁の運用基準は、事業者が表示内容の決定に関与していると認められない場合は規制の対象外になるという考え方を示しています*2。逆に言えば、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示して行わせる表示は、規制の対象に含まれます*1。第三者が完全に自分の意思で投稿した感想は、内容が事業者にとって都合が良いものであっても、原則としてステマ規制の対象にはなりません。この「自主的な感想か、事業者が関与した表示か」という切り分けが、実務対応の第一歩になります。
総合考慮される4つの要素
事業者の関与の有無は、次のような要素を総合的に考慮して判断されるとされています*2。第一に事業者と第三者の間のやり取りの内容、第二に提供される対価の内容や程度、第三に対価を提供する理由、第四に過去および将来の取引関係の有無です。たとえば街頭で不特定多数に試供品を配布し「よろしければ感想を投稿してください」と声をかける程度であれば、通常はそれ以上の関係性がないとされ、対象外に位置づけられます*2。
ここで言う「対価」は、金銭の支払いだけに限られるとは言えません。商品・サービスの無償提供、割引の適用、ポイントの付与といった経済的な利益も対価に含まれ得ると考えるのが実務上は無難です。無料で商品を送っただけだから対象外だと一律に判断するのではなく、投稿内容への関与の有無や、依頼した相手との取引関係の継続性まで含めて確認する姿勢が求められます。
インフルエンサー起用と判断に迷う場面への実務対応
一方で、個人の感想として発信された投稿であっても、対価の受領や継続的な取引関係があると、事業者の表示に当たると判断される余地が生まれます。特にインフルエンサー案件では、特定のインフルエンサーを選定して商品を無償提供する場合でも個別具体的な事情によって事業者の表示と判断され得るとされ、報酬を受領している場合はその可能性が高いとされています*2。広告主側が「無償提供だから規制対象外」と一律に判断するのは早計と言えるでしょう。
複数のインフルエンサーに同時に依頼するキャンペーンでは、個々の投稿ごとに関与の程度が異なるケースも珍しくありません。ある投稿では文言まで細かく指定し、別の投稿では商品を渡すだけで内容には一切関与しない、といった運用が混在すると、社内でも判断がぶれやすくなるでしょう。案件ごとに関与の度合いを記録し、判断根拠を残しておく運用が、後から振り返る際の助けになります。
広告代理店やインフルエンサーマーケティング会社を介して施策を実施する場合、広告主から見ると相手企業とのやり取りが一段階増えるため、どこまでが自社の関与になるのかがさらに分かりにくくなります。広告主・代理店・インフルエンサーという三者の関係が多層的になるほど、誰が最終的な表示内容を決定したのかという線引きが曖昧になりやすく、社内に判断を仰げる相談窓口を用意しておくことが実務上望ましいでしょう。
実務でつまずきやすいのは、代理店がさらに別のインフルエンサー事務所へ再委託するような多段階の構造です。広告主から見ると、直接契約しているのは代理店だけであり、実際に投稿するインフルエンサーとの間にもう一段階の関係が挟まります。この場合、広告表記のルールが代理店から先の再委託先まで正しく伝わっているかどうかを、広告主自身が把握しにくくなります。契約段階で「再委託先にも同水準の表示ルールを適用する」旨を明記し、可能であれば投稿前の最終確認を広告主側でも行える体制にしておくと、こうした多段階構造に起因する見落としを減らせるでしょう。
また、複数の商品・ブランドを抱える企業では、ブランドごとに担当するマーケティング担当者や代理店が異なることも珍しくありません。ある商品のキャンペーンでは厳格な表示ルールが徹底されている一方、別の商品では担当者の裁量に任されたままになっている、といった社内での対応水準のばらつきも起こり得ます。全社共通の判断基準を最低限のルールとして定めたうえで、各ブランドの担当者がそれに沿って運用しているかを横断的に確認する役割を、法務部門やコンプライアンス部門が担う体制が望ましいでしょう。
| ケース | 規制対象になりやすい例 | 対象外になりやすい例 |
|---|---|---|
| 試供品の配布 | 特定の相手を選定し継続的な取引関係の中で投稿を依頼する場合 | 不特定多数への配布で、感想投稿の依頼にとどまり継続関係がない場合*2 |
| インフルエンサー起用 | 報酬を受領し、投稿内容について指示・調整がある場合*2 | 無償提供のみで投稿内容に一切関与しない場合(個別事情による) |
| レビュー投稿 | 星の数や高評価を条件に依頼する場合*2 | 条件を付けず、投稿内容の指定もない場合 |
| 口コミの引用 | 好意的な評価だけを恣意的に抽出して掲載する場合*2 | 内容を改変せず、恣意的な抽出をせずに掲載する場合*2 |
上記のような線引きは、担当者ごとの経験や勘に頼って運用すると、キャンペーンの件数が増えるほど判断のばらつきが大きくなります。判断基準を社内でチェックリスト化し、案件ごとに同じ観点で確認できる状態にしておくことが、規制対応の土台になります。
「広告であることが不明瞭」となる典型パターン
ステマ規制で問題になるのは、広告であること自体が禁じられるわけではなく、広告であることが一般消費者にとって不明瞭な状態です。実務で不明瞭になりやすいパターンを、施策の種類ごとに整理します。
アフィリエイト表示が不明瞭になるケース
アフィリエイトサイトやブログ記事では、サイトの冒頭にだけ広告表記を置いても、実際の投稿や記事内で一般消費者にとって明瞭になっていなければ不十分とされます*2。商品比較記事やランキング記事の形式を取る場合、記事の構成自体が「中立的な第三者による比較」という印象を強く与えることがあり、冒頭の小さな注記だけでは広告であることが伝わりにくくなる恐れがあります。
特に、複数のアフィリエイターが同じ商品を扱うプログラムでは、各アフィリエイターが自分のサイトの体裁に合わせて広告表記の位置や文言を独自に変えてしまい、事業者側が把握している表示ルールと実際の掲載内容にずれが生じることがあります。アフィリエイトプログラムの規約に表示ルールを明記するだけでなく、登録済みのアフィリエイターが実際にどのような表示で掲載しているかを定期的にサンプル確認する運用を組み合わせておくと、把握漏れを防ぎやすくなります。
レビュー・口コミ依頼が不明瞭になるケース
レビュー投稿の依頼では、星5を付けることを条件にするなど投稿内容を指定すると、事業者の表示に該当するとされています*2。ECモールやアプリストアのレビュー欄で、購入者に割引と引き換えに高評価レビューを依頼するような運用は、条件付けの内容次第でこのパターンに当てはまり得ます。依頼文面に評価点数や好意的な表現を指定する一文が含まれていないか、確認しておく必要があるでしょう。
インフルエンサー投稿が不明瞭になるケース
インフルエンサー投稿では、#PRの記載を省略したり、広告表記をリプライ(ツリー)のみに留めたりするケースが典型例です*2。動画コンテンツでは、概要欄にだけ広告表記があり、動画本編を視聴している間は広告だと分からない構成になっている場合も、明瞭性の観点で課題が残ります。ライブ配信のように投稿後に内容を編集できない形式では、配信開始時点で広告表記を伝える運用があらかじめ設計されているかどうかが重要になります。
自社なりすまし投稿が不明瞭になるケース
自社の従業員が一般ユーザーになりすまして自社商品を好意的に紹介する投稿も、不明瞭な表示の典型例です。運用基準は、商品・役務の販売を促進することが必要とされる立場にある従業員が行う販売促進目的の投稿は、事業者の表示に当たると考えられるとしています*2。社内アカウントと個人アカウントの使い分けを曖昧にしたまま運用すると、意図せずこのパターンに陥る恐れがあるため注意が必要です。特に、複数の担当者が個人アカウントで業務に関連する投稿を行っている企業では、どこまでが業務としての投稿かという線引きを社内ルールとして明文化しておくことが望ましいでしょう。
新卒採用や中途採用のように、従業員自身に会社の魅力を発信してもらう社員インフルエンサー的な取り組みが広がる中で、業務上の発信と個人の自由な発信との境界はますます曖昧になりやすくなっています。会社として投稿を推奨・依頼する場合は、その旨を投稿に明示するようあらかじめ伝え、任意の個人的な発信との違いを従業員自身にも理解してもらうことが、意図しないステマ規制の対象化を防ぐうえで有効です。
口コミ代行・比較サイト経由で埋もれるケース
口コミ投稿を代行する事業者や、複数商品を横並びで紹介する比較サイトを介した施策では、広告主自身が最終的な投稿内容を直接確認しない運用になりがちです。委託先が用意したテンプレートに広告表記の項目が含まれていなかったり、比較サイト側の表示ルールが広告主の想定と食い違っていたりすると、広告主の意図に関わらず不明瞭な表示が公開されてしまう恐れがあります。委託先に任せきりにせず、最終的な公開画面を広告主側でも確認する工程を組み込んでおくことが重要です。
ここまで挙げた5つのパターンは、実際のキャンペーンでは単独で発生するとは限らず、複合的に絡み合って表面化することも少なくありません。たとえば、代理店経由で起用したインフルエンサーが、アフィリエイトリンクを併用しながら投稿するようなケースでは、インフルエンサー投稿としての表示ルールと、アフィリエイト表示としての表示ルールの両方を同時に満たす必要があるでしょう。施策を企画する段階で、どのパターンに該当し得るかを洗い出し、複数のルールが重なる場合はより厳格な方を採用する、という考え方で整理しておくと運用がぶれにくくなります。
また、キャンペーンの企画段階では問題のない設計だったとしても、実施中に運用担当者が個別の判断で表現を変えてしまい、結果として不明瞭な表示に近づいてしまうケースもあります。たとえば、当初は「#PR」を付ける想定だったにもかかわらず、投稿の見た目を整えるために現場の判断で表記を省略してしまう、といった事態です。企画時に定めたルールが実施段階でも維持されているかを、途中経過で確認するチェックポイントを設けておくことが、こうした運用途中でのずれを防ぐうえで有効です。
「広告」「PR」を明瞭に表示する方法
推奨される表示文言
明瞭な表示として消費者庁が挙げているのは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった用語や、「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった説明文です*2。動画コンテンツについては、画面上に常に「広告」と表示することが望ましいとされています*2。
不十分とされる表示方法
逆に不十分とされるのは、ツリー(リプライ)のみに広告表記を置く方法、小さい文字での表記、投稿の冒頭やプロフィール欄だけに一度だけ記載する方法です*2。一般消費者が実際に投稿を目にした際に広告だと認識できるかどうかが基準であり、形式的に表記があれば足りるわけではありません。この点は、複数のSNSプラットフォームで表示ルールを統一する際に見落としやすいポイントです。
媒体別に見る明瞭表示の勘所
画像投稿中心のSNSでは、キャプション本文の目立つ位置に広告表記を入れ、ハッシュタグの羅列に埋もれさせない配置が求められます。動画投稿では、概要欄だけでなく画面内テロップとしての表示が望ましいとされる点を踏まえ、視聴者が動画のどの時点を見ても広告だと分かる状態を目指す設計にしておくことが有効です。ブログ記事やアフィリエイトサイトでは、記事冒頭に加えて、実際に商品を紹介している段落の近くにも表記を添えることで、記事の一部だけを読んだ読者にも伝わりやすくなります。ECサイトのレビュー欄では、依頼に基づく投稿であることが分かるバッジやラベルを表示欄自体に組み込む方法が考えられます。テキストと短尺動画を組み合わせた投稿形式や、ライブコマースのように配信中に購入導線を出す形式では、視聴者が購入行動に移る直前のタイミングでも広告表記が視界に入るよう配置しておくことが望ましいでしょう。
広告代理店やインフルエンサーマーケティング会社の立場では、契約書やガイドラインに「投稿には広告表記を付す」という一文を入れるだけでは実効性が伴わない場合があります。実際の投稿画面でどのように表示されるかまで確認したうえで、明瞭性を担保する運用が求められるでしょう。
表示ルールの社内標準化
媒体ごとに望ましい表示方法が異なるとはいえ、案件担当者が都度ゼロから判断していては、表記の抜け漏れが生じやすくなります。自社で扱う主要な媒体を洗い出し、それぞれについて推奨する表示文言・配置位置・NGとする表示方法を一枚のガイドラインにまとめておくと、担当者ごとの判断のばらつきを抑えられます。ガイドラインは一度作成して終わりにせず、新しい媒体や投稿形式が増えるたびに更新し、社内の関係者がいつでも参照できる場所に置いておくことが実務上の要点です。
公開前チェックリストの一例
投稿の公開前に確認しておきたい項目を、チェックリストとして整理しておくと運用に落とし込みやすくなります。
- 広告表記(広告・PR等)が投稿本文の目立つ位置にあるか
- ハッシュタグの羅列の中に埋もれていないか
- 動画の場合、視聴中のどの時点でも広告だと分かる表示になっているか
- 依頼内容や対価の記録が、投稿と紐づけて保管されているか
- 複数の担当者・委託先が関わる案件で、公開前の最終確認者が明確になっているか
違反した場合の措置とリスク
措置命令に至る一般的な流れ
景品表示法上、不当表示に該当すると判断された表示については、消費者庁または都道府県による措置命令の対象になり得ます。措置命令は、表示の中止や再発防止策の実施、一般消費者への周知等を求める行政上の措置です。一般的には、事業者への調査や事情聴取を経たうえで命令が行われる流れになりますが、具体的な手続きの詳細や、ステマ規制における課徴金制度の適用関係については、条文構成に関わる部分でもあるため、消費者庁の公式情報で確認することが望ましいでしょう。
再発防止策として求められる視点
措置命令を受けた場合に限らず、社内で不明瞭な表示が見つかった際には、単発の投稿を修正するだけでなく、同様の事態が他の案件でも起きていないかを点検する視点が欠かせません。一般的に、再発防止の取り組みとしては、担当部門への研修の実施、社内規程やガイドラインの見直し、類似案件の洗い出しと是正といった対応が考えられます。行政上の措置を受けてから対応を検討するのではなく、平時から社内規程を整備し、疑わしい表示を早期に発見できる体制を持っておくことが、結果として対応コストを抑えることにつながるでしょう。
再発防止策を検討する際には、なぜ不明瞭な表示が生じたのかという原因の切り分けも重要です。担当者が判断基準を知らなかったのか、知っていたが確認する工程がなかったのか、あるいは委託先の管理が行き届いていなかったのかによって、講じるべき対策は異なります。原因を曖昧にしたまま研修だけを実施しても、確認工程自体に不備があれば同じ問題が再び起こりかねません。
レピュテーションという「もう一つのコスト」
行政上の措置に加えて、事業者にとって見過ごせないのは、レピュテーションへの影響です。ステマ規制の存在自体が社会的に広く知られるようになったこともあり、広告表記の欠落が指摘された投稿はSNS上で拡散されやすく、ブランドイメージへの影響が行政処分そのものより先に表面化する場合があります。行政上の措置が確定するまでには一定の期間を要する一方、SNS上での批判的な反応は投稿から短時間で広がり得るため、両者のリスクの性質は異なります。広告主・広告代理店・インフルエンサーマーケティング会社のいずれの立場でも、行政リスクとレピュテーションリスクの両面から表示チェックを位置づける必要があるでしょう。
とりわけ、複数のインフルエンサーやアフィリエイターを起用する大規模なキャンペーンでは、1件の表示不備が発覚した際に、同時期に展開している他の投稿にも疑いの目が向けられやすくなります。個別の投稿だけでなく、キャンペーン全体としての一貫した表示ルールが問われる場面が増えていると捉えておく必要があるでしょう。取引先やパートナー企業からの信頼にも関わる論点であるため、経営層が状況を把握できる報告ラインを整えておくことも欠かせません。
不明瞭な表示が外部から指摘された場合、事実関係の確認に時間を要すると、対応の遅れそのものが二次的な批判の対象になることがあります。指摘を受けてから社内で確認先を探し始めるのではなく、誰が事実確認を行い、誰が対外的な説明や訂正対応を行うのかをあらかじめ決めておくと、初動対応の遅れを防ぎやすくなります。広報部門・法務部門・マーケティング部門の役割分担を事前に取り決めておくことは、規模の大きい企業ほど効果が大きい備えと言えるでしょう。
初動対応の流れを一度整理しておくと、実際に指摘を受けた際にも落ち着いて対応しやすくなります。具体的には、指摘内容の受付・事実関係の確認・該当投稿の一時非表示や修正の要否判断・関係者への報告・必要に応じた対外的な説明という一連の流れを、あらかじめ簡潔な手順書としてまとめておくことが考えられます。手順書は作成して終わりにせず、実際に運用してみて分かりにくい点があれば都度更新し、関係者がいつでも参照できる状態を保つことが実務上の要点です。
事業者が講ずべき社内管理措置
契約・依頼段階で明記すべき事項
運用基準を踏まえると、事業者側で講じておくべき管理措置はいくつかの観点に整理できます。まず、投稿を依頼する第三者との間で、広告表記を付す旨を契約や依頼内容に明記することです。口頭やチャットでの依頼だけに頼ると、後から「聞いていない」といった認識のずれが生じやすくなります。依頼書や契約書のひな形に、広告表記の文言・表示位置・投稿前の確認プロセスを条項として組み込んでおくと、担当者が変わっても同じ水準を保ちやすくなります。
契約書のひな形を整備する際は、法務部門だけで完結させず、実際にインフルエンサーや代理店とやり取りするマーケティング担当者の意見も取り入れておくとよいでしょう。現場の運用実態とかけ離れた条項を盛り込んでしまうと、契約書上のルールと実際の運用が形骸化した状態で乖離してしまい、いざという時に契約書が実効性を持たなくなる恐れがあります。
レビュー対応における線引き
次に、レビューへの対応方針です。運用基準は、客観的な事実に反する内容についての修正依頼は許容される一方、都合の良い内容への改編を求めることは認められないという考え方を示しています*2。カスタマーサポート部門やレビュー管理を担当する部署がこの線引きを理解していないと、意図せず不適切な対応をしてしまうリスクがあります。事実誤認の訂正依頼と、評価を良く見せるための改編依頼とでは意味合いが異なるため、対応マニュアルの中で具体例を挙げて区別しておくことが実務上有効です。
レビューを巡っては、低評価のレビューを削除依頼する、あるいは高評価のレビューだけを目立つ位置に並べ替えるといった運用が、意図せず恣意的な表示に近づいてしまう場合もあります。レビューの取り扱いに関する社内方針は、カスタマーサポート部門だけで決めるのではなく、マーケティング部門・法務部門を交えて合意形成しておくことが望ましいでしょう。
記録として残しておくべき情報
さらに、好意的な評価だけを抜粋して自社サイトやSNSに掲載する場合は、内容を改変せず恣意的な抽出をしない範囲にとどめる必要があります*2。マーケティング部門が個別に判断して掲載を進めると、法務部門が把握しないまま不明瞭な表示が公開されてしまう事態にもつながりかねません。依頼から投稿、掲載までの一連のプロセスを、部門横断で確認できる体制に落とし込むことが実務上の要点です。具体的には、誰がいつ誰に何を依頼したか、どのような対価を提供したか、投稿前にどの担当者が広告表記を確認したか、といった情報を記録として残しておくと、後日の照会にも対応しやすくなります。
社内教育と相談窓口の整備
制度の理解が担当者によってばらつくと、同じ社内でも部署ごとに対応水準が異なる状態になりかねません。マーケティング部門・広報部門・法務部門それぞれに向けた研修や、判断に迷った際に相談できる社内窓口を用意しておくと、現場がそれぞれの解釈で運用を進めてしまう事態を防ぎやすくなります。特に、代理店やインフルエンサーとのやり取りを日常的に担当する現場の担当者が、判断基準を自分の言葉で説明できる状態にしておくことが実務上の効果につながるでしょう。
定期的な棚卸しサイクル
社内管理措置は、一度整備すれば終わりというものではありません。四半期や半期ごとに、稼働中のインフルエンサー案件・アフィリエイトプログラム・レビュー施策を棚卸しし、契約内容と実際の投稿の表示状況が一致しているかを確認するサイクルを設けておくと、日々の運用だけでは気づきにくいずれを発見しやすくなります。棚卸しの結果は法務部門やマーケティング部門の責任者が共有し、必要に応じてガイドラインや契約書のひな形を更新するというサイクルを回すことで、制度改正や運用実態の変化にも追随しやすくなるでしょう。
社内外からの指摘を受け止める窓口
社内の担当者が自ら気づくケースだけでなく、社外のユーザーや取引先から「この投稿は広告表記がないのではないか」といった指摘が寄せられる場合もあります。こうした指摘を受け付ける窓口が明確でないと、指摘がSNS上で拡散するまで社内が気づかないという事態にもなりかねないでしょう。お問い合わせ窓口やカスタマーサポートの受付項目に表示に関する指摘を扱う区分を設け、受け付けた内容を法務部門・マーケティング部門に速やかに共有する導線を用意しておくと、早期発見・早期対応につながりやすくなります。
広告主・代理店・プラットフォーム運営者の実務ポイント
ステマ規制への向き合い方は、事業者が果たす役割によって重心が異なります。ここでは、広告主・広告代理店やインフルエンサーマーケティング会社・レビュー投稿を扱うプラットフォーム運営者という3つの立場に分けて、実務上のポイントを整理します。
広告主に求められる対応
広告主にとっての出発点は、自社が展開する施策のうち、どこまでが「事業者の表示」に該当し得るのかを洗い出すことです。自社のマーケティング部門が直接依頼するインフルエンサー案件だけでなく、代理店経由の施策やアフィリエイトプログラムについても、依頼内容と対価の実態を把握しておく必要があります。委託先に運用を任せている場合でも、最終的な広告表現の適正さについて広告主としての責任が問われ得る点を踏まえ、委託先任せにしない確認体制を整えることが望ましいでしょう。メーカーやD2C事業者であれば、自社ECサイトのレビュー欄・SNS公式アカウント・起用インフルエンサーという複数のチャネルを横断して同じ基準で確認できているか、通販事業者であればカタログやテレビショッピングとネット広告とで表示水準にずれがないかを、それぞれ点検しておくとよいでしょう。
広告代理店・インフルエンサーマーケティング会社に求められる対応
代理店やインフルエンサーマーケティング会社は、広告主とインフルエンサーの間に立つ立場として、双方に対する説明責任を負います。インフルエンサーへの依頼時に広告表記のルールを明確に伝えること、広告主に対しては投稿内容や表示方法についての判断根拠を提示できることが求められます。複数の広告主の案件を並行して扱う場合、案件ごとに異なる表示ルールが混在しやすいため、社内で標準的なチェック手順を統一しておくことが業務効率の観点からも有効です。起用するインフルエンサー本人にも、なぜ表示が必要なのかという背景まで含めて説明しておくと、悪意のない見落としを減らせます。単に「#PRを付けてください」と伝えるだけでなく、良い例・悪い例を示した資料を用意し、投稿前に自己チェックしてもらう運用を組み合わせると、代理店側の確認負荷も抑えられるでしょう。
レビュー投稿を扱うプラットフォーム運営者に求められる対応
ECサイトやレビューサイトなど、第三者の投稿を集約して掲載するプラットフォームを運営する事業者は、個々の投稿がステマ規制の対象になるかどうかを判別する仕組みそのものを提供する立場にあります。投稿者が事業者から対価を得て投稿している場合に、その旨を明示できる入力欄や表示バッジをプラットフォーム側で用意しておけば、出品者・投稿者の双方が明瞭表示を実践しやすくなるでしょう。また、好意的な評価だけを抽出して目立たせる並び順のロジックなど、プラットフォーム側の表示設計自体が意図せず恣意的な印象を与えていないか、定期的に見直す視点も欠かせません。出品者や投稿者が多数にのぼるプラットフォームでは、個々の投稿を人手だけで確認するのは現実的ではないため、投稿者側に広告表記の有無を申告させる仕組みと、申告内容を機械的に検知する仕組みを組み合わせておくことが、運営者としての管理責任を果たすうえで実務的な選択肢になります。
広告主・代理店・プラットフォーム運営者に共通するのは、自社だけで完結する対応には限界があり、取引先や投稿者との情報連携が前提になるという点です。契約や依頼の段階でどのような情報をやり取りし、誰がどの範囲まで確認責任を負うのかを、関係者間であらかじめすり合わせておくことが、それぞれの立場での実務対応を円滑にする土台になるでしょう。
表示チェックと投稿管理をシステム化する視点
ここまで見てきた管理措置は、キャンペーンの規模が小さいうちは担当者の目視確認でも回るかもしれません。しかし、複数のインフルエンサーやアフィリエイターと同時並行で契約し、複数のSNSプラットフォームに投稿が展開される段階になると、目視だけでの管理は限界を迎えます。誰にいつ何を依頼し、投稿にどのような広告表記が付いていたかを後から追跡できる状態にしておく必要があるためです。
投稿管理台帳に持たせるべき項目
システム化の第一歩は、インフルエンサー・アフィリエイト施策を一元管理する投稿管理台帳です。依頼先・契約条件・投稿予定日・投稿URL・提供した対価の内容を紐づけて管理し、案件ごとの抜け漏れを防ぎます。台帳を表計算ソフトで運用している企業も多いですが、案件数が増えるほど更新漏れや権限管理の課題が生じやすくなるため、専用の管理画面として設計する価値があります。
投稿前レビューワークフローの設計
第二に、投稿前レビューのワークフローです。#PR等の広告表記が含まれているかをチェックする工程を、公開前の必須ステップとして組み込みます。承認者が確認した日時と結果が自動的に記録される仕組みにしておけば、担当者が入れ替わっても同じ手順でチェックを継続しやすくなるでしょう。承認が完了するまで投稿を公開できないよう、外部ツールとの連携やステータス管理を組み込む設計も選択肢になります。
契約記録・監査証跡の設計
第三に、契約・依頼内容の記録保全です。広告表記を付す旨の合意内容や依頼日時をシステム上に残しておけば、後日問い合わせを受けた際にも根拠を示せます。第四に、NG表現や不明瞭な表示の検知と監査証跡です。投稿文面から広告表記の有無を検知するルールを組み込み、確認履歴を残しておくことで、社内監査や万一の指摘があった際の説明責任を果たしやすくなります。誰が・いつ・何を確認したかというログが残る設計にしておくと、社内だけでなく取引先への説明責任を果たす際にも役立ちます。
既存の業務フローとの接続と段階的な導入
これらは表計算やチャットツールの運用でも部分的には対応できますが、施策の本数が増えるほど、抜け漏れの発生と確認作業の属人化が課題になっていきます。特に、担当者の退職や異動のタイミングで、個人のパソコンやメールの中にしか残っていなかった依頼記録が引き継がれず、過去の経緯が分からなくなるという事態は珍しくありません。情報を個人にではなく組織に残す仕組みとしても、システム化には一定の意義があると言えるでしょう。既存のマーケティングオートメーションや案件管理システムと連携させる形であれば、新たな運用負荷を最小限に抑えながら表示チェックの工程だけを追加することも可能です。すべての機能を一度に構築しようとせず、まずは投稿管理台帳の一元化から着手し、次に投稿前レビューの自動化、その後に監査証跡の整備へと段階を分けて取り組む方法も現実的な選択肢になります。投稿管理・表示チェックのワークフローをシステムとして構築しておけば、担当者の異動や増員があっても一定の品質でチェックを継続できる体制を保てるでしょう。
システム化の効果は、投稿件数が増えるほど大きくなります。年間数件のキャンペーンであれば表計算での管理でも大きな支障は出にくいものの、複数ブランド・複数媒体で同時並行の施策を抱える企業では、案件ごとの確認状況を一覧で把握できるダッシュボードがあるだけでも、抜け漏れの早期発見につながります。導入効果を測る際は、チェック漏れの件数や、公開までにかかる確認工数の変化といった指標を、システム化の前後で比較しておくと社内での投資判断にも活用しやすくなるでしょう。
要件定義で押さえておきたい観点
表示チェック・投稿管理のシステムを新たに構築する際は、要件定義の段階で次のような観点を関係部署とすり合わせておくと、開発後の手戻りを抑えやすくなります。
- 利用部門:マーケティング部門だけでなく、法務部門・広報部門・代理店側の担当者も利用者に含めるか
- 案件の粒度:投稿単位で管理するか、キャンペーン単位でまとめて管理するか
- 承認フロー:誰が一次確認を行い、誰が最終承認を行うか、差し戻し時の運用をどうするか
- 既存システムとの連携:案件管理システムやチャットツール、SNS投稿予約ツールとの連携が必要か
- 保存期間:依頼記録・承認履歴・投稿画面のスクリーンショット等をどの程度の期間保存しておくか
これらは一度にすべてを厳密に定義しようとするよりも、まず現状の運用フローを可視化したうえで、どこにシステム化の効果が大きいかという優先順位を関係者間で合意してから設計に入る方が、結果として使われるシステムに近づきやすいでしょう。
現状の運用フローを可視化する作業自体、社内の複数部署にヒアリングを重ねる地道な工程になりますが、この段階を省略して設計を先行させると、実際の業務実態と合わないシステムができあがってしまう恐れがあります。表示チェックや投稿管理のように複数部署が関わる業務ほど、要件定義の入り口で丁寧に現状把握を行うことが、後工程の手戻りを減らす近道になると考えられます。
まとめ:ステマ規制対応の3つの軸
本稿では、景品表示法に基づくステマ規制について、消費者庁の公式情報に基づき整理しました。要点は次の3つに集約されます。第一に、ステマ規制は事業者の表示に該当するかどうかで対象範囲が決まり、第三者の自主的な投稿か、対価や取引関係を伴う依頼かの見極めが出発点になります*2。第二に、広告表記は形式的に付けるだけでなく、一般消費者が実際に認識できる明瞭さを備える必要があります*2。第三に、広告主・代理店・プラットフォーム運営者それぞれの立場に応じた役割分担を踏まえつつ、施策の規模が拡大するほど、投稿管理・表示チェック・記録保全をシステムとして仕組み化する必要性が高まります。いずれの軸も、担当者一人の努力だけで維持できるものではなく、組織としてのルール整備とシステムによる継続的な仕組みの両輪で支える必要がある点を、あらためて強調しておきたいと思います。
なお、本記事は景品表示法のステマ規制のみを対象としており、薬機法や医療広告(医療法)とは別の制度です。自社の広告表現に薬機法・医療広告の観点での確認が必要な場合は、それぞれの制度に沿った別途の対応をご検討ください。
よくある質問
ステマ規制はSNS投稿だけが対象ですか。
いいえ、消費者庁はテレビ・新聞・ラジオ・雑誌等の表示についても対象になると説明しています*1。インターネット上のSNS投稿やレビューに限らず、事業者の表示であることが不明瞭な状態になっていないかを、自社が扱うすべての媒体を横断して確認する必要があります。媒体ごとに担当部署が異なる企業では、部署間で確認基準がずれていないかもあわせて点検しておくとよいでしょう。
インフルエンサーに無償で商品を提供しただけでもステマ規制の対象になりますか。
やり取りの内容、対価の内容や程度、過去・将来の取引関係の有無等を総合的に考慮して判断されます*2。無償提供であっても、投稿内容への関与や継続的な関係性があれば事業者の表示と判断される余地があるため、個別の事情に応じた確認が必要です。「無償提供だから対象外」と一律に判断せず、案件ごとに関与の程度を記録しておくことをおすすめします。
#PRの表記をリプライ欄や小さい文字で入れておけば問題ありませんか。
十分とはいえません。運用基準は、ツリーのみの記載や小さい文字での表記、冒頭のみの記載を不十分な例として挙げています*2。一般消費者が投稿を見た際に広告だと実際に認識できる明瞭さが求められます。動画であれば画面上に常時表示する、投稿本文の目立つ位置に記載するといった配慮が必要です。
ステマ規制に違反した場合、どのような措置を受けますか。
景品表示法上の不当表示に該当すると判断されると、消費者庁または都道府県による措置命令の対象になり得ます。課徴金制度の適用関係を含む具体的な取り扱いは条文構成に関わる部分のため、消費者庁の公式情報で確認することをおすすめします。行政上の措置に加えて、SNS上での拡散によるレピュテーションへの影響も踏まえて備えておくことが望ましいでしょう。
ステマ規制は薬機法や医療広告と同じ規制ですか。
別の制度です。ステマ規制は景品表示法に基づき、広告であることを隠す表示を対象とします。医薬品等の効果効能表示を規制する薬機法や、医療機関の広告を規制する医療広告(医療法)とは根拠法・対象がそれぞれ異なるため、混同せずに確認することが大切です。自社が扱う商材によっては複数の法令を並行して確認する必要がある点にも注意してください。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing)
- *2 出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/)
- *3 出典:消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の指定及び『運用基準』の公表について」(https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/)
- *4 出典:消費者庁「景品表示法」(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling)