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建設リサイクル法の分別解体と再資源化を記録管理
LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)としてシステム保守・運用を受託
この記事のポイント
- 建設リサイクル法は、一定規模以上の対象建設工事について特定建設資材(コンクリート・アスファルト・木材等)の分別解体等と再資源化等を義務付ける法律です。家電リサイクル法や産業廃棄物のマニフェスト管理とは対象・根拠法が異なります。
- 発注者による工事着手7日前までの事前届出、元請業者による告知・契約書面の交付、再資源化等の完了報告と記録の保存(5年間)が一連の手続として定められています。
- 複数現場を同時に抱える元請・施工管理部門では、紙やExcelでの管理に限界が生じやすく、現場台帳・書面・記録を一元管理するシステム化を検討する価値があります。
目次
建設リサイクル法とは?分別解体等・再資源化等を定める法律
建設リサイクル法とは、正式名称を「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」という、平成12年に公布された法律です*1。建築物や工作物を解体・新築・増築・修繕する際に排出される特定建設資材廃棄物について、現場での分別解体等と再資源化等を義務付けています*2。特定建設資材には、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4種類が政令で定められています*2。
なお本記事が扱うのは、建設工事に伴う特定建設資材の分別解体・再資源化・届出や記録の管理をシステム化する視点です。家庭で使われた家電製品の再商品化を定める家電リサイクル法や、産業廃棄物の運搬・処分をマニフェスト(産業廃棄物管理票)で管理する仕組みとは、対象となる工事・廃棄物や根拠法が異なります。それぞれの制度については当サイトの別記事で個別に取り上げているため、あわせてご確認ください。
建設リサイクル法が制定された背景には、建設系廃棄物による最終処分場のひっ迫や、不法投棄の防止といった課題があります*2。国土交通省は基本方針の中で再資源化等率の目標値を掲げており*2、業界全体でリサイクルの実効性を高める取り組みが続けられています。分別解体等と再資源化等という2段階の義務を正しく理解することが、対象工事に関わる元請・施工管理部門にとっての出発点になるでしょう。
建設リサイクル法は、解体工事を専門に請け負う事業者に対しても登録制度を設けています。土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を持たずに解体工事を営もうとする事業者は、工事を行う都道府県ごとに解体工事業者としての登録を受ける必要があります*1。登録には有効期間があり、更新の手続を失念すると無登録の状態で工事を請け負ってしまうリスクが生じます。無登録での解体工事の請負や、都道府県知事による是正命令への違反等には罰則規定が設けられています*1。元請として複数の解体工事業者と協力する企業では、協力会社ごとの登録状況・有効期限も管理対象に含めておく必要があるでしょう。
対象建設工事の規模要件と特定建設資材
建設リサイクル法の対象となる「対象建設工事」は、工事の種類ごとに規模の基準が政令で設けられています*3。基準に満たない小規模な工事は対象外となるため、自社が請け負う工事が対象に該当するかどうかをまず見極める必要があります。以下は代表的な規模基準の目安です。数値は政令改正により変わる可能性があるため、実際の適用にあたっては国土交通省や都道府県の公式情報で最新の基準を確認することが欠かせません。
| 工事の種類 | 規模基準(目安) |
|---|---|
| 建築物の解体工事 | 床面積80平方メートル以上*3 |
| 建築物の新築・増築工事 | 床面積500平方メートル以上*3 |
| 建築物の修繕・模様替等の工事 | 請負代金1億円以上*3 |
| 建築物以外の工作物に関する工事(土木工事等) | 請負代金500万円以上*3 |
対象建設工事に該当すると、元請業者には分別解体等の実施義務が生じます。解体工事の場合は、建築物等に用いられた特定建設資材を種類ごとに分別しながら取り壊す手順が求められ、新築・増築・修繕等の場合は工事に伴い発生する特定建設資材廃棄物を分別することになります*2。複数の現場を抱える企業では、工事ごとに規模基準への該当性や特定建設資材の有無を記録し、対象・対象外の判断根拠を残しておく体制が欠かせません。
特定建設資材廃棄物は、解体工事の工程ごとに発生するタイミングが異なります。内装材や設備機器を先に取り外す工程では木材等が中心になり、その後に躯体を取り壊す工程になるとコンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊が主体になるという流れです。工程を分けずに一括して取り壊すと、種類の異なる廃棄物が混じり合った状態になりやすく、再資源化の前提となる分別が難しくなります。原則として工事の種類ごとに手順を踏んで分別解体等を行うことが求められているため*2、現場の施工計画にこの順序をあらかじめ組み込んでおくことが重要です。
分別された特定建設資材廃棄物は、種類ごとに異なる方法で再資源化されます。コンクリート塊は破砕・選別を経て再生砕石等に、アスファルト・コンクリート塊は再生加熱アスファルト混合物等に、建設発生木材はチップ化した上で木質ボードや燃料等に活用されるのが一般的な流れです*2。どの資材がどの施設でどのように再資源化されたかを工事ごとに記録しておくと、発注者への完了報告や行政からの照会に対しても根拠を示しやすくなります。
発注者の事前届出と元請による告知・契約書面
対象建設工事では、着工前の手続がいくつも重なります。第一に、発注者(施主)は工事着手の7日前までに、分別解体等の計画等を都道府県知事(政令指定都市等では市長)へ届け出る必要があります*2。届出事項には工事の概要、分別解体等の方法、工事着手時期等が含まれ、様式は各都道府県が公式に案内しています*3。
第二に、元請業者は契約に先立ち、発注者に対して分別解体等の計画等を書面で交付し説明する告知義務を負います*2。この告知を怠ると、発注者側が届出内容を正しく把握できないまま着工してしまう恐れがあります。
第三に、対象建設工事の請負契約書には、分別解体等の方法、解体工事に要する費用、再資源化等をする施設の名称・所在地、再資源化等に要する費用を明記することが求められます*2。届出・告知・契約書面はいずれも着工前に完了させる必要があるため、工程表と連動したスケジュール管理が重要になります。
届出内容や分別解体等の計画に問題があると都道府県知事が判断した場合には、計画の変更を命じられることがあります*2。また、分別解体等や再資源化等が適正に行われていないと認められる場合には、助言・勧告に加えて是正の命令が行われる仕組みも整えられています*1。届出前に社内でチェックリストを用いて記載事項の抜け漏れを確認しておくと、こうした是正対応の手間を未然に防ぎやすくなります。
再資源化等の実施と完了報告・記録の保存
分別解体等によって発生した特定建設資材廃棄物は、再資源化等の対象になります。原則として再資源化(資材や原材料として利用できる状態にすること)が求められ、工事現場から一定距離の範囲内に再資源化を行う施設がない場合等は、焼却による減量化(縮減)で足りるとされる規定もあります*2。
再資源化等が完了したときは、元請業者が発注者に対してその旨を書面で報告する義務を負います*2。報告する内容には、再資源化等が完了した年月日、再資源化等をした施設の名称・所在地などが含まれます。あわせて、元請業者は再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、当該建設工事の完了の日から5年間保存しなければなりません*2。
都道府県は必要に応じて元請業者等に対する報告徴収や立入検査を行う権限を持ちます*1。記録を求められた際に速やかに提示できる体制を整えておくことは、行政対応の面でも重要な備えになります。
再資源化等を行う施設は、元請業者が個別に選定することになります。処理能力や受入条件は地域・施設ごとに異なるため、複数現場を抱える企業では現場に近い施設の一覧を事前に整理しておくと、完了報告に必要な施設名称・所在地の記載もスムーズになるでしょう。処理を委ねる施設との受渡し記録は、産業廃棄物のマニフェストとは別物として、建設リサイクル法上の記録に位置づけて整理しておく必要がある点にも注意が必要です*2。搬出した特定建設資材廃棄物の種類・数量と、再資源化等が完了した数量を工事単位で突き合わせておくと、記録の粒度が粗くなりがちな現場管理でも、完了報告の内容に不整合が生じにくくなります。
多現場管理の実務課題とシステム化の要件
紙・Excel管理で生じやすい実務の負担
元請・施工管理部門が複数現場を同時並行で管理する場合、次のような課題が起こりやすくなります。
- 届出期限(着手7日前)の逆算管理が現場担当者の記憶や手作業に依存する
- 契約書面への必要事項(再資源化等の費用・施設名等)の記載漏れに気づきにくい
- 完了報告と記録の保存が現場ごとにフォルダやExcelで分散し、検索性が低い
- 立入検査や発注者からの照会に対し、記録の所在確認から始める必要がある
システム化で満たすべき要件
上記の課題は、次のような機能を備えたシステムで軽減できると考えられます。現状の課題と、システム化によって期待できる対応を整理すると以下のとおりです。
| 紙・Excel運用での課題 | システム化による対応の例 |
|---|---|
| 届出期限の管理が担当者の記憶に依存する | 着手日から自動で7日前を逆算し、期限が近づくと担当者へ通知する |
| 契約書面の記載漏れに気づきにくい | 必須項目をテンプレート化し、未入力のままでは保存できない仕様にする |
| 完了報告・記録が現場ごとに分散する | 現場・工事単位で記録を一元化し、検索可能な状態で保存する |
| 立入検査時に記録の所在確認から始まる | 都道府県からの照会にすぐ提示できるよう、証跡をひもづけて保管する |
- 現場台帳:工事ごとに対象建設工事の該当性・規模基準・特定建設資材の有無を一元管理する
- 届出/契約書面の管理:様式のテンプレート化と、着手7日前を起点にした進捗・期限管理を行う
- 再資源化等完了報告の管理:完了年月日・処理施設名・数量等を記録し、発注者への報告状況を可視化する
- 記録と証跡の保存:5年間の保存義務に対応した検索可能なデータベース化を行い、報告徴収・立入検査に備える
複数現場・複数下請の状況を横断的に可視化できれば、施工管理部門の管理工数を抑えながら、法令順守の証跡を組織的に残せる体制に近づけるはずです。自社の管理フローのどこにボトルネックがあるかを洗い出すことが、システム化を検討する最初の一歩になります。
まとめ:分別解体・再資源化の手続とシステム化の要点
本稿では、建設リサイクル法が対象建設工事に求める分別解体等・再資源化等の義務と、発注者の事前届出・元請の告知/契約書面・完了報告・記録保存という一連の手続を整理しました*1*2。規模基準や届出様式の詳細は政令・都道府県の運用に依存するため、実務では公式情報を都度確認する姿勢が求められます。複数現場を抱える体制では、紙・Excelによる管理が期限管理漏れや記録の散逸を招きやすく、現場台帳・書面・完了報告・記録を一元化するシステム化が有効な選択肢の一つになるでしょう。届出・告知・契約書面・完了報告・記録保存という一連の手続を工事単位で紐づけて管理できれば、担当者が異動・多忙になった場合でも、対応状況を組織として把握し続けられる体制に近づきます。
よくある質問
建設リサイクル法の対象になる工事かどうかは、どこで確認できますか。
工事の種類ごとに定められた規模基準(政令)への該当性で判断します。床面積や請負代金といった数値の基準は工事の種類によって異なり、政令改正で変わる可能性もあるため、最新の基準や個別工事の該当性は国土交通省または工事を行う都道府県の公式窓口で確認することが確実です*3。
発注者への届出は誰が行いますか。
分別解体等の計画等の届出は、工事の発注者(施主)が工事着手の7日前までに都道府県知事(政令指定都市等では市長)へ行う義務があります*2。元請業者はその前提となる告知・説明を発注者に対して行います*2。
再資源化等に関する記録は、どのくらいの期間保存する必要がありますか。
元請業者が作成する再資源化等の実施状況に関する記録は、建設工事の完了の日から5年間保存する義務があります*2。
家電リサイクル法や産業廃棄物のマニフェスト管理と何が違いますか。
建設リサイクル法は建設工事に伴う特定建設資材の分別解体・再資源化を対象とする法律で、家庭系家電の再商品化を定める家電リサイクル法や、産業廃棄物の運搬・処分をマニフェストで管理する仕組みとは、対象となる工事・廃棄物や根拠法が異なります。
著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑
ご不明な点はお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。
- *1 出典:e-Gov法令検索「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000104)
- *2 出典:環境省「建設リサイクル法の概要」(https://www.env.go.jp/recycle/build/gaiyo.html)
- *3 出典:国土交通省建設業課「建設リサイクル法 質疑応答集(案)」(https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d11pdf/recyclehou/qanda/qanda2.pdf)