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エンジニア人材紹介で紹介されないときに見直す求人要件の4つの点
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事の結論
- 紹介会社は、求人の雇用条件に合う求職者を選んで紹介するよう職業安定法で求められています。
- エンジニア人材紹介で紹介されないときは、業務の内容、必須の経験、年齢、賃金と働き方の4つの点を見直します。
- 年齢の上限を付けられる例外の一つは、職業の経験を問わず新卒と同じ条件で募集する場合で、経験年数の条件とは両立しません。
※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。
人材紹介会社に求人を出したのに、何週間たっても候補者の推薦が届かない。担当者に尋ねても「いまはご条件に合う方がいなくて」と返ってくるだけ——。エンジニアの採用では、こうした行き詰まりが起こりがちです。エンジニア人材紹介で紹介されないとは、手数料を受け取って人を紹介する会社(有料職業紹介事業者)に求人を申し込んでも、候補者の推薦(紹介会社から候補者の経歴が届くこと)が来ない状態のことです。
紹介されない理由は、まず自社の求人要件から確かめられます。紹介会社は、求人の条件に合う求職者を選んで紹介するよう法律で求められているからです。ただし求人要件の見直しは万能ではなく、紹介会社に登録している求職者の中に経験者がほとんどいない職種では、求人要件を直しても紹介は増えません。本記事では、エンジニアを採用する開発現場のマネージャーに向けて、紹介会社が求人をどう扱うか、求人要件で見直す4つの点、そして紹介会社に確かめたいことを整理します。
目次
エンジニア人材紹介で紹介されないとは
紹介されない状態は、求人を受け付けてもらえない場合と、受け付けてもらったのに推薦が来ない場合の2つに分けられます。職業安定法の第5条の6は、紹介会社に「求人の申込みは全て受理しなければならない」と定めています。ここでいう受理は求人を受け付けることで、推薦まで約束するものではありません。受け付けないことができるのは、内容が法令に違反する求人、賃金や労働時間が通常の労働条件と比べて著しく不適当な求人、業務の内容や労働条件が明示されていない求人などに限られます。*1
もう一つの例外が、紹介会社が国に届け出ている「取扱職種の範囲等」(その会社が扱う職種など)です。同法の第32条の12は、取扱職種の範囲等を届け出た紹介会社について、求人を受け付ける義務は届け出た職種の求人にだけかかると定めています。事務職や販売職だけを扱うと届け出た紹介会社であれば、エンジニアの求人は受け付けてもらえないことがあります。
法令に沿った条件で、エンジニアを扱う紹介会社に出した求人なら、原則として受け付けてもらえます。そこで本記事では、受け付けてもらった後に推薦が来ない場合を中心に、求人要件のどこを見直すかを考えます。
紹介会社は何を基準に候補者を選ぶのか
職業安定法の第5条の8は、紹介会社に、求職者には「その能力に適合する職業」を紹介し、求人者には「その雇用条件に適合する求職者」を紹介するよう努めることを求めています。*1 厚生労働省の「職業紹介事業の業務運営要領」も、紹介会社に、求職者の能力を的確に把握することと、扱う業務の中で「可能な限り幅広い求人の確保」に努めることを求めています。*2
つまり紹介会社は、できるだけ多くの求人を集め、登録した求職者一人ひとりの経験に合う求人を選んで示します。求人者の側から見れば、推薦が来るのは、求人の条件に合う求職者が紹介会社に登録していて、その人に自社の求人が選ばれたときです。条件に合う人がいなければ、推薦は来ません。
しかもエンジニアの求人は、紹介会社の中でほかの会社の求人と並べて示されます。厚生労働省の「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」では、2024年度に有料職業紹介事業者が受け付けた「情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)」の求人は、4か月以上か期間の定めのない雇用(常用)で129万2,806人分ありました。同じ区分の新規求職申込件数は89万1,060件で、求人の数は求職の申込みの約1.45倍です。*3
求人者も求職者も複数の紹介会社を使うことがあるため、どちらの数にも重複があります。それでも数の上では求人のほうが多く、求職者は紹介会社から示された複数の求人を比べて応募先を選ぶ立場にあります。求人要件で見直したいのは、次の4つの点です。
- 業務の内容(紹介会社が求職者に仕事の中身を説明できるか)
- 必須の経験(すべてを満たす人が登録者の中にいるか)
- 年齢の条件(法律の例外に当たるか)
- 賃金と働き方の条件(ほかの求人と比べて選ばれるか)
業務の内容と必須の経験
1つ目は業務の内容です。職業安定法の第5条の3第2項は、求人者に、求人を申し込むときに紹介会社へ業務の内容と賃金・労働時間などの労働条件を明示するよう義務づけています。*1 紹介会社は、原則として求職者と最初に連絡を取る時点までに、業務の内容と労働条件を求職者に伝えます。業務運営要領は、そのとき業務の内容を「職場環境を含め、可能な限り具体的かつ詳細に明示すること」に配慮するよう紹介会社に求めています。*2
紹介会社が求職者に仕事の中身を具体的に説明できるかどうかは、求人者が渡した求人票の中身に左右されます。「自社サービスの開発全般」とだけ書かれた求人では、紹介会社は登録者の経歴と照らし合わせられず、最初の連絡で求職者に仕事の中身を伝えることもできません。「会員向けの予約サイトに決済の機能を追加する。画面の設計からテストまでを担当し、Javaで開発する」のように、対象のシステムと担当する作業、使う技術まで書いておくと、紹介会社は経歴の合う人を探せます。
2つ目は必須の経験です。求人票に必須と書いた経験は、紹介会社が候補者を選ぶときの条件になります。必須の条件を重ねるほど、すべてを満たす人は減ります。Javaの開発経験、決済の機能を作った経験、5人以上のチームをまとめた経験の3つを必須にすれば、3つとも持つ人しか候補になりません。
入社後に数か月では身につかない経験だけを必須にし、それ以外は「あれば望ましい」経験として書き分けます。望ましい経験がない人にも会うつもりがあるかどうかを、紹介会社に伝えておきます。使う技術から必須の条件を絞る手順は「エンジニア人材紹介で紹介されない|条件は規模の大きい順に絞る」で扱っています。
年齢と賃金・働き方の条件
3つ目は年齢の条件です。労働施策総合推進法の第9条は、事業主に、募集と採用について年齢にかかわりなく均等な機会を与えるよう義務づけています。*4 年齢の条件を付けてよいのは、同法の施行規則の第1条の3第1項に挙がった例外に当たる場合だけです。たとえば、定年の年齢を下回ることを条件に、期間の定めのない雇用で募集する場合がその一つです。*5
エンジニアの求人で気をつけたいのが、若い人を長く育てる目的で年齢の上限を付ける例外です。この例外は、期間の定めのない雇用で、職業の経験があることを求人の条件にせず、新卒と同じ条件で募集する場合に限られます。*5 「35歳まで、開発の実務経験3年以上」のように年齢の上限と経験の条件を一緒に書くと、この例外には当たりません。
業務運営要領は、年齢の条件がある求人を受けた紹介会社に、例外に当たるかを確かめ、年齢の条件を付ける具体的な理由を示すよう求人者に求めることを定めています。法律に違反する疑いがあれば、紹介会社は求人を受理せず、内容を直すよう求人者に働きかけます。求人票に書かずに口頭で「若い方で」と伝えても、年齢で募集を絞っていることに変わりはありません。
4つ目は賃金と働き方の条件です。受け付けてもらえても、求職者は示された複数の求人を比べて応募先を選びます。賃金、勤務地、リモートワークの可否、残業の有無は、求職者が求人を比べるときの材料です。賃金は幅で示すこともできます。業務運営要領は、求人の時点で「月給20万円~25万円」と示し、労働契約を結ぶときに「20万円」に確定させる例を挙げ、確定させた内容は求職者に明示するよう定めています。*2
賃金に幅を持たせておけば、紹介会社は経験の違う登録者にも同じ求人を紹介できます。勤務地は、主な就業の場所として複数の場所を予定しているなら、それぞれの場所の状況を明示します。出社とリモートワークを組み合わせるなら、出社する日数の目安まで書いておくと、求職者が通勤できるかを判断できます。
紹介会社に確かめたいこと
求人要件を直す前に、紹介会社の担当者から推薦できなかった理由を聞いておきます。聞くのは、登録者の中に業務の内容に合う経験の人がいたか、いたなら必須の条件のどれを満たさなかったか、賃金や勤務地を理由に求職者が応募を見送ったか、の3つです。答えによって、直す条件が変わります。経験の合う人がいなかったのなら業務の内容と必須の経験を、応募を見送られたのなら賃金と働き方の条件を見直します。
扱う職種も確かめます。職業安定法の第32条の13は、有料職業紹介事業者に、取扱職種の範囲等や手数料に関する事項を、あらかじめ求人者と求職者に明示するよう義務づけています。*1 契約の前に受け取った書面で、エンジニアの職種が含まれているかを見ておくと、受け付けてもらえるかどうかで迷わずに済みます。
1社の登録者に合う人がいないときは、紹介会社どうしの業務提携という仕組みもあります。業務運営要領は、紹介会社が受け付けた求人を、あらかじめ特定した他の紹介会社に提供し、その会社が紹介する形を業務提携と呼び、求人者と求職者が結び付く可能性を高める仕組みとして認めています。求人を提携先に提供できるのは、提携先の名称や取扱職種の範囲等を示されたうえで、求人者が同意した場合に限られます。*2 提携先があるかを担当者に尋ね、示された内容を見てから同意するかを決めます。
つまずきやすい点
一つ目は、複数の紹介会社に出した求人票の内容がそろっていないことです。ある会社には経験3年以上、別の会社には経験不問と伝えていると、推薦が来たときに同じ基準で比べられません。同じ求人は同じ求人票で出し、条件を直したときは、求人を出しているすべての紹介会社に同じ日に伝えます。
二つ目は、推薦が来ないからといって、必須の経験を一度に減らしすぎることです。推薦は増えても、面接で任せる仕事ができるかを確かめられなくなります。条件を外すときは、面接で何を確かめるかも一緒に決め直します。評価基準の決め方は「エンジニア採用のミスマッチを採用要件で防ぐ」で扱っています。
三つ目は、紹介されない原因を求人要件だけに求めることです。紹介会社に登録している求職者の中に、その経験を持つ人がほとんどいない職種もあります。4つの点を見直しても推薦が来ないときは、紹介会社を変える、自社で直接募集する、採用が決まるまでの開発を業務委託で加わる人に任せる、といった方法もあわせて考えます。
まとめ:求人要件で確かめておきたい3つの点
エンジニア人材紹介で紹介されないときに求人要件を見直すうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、紹介会社が求職者に仕事の中身を説明できるよう、対象のシステムと担当する作業、使う技術まで業務の内容に書くこと。第二に、必須の経験を入社後に身につけるのが難しいものだけに絞り、年齢の条件は法律の例外に当たるかを確かめること。第三に、推薦できなかった理由を紹介会社から聞き、経験が合わなかったのか、賃金や働き方で見送られたのかを分けてから条件を直すことです。この3点を踏まえておけば、「条件を何度書き直しても、推薦が一人も来ない」という事態を避けやすくなります。求人要件の整理に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。
よくある質問
紹介会社に出した求人の条件を、途中で変えてもよいですか
変えられます。変えたときは、求人を出しているすべての紹介会社に伝えます。紹介された人と労働契約を結ぶときに、最初に示した業務の内容や労働条件を変える場合は、変えた内容をその人に明示する義務があります。*1
若い人を育てる目的のほかに、年齢の条件を付けられる場合はありますか
あります。施行規則の第1条の3第1項は、法令で特定の年齢の人の就業が制限されている業務の募集や、特定の職種で特定の年齢の範囲の社員が相当程度少ないときに技能と知識を引き継ぐための募集、60歳以上の人の雇用を進めるための募集なども例外に挙げています。*5 どの例外に当たるかと具体的な理由は、紹介会社から尋ねられます。
紹介会社から、求人の内容について報告を求められることはありますか
あります。紹介会社は、受け付けなくてよい求人に当たるかどうかを確かめる必要があるときは、求人者に報告を求めることができ、求人者は正当な理由がない限り応じなければなりません。*1 業務運営要領も、紹介会社が求人者に、受け付けなくてよい求人に当たるかどうかを申告させることを原則としています。
エンジニアの求人要件を相談したいとき
任せる仕事と、必須の経験の整理からご相談いただけます。
Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。
Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。
出典
- *1 参考:e-Gov法令検索「職業安定法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141)。出典:職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3第2項・第3項(労働条件等の明示)、第5条の6(求人の申込み)、第5条の8(求職者の能力に適合する職業の紹介等)、第32条の12(取扱職種の範囲等の届出等)、第32条の13(取扱職種の範囲等の明示等)を参照(2026年9月確認)
- *2 参考:厚生労働省「職業紹介事業の業務運営要領」第9 職業紹介事業の運営(令和8年9月14日から適用)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001681217.pdf)。出典:同要領 第9の2(労働条件等の明示)、5(職業紹介事業者の責務等)、7(職業紹介事業者間の業務提携)、指針 第6の2(求人の申込みに関する事項)を参照。要領の一覧は https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000172486.html(2026年9月確認)
- *3 参考:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf)。出典:同集計結果(令和8年3月31日公表)の概要の注記と、職業紹介事業 運営状況 1(1)新規求職申込件数(有料)・2(1)常用求人数(有料)の情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)と(ソフトウェア開発を除く)の令和6年度の値を参照(2026年9月確認)
- *4 参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132)。出典:同法(昭和41年法律第132号)第9条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)を参照(2026年9月確認)
- *5 参考:e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則」(https://laws.e-gov.go.jp/law/341M50002000023)。出典:同施行規則(昭和41年労働省令第23号)第1条の3第1項(年齢制限が認められる場合)を参照(2026年9月確認)