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2026.09.28 採用支援コラム

エンジニア中途採用の早期離職の予兆、入社後の面談で満足度を聞く




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 転職して入社した人の21.0%が、いまの勤め先について「機会があれば転職したい」と答えています。
  • 転職した人の不満足の割合は賃金が27.1%で最も高く、労働時間・休日・休暇、人間関係が続きます。
  • 入社後の面談で項目ごとの満足度を同じ選択肢で聞き、前回からの変化を早期離職の予兆として見ます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

入社して半年、面談ではいつも「特に問題ありません」と答えていたのに、ある日、退職を申し出られた。前の会社を1年足らずで辞めている応募者を、採用してよいのか迷う——。エンジニアの中途採用では、こうした悩みが起こりがちです。厚生労働省の2020年の調査では、転職して入社した人の21.0%が、いまの勤め先について「機会があれば転職したい」と答えています。*1 早期離職の予兆とは、入社して間もない人が退職を申し出る前に、仕事や処遇への不満や、次の転職を考えていることが、言葉や行動に現れる変化のことです。

予兆に気づく方法として取り組みやすいのが、入社後の面談で、仕事の中身や賃金などの項目ごとに満足度を尋ねることです。答えを記録して前回と比べれば、不満が出始めた項目と時期が分かります。ただし万能ではなく、本人が不満を話さなければ、面談では分かりません。本記事では、エンジニアを中途採用する現場の責任者に向けて、転職した人の転職希望と満足度の調査結果、面談で聞く項目と聞き方、聞いた答えの扱い方、そしてつまずきやすい点を整理します。

白い丸テーブルの上に、カフェラテとブラックコーヒーの入った陶器のカップが2つ並んでいる写真。奥に赤い椅子が写り、人は写っていない

早期離職の予兆とは

予兆は、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。1つは本人の言葉に出るもので、面談で話す不満や、「この先も続けるかは分からない」といった答えがこれに当たります。もう1つは仕事の進め方に出るもので、報告や相談が減る、会議での発言が少なくなる、といった変化です。後者は忙しさや体調でも起こるため、それだけで転職の考えと結び付けることはできません。本記事では、本人に尋ねて確かめられる前者を中心に扱います。

中途採用では、前の職場を短い期間で辞めている人も珍しくありません。同じ調査で、転職者が直前の勤め先に勤めた期間を見ると、6か月未満が7.8%、6か月以上1年未満が9.9%で、合わせて17.7%が1年未満でした。*1 ただ、前職の勤続が短かったことだけで、入社後も早く辞めると決めつけることはできません。短く辞めた理由を面接で聞いておき、入社後の面談で同じ不満が出ていないかを確かめるほうが、予兆に気づく材料になります。

転職した人のその後の転職希望

厚生労働省の「令和2年転職者実態調査」は、2020年10月1日時点で、5人以上を雇う事業所で働く転職者に、今後の転職希望を尋ねています(個人調査の有効回答5,530人)。*1 ここでいう転職者は、パートタイムなどの短時間労働者を除く一般労働者のうち、前の1年間に他の企業で働いた経験があり、2019年10月から2020年9月までにいまの勤め先に採用された人です。回答は「今の職場で今後も働きたい」が52.7%、「わからない」が24.9%、「機会があれば転職したい」が21.0%でした。*1

「機会があれば転職したい」と「わからない」を合わせると45.9%で、転職した人の半数近くが、いまの勤め先で働き続けると言い切っていません。前回の2015年の調査では「機会があれば転職したい」は17.6%でした。*1 2020年の「機会があれば転職したい」を年齢別に見ると、30〜34歳が25.7%、40〜44歳が25.6%、50〜54歳が25.5%です。事業所の規模別では、5〜29人の事業所が23.5%、1,000人以上の事業所が17.5%でした。*1

転職したばかりの人でも、次の転職を考えていることは珍しくないということです。入社した時点で転職の考えがなくなっているとは考えず、入社後も定期的に確かめる前提で面談を組んでおくのが現実的です。なお、この調査も次に見る若年者の調査も職種を分けていないため、エンジニアだけの値ではありません。

不満が出やすい項目

同じ調査は、いまの勤め先での満足度を、仕事内容・職種、賃金、労働時間・休日・休暇、人間関係など10の項目と、職業生活全体について尋ねています。選択肢は「満足」「やや満足」「どちらでもない」「やや不満」「不満」の5つです。*1

転職者がいまの勤め先に不満足と答えた割合を、項目別に高い順に並べた横棒グラフ。賃金27.1%、労働時間・休日・休暇16.3%、人間関係14.2%、会社の将来性13.2%、安全や衛生等の職場環境11.3%、通勤の便11.1%、福利厚生10.7%、仕事内容・職種8.7%、役職5.1%、会社の規模・知名度5.0%。職業生活全体では不満足11.4%。出典は厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」個人調査 表22。

「やや不満」と「不満」を合わせた不満足の割合がいちばん高いのは賃金の27.1%で、労働時間・休日・休暇の16.3%、人間関係の14.2%、会社の将来性の13.2%が続きます。*1 仕事内容・職種は8.7%で、10項目のうち低いほうから3番目でした。役職は「どちらでもない」が58.8%と多く、満足も不満も少ない項目です。職業生活全体では、「満足」と「やや満足」を合わせて53.4%、不満足は11.4%でした。*1

面談で予兆に気づくうえでは、職業生活全体の満足度だけを聞くのでは十分ではありません。全体では満足と答えていても、賃金や労働時間のように個別の項目では不満を持っていることがあるからです。項目ごとに聞き分けておくと、どの項目で不満が出始めたのかが分かり、次に何を確かめればよいかも決めやすくなります。

転職を考える理由

人が転職を考える理由は、厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」に載っています。2023年10月1日時点で15〜34歳の労働者を対象にした調査で(個人調査の有効回答13,218人)、若年正社員の31.2%が、今後「転職したいと思っている」と答えました。*2

転職したいと思っている若年正社員に理由を尋ねると(複数回答)、「賃金の条件がよい会社にかわりたい」が59.9%でいちばん多く、「労働時間・休日・休暇の条件がよい会社にかわりたい」が50.0%、「仕事が自分に合った会社にかわりたい」が41.9%、「自分の技能・能力が活かせる会社にかわりたい」が33.8%、「将来性のある会社にかわりたい」が33.1%と続きます。*2

調査が違うので単純には比べられませんが、賃金、労働時間、仕事との合い方、会社の将来性は、転職者の満足度で不満が出やすかった項目とも重なります。34歳以下の正社員の回答なので、中途採用で入った人に限った値でもありません。それでも、この4つを面談で毎回聞く項目にしておけば、転職の考えにつながりやすい不満を早い段階で把握できます。

面談で聞く項目と聞き方

面談は、入社1か月、3か月、6か月のように時期を先に決めておき、毎回同じ項目を同じ選択肢で尋ねます。選択肢を調査と同じ「満足」「やや満足」「どちらでもない」「やや不満」「不満」の5つにしておくと、前回との違いを比べやすくなります。面談をするのは、日々の仕事を任せている現場の責任者です。人事の担当者は、面談の時期と記録の残し方を決め、現場の責任者に伝えます。

聞く項目は、転職者実態調査の10項目のうち、職場で改善できるものを中心に選びます。通勤の便や会社の規模・知名度は、面談をした責任者が変えられることがほとんどありません。次の表は、面談で聞く項目と聞き方、答えが「やや不満」以下に下がったときに確かめることを、例として整理したものです。

入社後の面談で聞く項目と、答えが下がったときに確かめることの例
項目 聞き方の例 答えが下がったときに確かめること
仕事内容・職種 いま任されている作業は、入社前に聞いていた内容と比べてどうですか 入社前に伝えた担当作業と、いまの担当作業の違い
賃金 給与や評価の決まり方で、分かりにくい点はありますか 評価の時期と昇給の決まり方を、本人に伝えてあるか
労働時間・休日・休暇 残業や休日の対応は、入社前に想定していた程度に収まっていますか 月ごとの残業時間と、夜間・休日に呼び出した回数
人間関係 仕事で困ったとき、誰に相談していますか 相談できる相手がいるか、相談先を決めて伝えてあるか
会社の将来性 担当しているシステムや事業の今後について、聞いておきたいことはありますか システムや事業の計画を、本人が知る機会があるか
今後の就業意向 この先も、いまの職場で働きたいと考えていますか(今後も働きたい/機会があれば転職したい/わからない) 前回からの答えの変化と、変わった理由

最後の問いは、転職者実態調査の今後の転職希望と同じ3つの選択肢にしています。「わからない」と答えた人には、どの項目が変われば働き続けたいと思えるかを続けて尋ねます。

聞いた答えの扱い方

早期離職の予兆として重く見たいのは、1回の答えが高いか低いかよりも、前回からの変化です。入社1か月では「満足」だった項目が3か月で「やや不満」に下がった、今後の就業意向が「今後も働きたい」から「わからない」に変わった、といった変化があれば、その項目について次の面談を待たずに話を聞きます。

賃金や休日のように、面談をした責任者がその場で決められない項目もあります。その場合は、誰に確認して、いつまでに答えを返すかを本人に伝えます。答えを返す期限を決めないままにすると、本人から見れば、不満を伝えても何も変わらなかったことになります。そうなると、次の面談では本音を話してもらいにくくなります。

記録は、面談をした責任者と人事の担当者だけが見られる場所に残します。定着に向けた社内の取り組み全体の決め方は「エンジニア中途採用の早期離職を防ぐ、事業所の定着対策」で、入社直後の受け入れの進め方は「中途エンジニアの受け入れと早期離職」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、面談の答えを人事評価に使ってしまうことです。不満を話すと評価が下がると本人が考えれば、面談では「問題ありません」としか答えなくなります。面談の記録は評価には使わないことを、最初の面談で本人に伝えておきます。

二つ目は、満足度の答えを点数にして合計し、辞めそうかどうかを判定しようとすることです。調査の値は、転職者全体でどの項目に不満が出やすいかを示したもので、1人ひとりが辞めるかどうかを見分ける基準ではありません。答えは、どの項目について詳しく話を聞くかを決めるために使います。

三つ目は、予兆に気づいたあとの対応を、本人を引き止めることだけで考えることです。その人が担当している作業の引き継ぎ先が決まっていないと、退職の申し出があった時点で開発が止まります。予兆に気づいた段階で、その人の作業を誰が引き継げるか、社内に引き継げる人がいなければどこで探すかも確かめておくと、実際に辞めることになっても慌てずに済みます。

まとめ:早期離職の予兆で確かめておきたい3つの点

エンジニア中途採用で早期離職の予兆に気づくうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、入社後の面談の時期と、毎回同じ項目・同じ選択肢で尋ねる質問を先に決めておくこと。第二に、賃金、労働時間、人間関係、仕事の中身、会社の将来性のように不満が出やすい項目を分けて聞き、前回からの変化を見ること。第三に、その場で決められない不満には、答えを返す期限を決めて応じることです。この3点を踏まえておけば、「面談では問題ないと言っていたのに、急に退職を申し出られた」という事態を避けやすくなります。予兆に気づいた人の作業をどう引き継ぐかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

予兆に気づいても、辞めそうな人が担当している開発の作業を、社内の別の人だけでは引き継げないことがあります。後任の採用が決まるまでの作業を、業務委託の専門人材に任せる方法もあります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

入社後の面談は、どのくらいの時間で行えばよいですか

表の6項目を聞くなら、1回30分前後を目安にすると進めやすくなります。時間を長く取るより、決めた時期に欠かさず行うことを優先します。答えが下がった項目があれば、その項目だけを別の日に改めて聞きます。

面談で「問題ありません」としか答えない人には、どう聞けばよいですか

全体の感想を聞くのをやめ、項目を1つずつ区切って5つの選択肢から選んでもらいます。そのうえで「やや満足」を選んだ項目について、満足にならない理由を尋ねると、具体的な話が出やすくなります。

満足度は、面談ではなくアンケートで集めてもよいですか

集めること自体はアンケートでもできます。ただ、無記名のアンケートでは、誰の答えが下がったのかが分からず、1人ひとりの予兆には気づけません。アンケートで答えを集める場合も、答えが下がった人とは面談で理由を聞く機会を設けます。

退職の申し出を受けたあと、面談の記録は何に使えますか

退職の理由を本人に確かめるときの手がかりになります。あわせて、どの項目の不満が退職につながったのかを振り返り、次の募集で入社前に伝える内容を見直す材料にも使えます。

中途採用したエンジニアの定着を相談したいとき

入社後の面談の組み方や、辞める人が担当していた作業の引き継ぎ方からご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r02.html)。出典:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」。調査の概要(2020年10月1日現在、個人調査の有効回答5,530人、転職者の定義)と、図表データ(Excel)の個人調査 表12(直前の勤め先の通算勤務期間)・表22(現在の勤め先での満足度)・表23(今後の転職希望)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/4-21c-jyakunenkoyou-r05.html)。出典:厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」。調査の概要(2023年10月1日現在、15〜34歳の労働者、個人調査の有効回答13,218人)と、図表データ(Excel)の個人調査 表18(今後の転職希望の有無)・表19(転職しようと思う理由。複数回答)を参照(2026年9月確認)




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