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2026.09.28 採用支援コラム

エンジニア中途採用の入社後のスキル不足、進め方の違いを先に疑う




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 中途採用で入社した人が入社直後に難しさを感じたことで最も多いのは、前の勤め先との仕事の進め方の違いで46.1%でした。
  • 入社後のスキル不足に見えるものは、技術、業務知識、社内の仕事の進め方の3つに分けて確かめます。
  • 入社直後に任せる作業と社内の進め方は、求人票に書くだけでなく、面談で現場の人が具体的に伝えます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

経験者として採用したのに、入社して1か月たっても任せた改修が思うように進まない。本人に聞くと、技術は分かるが社内の手順が分からないと言う——。エンジニアの中途採用では、こうした食い違いが起こりがちです。エンジニア中途採用でいう入社後のスキル不足とは、採用のときに期待した仕事を、入社後に期待した早さでこなせない状態を指します。

足りないのが技術そのものなのか、社内の仕事の進め方に慣れていないだけなのかで、とるべき対応は変わります。後者なら、入社の前後に会社の側が用意することを見直せば、こうした食い違いを減らせます。ただし、会社の側の用意だけで解決するとは限らず、任せる仕事に要る経験がそもそも欠けているなら、育成の計画か役割の見直しが要ります。本記事では、中途採用したエンジニアを受け入れる開発現場のマネージャーに向けて、入社直後につまずく点、即戦力への期待、入社前に伝えること、入社後の最初の数か月にすること、そして試用期間の扱いを整理します。

途中まで揃えたルービックキューブを、ぼかした緑の背景の前で写した写真。人の顔も文字も写っていない

入社後のスキル不足とは

入社後に「スキルが足りない」と感じる場面は、中身で3つに分けられます。1つ目は技術そのものです。使う言語やデータベースの経験が浅い、設計書を書いた経験がない、といった不足で、本来は採用の選考で確かめておくものです。2つ目は業務知識です。販売管理なら受注から請求までの流れ、自社のシステムならどの機能がどのデータを使っているか、といった知識で、社外から来た人は持っていなくて当然です。

3つ目は社内の仕事の進め方です。コードのレビュー(他の人による点検)を誰に頼むか、設計書をどの書式で残すか、作ったプログラムを利用者が使うシステムに載せるとき誰の承認が要るか、担当する作業や不具合の一覧をどのツールで管理するか——こうした手順は会社ごとに違います。前の勤め先で長く働いた人ほど、前のやり方が身についています。

この3つは、周りから見ると区別がつきません。どれが原因でも「作業が遅い」「確認が多い」という同じ形で表に出るからです。技術が足りないと判断して育成や配置換えを考える前に、業務知識や社内の進め方を知らないために作業が進んでいないのではないかを確かめておくと、対応を間違えずに済みます。

入社直後につまずきやすい点

厚生労働省が2025年3月にまとめた中途採用の調査研究では、調査に答えた企業に中途採用・経験者採用で入社した2,079人に、入社直後に難しさを感じたことを尋ねています(複数回答)。最も多かったのは「これまでの勤め先との仕事の進め方の違い」で46.1%でした。次いで「仕事の内容」が33.9%、「会社や職場の文化・風土」が28.9%、「周囲との人間関係」が25.3%です。*1

中途採用・経験者採用で入社した2,079人が入社直後に感じた問題を割合の大きい順に並べた横棒グラフ(複数回答)。これまでの勤め先との仕事の進め方の違い46.1%、仕事の内容33.9%、会社や職場の文化・風土28.9%、周囲との人間関係25.3%、難しさを感じたこと、困ったことは特になかった19.4%、親しい同僚や相談できる相手の不在15.7%、要求される成果14.4%、労働時間や休日10.2%、その他2.1%。出典は厚生労働省の調査研究の結果報告書(2025年3月)図64。

一方で「要求される成果」は14.4%にとどまり、「難しさを感じたこと、困ったことは特になかった」は19.4%でした。*1 入社した人の感じ方では、求められる成果の高さより、仕事の進め方の違いのほうが多く挙がっています。なお、回答者の職種は「人事労務・教育」が20.7%で最も多く、「研究・開発」は2.6%なので、エンジニアだけの結果ではありません。*1

それでも、開発の現場に当てはめて考えることはできます。レビューの手順、テストの進め方、文書の残し方、承認の流れは、どれも前の勤め先と違って当たり前のものです。入社した人が確認のたびに手を止めていれば、周りには技術が足りないように見えます。まずは、止まっている作業が技術で止まっているのか、社内の手順を知らずに止まっているのかを、本人と一緒に確かめます。

即戦力への期待の大きさ

同じ調査は、人材を4つのタイプに分けています。エンジニアが多く入るのは「高度専門職」で、調査票では「特定の業務領域で、高度な専門性を求められる業務を担当する人材」とされています。高度専門職を採用した企業のうち、採用の方針が「即戦力として活躍できる人材を採用する」に近い、またはどちらかといえば近いと答えた企業は、合わせて88.5%でした。*1

採用された側も、高度専門職の73.1%が、「即戦力として活躍できる人材として採用された」に近い、またはどちらかといえば近いと答えています。企業も本人も、入ってすぐに仕事をこなす前提で採用していることになります。採用のときの評価項目を見ても、高度専門職では「募集の職種や業務における専門スキル」が73.2%、「募集の職種や業務の経験」が70.7%と高く、選考では技術と経験を確かめていることが分かります。*1

ただ、採用した人の仕事ぶりへの満足度を尋ねると、高度専門職では「あまり満足していない」「満足していない」を合わせて20.8%ありました。*1 一方、社内の仕事の進め方や業務知識は、入社してから身につけるほかありません。即戦力として採用しても、入社直後は社内の手順を覚える期間が要る前提で、最初に任せる作業を決めておくと食い違いが減ります。

入社前に伝えておくこと

「入社直後に求められる経験・スキル」をどう伝えているかも、企業と労働者の両方に聞いています。高度専門職について、企業は「求人票」で伝えていると答えたのが66.3%、「求職者との面談」が62.7%で、「開示していない」は4.1%でした。これに対して採用された側は、「求人票」で伝えられたと答えたのが40.8%、「企業との面談」が50.3%、「開示されていない」が11.4%です。*1

報告書のまとめでも、労働者は「求人票により情報が開示されているとの認識が薄かった」とされています。*1 答えた人が別々なので、同じ採用を両側から見た数字ではありません。それでも、求人票に書いたことが応募者の記憶に残っていない場合もある、という前提で面談に臨むのが確実です。

そこで、面談では入社後に一緒に働く現場のエンジニアが、入社直後に任せる作業を具体的に話します。「受注データを読み込む機能の改修を、入社後2か月をめどに担当」のように作業と期間で伝え、あわせてレビューの手順や使うツールなど、社内の進め方も説明しておきます。求人の段階での書き方は「エンジニア採用のミスマッチを採用要件で防ぐ」で扱っています。

入社後の最初の数か月にすること

企業が中途採用者の定着と戦力化のために取り組んでいるオンボーディング(入社後の受け入れの取り組み)は、「上司との面談」が55.9%、「導入研修」が50.0%で多く挙がりました。採用された側に聞いても、「上司との面談」52.8%、「導入研修」51.1%が上位です。報告書は、上司との面談や同僚とのコミュニケーションの取り組みについて、労働者の調査でだけ、取り組みを受けた人のほうが仕事への熱意や満足度などの評価が高いという、統計上はっきりした差が確認されたと述べています。*1

開発の現場でこれを生かすなら、上司との面談を、困りごとを聞く場にとどめず、止まっている作業の原因を切り分ける場にします。最初に任せる作業は、既存の機能の小さな改修のように、レビュー、テスト、利用者が使うシステムへの反映という社内の手順を一度ずつ経験できるものを選びます。これらを一度経験すれば、次の作業からは進め方で止まることが減ります。

レビューでの指摘は、技術についての指摘と、社内の決まりについての指摘を分けて記録しておきます。数週間分を並べると、どちらが多いかが見えます。社内の決まりの指摘が多ければ、手順を文書にまとめて渡せば済むことが多く、技術の指摘が多ければ育成の計画が要ります。入社後の育成の方法は「エンジニア中途採用の入社後の育成、新卒との違い」で整理しています。

試用期間のうちに確かめること

試用期間があるからといって、スキル不足を理由にいつでも自由に雇用を終えられるわけではありません。労働基準法第20条は、労働者を解雇するときは少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払うよう定めています。第21条は、試用期間中の人にはこの予告の決まりを当てはめないとしています。ただし、試用期間中でも、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合は当てはめます。*2

また、労働契約法第16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。*3 試用期間は、入社した人の力を確かめる期間であると同時に、会社の側が必要な説明と受け入れの準備をしたかを振り返る期間でもあります。

そのため、試用期間のうちに、任せた作業、期限、結果、伝えた指摘とその後の変化を記録しておきます。進め方の違いで止まっていたのなら、手順を伝えた後にどう変わったかまで残します。記録があれば、本採用するかどうかを話し合うときも、本人に何を期待しているかを伝えるときも、同じ事実をもとに話せます。個別の判断に迷うときは、社会保険労務士などの専門家に相談してください。試用期間の設計そのものは「試用期間とは何を見る期間か、設計と運用」で扱っています。

まとめ:スキル不足で確かめておきたい3つの点

エンジニア中途採用で入社後のスキル不足を感じたとき、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、足りないのが技術なのか、業務知識なのか、社内の仕事の進め方なのかを分けること。第二に、入社直後に任せる作業と社内の進め方を、求人票だけでなく面談で、現場の人が作業と期間で伝えること。第三に、入社後は上司との面談とレビューの記録で原因を切り分け、試用期間のうちに事実を残しておくことです。この3点を踏まえておけば、「即戦力のはずが、半年たっても任せられない」という事態を避けやすくなります。入社した人が社内の手順に慣れるまでの間の開発をどう回すかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

入社した人が社内の手順に慣れるまでの間も、開発の予定は止められません。その期間の作業の一部を、業務委託の専門人材に任せる方法も選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

スキル不足かどうかは、入社後どのくらいで判断すればよいですか

期間で決めるより、最初に任せた作業で、レビューやテスト、利用者が使うシステムへの反映を一度ずつ経験した後に判断するのがおすすめです。それらを一度も経験していない段階では、技術の不足と進め方の不慣れを見分けられません。その作業の期限を、入社前の面談で伝えた期限とそろえておくと、本人とも話しやすくなります。

入社前の面談には、誰が出るとよいですか

入社後に一緒に働く現場のエンジニアか、作業を割り振るマネージャーが出るのがおすすめです。人事の担当者だけでは、レビューの手順や使うツールといった社内の進め方までは説明しにくいためです。質問を受ける時間も取り、応募者が前の勤め先との違いをその場で確かめられるようにします。

入社した本人が困りごとを言い出しにくいときは、どうすればよいですか

上司との面談とは別に、相談できる窓口を案内しておく方法があります。同じ調査では、企業の35.9%が「社内の相談窓口の案内」に取り組んでいました。*1 開発の現場なら、社内の手順を聞ける先輩を1人決めておくと、上司に聞くほどではない小さな疑問も早く解消できます。

中途採用したエンジニアの受け入れを相談したいとき

入社直後に任せる作業の整理や、受け入れまでの体制づくりからご相談いただけます。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「中途採用・経験者採用者が活躍する企業における情報公表その他取組に関する調査研究 結果報告書」(2025年3月)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001489721.pdf)。出典:同報告書(2025年3月)。調査は2025年1月16日〜2月14日にWebアンケートで実施し、企業アンケート2,417社・労働者アンケート2,079人が回答。図19(オンボーディング施策の取組状況)、図22・図50(即戦力採用かポテンシャル採用か)、図24(採用の評価項目)、図26・図54(入社直後に求められる経験・スキルの開示方法)、図36(採用者の仕事のパフォーマンスへの満足度)、図43(職種)、図48(現勤務先のオンボーディングの取組)、図64(入社直後の問題点)、第5章第1節(アンケート調査結果のまとめ)と調査票の人材タイプの定義を参照。高度専門職の割合は、即戦力として採用する(された)側の2つの選択肢、「あまり満足していない」と「満足していない」を足し合わせた。掲載ページは https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089556_00023.html(2026年9月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「労働基準法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:労働基準法(昭和22年法律第49号)第20条(解雇の予告)、第21条を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「労働契約法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:労働契約法(平成19年法律第128号)第16条(解雇)を参照(2026年9月確認)




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