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2026.09.29 採用支援コラム

エンジニア中途採用の早期離職、前職の離職理由を面接で確かめる




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 情報通信業から自己都合で転職した人は、会社の将来への不安、賃金、仕事内容を辞めた理由に多く挙げています。
  • 一番の理由を1つに絞ると賃金が17.2%で最も多く、3つまでの答えとは順番が変わります。
  • 面接では前職の離職理由を3つまでと一番の理由に分けて聞き、入社後は配属先が同じ状態を確かめます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

中途で採ったエンジニアが、半年ほどで辞めてしまった。退職の面談で理由を尋ねても「一身上の都合です」としか返ってこない——。エンジニア中途採用では、こうした行き違いが起こりがちです。早期離職の離職理由とは、入社して間もない人が勤め先を辞める理由のことで、本人が口にする理由と、辞めると決めた本当の理由が食い違うこともあります。

理由をつかむ手がかりになるのが、公的な調査です。厚生労働省の転職者実態調査は、転職した人に前の勤め先を辞めた理由を尋ね、情報通信業から移った人の答えも分けて集計しています。自社で辞めた人の声は数が少なく偏りがちですが、調査の答えを使えば、採用の面接で何を聞き、入社後に何を確かめるかを先に決めておけます。ただし万能ではなく、調査が示すのは産業全体の傾向で、自社の誰が辞めるかを言い当てるものではありません。本記事では、エンジニアを採用する実務担当者に向けて、前の勤め先を辞めた理由の傾向、一番の理由との違い、面接での聞き方、そして入社後の手当てを整理します。

白い柱が並ぶ通路の奥に、ガラスの回転ドアがある建物の入口の写真

早期離職の離職理由とは

離職理由は、本人の事情で辞める自己都合と、契約期間の満了や定年、会社の倒産や人員整理のように本人が選ばない理由に大きく分かれます。厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」も、前の勤め先を辞めた理由をこの区分で尋ね、そのうえで自己都合の人に具体的な理由を聞いています。*1

具体的な理由の聞き方は2通りです。1つは当てはまる理由を3つまで選んでもらう聞き方、もう1つは一番の理由を1つだけ選んでもらう聞き方です。*1 3つまで選ぶ形からは、辞める前に重なっていた不満が見えます。一番の理由からは、最後に辞めると決めたきっかけが見えます。面接で前職の離職理由を聞くときも、この2つを分けておくと答えを読み違えにくくなります。

この調査でいう転職者は、雇われる前の1年間にほかの企業で働いた経験があり、2024年10月1日から2025年9月30日までに今の勤め先に雇われた一般労働者です。2025年10月1日時点の状況を尋ね、個人調査の有効回答は7,310人でした。*1 入社して1年たたない人の答えなので、早期離職の理由を考える材料としても扱いやすい調査です。

情報通信業から転職した人の辞め方

まず、辞め方の内訳を見ます。前の勤め先が情報通信業だった転職者のうち、自己都合で辞めた人は77.5%でした。全産業の81.3%より少し低く、代わりに「倒産・整理解雇・人員整理による勧奨退職」が6.8%と、全産業の3.3%の2倍を超えています。*2 前の勤め先での職種で分けると、専門的・技術的な仕事から転職した人では、自己都合が85.3%でした。*2

勧奨退職などで前の会社を離れた人は、本人が辞めたくて辞めたわけではありません。面接で離職理由を聞くときは、応募者が皆、前の会社に不満を持って辞めたと決めつけず、最初に自己都合かどうかを確かめます。会社の事情で辞めた人に「なぜ辞めたのですか」と重ねて聞くと、答えにくいうえに、確かめたいことも分からないままになります。

自己都合で辞めた理由

自己都合で情報通信業の勤め先を辞めた人が挙げた理由は、「会社の将来に不安を感じたから」が35.0%で最も多く、「賃金が低かったから」の33.9%、「満足のいく仕事内容でなかったから」の31.9%が続きます(3つまでの複数回答)。*3

自己都合で前の勤め先を辞めた理由を、前の勤め先が情報通信業だった転職者と全産業で比べた横棒グラフ(3つまでの複数回答)。会社の将来に不安を感じたから35.0%(全産業25.2%)、賃金が低かったから33.9%(25.5%)、満足のいく仕事内容でなかったから31.9%(24.7%)、人間関係がうまくいかなかったから22.6%(22.2%)、能力・実績が正当に評価されないから19.1%(18.9%)、労働条件(賃金以外)がよくなかったから17.7%(23.4%)。出典は厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第20表。

全産業では、この3つがいずれも25%前後で並んでいます。情報通信業では3つとも7〜10ポイントほど高く、将来への不安、賃金、仕事の中身の3つに答えが集まっています。反対に、「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」は17.7%で、全産業の23.4%を下回りました。「人間関係がうまくいかなかったから」は22.6%で、全産業の22.2%とほぼ同じです。*3

前の勤め先での職種で分けると、少し違う並びになります。専門的・技術的な仕事から転職した人では、「会社の将来に不安を感じたから」が29.4%で最も多く、「人間関係がうまくいかなかったから」の24.2%、「賃金が低かったから」の23.4%、「いろいろな会社で経験を積みたいから」の23.3%が続きます。*3

情報通信業という産業の区分には、営業や事務の仕事をしていた人も入ります。専門的・技術的な仕事という職種の区分には、エンジニア以外の技術職も入ります。どちらの数値もエンジニアだけの値ではないので、自社の採用に近いほうを主に見て、もう一方は並び方の確認に使うと扱いやすくなります。

一番の理由との違い

一番の理由を1つだけ選んでもらうと、並び方が変わります。情報通信業から自己都合で転職した人では、「賃金が低かったから」が17.2%で最も多くなりました。「会社の将来に不安を感じたから」の10.3%、「満足のいく仕事内容でなかったから」の10.1%、「人間関係がうまくいかなかったから」の10.0%は、ほぼ横並びです。*4

自己都合で前の勤め先を辞めた一番の理由(厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第21表から作成。単位は%)
一番の理由 前の勤め先が情報通信業 前の職種が専門的・技術的な仕事 全体
賃金が低かったから 17.2 10.6 10.7
会社の将来に不安を感じたから 10.3 13.9 10.0
満足のいく仕事内容でなかったから 10.1 7.6 11.0
人間関係がうまくいかなかったから 10.0 15.5 12.8
労働条件(賃金以外)がよくなかったから 9.8 9.7 10.5

目立つのは、会社の将来への不安です。3つまでの答えでは情報通信業で35.0%あったのに、一番の理由に選んだ人は10.3%でした。将来への不安はほかの理由と一緒に挙がることが多く、最後のきっかけとしては賃金を選ぶ人のほうが多い、という結果です。

専門的・技術的な仕事から転職した人では、一番の理由は「人間関係がうまくいかなかったから」が15.5%で最も多く、「会社の将来に不安を感じたから」の13.9%が続きます。賃金は10.6%でした。*4 面接で前職を辞めた一番の理由を尋ねると、賃金や人間関係の答えが返ってくるのは珍しいことではありません。答えの良し悪しを判定するより、同じ状態が自社でも起こりうるかを確かめる材料として受け取ります。

前の勤め先に短く勤めた人

早期離職を気にする採用担当者にとっては、応募者の前の在籍期間も気になるところです。前の勤め先で専門的・技術的な仕事をしていた転職者のうち、前の勤め先の通算勤務期間が6か月未満だった人は6.3%、6か月以上1年未満だった人は9.5%でした。*5 職種を問わない全体では、それぞれ8.2%と10.8%です。*5

これらは転職者の中での割合で、ある会社に入った人のうち何人が辞めたかを表す離職率ではありません。それでも、1年たたずに前の勤め先を離れた人が、応募者の中にある程度いることは分かります。在籍期間の短さだけで見送らず、辞めた理由がどの区分に当たるのか、自社でも同じことが起こりうるのかを面接で確かめるほうが、採れる人を逃さずにすみます。

面接で離職理由をどう聞くのか

面接で前職の離職理由を聞くときは、調査と同じ2段の聞き方にすると整理しやすくなります。最初に、辞める前に気になっていたことを3つまで挙げてもらいます。次に、そのうち辞めると決めた一番の理由を1つ選んでもらいます。調査の選択肢を面接官の手元に置いておけば、答えを同じ区分で記録でき、面接官が替わっても比べやすくなります。

聞いた理由ごとに、続けて尋ねることと、自社の側で用意しておく説明を決めておきます。調査で多かった4つの理由について、例を挙げます。

前職の離職理由ごとの聞き方と、自社で用意しておく説明(例)
前職の離職理由 面接で続けて聞くこと 自社で用意しておく説明
賃金が低かった どの点が不満だったのか(金額か、上がり方か、評価との関係か) 賃金の決め方、昇給の時期、評価の仕組み
会社の将来に不安を感じた どんな出来事から不安を感じたのか 開発組織の計画、担当するシステムの今後の予定
満足のいく仕事内容でなかった やりたかった作業と、実際に任された作業の違い 入社後に任せる作業と、担当の広げ方
人間関係がうまくいかなかった どんな場面で困ったのか、相談できる相手はいたのか 配属先のチームの人数、日々の相談の相手

自社の説明が弱い項目は、面接の段階で正直に伝えておきます。たとえば昇給の時期が年に1回しかないなら、そのまま伝えたうえで、評価の結果がどう反映されるかを説明します。入社してから知るより、入社前に知っているほうが、同じ理由でまた辞める事態を避けやすくなります。

聞く範囲には注意が要ります。厚生労働省は、公正な採用選考として「応募者の適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しない」ことを求め、家族や生活環境に関することなどを面接の質問で把握しないよう呼びかけています。*6 調査の選択肢には結婚・出産・育児や介護・看護、病気・怪我も含まれますが、面接ではこうした事情の中身まで尋ねません。応募者が自分から話した場合も、仕事に関係のある範囲で受け止めるにとどめます。

入社後の手当て

面接で聞いた離職理由は、採用が決まった時点で配属先の上司に引き継ぎます。前の勤め先で辞める理由になった状態が、自社でも起きていないかを入社後に確かめるためです。引き継ぐのは、3つまでの理由と一番の理由、面接で自社が説明した内容の3つです。

入社後の面談では、前職の離職理由に挙がった項目について、入社前の説明と実際が合っているかを聞きます。賃金が理由だった人には、説明した評価の仕組みがそのとおりに動いているか。仕事内容が理由だった人には、任せた作業が説明と合っているか。人間関係が理由だった人には、相談の相手がいるか、という具合です。項目を広く並べて満足度を尋ねるやり方は「エンジニア中途採用の早期離職の予兆、入社後の面談で満足度を聞く」で扱っています。

面談で説明と実際のずれが見つかったら、本人に説明し直すか、任せる作業や相談の相手を見直します。すぐには直せないものは、次の募集で最初から伝える内容に加えます。こうして辞めた人の理由と入社した人の答えを同じ区分で残していくと、自社のどこで早期離職が起きやすいかが少しずつ見えてきます。事業所として取り組める定着の対策は「エンジニア中途採用の早期離職を防ぐ、事業所の定着対策」にまとめています。

つまずきやすい点

一つ目は、前の会社への不満を話す応募者を、それだけで低く評価してしまうことです。調査のとおり、自己都合で辞めた人の多くは賃金や仕事内容、会社の将来への不安を理由に挙げています。見るべきなのは不満があったかどうかではなく、その状態が自社でも起こりうるかどうかです。

二つ目は、3つまでの複数回答の数値を、一番の理由の数値と取り違えることです。会社の将来への不安は、情報通信業では3つまでの答えで最も多い一方、一番の理由では2番目で、賃金との差も開きます。社内で調査の数値を共有するときは、どちらの聞き方の数値かを書き添えておきます。

三つ目は、面接で聞いた内容が採用担当者の手元で止まり、配属先に伝わらないことです。入社後に同じ状態が起きても、上司が前職の離職理由を知らなければ気づけません。引き継ぎの様式を決め、内定を出した時点で渡すところまでを採用の手順に入れておきます。

まとめ:前職の離職理由で確かめておきたい3つの点

エンジニア中途採用の早期離職を防ぐうえで、前職の離職理由について確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、まず自己都合かどうかを聞き、自己都合なら理由を3つまでと一番の理由に分けて聞くこと。第二に、理由ごとに自社の実態を用意し、弱い項目も面接の段階で伝えること。第三に、聞いた理由を配属先の上司に引き継ぎ、入社後に同じ状態が起きていないかを確かめることです。この3点を踏まえておけば、「前の会社と同じ理由で、また半年で辞めてしまった」という事態を避けやすくなります。面接での聞き方や受け入れの体制づくりに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

前職の離職理由を聞いても、自社の側で同じ状態をすぐには直せないことがあります。受け入れの体制が整うまでの開発を、外部の専門人材に任せる方法も選択肢に入れておけます。

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よくある質問

応募者が「一身上の都合」とだけ答えたときは、どうすればよいですか

調査の選択肢のような一覧を示して、当てはまるものを3つまで選んでもらう方法があります。自分の言葉で説明しにくい人でも、一覧からなら選びやすくなります。それでも答えたくない様子なら、無理に聞き出さず、自社で任せる仕事や働き方の説明に時間を使います。

聞いた離職理由は、誰がどこまで記録すればよいですか

面接官が、3つまでの理由と一番の理由を決まった区分で記録し、採用が決まったら配属先の上司に渡すのが基本です。応募者の個人情報なので、見られる人を採用担当者と配属先の上司などに限り、見送った応募者の記録は社内の決まりに沿って扱います。

調査の数値は、自社の離職率の目安として使えますか

使えません。調査の数値は転職した人の中での割合で、入社した人のうち何人が辞めたかを表す離職率とは別のものです。自社の離職率は、一定の期間に入社した人数と、そのうち辞めた人数から自社で計算します。調査は、辞める理由の傾向を知るための材料として使います。

エンジニアの中途採用を相談したいとき

前職の離職理由の聞き方や、入社後に確かめる項目の整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/6-18c-r07.html)。出典:厚生労働省「令和7年転職者実態調査の概況」(2026年9月25日公表)。調査の概要(2025年10月1日現在、個人調査の有効回答7,310人)、主な用語の定義(転職者)、個人調査の離職理由の調査事項(主な離職理由、自己都合による離職の理由は3つまでの複数回答)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第19表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040505229&fileKind=4)。出典:第19表 性、年齢階級・最終学歴・直前の勤め先の産業ほか、直前の勤め先を離職した理由別転職者割合。性別計の直前の勤め先の産業計・情報通信業、直前の勤め先での職種の専門的・技術的な仕事の行を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第20表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040505230&fileKind=4)。出典:第20表 同、直前の勤め先を自己都合により離職した具体的理由別転職者割合(複数回答3つまで)。性別計の直前の勤め先の産業計・情報通信業、直前の勤め先での職種の専門的・技術的な仕事の行を参照(2026年9月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第21表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040505231&fileKind=4)。出典:第21表 同、直前の勤め先を自己都合により離職した一番の理由別転職者割合。性別計の直前の勤め先の産業計・情報通信業、直前の勤め先での職種の専門的・技術的な仕事の行を参照(2026年9月確認)
  5. *5 参考:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」個人票 第14表(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040505224&fileKind=4)。出典:第14表 性、年齢階級・最終学歴・直前の勤め先での職種ほか、直前の勤め先の通算勤務期間階級別転職者割合。性別計の直前の勤め先での職種計・専門的・技術的な仕事の行を参照(2026年9月確認)
  6. *6 参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)。出典:厚生労働省「公正な採用選考の基本」。(2)公正な採用選考を行うためには ア(適性・能力とは関係のない事項で採否を決定しないこと、家族や生活環境に関することなどを面接で質問して把握しないこと)を参照(2026年9月確認)




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