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2026.10.05 採用支援コラム

内製化支援の選定と育成方法、研修と伴走の違いを比べる

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

白いホワイトボードを壁に掛けた研修室に、木の天板の机と黒いメッシュチェアが並んでいる

この記事の結論

  • 内製化支援の選定では、研修・実務の中での指導・学び合いの場づくり・伴走の4つを、提案がどう組み合わせているかで育成方法を比べます。
  • どの型を選んでも、学んだことを使う作業を案件の中に用意し、何ができれば育ったと言えるかを作業の単位で決めておきます。
  • 育成を受け持つ社内のリーダーが使える時間も、支援を選ぶ前に見積もっておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

内製化支援の提案を何社かから受けたものの、どれにも「伴走して社員を育てます」と書いてあって違いが分からない。研修の時間数は並べられても、それで社員が自分で開発を回せるようになるのかは見えない——。外部のパートナーを選ぶ段階で、こうした迷いを抱える開発部門は少なくありません。内製化支援の育成方法とは、外部の支援者が社員にどのような形で技術や進め方を身に付けてもらうのかという、教え方と学び方の組み立てを指します。

育成方法を比べる軸を先に持っておけば、提案書の言葉の違いに振り回されずに済みます。ただし、どの型が正解という答えはなく、社員の経験や、支援者と一緒に進める案件の性質によって組み合わせは変わります。本記事では、厚生労働省の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を手がかりに、育成方法の4つの型、提案で確かめる点、学んだことを使う場、育ったかどうかの確かめ方、社内のリーダーの負担、外部に委託するときに確認しておきたい点を整理します。

内製化支援の育成方法とは

社内で人を育てる方法は、大きく3つに分けて語られてきました。厚生労働省のガイドラインは、日本企業の人材開発について、「業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて社内外で実施する教育訓練」(OFF-JT)よりも、「日常の業務に就きながら行われる教育訓練」(OJT)を重視してきたと述べています。*1 これに、社員が学ぶ内容を自分で選ぶ自己啓発を加えた3つが、育成の基本の分け方です。

内製化支援の育成方法も、この3つの組み合わせとして見ると整理しやすくなります。外部の講師による研修はOFF-JTに、支援者と同じ案件を進めながら教わるのはOJTに近いものです。ただ、内製化支援では、教える側が社外の人で、しかも一定の期間が過ぎたら離れていくという点が、社内の先輩による指導と違います。離れた後も社員が学び続けられる仕組みまで残せるかどうかが、育成方法を比べるときの見どころになります。

内製化支援の育成方法を比べる4つの型を、横に並べた4つの箱で示した図。1つ目は研修で、決まった内容を業務から離れた時間にまとめて学び、研修の後に案件で使う場面があるかを確かめる。2つ目は実務の中での指導で、同じ案件に入りペア作業やコードの確認で教わり、社員が主に手を動かす作業はどれかを確かめる。3つ目は学び合いの場で、勉強会や振り返り会を社員が回して学びを社内で共有し、支援者が離れた後に誰が会を回すかを確かめる。4つ目は伴走で、学びの進み具合を定期的に確かめて助言し、確かめる頻度と止まったときの知らせ先を確かめる。下の帯には、どの型でも学んだ後に、学んだことを使う作業を社員が案件の中で受け持つ使う場と、何ができれば育ったと言えるかを作業の単位で決めて関係者で振り返る評価の2つが要ることが書かれている。厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」をもとに作成。

このガイドラインは、厚生労働省が令和4年(2022年)6月に策定したものです。*1 働く人の学び直しを進めるために、企業と働く人が取り組む事項を13項目に分けて並べています。外部の支援を選ぶための文書ではありませんが、学びを、機会をつくる、続ける、使う、評価するという流れで捉えていて、提案を比べる物差しとして借りることができます。

社内のOJTだけでは足りない理由

ガイドラインは、OJTを重視した人材開発が、上司や先輩の指導を通じた実践的な学びを生み、日本の「現場力の高さ」を支えてきたと評価しています。そのうえで、2つの変化を挙げています。1つ目は働き方の変化です。リモートワークの広がりなどが「上司や先輩の仕事を見て新しい能力・スキルを身に付ける機会の減少」につながり、OJTの機能を弱めている可能性があるとしています。*1

2つ目は技術の変化です。デジタル技術の活用などの環境の変化は、「これまでの企業内における上司や先輩の経験や、能力・スキルの範囲を超えるもの」だと書かれています。*1 内製化を始めようとする会社で起きているのは、まさにこの状態でしょう。クラウドの設計やテストの自動化など、社内にまだ教えられる人がいない技術を身に付けてもらう必要があるから、外部の支援を頼むことになります。

つまり、内製化支援に求めるのは、社内のOJTが届かない部分を埋める役割です。提案を読むときは、支援者が離れた後に、今度は社員が後から入った人に教えられるところまで見込んでいるかどうかを確かめておきます。

育成方法の4つの型

内製化支援の提案に出てくる育成方法は、次の4つの型に分けて読むと比べやすくなります。呼び方は会社によって違いますが、中身はおおむねこのどれか、あるいは組み合わせです。

1つ目は研修です。クラウドの基礎やテストの書き方など、決まった内容を、業務から離れた時間にまとめて教わります。ガイドラインは、企業が教育訓練プログラムを提供する場合に「大学や教育訓練機関など外部機関の活用も検討することが望ましい」としています。*1 体系立てて学べる反面、学んだことを自社の案件にどう当てはめるかは社員に残ります。

2つ目は実務の中での指導です。支援者と社員が同じ案件に入り、ペアで設計や実装を進めたり、社員が書いたコードを支援者が確認したりします。自社の案件そのものが教材になるため、すぐ使える力が付きやすい型です。ガイドラインも、「OJTの中にシステム化されたOFF-JTを組み込む」など、従来のOJTの枠組みにとらわれない取組を例に挙げています。*1

3つ目は学び合いの場づくりです。勉強会や設計の振り返り会を社員が回せるように整え、学んだことを社内で共有します。ガイドラインは、社内の人が講師になるなど「他者に教えることには、それ自体が学びとなるという効果が期待される」と書いています。*1 支援者が離れた後も続く仕組みとして、重く見ておきたい型です。

4つ目は伴走です。ここでいう伴走は、一緒に作業することではなく、学びが途中で止まらないように、定期的に進み具合を確かめて助言することを指します。ガイドラインは、「定期的・継続的な助言や精神的なサポートを行う「伴走支援」の仕組み」を企業内に設けることが望ましいとしています。*1 提案に「伴走」と書かれているときは、作業を一緒に進める意味なのか、学びの進み具合を見る意味なのかを聞き分けます。

型ごとに提案で確かめる点

4つの型は、どれが優れているというものではありません。選定では、提案がどの型をどの順番で組み合わせているか、それぞれについて何が具体的に書かれているかを並べて比べます。

内製化支援の育成方法の4つの型と、提案で確かめる点(厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」をもとに作成)
型 中身 提案で確かめる点
研修 決まった内容を、業務から離れた時間にまとめて学ぶ 教材を自社の技術や案件に合わせて作るか、既成の講座か。研修の後に案件で使う場面が用意されているか
実務の中での指導 同じ案件に入り、ペア作業やコードの確認で教わる 社員が主に手を動かす作業はどれか。確認するのは誰で、何を基準に見るか
学び合いの場づくり 勉強会や振り返り会を社員が回し、学びを共有する 支援者が離れた後に誰が会を回すか。資料や記録をどこに残すか
伴走 学びの進み具合を定期的に確かめて助言する 確かめる頻度と方法。止まっている社員がいたときに誰に知らせるか

比べるときは、型の名前より、社員の側で何が起きるかを書いてもらうのが近道です。「ペアで進めます」と書かれていても、実際には支援者がキーボードを握り、社員は横で見ているだけということもあります。提案の段階で、最初の1か月に社員が受け持つ作業を具体的に挙げてもらうと、各社の違いがはっきりします。

組み合わせの順番にも目を向けます。研修で基礎をそろえてから実務の中での指導に移る提案もあれば、最初から案件に入り、足りない知識をその都度研修で補う提案もあります。社員の経験が浅いなら前者、ある程度の開発経験があるなら後者が合いやすい、というのが一つの目安です。

学んだことを使う場

どの型を選んでも、学んだことを使う場がなければ身に付きません。ガイドラインは、学び直しについて「学んだ後に業務に活かしてこそ意義がある」とし、学んだことを業務で実践することで能力・スキルが定着する効果が期待されると述べています。*1

内製化支援に当てはめると、研修を受けた社員が、その内容を使う作業を案件の中で受け持てるかどうかです。例えば、テストの自動化を研修で学んだなら、次の改修では社員がテストを書き、支援者が確認する、という流れを支援の計画に入れておきます。研修と案件が別々に進むと、研修で学んだことが使われないまま支援の期間が終わってしまいます。

使う場をつくるには、社内の側の準備も要ります。支援を頼む前に、社員に受け持ってもらう案件と作業を書き出しておくと、提案を受けたときに、その作業に合わせて研修の内容や順番を組んでもらえます。支援者と社員の受け持ちを段階的に入れ替えていく進め方は、技術移転で社員に移すものと確かめ方で詳しく扱っています。

育ったかどうかの確かめ方

育成方法を比べるときに見落としやすいのが、育ったかどうかをどう確かめるかです。ガイドラインは、学びの起点として、役割を明らかにしたうえで職務に必要な能力・スキル等を明確にすることを挙げ、これを「学び・学び直しの起点となるもの」としています。*1 何ができれば育ったと言えるのかが決まっていなければ、研修の時間数や参加人数しか比べられません。

評価については、身に付けた能力・スキルが社内でどう活かされたか、活かされなかった場合はその課題も含めて、「労働者も含めた関係者内で評価を行うことが重要である」としています。*1 内製化支援なら、支援者・社員・社内のリーダーの3者で、決めた作業をどこまで社員だけで進められたかを振り返る場を、支援の途中に置いておくとよいでしょう。

提案を比べるときは、確かめ方の案も出してもらいます。障害の調査を社員だけで最後まで進められるか、設計の見直しで社員が理由を説明できるかといった、作業の単位で書かれているかどうかが見どころです。「スキルが向上した」という言い方だけでは、支援を続けるか終えるかの判断に使えません。自走できたかの判断の仕方は自走化判断で確かめる3つの基準にまとめています。

社内のリーダーの負担

育成方法の比較で抜けがちなもう一つの点が、社内で育成を受け持つリーダーの時間です。ガイドラインは、管理職などの現場のリーダーには部下を育成する時間的余裕がない場合があると指摘し、企業がその能力の向上を支援することや、部下の育成に充てる時間を確保するための配慮を「極めて重要」としています。*1 さらに、リーダーが部下の学びのサポートに注力できているかを確かめ、「過度な業務負担となっている場合には、その負担を軽減する等の措置を講ずる必要がある」とも書いています。*1

内製化支援では、支援者の窓口になり、社員の作業を割り振り、振り返りに出るのは社内のリーダーです。多くの場合、そのリーダーは自分の開発の作業も抱えています。実務の中での指導や学び合いの場づくりを厚くするほど、リーダーが調整に使う時間は増えていきます。

選定の前に、リーダーが育成に充てられる時間を見積もっておきます。足りないなら、リーダーの手元の作業を別の人に受け持ってもらうか、支援者に担ってもらう調整の範囲を広げるかを決めておきます。ここを決めないまま始めると、育成の計画はあってもリーダーが回しきれず、支援者が作業を代わりに進める形に戻りやすくなります。

外部に委託するときに確認しておきたい点

内製化支援の選定で育成方法を比べる前に、社員に身に付けてほしい作業と、その作業を受け持つ社員を書き出しておきます。誰が何を学ぶのかが決まっていれば、研修・実務の中での指導・学び合い・伴走のどれを、どれくらい入れてほしいかを提案の依頼で伝えやすくなります。

育成とは別に、社員が学んでいる間の開発をどう回すかも決めておきます。学ぶ時間を取れば、その分だけ社員の手は案件から離れます。その間の作業を誰が担うのかは、育成方法とは切り分けて検討しておくと、提案の比較がぶれません。

支援期間の決め方は内製化支援の選定と支援期間で、育成計画の書き方は伴走を受けて社員を育てる育成計画の立て方で扱っています。

まとめ:育成方法で確かめておきたい3つの点

内製化支援の選定で育成方法を比べるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、研修・実務の中での指導・学び合いの場づくり・伴走の4つを、提案がどの順番でどう組み合わせているかを並べること。第二に、学んだことを使う作業を案件の中に用意し、何ができれば育ったと言えるかを作業の単位で決めておくこと。第三に、育成を受け持つ社内のリーダーの時間を見積もり、足りない分の手当てを決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「研修は終わったのに、支援者が離れたら誰も手を動かせなかった」という事態を避けやすくなります。育成の間の開発を支える人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

社員に身に付けてほしい作業と育成方法が決まったら、次はその間の開発を支える人や、教える側に回れる経験者を探す段階です。求める技術と期間が書き出せていれば、必要な経験がはっきりし、候補者を探しやすくなります。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

研修だけの提案でも内製化は進みますか

研修で基礎を学ぶことはできますが、学んだことを使う場が案件の中に無いと定着しにくくなります。ガイドラインも、学び直しは「学んだ後に業務に活かしてこそ意義がある」としています。*1 研修だけの提案なら、研修の後に社員が受け持つ作業を自社の側で用意できるかを先に確かめます。

ペア作業はどのくらいの期間続ければよいですか

公的な目安はありません。期間で決めるより、ペアで進めていた作業を社員が1人で進め、支援者は確認だけに回れるようになったかで切り替えを判断します。切り替えの条件を支援の始めに決めておくと、途中で迷わずに済みます。

学び合いの場は、支援者がいる間から始めたほうがよいですか

始めておくほうが扱いやすいです。支援者がいる間に勉強会や振り返り会の進め方を社員が覚えておけば、離れた後も同じ形で続けられます。資料や記録の置き場所も、その時点で決めておきます。

育てたい作業が決まったら相談

社員に身に付けてほしい作業と、その間の開発の体制を考えている段階でご相談いただけます。育成方法をまだ決めきれていなくても構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」(PDF)(https://www.mhlw.go.jp/content/001728918.pdf)。出典:厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」(令和4年6月策定)。Ⅰの2「OJTをとりまく環境の変化」、Ⅱの②(職務に必要な能力・スキル等の明確化)、⑤(教育訓練プログラムや教育訓練機会の確保)、⑥(相互に学び合う環境の整備)、⑨(伴走支援)、⑩(実践の場の提供)、⑪(適切な評価)、⑬(現場のリーダーのマネジメント能力の向上・企業による支援)と、Ⅰの5「現場のリーダーの役割」を参照(確認日2026年10月5日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」(掲載ページ)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/guideline.html)。出典:ガイドライン本体・別冊・概要の掲載ページ(確認日2026年10月5日)(2026年10月確認)




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