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2026.09.28 採用支援コラム

内製化支援の伴走を受けて社員を育てる、育成計画の立て方




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 伴走支援は、支援者が答えを出すのではなく、社内の担当者が自分で課題を決めて進められるよう対話しながら手伝うやり方です。
  • 経済産業省の手引きは、外部の力を借りて取組を進めながら、その過程で社内にノウハウを蓄積して人材を育てることを勧めています。
  • 育成計画には、育てたいスキル、人数と期限、学ぶ場、支援者と一緒に行う作業を1つにまとめて書きます。

※ 本記事は2026年9月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

外部の支援会社に来てもらっているのに、社員に何が身についたのかが分からない。育成計画を作ろうとしても、支援の予定と研修の予定が別々の表になっている——。開発を自社の社員で担えるようにする内製化を進める現場では、こうした食い違いが起こりがちです。内製化支援の伴走とは、外部の支援者が答えを代わりに出すのではなく、社内の担当者と対話しながら課題を一緒に整理し、担当者が自分で判断して開発を進められるよう手伝うやり方を指します。

伴走を受けている期間は、社員がシステムの作り方と開発の進め方を実務の中で学べる時期でもあります。支援の作業と社員が学ぶ機会を1つの育成計画にまとめておけば、支援が終わったあとに何が社内に残るのかを確かめやすくなります。ただし伴走支援も万能ではなく、支援を受けたからといって社員が育つとは限りません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、伴走支援の考え方、育成計画に書くこと、支援を受けながら進める手順、そして支援を頼むときに確認しておきたい点を整理します。

黒いれんがの壁の前に、モニターを置いた木の天板の机が2台と黒い椅子が2脚並ぶオフィス。棚には本と小物が置かれ、人は写っていない

伴走支援とは

中小企業庁と中小企業基盤整備機構などが2023年6月にまとめた「経営力再構築伴走支援ガイドライン」は、支援のやり方を2つに分けています。*1 専門知識を持つ支援者が解決策を示す「課題解決型」と、対話を通じて相手が自ら課題に気づき、その解決に主体的に取り組むよう促す「課題設定型」です。ガイドラインは、どちらが優れているというものではなく、相手の置かれた状況や課題によって使い分ける必要があるとしています。*1

支援のやり方を2つに分けた図。課題解決型は、専門知識を持つ支援者が解決策を示すやり方。課題設定型は、対話を通じて相手が自ら課題に気づき、その解決に主体的に取り組むよう促すやり方で、支援者は相手のチームと一緒に作業を行う。中小企業庁ほか「経営力再構築伴走支援ガイドライン」をもとに作成。

このガイドラインは経営者への支援を対象にしたもので、システム開発の支援を書いたものではありません。それでも、内製化支援の伴走を考えるときの手がかりになります。ガイドラインは、ただ単に答えを提供する支援は適当ではないとし、相手が自分で答えを見出すこと、相手のチームと一緒に作業を行うことを意識した支援が望ましいとしています。*1 開発に当てはめれば、支援者が設計書を代わりに書き上げるのではなく、社員と一緒に書きながら、なぜその設計にするのかを社員が説明できるようにする関わり方です。

なぜ育成計画に外部の支援を組み込むのか

経済産業省の「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」は、DX(デジタル技術で事業や組織を変えること)に取り組む企業に見られる成功のポイントを7つ挙げ、その5番目を「DX推進過程の中で人材を育成する」としています。*2 手引きによれば、経営や自社の事業への理解とデジタル技術への理解をあわせ持つ人材を、初めからすべて自前で確保しようとすると、とくに中小企業にとっては高いハードルになります。

そこで多くの企業は、ITベンダーやITコーディネータ(企業のIT活用を支援する専門家の資格)など外部の機関の支援を使い、社内に足りないノウハウやスキルを補っていました。手引きは、外部の力を活用して取組を進めながら、その過程を通じて社内にノウハウとスキルを蓄積し、中長期の目線で人材育成に取り組むことが重要だとしています。*2

つまり、外部の支援を受けることと社員を育てることは、別々の取り組みではありません。ただ、支援を受けているだけでは、社員が何を身につけたのかは記録に残りません。支援の予定に合わせて、誰が、いつまでに、何をできるようになるかを書いた育成計画があってはじめて、支援を受けている期間を社員の育成に使えます。

育成計画に書くこと

内製化支援の伴走を受けながら立てる育成計画には、少なくとも次の4つを書いておきます。

  • 育てたいスキル(どんな作業ができるようになればよいか)
  • 目標の人数と期限
  • 学ぶ場(実務の中、社内の研修、社外の研修)
  • 支援者と一緒に行う作業と、進み具合を確かめる打ち合わせ

1つ目のスキルは、社内で一から考えなくてもかまいません。経済産業省は、DXに関してすべてのビジネスパーソンが身につけるべき知識・スキルと、DXを推進する人材の役割をまとめた「デジタルスキル標準」を公表しています。*2 手引きに載っている企業の例でも、この標準を参照したうえで自社の戦略に必要なスキルを抜き出し、社内の評価制度や認定制度を作った企業があります。

3つ目の学ぶ場について、職業能力開発促進法の第9条は、事業主が職業訓練を行うときに、業務の中で行うことも業務を離れて行うこともでき、自社で行うほか他社と共同で行うことも、公共の職業能力開発施設やほかの者が設ける施設の訓練を受けさせることもできると定めています。*3 仕事をしながら先輩が教えるOJT(実際の仕事の中で教える育て方)と、業務を離れて学ぶ研修を組み合わせ、そのどちらに支援者が関わるかを書いておくと、支援の作業と研修の予定が1つの表にまとまります。

4つ目は、伴走支援を受けるときならではの項目です。どの作業を支援者と一緒に行うのか(たとえば、最初の画面の設計や、テストの計画づくり)と、支援者と社内の担当者が進み具合を確かめる定例の打ち合わせの頻度を書いておきます。ここが空いたままだと、支援者は開発の作業を進めることに時間を使い、社員が学ぶ機会は後回しになりがちです。

支援を受けながら進める手順

ガイドラインは、事業者全体が自ら課題に取り組めるようにするには経営者一人の力では限界があるとして、社内で変革を進める人による中心のチーム(コアチーム)を作り、支援者がそのチームに伴走する形を示しています。*1 開発の内製化でいえば、育成計画の対象になる社員を数人のチームにまとめ、支援者はそのチームと一緒に作業します。

進め方は次の順になります。まず、支援者と社内の担当者で、育てたいスキルと、最初に一緒に行う作業を決めます。次に、その作業を支援者と社員が一緒に進め、社員が自分で説明できるようになった部分から社員に任せていきます。最後に、定例の打ち合わせで育成計画に書いたスキルのどこまでができるようになったかを確かめ、次に一緒に行う作業を決め直します。

ガイドラインは、この過程で組織の中にPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善の繰り返し)を作り、成功体験を積ませることで、同じやり方で繰り返し課題の解決に取り組めるようになるとしています。*1 また、支援の成果が支援の終了後も組織の中に根付いているかを、支援後も確かめることを求めています。育成計画にも、支援が終わった後に誰がこの確認を続けるのかを書いておくと、計画が支援の期間だけで終わらずに済みます。

選定企業の育成計画の例

DX推進の手引き2025は、経済産業省が「DXセレクション2025」に選んだ中堅・中小企業15社の取り組みを紹介しています。*2 このうち、人材の育成について目標の人数や期限、社外の研修の使い方、支援者との打ち合わせまで書かれている例を抜き出すと、次のようになります。

DXセレクション2025選定企業の人材育成の取り組み(手引きの記載から抜粋)
企業(業種) 育成の計画と仕組み
トーシンパートナーズホールディングス(不動産業) DXリテラシー標準(DXの基礎スキルをまとめたもの)をもとに、求める項目を「マインドスタンス」「業務改善力」「データ分析力」と定め、2025年度末までに基準の達成者をグループ全体で60名育成する計画を実施中。2024年はグループの約80名を対象にオンライン教材による研修(eラーニング)と外部研修を行った
ヒカリシステム(サービス業) 開発担当者が外部研修に参加する。社内のDXセミナーを年間24回開き、5年間で各部門に1名以上、DXのスキルに長けた人材を配置することを目標にしている
池田組(土木工事業) デジタルスキル標準を参照し、自社のDX戦略に必要なスキルを中心に抜き出して自社の評価制度を作り、スキルの習得度を人事評価と連動させている
内藤建設(建設業) デジタルスキル標準を参照して全社員に共通の社内認定制度を作成。DXの伴走支援を行う企業などとの定例の打ち合わせで、施策の進み具合と課題を共有している

どの例も、育てたいスキルを先に言葉にしてから、研修や認定の仕組みを作っています。人数と期限まで決めているのはトーシンパートナーズホールディングスで、ヒカリシステムは社外の研修と社内のセミナーを組み合わせ、5年間の配置の目標を置いています。支援を受けている企業との定例の打ち合わせを、育成の仕組みと並べて書いているのが内藤建設です。自社で育成計画を作るときも、スキル・人数・期限・学ぶ場を1枚にまとめるところから始めると進めやすくなります。中途採用で入社したエンジニアの育成計画を、入社時の経験と実績から立てる手順は「エンジニア中途採用の育成計画、入社時の経験と実績から立てる」で扱っています。

つまずきやすい点

一つ目は、支援者に答えを出してもらうことに慣れてしまうことです。ガイドラインは、取組の進み具合がよくないために支援者がやるべきことを細かく助言したものの、現場から反発が生じ、業務の負荷も高まって課題解決の取組が中断した例を紹介しています。*1 支援者が先回りして決めるほど、社員は決まったことを受け取るだけになります。育成計画に「社員が自分で説明できるようになる作業」を書いておけば、支援者に何を頼むのかもはっきりします。

二つ目は、社内の判断で開発を進められる状態、つまり自走を、支援を受けなくなることと同じだと考えてしまうことです。ガイドラインは、自走化は必ずしも独力で行えるようになることを意味せず、真に必要だと自ら判断したうえで第三者に支援を求めるのであれば、十分に自走化されているといえるとしています。*1 支援を続けるかどうかを、社内の担当者が理由を付けて判断できるかも、育成計画で確かめたい点です。自走できているかの判断の基準は「内製化支援から自走へ、自走化判断で確かめる3つの基準」で扱っています。

三つ目は、研修を受けた人数を育成の成果として数えてしまうことです。受講した人数は記録しやすい数字ですが、実務で何ができるようになったかまでは表しません。育成計画の進み具合は、支援者と一緒に行った作業のうち、社員だけで進められるようになった作業がいくつあるかで確かめると、支援を受けた効果も見えやすくなります。

伴走支援を頼むときに確認しておきたい点

内製化支援の伴走を外部に頼むときは、契約の前に次の3点を支援者と話しておきます。第一に、支援の進め方が、解決策を示す課題解決型に近いのか、社内の担当者が自分で課題を決める課題設定型に近いのか。第二に、どの作業を社員と一緒に行い、どの時点から社員に任せていくのか。第三に、定例の打ち合わせで、育成計画の進み具合を確かめる時間を取れるかどうかです。

支援の期間や費用は、支援の内容と社内の体制によって変わります。期間を先に決めるよりも、育成計画に書いたスキルと作業をもとに、支援者と一緒に計画を見直す時期を決めておくほうが、社員の育ち方と支援の進み具合を合わせやすくなります。

まとめ:伴走と育成計画で確かめておきたい3つの点

内製化支援の伴走を受けながら育成計画を立てるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、育てたいスキル、目標の人数と期限、学ぶ場、支援者と一緒に行う作業を1つの育成計画に書くこと。第二に、支援者に答えを出してもらうのではなく、社員が一緒に作業しながら自分で説明できるようになる進め方を選ぶこと。第三に、定例の打ち合わせで進み具合を確かめ、支援が終わった後に誰が確認を続けるかを決めておくことです。この3点を踏まえておけば、「支援を受けていたのに、終わってみたら社内に何も残っていなかった」という事態を避けやすくなります。社員が育つまでの間の開発の作業に人手が足りなければ、外部の人材に加わってもらうのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

育成計画を立てても、社員が支援者と一緒に作業している間は、ほかの開発の作業が遅れることがあります。社員が育つまでの間、開発の作業に加わる人を別に探しておく方法も、選択肢に入れておけます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

育成計画は、支援者と社内のどちらが作りますか

社内の担当者が作り、支援者には案を見てもらう形がおすすめです。会社として作る育成の計画は、職業能力開発促進法の第11条が事業主に作成の努力を求めている計画でもあります。*3 支援者には、どの作業を一緒に行えば育てたいスキルが身につくかを尋ねると、計画に書く作業が決まります。

育成の対象は若手の社員がよいですか

決まりはありません。DX推進の手引き2025は、若手の従業員にデジタル関連のさまざまな業務を経験させてデジタル人材の内製化を図った企業を紹介し、若手人材の活用も重要だとしています。*2 一方で、現場出身の社員がITの知識を身につけ、現場の課題をIT技術で解決する「ブリッジエンジニア」を育てた企業も紹介されています。

支援者は、社員の育成まで担当してくれますか

支援の契約の内容によって変わります。開発の作業だけを頼む契約では、社員と一緒に作業する時間が取られないこともあります。育成計画に書いた作業のうち、どれを社員と一緒に行うのかを、契約の前に支援者と確かめておきます。

育成と並行して開発に加わる人材を探したいとき

社員の育成と並行して進めたい開発の作業と、求める経験の整理からご相談いただけます。

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出典

  1. *1 参考:中小企業庁・中小企業基盤整備機構・経営力再構築伴走支援推進協議会「経営力再構築伴走支援ガイドライン」(https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/fbrion0000004i8q-att/guideline.pdf)。出典:同ガイドライン(令和5年6月)。はじめに(課題解決型と課題設定型)、第2章3.三要素の要素3(自走化・コアチーム・PDCA)、第4章(課題解決の取組が中断した例、フォローアップ)を参照(2026年9月確認)
  2. *2 参考:経済産業省「中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chukenchushotebiki/dx-chukenchushotebiki_2025.pdf)。出典:同手引き(2025年3月)。DXの成功のポイント5「DX推進過程の中で人材を育成する」、企業DXに関連する政策一覧(デジタルスキル標準)、DXセレクション2025選定企業レポートの人材育成の記載を参照(2026年9月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「職業能力開発促進法」(https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000064)。出典:職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第9条(職業訓練の実施)・第11条第1項(計画の作成)を参照(2026年9月確認)




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