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2026.10.09 採用支援コラム

稟議が通らない外部人材活用、比較表は足切りと加点で作る

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

木目の机に、何も書いていない付箋が縦横の列に並べて貼られ、横に油性ペンと白いキーボードが置かれている。人も読める文字も写っていない

この記事の結論

  • 外部人材活用の稟議に添える比較表は、満たさなければ外す足切りの選定条件と、点で比べる加点の選定条件の2段に分けて作ります。
  • 加点の配点は稟議の目的に照らして重要度で差をつけ、候補を見る前に決めておき、実績の行が点を占めすぎないようにします。
  • 費用は中身の点と別の列に金額のまま載せ、点は3人以上が別々に付けて、どう見比べたかを表の下に一文で書き添えます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

外部人材活用の稟議を書くとき、候補の会社や人を並べた比較表を添えるよう求められることがあります。ところが、思いつく項目を並べて丸やバツを付けただけの表では、決め手がどこなのかを決裁者に聞き返されがちです。稟議に添える比較表とは、候補ごとの違いを同じ選定条件の上に並べ、なぜその候補を選ぶのかを一目で示すための資料を指します。

本記事では、開発部門の責任者と稟議を起案する担当者に向けて、国が情報システムの調達で使う総合評価落札方式の考え方を手本に、選定条件の分け方、配点の決め方、費用の並べ方、実績の扱い、採点の進め方を整理し、最後に比較表の見本を示します。

稟議の比較表で決裁者が見ること

決裁者が比較表で確かめたいことは、大きく2つあります。1つは、どの候補も最低限の条件を満たしているか。もう1つは、条件を満たした候補の中で、選んだ候補がどの点で勝っているかです。この2つが1枚の表の中で混ざっていると、読み手は表の行を一つずつ追いながら、自分で判断をやり直すことになります。

よく見かけるのは、対応できる技術、参画できる時期、リモートで働けるか、過去の実績、費用などを同じ重さで並べ、丸と三角とバツで印を付けた表です。この形だと丸の多い候補が選ばれたように見えますが、どの行が欠かせない条件で、どの行が比べるための条件なのかは表から読み取れません。費用の行だけが金額で書かれ、ほかの行が印で書かれていると、費用と中身をどう天秤にかけたのかも伝わりません。

比較表の作り方を決めた社内の基準がない会社も多いはずです。そこで手本になるのが、国が情報システムなどを調達するときに使う総合評価落札方式の組み立てです。価格だけでなく中身も含めて相手を選ぶ仕組みで、選定条件の分け方と点の付け方が文書で示されています。

国の調達が使う総合評価の考え方

会計法第29条の6は、国が競争に付す契約の相手方を、原則として、予定価格の制限の範囲内で、価格だけを比べて決めるものとしています。*3 そのうえで同条第2項は、性質や目的から価格だけでは決めにくい契約について、「価格及びその他の条件が国にとつて最も有利なもの」をもって申込みをした者を相手方とすることができると定めています。*3 価格と中身をあわせて評価するこのやり方が、総合評価落札方式です。

デジタル庁の「デジタル庁調達手続マニュアル」(令和7年6月改訂)は、情報システム等の調達での総合評価落札方式を次のように説明しています。入札価格が予定価格の制限の範囲内であることを前提に、最低限の要求要件を満たさない提案を不合格としたうえで、加算方式で評価値を計算し、評価値が最も高い者を落札者とします。*1 加算方式は、技術点と価格点を足して総合評価点を出す方法です。*1

外部人材活用の稟議に添える比較表の組み立てを、左から右へ3つの箱で示した図。1段目は足切りの選定条件で、満たさなければ仕事が始められない条件だけを置き、誰が見ても同じに判定できる書き方にし、1つでも欠けた候補は外す。2段目は加点の選定条件で、稟議の目的に照らして重要度で配点に差をつけ、配点は候補を見る前に決め、実績の行を重くしすぎず、残った候補だけを点で比べる。3つ目は稟議に添える比較表で、中身の点の合計と費用を別の列に並べ、点は3人以上が別々に付け、どう見比べたかを一文で添える。下の帯には、国の総合評価落札方式も必須項目を満たさない提案を不合格にしてから技術点と価格点を足して比べる2段の組み立てになっていることが書かれている。デジタル庁調達手続マニュアル(令和7年6月改訂)をもとに作成。

民間企業の稟議は会計法に縛られませんし、入札のように点数の計算で自動的に相手が決まるわけでもありません。それでも、条件を満たさない候補を先に外し、残った候補を点で比べるという2段の組み立ては、社内の比較表にもそのまま使えます。以下では、この組み立てを外部人材活用の比較表に当てはめていきます。

選定条件を足切りと加点に分ける

マニュアルは、評価の対象とする要件について、調達の目的や内容に応じて評価項目を設定し、必須とする項目とそれ以外の項目に分けるとしています。*1 必須とする項目には最低限の要求要件を示し、満たしていないものは不合格とします。要求要件を超える部分と、必須以外の項目には、評価に応じて得点を与えます。*1 必須項目で最低限の水準を満たした提案に与える点は「基礎点」と呼ばれます。*2

外部人材活用の比較表に置き換えると、1段目が足切りの選定条件、2段目が加点の選定条件になります。足切りには、満たさなければ仕事が始められない条件だけを置きます。たとえば、任せる開発で使う言語やフレームワークの経験、参画を始められる時期、週あたりに稼働できる日数、秘密保持の取り決めや社内の情報を扱う端末の条件に応じられるか、といったものです。

加点には、満たしていれば仕事がより進めやすくなる条件を置きます。設計から加われるか、テストの自動化に慣れているか、社員へ知見を渡す場を持てるか、といった項目です。同じ経験でも、任せる作業に直接使う技術は足切りに、それより広い経験は加点に回すと、線が引きやすくなります。

気をつけたいのは、足切りの行の書き方です。マニュアルは仕様書の必須の要求要件について、要求水準をできるだけ明確にし、1つでも満たさなければ不合格になることから、後で紛争とならないよう明確に書くよう求めています。*2 社内の比較表でも、足切りの行は、満たしたかどうかを誰が見ても同じに判定できる書き方にしておきます。「十分な経験」のような書き方では、判定が人によって変わってしまいます。

配点は重要度で差をつける

マニュアルは、各評価項目への得点の配分を、その必要度・重要度に応じて定めるとしています。*1 広報や調査の事業の評価表の例でも、配点は事業の性質や項目ごとの重要度の差に応じて異なり、配点の高い項目を「重点項目」と呼ぶ場合があると注記されています。*2

外部人材活用の比較表で配点を考えるときは、まず稟議の目的に立ち返ります。なぜ今、社外の人に開発へ加わってもらうのか。リリースの期日に間に合わせるためなら、近い構成の開発の経験と、すぐに立ち上がれるかが重くなります。社内に無い技術を取り込むためなら、その技術の経験と、社員へ知見を渡す力が重くなります。目的が違えば、同じ選定条件でも重さが変わります。

配点は、加点の行を合わせて100点のような切りのよい数に割り振ると、表を読む人が比べやすくなります。重点項目は2つか3つに絞り、ほかの項目との差がはっきり見えるようにするのが実務的です。すべての行に同じ点を配ると、印の数を数える表と変わらなくなります。

配点は候補を見る前に決め、起案者と承認者の間で合意しておきます。候補を見てから配点を決めると、選びたい候補に合わせて重さを動かしたのではないかという疑いを招きます。稟議書には、配点を決めた日付と、その配点にした理由を一文で残しておくと、後から問われたときにも説明できます。

費用は中身の点と分けて示す

総合評価落札方式では、価格は技術とは別の点として計算されます。情報システム等で使う加算方式では、価格点と技術点の配分を1対1とし、業務の実施方法や内容が複雑かつ多岐にわたるなど5つの要件のすべてに当たる調達では、1対3以内まで技術点を重くできるとされています。*1 価格点は、入札価格を予定価格で割った値を1から引き、価格点の配分を掛けて出します。*1

この組み立てから読み取れるのは、価格の評価は予定した額をどれだけ下回るかで決まり、予定価格を超えた提案はそもそも落札の対象にならないということです。*1 社内の比較表に置き換えると、予算の上限を足切りの1行に入れ、上限の内側で費用の差をどう見るかを別の列で示す形になります。

稟議では、費用を点に換算せず、金額のまま並べる会社も多いでしょう。その場合でも、中身の点の合計と費用を同じ表の別の列に置き、どちらを重く見たのかを一文で添えると、決裁者は判断の筋道を追えます。中身の点が近い候補どうしなら費用で決め、点に大きな差があるなら費用の差よりも中身を優先した、と書いておくといった形です。見積りの中身の示し方は外部人材活用の稟議書は見積りの根拠を添えると通りやすいで整理しています。

実績の行を重くしすぎない

同じマニュアルは、広報・調査・研究開発の事業の総合評価について、過去の実績を過度に評価すると新しい事業者の参入を妨げるとして、デジタル庁の運用基準を定めています。実績の項目への配点は技術点全体の20%以内、実績を必須項目にする場合の基礎点は技術点全体の10%以内を目途とする、というものです。*2

外部人材活用の比較表でも、実績は手堅く見える分、配点が膨らみやすい項目です。同じ業種での開発の年数や、大きな会社との取引の有無といった行に大きな点を配ると、経験の年数は短くても任せる作業にぴったり合う候補が埋もれてしまいます。

実績の行は、任せる作業に近いものに絞って書くとよいでしょう。経験の長さよりも、どの工程を担い、どれくらいの規模のチームで何を作ったかを、候補ごとに一文で書き添えておくと、点の根拠にもなります。国の運用基準の20%は一つの目安として、実績の行の点が加点の合計に占める割合を表の下に書いておくと、偏りに気づきやすくなります。

採点は3人以上で別々に付ける

マニュアルは、提出された提案の審査について、評価が恣意的にならないよう透明性と公平性に十分留意するよう求めています。具体的には、3者以上で審査を行い、うち最低1者は担当の管理者とすること、さらに1者を担当以外の管理者とすることが望ましいとしています。*2

社内の比較表は、起案者が1人で作ることがほとんどです。けれども、採点まで1人で行うと、表に並んだ点は起案者の好みとほとんど区別がつきません。外部の人を受け入れる現場の担当者、その上長、開発部門の外の管理職など、少なくとも3人が別々に点を付け、その平均を表に載せるやり方が考えられます。

点が大きく割れた行は、選定条件の書き方があいまいだったしるしです。そうした行は平均点だけを載せず、誰がなぜ高く、誰がなぜ低く付けたかを一言ずつ残しておきます。稟議の場で点の根拠を問われたときに、そのまま答えられます。

稟議に添える比較表の見本

ここまでの考え方をまとめると、外部人材活用の稟議に添える比較表は次のような形になります。加点の配点は、リリースの期日に間に合わせることを目的にした場合の一例です。目的が違えば、重点項目と配点を置き換えて使います。

外部人材活用の稟議に添える比較表の見本(配点はリリースの期日に間に合わせることを目的にした場合の一例。デジタル庁調達手続マニュアルの総合評価落札方式の考え方をもとに作成)
段 選定条件 判定と配点 候補ごとの記入欄
足切り 任せる作業に使う言語とフレームワークの経験 満たす/満たさない 経験した開発を一文で
足切り 参画を始められる時期 満たす/満たさない 開始できる月
足切り 週あたりに稼働できる日数 満たす/満たさない 稼働できる曜日と日数
足切り 秘密保持と端末の取り決めに応じられるか 満たす/満たさない 応じられない点があれば記入
足切り 予算の上限の内側か 満たす/満たさない 見積りの金額
加点 近い構成の開発の経験(重点項目) 30点 担った工程とチームの規模
加点 社員へ知見を渡す場を持てるか(重点項目) 25点 引き継ぎの進め方の案
加点 設計から加われるか 15点 設計で担った範囲
加点 テストの自動化に慣れているか 15点 使った道具と範囲
加点 過去の実績 15点 任せる作業に近いものだけ
合計 加点の選定条件の合計 100点 採点者3人の平均
費用 見積りの金額 点に換算しない 金額のまま記入

候補の列は表の右に並べていきます。足切りの行で1つでも満たさない候補は、その時点で比較から外し、加点の行は残った候補だけで点を付けます。費用の行は点に換算せず金額で載せ、表の下に、中身の点と費用をどう見比べたかを書き添えます。実績の行は15点で、加点の合計100点の15%に収めています。

社員を採る案と外部人材の案のどちらにするかを比べる表は、この比較表とは別に作ります。そちらは外部人材活用の経営説明、正社員比較で揃える3つの条件で扱っています。この記事の比較表に載せるのは、外部人材活用を決めたあとで、どの候補を選ぶかの判断です。

まとめ:比較表で確かめておきたい3つの点

外部人材活用の稟議に添える比較表で押さえておきたい点は3つです。第一に、選定条件を、満たさなければ候補を外す足切りの行と、点で比べる加点の行に分け、足切りの行は誰が見ても同じに判定できる書き方にすること。第二に、加点の配点は稟議の目的に照らして重点項目に寄せ、候補を見る前に決めておき、実績の行が全体の点を占めすぎないようにすること。第三に、費用は中身の点と別の列に並べ、点は3人以上が別々に付けて、どう見比べたかを一文で添えることです。選定条件に合う候補が社内の伝手だけでは集まらないときは、外部の手を借りて候補を広げるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

比較表の足切りと加点の選定条件が決まっていれば、その条件のまま候補者探しを始められます。社員として迎える人を探す場合も、業務委託で開発に加わる人を探す場合も、同じ選定条件の言葉で候補を比べられます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

候補が1つしかないときも比較表は要りますか

候補が1つでも、足切りの選定条件をすべて満たしていることを示す表は役に立ちます。加点の行は比べる相手がいないため、点を付ける代わりに、満たしている条件とそうでない条件を書き分けておきます。決裁者は不足を承知のうえで判断できます。

点の合計が同じ候補が並んだらどう選びますか

国の調達では、総合評価の数値が最も高い者が2人以上いるときは、くじで落札者を決めるとされています。社内の稟議でくじを使うことはまずないので、重点項目の点が高いほうを選ぶなど、同点のときの決め方も配点と一緒に先に決めておくとよいでしょう。

点の合計が最も高い候補を選ばなければなりませんか

比較表は判断の筋道を示す資料で、点の順位どおりに選ぶことを約束するものではありません。点の順位と違う候補を選ぶときは、その理由を表の下に書いておきます。理由がうまく書けないときは、配点が稟議の目的に合っていない可能性があります。

選定条件が決まったら相談

比較表の足切りの選定条件と、重く見たい加点の項目が分かっていれば、そのままご相談いただけます。配点をまだ決めきれていない段階でも構いません。

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Remoguは、リモート前提で全国から即戦力のITプロ人材を調達するサービスです。リラシクは、扱う求人がすべてリモートワークのITエンジニア専門転職エージェントです。どちらもLASSICが運営しています。

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出典

  1. *1 参考:デジタル庁「デジタル庁調達手続マニュアル」(PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/883b9dc1-3155-4a26-a0cc-c2b5fb0d41d1/65a2e765/20250707_procurement_manual_01.pdf)。出典:デジタル庁 戦略・組織グループ 会計担当契約班(令和7年6月改訂)。「16 総合評価落札方式(情報システム等の調達)」の冒頭と加算方式の項(ア 落札条件、イ 総合評価の方法、ウ 計算方法)を参照(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:デジタル庁「デジタル庁調達手続マニュアル」(PDF)(https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/883b9dc1-3155-4a26-a0cc-c2b5fb0d41d1/65a2e765/20250707_procurement_manual_01.pdf)。出典:同マニュアル「15 総合評価落札方式(広報事業・調査事業・研究開発事業)」のオ(仕様書)、ク(得点配分基準、技術等の評価項目の区分、実績項目に対する得点配分割合)、ケ(技術審査の方法及び注意点)、コ(落札要件)と、評価項目・評価基準の例の注記を参照(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「会計法(昭和22年法律第35号)」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000035)。出典:第29条の6第1項・第2項を参照(確認日2026年10月8日)(2026年10月確認)




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