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2026.10.02 採用支援コラム

外部人材活用の経営説明、正社員比較で揃える3つの条件




監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事の結論

  • 外部人材と正社員の採用を比べるときは、金額より先に、任せる仕事と成果、期間、費用に入れる範囲の3つをそろえます。
  • 正社員の多くは期間の定めのない雇用なので、仕事が続く期間と費用がかかる期間を書き分けて示します。
  • 費用対効果の金額は作らず、自社の給与規程と見積書の数字を入れる比較表に、見直す日まで書いておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

外部の人材に頼みたいと経営会議に出したら、「それなら社員を採ったほうが安いのでは」と聞き返された。比べる表を作ったものの、片方は年収、片方は月の契約額で、どちらが得なのか誰も判断できなかった——。外部人材活用の経営説明では、こうした行き違いが起こりがちです。ここでいう正社員比較とは、ある仕事を外部人材に任せる案と、その仕事のために正社員を採用する案を、同じ物差しで並べて経営層に示すことを指します。

比べる前に、任せる仕事、期間、費用に入れる範囲の3つをそろえておくと、どちらの案が合うのかを経営層が自分で判断できるようになります。ただし万能ではなく、条件をそろえても、どちらが得かを一つの数字で言い切れるわけではありません。本記事では、開発の現場を預かるマネージャーに向けて、経営層が比較で確かめたいこと、経済産業省の人材版伊藤レポート2.0の考え方、そろえる3つの条件、数字にしにくい違いの示し方、自社の数字を入れる比較表、つまずきやすい点を整理します。

扇形に広げた塗料の色見本帳。青・緑・黄・赤の見本が段階的に並び、右側は白い壁

正社員比較で経営層が確かめること

経営層が比較の表を見て知りたいのは、どちらの案が安いかだけではありません。その仕事を会社の中に長く持ち続けるのか、決まった期間だけ要るのか。始めたい時期に間に合うのはどちらか。うまくいかなかったとき、どこまで戻せるのか。費用の差は、こうした問いに答えたあとで初めて意味を持ちます。

ところが、現場から出てくる表は、正社員の年収と外部人材の月の契約額を横に並べただけのものになりがちです。比べている仕事の中身も期間もそろっていないので、経営層は数字の大小から判断するしかありません。正社員比較で先にそろえるべきなのは金額ではなく、金額の前提になっている条件です。

外部人材の案と正社員の採用案を比べる前にそろえる3つの条件を、左から右へ3つの箱で示した図。1つ目は任せる仕事と成果で、仕事を作業の単位で書き出し、どちらの案が担うかを示し、成果は確かめられる形で書く。2つ目は期間で、仕事が続く期間と費用がかかる期間を書き分け、正社員は期間の定めのない雇用が前提であることを踏まえる。3つ目は費用の範囲で、両方の案に同じ行を立て、社内で使う時間も入れ、金額は自社の給与規程と見積書から入れる。下の帯には、そろえたあとに始められる時期・社内に残すもの・見直す日を並べ、費用対効果の金額は作らないことが書かれている。経済産業省の人材版伊藤レポート2.0と、労働契約法第16条・労働基準法第20条をもとに作成。

経営説明の全体の流れ、つまり経営課題から入り、成果の指標と評価の時期を決める順序は、「外部人材活用の経営説明で投資判断が進まない理由と説明の順序」で扱っています。ここでは、そのなかで正社員の採用案と並べる場面に絞ります。

人材版伊藤レポートの考え方

社員で確保するか社外に求めるかを考える手がかりになるのが、経済産業省が2022年5月に公表した「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)」です。*1 経営戦略と人材戦略をつなげる取組を、経営陣に向けて整理しています。

このレポートは、経営戦略の実現に必要な人材を自社で確保するのか社外に求めるのかは、「その人材に求める要件に大きく依存する」としています。*1 そのうえで、自社が長年築いてきた強みに基づく事業の拡大や既存の事業の高度化に必要な人材は、社内の計画的な配置で確保することを検討するとしています。一方で、十分な知見を持たない新規事業の立ち上げや新製品の開発、DXの推進などに必要な人材は、社内の人材に過度にこだわらず、外部からの獲得を検討するとしています。*1

正社員か外部人材かは、まず任せる仕事の性質で分かれるという整理です。比較の表を作る前に、その仕事が自社の強みを長く支える仕事なのか、いま社内に知見がない仕事なのかを1行で書いておくと、経営層は費用の話に入る前に方向をつかめます。

雇用の形にも触れています。デジタル人材の獲得競争が激しくなるなかで、従前のように「週5日フルタイム」で求める人材を獲得することは難しいとし、プロジェクトベースで週2日にわたって副業人材を受け入れるなど、既存の雇用形態に過度にとらわれない活用を例に挙げています。*1 正社員か外部人材かの二択だけでなく、関わる日数の選び方もあることを、説明の場で示しておけます。

任せる仕事と成果をそろえる

1つ目の条件は、比べる2つの案が同じ仕事を対象にしていることです。外部人材の案は「決済画面の改修を設計から結合テストまで」と作業が絞られているのに、正社員の案は「アプリ開発ができるエンジニア1名」と書かれている、という表はよくあります。前者は決まった成果物までの費用で、後者は入社後に続く何年分もの仕事の入口なので、並べても比べたことになりません。

そろえ方は、仕事を作業の単位で書き出し、それぞれをどちらの案で担うかを示すことです。たとえば「決済画面の改修」「改修後の保守」「社内の若手への引き継ぎ」の3つに分けます。外部人材の案では改修を外部人材が、保守と引き継ぎを社員が担い、正社員の案では採用した人が3つとも担う、というように書きます。こうすると、正社員の案には改修が終わったあとも続く仕事が含まれていることが見えてきます。

成果も同じ単位で書きます。「改修を終えて本番に出す」「保守の手順書を社内に残す」のように確かめられる形にしておけば、どちらの案を選んでも、後で実績と照らし合わせられます。伊藤レポートも、必要な人材像をできる限り具体的に定義し、「○年以内に△△人生み出す」というように期間や人数の目標も可能な範囲で設定して、定期的に進捗を検証するとしています。*1

期間の前提をそろえる

2つ目の条件は期間です。外部人材の契約は、作業と期間を決めて結ぶのが一般的です。一方で正社員の多くは、期間の定めのない労働契約で雇います。仕事が終わったら関係も終わるという前提で正社員の案を並べると、比較の土台がずれます。

労働契約法第16条は、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。*2 労働基準法第20条は、労働者を解雇しようとする場合は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払うことを定めています。*3 正社員の採用は、その仕事が終わったあとも雇用が続くことを前提に考えるものです。個々の事情でどう扱われるかは、社会保険労務士や弁護士などの専門家に確かめてください。

そこで比較の表では、期間を2つに書き分けます。1つは任せたい仕事が続く期間、もう1つはそれぞれの案で費用がかかる期間です。たとえば改修の仕事が8か月で終わるなら、外部人材の案の費用は8か月分です。正社員の案では、改修が終わったあとに何を担ってもらうかを書かないと、9か月目以降の費用の意味を説明できません。逆に続く仕事が書けるなら、正社員の案が有力になります。

費用に入れる範囲をそろえる

3つ目の条件は、費用にどこまでを入れるかです。正社員の費用を年収だけで書くと、社会保険料の会社負担や、求人広告・人材紹介などの採用活動の費用が抜けます。正社員を雇う費用の区分は、「エンジニア中途採用の経営承認、採用予算は人件費の内訳で示す」で扱っています。

外部人材の案でも、契約の金額だけが費用ではありません。受け入れる社員が作業の説明や成果物の確認に使う時間、端末やアカウントの用意、契約や請求の事務も社内で発生します。正社員の案にも入社後の研修や受け入れの時間があるので、両方の案に同じ行を立てて、それぞれに入る費用を書きます。

金額は、自社の資料から入れます。正社員の案は自社の給与規程と、経理が使っている社会保険料の計算方法から、外部人材の案は見積書からです。統計の平均や他社の例を当てはめると、経営層に「うちの場合は」と聞かれたときに答えられません。見積りの根拠の示し方は、「外部人材活用の稟議書は見積りの根拠を添えると通りやすい」で扱っています。

数字にしにくい違いの示し方

3つの条件をそろえても、費用の差だけでは比べきれない違いが残ります。費用対効果を一つの金額にまとめたくなりますが、根拠のない効果の金額は、後で実績と比べられたときに説明がつきません。数字にしにくい違いは、金額にせず、何が起きるかを文で書きます。

よく挙がるのは3つです。1つ目は始められる時期で、正社員の案には募集を始めてから入社するまでの期間が加わります。2つ目は社内に残るものです。正社員なら知識と経験が会社に残りますが、外部人材の案では、手順書や引き継ぎの場を契約に入れておかないと、契約の終了とともに知識も離れます。3つ目は戻しやすさで、前の節で見たとおり、正社員の案は仕事が終わったあとも雇用が続きます。

社外の人材に社内へ知識を広げてもらう考え方は、伊藤レポートにもあります。不足するスキルや専門性を持つキーパーソンを社内外で特定して登用し、その人にスキルの伝播を任せることで、周囲の人材の学び直しも誘導することを検討するとしています。*1 あわせて、キーパーソンに依存し続ける状況を避けるため、後継者を計画的に育成するとしています。*1 外部人材の案には、誰に何を引き継ぐかまで書いておくと、この点への答えになります。

自社の数字を入れる比較表

ここまでの3つの条件と、数字にしにくい違いを1枚の表にまとめると次のようになります。金額の欄には例の数字を入れていません。自社の給与規程と見積書から入れてください。

外部人材の案と正社員の採用案を並べる表(自社の数字を入れる枠。人材版伊藤レポート2.0と労働契約法・労働基準法の定めをもとに作成)
項目 外部人材の案 正社員の採用案
任せる仕事と成果 作業名と成果物(例:決済画面の改修、保守の手順書) 同じ作業と成果物に加え、終わったあとに担う仕事
仕事が続く期間 (自社で記入)か月 (自社で記入)か月と、その後に担う仕事
費用がかかる期間 契約の期間:(自社で記入)か月 入社の月から(期間の定めのない雇用が前提)
費用 見積書の金額 給与、社会保険料の会社負担、採用活動の費用
社内で使う時間 作業の説明、成果物の確認、契約と請求の事務 入社後の研修、受け入れと育成
始められる時期 契約の開始予定の月 募集を始める月と入社予定の月
社内に残すもの 手順書と引き継ぎの場(契約に入れる) 採用した人の知識と経験
見直す日 契約の更新を判断する日 入社後の評価の時期

伊藤レポートは、経営陣が認識すべきKPI(重要業績評価指標)だけを紙1枚程度のスペースに絞り込み、取締役会や経営会議で定期的に報告することを工夫の一つに挙げています。*1 比較の表も1枚に収め、詳しい計算は別紙に回すと、決裁する人が短い時間で判断できます。

表の最後に見直す日を置くのは、どちらの案を選んでも、決めたあとで確かめる機会を作るためです。外部人材の案なら契約の更新の前に、正社員の案なら入社後の評価の時期に、表の「任せる仕事と成果」の行と実績を照らし合わせます。

つまずきやすい点

一つ目は、外部人材の月額と正社員の月給を並べて、どちらが高いかで結論を出してしまうことです。2つの月額は、期間も費用の範囲も違う数字なので、この比べ方からは結論が出ません。費用の行は、3つの条件をそろえてから書きます。

二つ目は、比較の表を外部人材の案を通すための資料にしてしまうことです。結論が先にあると、正社員の案の欄が薄くなり、経営層はそこを突きます。長く続く仕事が見つかったなら、正社員の採用を勧めるのも比較の結論の一つです。

三つ目は、採用が決まるまでの外部人材活用と、正社員の代わりとしての活用を混ぜることです。前者なら、どちらかを選ぶ比較ではなく、両方を組み合わせる案になります。採用が決まるまでのつなぎとして頼むときに決めることは、「外部人材活用を採用難のつなぎにするとき決める4つのこと」で扱っています。

まとめ:正社員比較で確かめておきたい3つの点

外部人材活用を経営層に説明するとき、正社員の採用と比べるうえで確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、2つの案が同じ仕事と成果を対象にしていること。第二に、仕事が続く期間と費用がかかる期間を書き分け、正社員は期間の定めのない雇用が前提であることを踏まえること。第三に、費用に入れる範囲を両方の案でそろえ、金額は自社の給与規程と見積書から入れることです。この3点を踏まえておけば、「年収と月額を並べた表を出して、どちらが得なのか誰も判断できなかった」という事態を避けやすくなります。任せる仕事に合う人の探し方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

比較の表で外部人材に任せる仕事と期間が決まったら、次はその仕事を担う人を探す段階です。作業と成果物、関わってほしい日数がはっきりしていれば、求める経験を絞り込みやすくなり、正社員の採用と並べて検討する材料もそろいます。

Remoguは、株式会社LASSICが運営するフリーランス・業務委託のITプロ人材サービスです。リモート前提で全国から登録が集まっており、登録は約20,000名規模、その約8割が開発系です。人材が必要になった時点から4時間以内に候補者を提案し、最短1週間で実際の業務開始まで進みます(条件によっては実現できない場合があります)。

よくある質問

正社員の案と外部人材の案のどちらを勧めるかは、何で決めればよいですか

任せる仕事が終わったあとも続くかどうかが、最初の分かれ目になります。伊藤レポートは、自社の強みに基づく事業や既存の事業の高度化に必要な人材は社内の配置で確保し、十分な知見を持たない新規事業やDXの推進などに必要な人材は外部からの獲得を検討するとしています。*1 これに、始めたい時期と社内に残したい知識を重ねて判断します。

比較の表に、統計の平均の人件費を使ってもよいですか

参考に添えるのは構いませんが、比べる数字には自社の給与規程と社会保険料の計算方法を使うのがおすすめです。統計の平均は業種や規模の違う企業を含むので、自社で採用する1人分の額には当てはまりません。経営層に「うちの場合は」と聞かれたときに答えられる数字にしておきます。

経営層から費用対効果を数字で示すよう求められたら、どう答えればよいですか

根拠のある数字と、根拠のない見込みを分けて示します。費用は見積書と給与規程から出せますが、売上や削減額の見込みは、根拠がなければ書かないほうが後で困りません。代わりに、その案で始められる仕事と時期、見直す日を示し、見直しのときに実績で確かめる形にします。

週に数日だけ関わる外部人材と、正社員を比べることはできますか

できますが、仕事の量をそろえてから比べます。伊藤レポートも、プロジェクトベースで週2日にわたって副業人材を受け入れるなど、多様な雇用形態の活用を例に挙げています。*1 週の日数が違う案を並べるときは、任せる作業と成果物を同じにしたうえで、期間と費用を書きます。

比べる仕事が決まったら相談

外部人材に任せたい仕事と期間が書き出せていれば、そのままご相談いただけます。正社員の採用と迷っている段階でも構いません。

Remoguとリラシクなら、リモートワークで働く社員の候補者も、業務委託で開発に加わる専門人材も探せます。

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出典

  1. *1 参考:経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~人材版伊藤レポート2.0~」(PDF)(https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf)。出典:経済産業省(令和4年5月)。2.(2)(動的な人材ポートフォリオ計画を踏まえた目標や達成までの期間の設定)、2.(3)(定量把握する項目の一覧化)、4.(2)(ギャップを踏まえた、平時からの人材の再配置、外部からの獲得)、6.(2)(社内外からのキーパーソンの登用、当該キーパーソンによる社内でのスキル伝播)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  2. *2 参考:e-Gov法令検索「労働契約法(平成19年法律第128号)」(https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC0000000128)。出典:第16条(解雇)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)
  3. *3 参考:e-Gov法令検索「労働基準法(昭和22年法律第49号)」(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)。出典:第20条(解雇の予告)を参照(確認日2026年10月2日)(2026年10月確認)




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