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2026.10.16 らしくコラム

入退室管理システムの選び方|記録に残す6つの項目と連携のポイント

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

オフィス入口の扉の横の読み取り機に、社員がICカードをかざしている手元

この記事の結論

  • 入退室管理システムは、扉の前で本人を確かめ、許可された人だけを通して記録を残す仕組みです。
  • 認証方式は、なりすましへの強さと扱うデータの重さで選び、生体情報は登録と削除の手順まで決めます。
  • 開発の中心は社員情報・勤怠・受付との連携で、社員を指すキーと退職時の権限停止を最初に決めます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

退職した人のカードで、まだ扉が開いてしまう。サーバー室に誰が入ったのか、紙の記録をめくらないと分からない——。社員の入れ替わりがある職場では、こうした食い違いが起こりがちです。入退室管理システムは、扉の前で本人を確かめ、許可された人だけを通し、その記録を残す仕組みです。

勤怠や来客受付とつなげば、記録を照らし合わせたり、来訪者に一時的な権限を渡したりもできます。ただし万能ではなく、つなぎ方を決めないまま入れると、社員の登録や権限の停止が手作業のまま残ります。本記事では、情報システムや総務の担当者に向けて、認証方式の違い、記録に残す項目、勤怠や受付との連携、そして開発を外部に頼むときに確認したい点を整理します。

入退室管理システムとは

入退室管理システムは、扉に付けた読み取り機で本人を確かめ、許可された人だけを通し、その記録を残す仕組みです。個人情報保護委員会のガイドラインは、個人データを扱う区域の管理の例として、入退室管理と持ち込む機器の制限を挙げ、その方法に「ICカード、ナンバーキー等による入退室管理システムの設置等」を示しています。*3 個人情報を守る物理的な手当ての一つとして位置づけられているわけです。

  • 認証:ICカード・暗証番号・顔や指紋などで、扉の前にいる人が誰かを確かめる
  • 制御:その人にその扉を通る権限があるかを判断し、電気錠を開け閉めする
  • 記録:誰が・いつ・どの扉を通ったかを残し、あとから検索できるようにする
  • 連携:社員情報・勤怠・来客受付など、ほかの仕組みとデータをやり取りする

IPAの中小企業向けガイドラインも、サーバーなどを置くエリアについて、入室できる人を限り、入退室記録を取得・保管するよう勧めています。*1 扉に鍵を付けるだけでなく、記録を残して見返せる状態にすることが求められている点が、この仕組みを入れる理由になります。

認証方式の違い

入退室管理システムを選ぶとき、最初に決めるのが本人の確かめ方です。方式ごとに、なりすましへの強さと、扱うデータの重さが変わります。

サーバー室の扉の横に暗証番号の読み取り機と指を置く読み取り機が縦に並んでいる

入退室管理システムの主な認証方式
方式 確かめるもの 設計で気をつける点
ICカード 本人が持っているカード 貸し借りや紛失で他人が通れてしまう。社員証と兼ねるなら発行と回収の流れを決める
暗証番号 本人が知っている番号 番号が広まると誰でも通れる。定期的な変更のルールが要る
生体認証 顔・指紋・静脈などの本人の体の特徴 認証用のデータは個人情報として扱う。登録・削除の手順を決める
組み合わせ 上の2つ以上 サーバー室など重要な場所に限って使うと、通る人の手間を抑えられる

IPAのガイドラインは、多要素認証の例として、入退室管理システムでICカードの認証に本人だけが知るパスワードの認証を加える形を挙げています。*1 生体認証では、顔の容貌や指の静脈の形から取り出した特徴の情報を本人の認証に使えるようにしたものが、個人情報保護法の「個人識別符号」にあたります。*3 生体認証を選ぶ場合は、登録データの保管先と、退職時に消す手順まで設計に含めておきます。

記録に残す項目

入退室の記録は、あとで「誰がいつ入ったか」を確かめられなければ意味がありません。IPAのガイドラインの付録にある規程のサンプルは、入退室記録に含める内容として次の6つを挙げています。*2

  • 入退場の区分(入場か退場か)
  • 入退場の日付と時刻
  • 入退場した人の情報(社員・委託先・訪問者の区分、会社名、所属、氏名)
  • 入退場の目的(点検、立ち会いなど)
  • 許可した人・承認した人の情報
  • 入退場の手段(ICカード、鍵など)

同じサンプルは、執務室とサーバールームのように場所を段階に分け、記録を少なくとも1年間保管する例を示しています。*2 システムで残す項目と保管期間は、自社の規程と合わせて決めます。目的や承認者は読み取り機だけでは残せないため、申請の画面や受付の仕組みから受け取る設計が必要になります。

勤怠・受付・社員情報との連携

入退室管理システムを単体で入れると、社員の登録や退職者の権限停止を手作業で行うことになり、漏れが起きやすくなります。開発を伴う部分の多くは、ほかの仕組みとの連携です。

入退室管理システムを中央に置き、上の社員情報から入社・異動・退職を受け取り、右の勤怠へ入退室の記録を渡し、左の来客受付から来訪者の予約を受け取る連携を示した図。

  • 社員情報:入社・異動・退職を人事の社員マスタから受け取り、カードの発行と通れる扉の権限を自動で変える
  • 勤怠:入退室の記録を勤怠システムに渡し、打刻や自己申告の時刻と照らし合わせる
  • 受付:来客の予約や受付の情報を受け取り、訪問者に一時的な権限を与えて帰るときに止める

勤怠との連携では、厚生労働省のガイドラインが参考になります。始業・終業の時刻は、タイムカードやICカードなどの客観的な記録を基礎に確認することを原則とし、自己申告の時間と入退場記録などで分かる事業場内にいた時間に著しい乖離があれば、実態を調べて補正するよう求めています。*4 入退室の記録はそのまま労働時間になるわけではないため、照らし合わせに使う設計にしておくのが無理のない形です。勤怠側の開発は勤怠管理システム開発の外注、来客側は来客管理・受付システムの開発で扱っています。

外部に頼むときに確認しておきたい点

入退室管理システムの開発や連携を外部に頼むときは、扉の工事と、ソフトウェアの開発が分かれやすい点に注意します。どちらがどこまで受け持つかを、見積もりの前に確かめておきます。

会議室の机で平面図の扉の位置をペンで指し、もう1人が読み取り機の見本に手を添えている

  • 範囲:読み取り機と電気錠の工事、管理画面、社員情報や勤怠との連携のうち、どれを任せるか
  • 社員の識別:社員番号やメールアドレスなど、仕組みどうしで同じ人を指すキーを何にそろえるか
  • 退職と異動:権限をいつ止めるか。人事の登録から扉に反映されるまでの時間をどう確かめるか
  • 停電や通信の断:扉が開いたままになるのか、閉じたままになるのか。非常時の避難との関係を誰が判断するか
  • 記録の保管:保管期間、検索の画面、記録を見られる人の範囲をどう決めるか

特に退職時の権限停止は、連携がうまく動いているかを運用の中で確かめにくい点です。導入後も、権限の一覧と社員マスタを定期的に照らし合わせる場を設けておくと、止め忘れを見つけやすくなります。

まとめ:入退室管理システムで確かめておきたい3つの点

入退室管理システムの開発や連携を進めるうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、場所ごとに必要な守りの強さを決め、それに合う認証方式を選ぶこと。第二に、記録に残す項目と保管期間を自社の規程と合わせ、扉だけでは残せない目的や承認者をどこから受け取るかを決めること。第三に、社員情報・勤怠・受付とつなぐときに、同じ人を指すキーと退職時に権限を止める流れを先に決めることです。この3点を踏まえておけば、「入れたのに、退職者の権限は結局手で消している」という事態を避けやすくなります。連携の設計や開発の進め方に迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。Rubyアソシエーション認定システムインテグレータ、日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

入退室管理システムの連携では、FeliCaやMIFAREといったICカードの識別番号と社員番号の対応表を設計の起点にし、Microsoft Entra IDやActive Directoryなどの社員情報から、SCIMやCSVの定期取り込みで入社・異動・退職を反映させます。設計の段階では、同じ人を指すキーの決め方、退職時に権限を止めるタイミング、停電や通信の断のときに扉を開けておくか閉じておくか、記録を勤怠システムへ渡す間隔と時刻合わせ(NTP)を、お客様の規程と機器の仕様を見ながら決めます。検証では、入社から退職までの登録の流れを試験用の社員で通し、入退室の記録と勤怠の打刻を照らし合わせる処理を確かめます。運用では、権限の一覧と社員マスタの突き合わせを定期的に行う手順を文書にしてお渡しします。

よくある質問

既存の扉や読み取り機を残したまま連携できますか

機器が記録を外部に渡す口(データの出力や連携の仕組み)を持っているかで決まります。まず機器の仕様書か設置した業者に、記録の取り出し方と社員の登録方法を確かめてください。口が無い場合は、機器の入れ替えを含めて比べることになります。

入退室の記録をそのまま勤怠の打刻にしてもよいですか

入退室の記録は事業場内にいた時間を示すもので、労働時間そのものとは限りません。厚生労働省のガイドラインも、自己申告の時間と入退場記録との乖離を確かめる使い方を示しています。*4 打刻として使うかどうかは、就業規則や労務の担当者と確かめて決めてください。

委託先の作業者や来訪者の権限はどう扱えばよいですか

社員とは別の区分で登録し、通れる扉と期間を限るのが基本です。受付の仕組みと連携すれば、来訪の予約から一時的な権限を作り、退館の記録で止める流れにできます。作業の立ち会いが必要な場所は、承認者を記録に残す項目に含めておきます。

入退室管理と社内システムの連携のご相談

入退室管理システムと社員情報・勤怠・受付の連携設計から開発、運用の手順づくりまで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」(https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html)。出典:本編の「サーバー等の設置エリアへの入退室を管理し、記録する」と、用語解説の多要素認証(入退室管理システムでのICカード認証とパスワード認証の例)の記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 付録5 情報セキュリティ関連規程(サンプル)」(https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/ug65p90000019cbk-att/sme_guideline_v4.0_app_5.docx)。出典:物理的セキュリティの規程例(領域の区分、入退室記録の保管期間、入退室記録に含める内容)を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/)。出典:2-2 個人識別符号、10-5 物理的安全管理措置(管理区域の管理手法の例)の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf)。出典:始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法、自己申告制の場合の措置(入退場記録との乖離の確認)の記述を参照(2026年10月確認)




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