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2026.10.16 らしくコラム

Excel VBAの保守を外注する方法と作り直しの判断ポイント

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

打ち合わせ机で社内の担当者が表計算の画面のノートPCを外部の技術者へ向けて渡している

この記事の結論

  • 作った人が辞めたExcel VBAのマクロは、保守を外部に頼めば使い続けられますが、作り直したほうがよい場合もあります。
  • 外部に頼む前に、ファイル一式・使う人と期限・入力と出力の見本・つながる先をそろえて渡すと調査が進みます。
  • インターネットから来たファイルのマクロは既定でブロックされるため、修正版の置き場所と差し替え方を決めておきます。

※ 本記事は2026年10月時点の公式情報(省庁・公的機関、および製品やサービスを提供する事業者が公開している資料)に基づきます。

マクロを作った担当者が退職して、エラーが出ても誰も直せない。月末の集計に使っているので、止めるわけにもいかない——。部門の中でExcelの作業を自動化してきた会社では、こうした事態が起こりがちです。Excel VBAは、Excelの操作を自動で繰り返すためのプログラムの仕組みで、ボタン1つで集計や帳票づくりを済ませるマクロの多くがこれで作られています。

作った人がいなくなっても、保守を外部に頼めば使い続けることはできます。ただし万能ではなく、作り直したほうが手間の少ない場合もあります。本記事では、情報システムの担当者や部門の責任者に向けて、使い続けるか作り直すかの判断、外部に渡す資料、マクロのセキュリティ、そして外部に頼むときに確認したい点を整理します。

Excel VBAの保守とは

Microsoftの開発者向けの資料は、VBAを「Office アプリケーションを拡張するために使用できるシンプルで強力なプログラミング言語」と説明しています。*1 作業を自動で繰り返すことが、最も一般的な使い方だとも書かれています。*1 保守とは、こうして作られたマクロを、業務で使い続けられる状態に保つ作業のことです。

  • 不具合の修正:エラーで止まったときに原因を調べて直す
  • 環境の変化への対応:ExcelやWindowsの更新、PCの入れ替え、ファイルの置き場所の変更で動かなくなったときに直す
  • 業務の変化への対応:帳票の項目や集計の条件が変わったときに改修する
  • 調べられる状態の維持:何をするマクロか、どのファイルとつながっているかを文書にしておく

作った人が社内にいるあいだは、こうした作業がその人の頭の中で済んでいます。退職や異動のあとで初めて、どのファイルが動いていて何を直せばよいのかを、誰も知らないことに気づきます。

使い続けるか作り直すか

保守を頼む前に決めておきたいのが、そのマクロを今後も使い続けるかどうかです。Microsoftの資料も、VBAで作り始める前に、Excelに備わった機能で実現できないかを確かめるよう勧めています。*1 すでにあるマクロでも、同じ考え方で次の3つの道を比べられます。

夜の机に表・流れ図・箇条書きの3枚の紙を並べ、付箋をかざしている手元

作った人がいないマクロの3つの選択肢
選択肢 向いている場面 気をつけたい点
保守を頼んで使い続ける 業務の流れがほとんど変わらない。使う人が少なく、1つのファイルで処理が終わる 作った人の考えが残っていないため、最初の調査に時間がかかる
Webの業務システムに作り直す 複数の人が同時に入力したい。ほかのシステムとデータをやり取りしたい。改修の依頼が続いている 費用と期間がかかる。いまのマクロの動きを仕様として書き出す必要がある
Excelの標準の機能に置き換える 並べ替え・集計・転記など、Excelに備わった機能で同じ結果が出せる 置き換えたあとの操作の手順を、使う人に伝える必要がある

迷ったときは、保守を頼んで使い続けながら、作り直すかどうかを決める材料を集めるのが手堅い進め方です。調べた結果、改修の依頼が多く、つながるファイルも多いと分かれば、作り直しの候補になります。作り直すときの進め方は脱Excelで業務システム化を外注する方法で扱っています。

マクロの既定のブロックとセキュリティ

Microsoftは、VBAのマクロが悪意のある攻撃者によるマルウェア(不正なプログラム)の配布によく使われることから、インターネットから来たファイルのマクロを既定でブロックするようOfficeの動作を変えました。*2 最新チャネルでは2022年7月に展開が始まっています。*2 保守を頼むときは、この仕組みで社内のマクロが止まらないかを確かめておきます。

  • メールの添付やダウンロードで受け取ったファイルには「Webのマーク」(インターネットから来たことを示す目印)が付き、マクロが止まります*2
  • 社内の共有フォルダでも、IPアドレスで開いている場合は、信頼済みサイトなどに登録されていなければマクロがブロックされます*2
  • 「信頼できる場所」に置いたファイルはマクロがブロックされないため、Microsoftはその場所に保存できる人を管理するよう求めています*2
  • 信頼できる発行元のデジタル署名(作った人を証明する電子的な印)が付いたマクロだけを動かす設定もあります*3

Microsoftのサポート記事は、動作が確かで機能が必要な場合を除いて、マクロを有効にしないよう警告しています。*3 直したファイルをメールで送り返すと、受け取った側でマクロが止まり、その場で有効にしてしまいがちです。修正したファイルをどこに置き、誰が差し替えるかまで決めておきます。

古いマクロの中には、Windowsに含まれるVBScriptという別の言語を呼び出しているものもあります。MicrosoftはVBScriptを段階的に廃止する予定で、2027年ごろには既定で無効になり、その後のWindowsからは取り除かれるとしています。*4 VBScriptを使うVBAのマクロもこの影響を受けるため、調査の段階で使っているかどうかを確かめておきます。

保守を頼むまでの進め方

作った人がいないマクロの保守は、いきなり修正から始めず、次の4つの段階で進めると、あとから思わぬ作業が出にくくなります。

  • ステップ1:マクロの棚卸し(どのファイルに何のマクロがあり、誰がいつ使うかを一覧にする)
  • ステップ2:資料をそろえて渡す(下の一覧)
  • ステップ3:外部の担当者による調査(動きの確認、つながる先、VBScriptなど古い部品の使用、修正の見積もり)
  • ステップ4:保守の開始(問い合わせの窓口、修正したファイルの受け渡し、版の管理を決める)

Excel VBAの保守を外部に頼むまでの4つの段階を左から順に並べた流れ図。STEP1 マクロを棚卸しする、STEP2 資料をそろえて渡す、STEP3 外部が調査する、STEP4 保守を始める。

ステップ2で渡す資料は次のとおりです。全部がそろわなくても構いませんが、欠けているものは欠けていると伝えておくと、調査の見積もりがぶれにくくなります。

  • マクロを含むファイル一式と、ふだん置いている場所
  • 使っている人、使う頻度、締め日などの期限
  • 入力に使うデータと、出来上がった帳票の見本(個人情報は伏せたもの)
  • つながる先(読み込むほかのExcelファイル、共有フォルダ、Accessなど)
  • 動かしているPCのExcelとWindowsの版
  • これまでのエラーと対応のメモ、VBAにパスワードがかかっている場合はその扱い

外部に頼むときに確認しておきたい点

Excel VBAの保守を外注するときは、修正の腕前だけでなく、直したあとのファイルの扱いまで含めて確かめておきます。見積もりの前に、次の点を相手と話しておくと進めやすくなります。

修正前と後の帳票2枚に定規を当て、ペンで照合の印を付けている手元

  • 調査の範囲:最初の調査で何を調べ、結果をどんな文書で受け取るか
  • 修正の確かめ方:修正の前と後で、同じ入力データから同じ帳票が出るかをどう確かめるか
  • 受け渡しと版の管理:直したファイルを誰がどこへ置き、古い版をどう残すか
  • セキュリティの設定:信頼できる場所やデジタル署名を使うか。社内の情報システムの方針と合っているか
  • 運用後の見直し:改修の依頼が続いたとき、作り直しを相談する場を設けるか

特に修正の確かめ方は、作った人がいないマクロでは大切です。仕様書が無いため、いまの出力を正しい答えとして残し、それと比べて確かめることになります。定型の作業をマクロ以外の方法で自動化する考え方はRPAによる業務自動化を外注する進め方にまとめています。

まとめ:Excel VBAの保守で確かめておきたい3つの点

Excel VBAの保守を外部に頼むうえで、確かめておきたい点は3つに整理できます。第一に、保守を頼んで使い続けるか、作り直すか、Excelの標準の機能に置き換えるかを、業務の変わり方とつながる先の多さで決めること。第二に、ファイル一式・使う人と期限・入力と出力の見本・つながる先を資料にして渡すこと。第三に、マクロの既定のブロックを踏まえて、修正したファイルの置き場所と差し替えの手順を決めることです。この3点を踏まえておけば、「外注したのに、直したマクロが社内で動かない」という事態を避けやすくなります。どこから手を付けるかに迷いがあれば、外部の手を借りるのも一つの選択肢です。

LASSICに相談するメリット

LASSICは2006年の創業以来、システムの運用・保守に特化したプライム(一次請け)のシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。Rubyアソシエーション認定システムインテグレータ、日本ニアショア開発推進機構の認定ベンダーとして、全国のリモート人材による開発・運用の体制を整えています。

Excel VBAの保守の引き継ぎでは、まずVBAのプロジェクトに含まれる標準モジュール・ユーザーフォーム・参照設定(外部の部品への参照)を洗い出し、VBScriptやほかのブック、共有フォルダへの依存を一覧にします。設計上の判断点は、修正版を「信頼できる場所」に置くか、コード署名証明書でデジタル署名を付けて配るかで、お客様のセキュリティセンターの設定とグループポリシーの方針に合わせて決めます。検証では、修正の前に入力データと出力帳票の組を保存しておき、修正後に同じ入力から同じ出力になるかを突き合わせます。運用では、モジュールを書き出して版を管理し、改修の履歴をもとに作り直しの時期を提案します。

よくある質問

マクロの中身を誰も見たことがなくても頼めますか

頼めます。最初に外部の担当者がファイルを調べ、何をするマクロか、どのファイルとつながっているかを文書にまとめるところから始めます。調査の結果を見てから修正や保守の範囲を決めると、費用の見通しが立てやすくなります。

保守の費用はどう見積もればよいですか

最初の調査と、その後の修正や問い合わせへの対応を分けて見積もってもらうと比べやすくなります。マクロの数、つながる先の多さ、修正の頻度で手間が変わるため、棚卸しの一覧を先に渡しておくと見積もりがぶれにくくなります。

社内のPCでマクロが急に動かなくなったのはなぜですか

ファイルの受け取り方によって、マクロがブロックされることがあります。メールやダウンロードで受け取ったファイルはインターネットから来たものとして扱われ、既定でマクロが止まります。*2 職場で管理されているPCでは、管理者がマクロの設定を変えられないようにしている場合もあるため、まず情報システムの担当者に確かめます。*3

Excel VBAの保守と引き継ぎのご相談

作った人がいないマクロの調査から、保守の引き継ぎ、作り直しの判断まで、元請(プライムベンダー)としてご提案します。

2006年の創業以来、一次請けのシステムインテグレーターとして、企業のシステム開発と保守・運用を受託してきました。

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出典

  1. *1 参考:Microsoft Learn「Office VBA の基礎知識」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/office/vba/library-reference/concepts/getting-started-with-vba-in-office)。出典:VBAの説明、最も一般的な使い方(作業の自動の繰り返し)、VBAで作る前に組み込みの機能を確かめるよう勧める記述を参照(2026年10月確認)
  2. *2 参考:Microsoft Learn「インターネットからのマクロは、Office で既定でブロックされます」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-apps/security/internet-macros-blocked)。出典:既定のブロックの理由、更新チャネルごとの展開時期、Webのマーク、IPアドレスで開いた共有フォルダの扱い、信頼できる場所の管理の記述を参照(2026年10月確認)
  3. *3 参考:Microsoft サポート「Microsoft 365 ファイルでマクロを有効または無効にする」(https://support.microsoft.com/ja-jp/office/office-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%92%E6%9C%89%E5%8A%B9%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E7%84%A1%E5%8A%B9%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B-12b036fd-d140-4e74-b45e-16fed1a7e5c6)。出典:マクロを有効にしないよう求める警告、デジタル署名されたマクロを除いて無効にする設定、管理されたデバイスでの設定変更の制限の記述を参照(2026年10月確認)
  4. *4 参考:Microsoft Windows IT Pro Blog「VBScript deprecation: Timelines and next steps」(2024年5月22日)(https://techcommunity.microsoft.com/blog/windows-itpro-blog/vbscript-deprecation-timelines-and-next-steps/4148301)。出典:VBScriptの段階的な廃止(2027年ごろに既定で無効、その後に削除)と、VBScriptを使うVBAのプロジェクトへの影響の記述を参照(2026年10月確認)




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