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2026.07.13 らしくコラム

RPAによる業務自動化を外注する進め方

LASSIC IT事業部|元請(プライムベンダー)として業務システムの開発・保守・運用を受託

業務自動化のイメージ

この記事のポイント

  • RPAは人が繰り返す定型作業をソフトウェアロボットが代行する仕組みで、成否は「何を自動化するか」の選定で大きく変わります。
  • MM総研の2024年3月調査では中堅・大手企業の導入率は44%、中小企業は15%で、生成AIとの組合せへの関心も高まっています。
  • 外注時は削減効果より、保守しやすいシナリオ設計・野良ロボット化の防止・対象業務の選定支援を確認軸にすると失敗を避けやすくなります。

RPAによる業務自動化とは——定型作業をロボットが代行する仕組み

業務プロセスのイメージ

RPA(Robotic Process Automation)とは、人が定期的に繰り返す業務をソフトウェアロボットが自動化する仕組みを指します*1。総務省の解説では、表計算ソフトやERPなど複数のアプリケーション間のデータ連携を含む業務プロセスを、画面(ユーザーインターフェース)を通じて自動化する技術と位置づけられています*1。データ入力、マウスクリック操作、システム間のデータ転送、請求データの管理といった定型的な繰り返し作業が、代表的な適用例です*1

図
図:RPA業務自動化の進め方(対象選定→可視化→開発→検証→運用・保守)

ここで押さえておきたいのは、RPAが「業務を賢く判断する」道具ではないという点でしょう。ロボットは、あらかじめ定義した手順(シナリオ)を忠実に再現するだけです。手順が明確で例外の少ない作業ほど自動化に向き、逆に判断や解釈が多い業務は不向きになります。つまり導入の成否は、ツールの性能より「何を、どこまで自動化するか」という設計判断に左右されます。

公的分野でも取り組みは広がっており、総務省は自治体におけるAI・RPAの活用促進を継続的に進めています*3。行政・民間を問わず、人手のかかる定型処理を機械に任せて人を判断業務へ振り向ける、という狙いは共通しています。本稿では、この自動化の開発を外部に委託する際の進め方と確認点を整理します。

数字で見るRPA——導入率と生成AIとの組合せへの関心

まず市場の実態を確認しておきましょう。MM総研が2024年3月に企業1,599社を対象に実施した「RPA国内利活用動向調査2024」では、中堅・大手企業(年商50億円以上)の導入率は44%でした*2。一方、中小企業(年商50億円未満)の導入率は15%にとどまり、企業規模による差が依然として大きいことがうかがえます*2

中小企業で導入が進みにくい理由も同調査は挙げています。「どういうことができるかわからない」が28%、「効果を期待できない、費用対効果がわからない」が27%、「今の従業員体制で業務を十分こなせている」が24%という回答でした*2。裏を返せば、適用範囲の見極めと効果の説明ができれば、導入のハードルは下げられます。この「見極め」こそ、外注先に期待したい支援の中心です。

もう一つの潮流が、生成AIとの組合せへの関心の高まりです。同調査では、中堅・大手企業のうち生成AIとRPAの組合せを本格活用しているのが10%、テスト・部分的に活用しているのが21%、準備中・検討中が53%に達しました*2。定型処理はRPAが担い、文章の要約や分類といった非定型の判断は生成AIが補う——こうした役割分担が現実味を帯びてきました。ただし過度な自動化の期待は禁物で、まずは足元の定型業務を着実に自動化することが出発点になります。

RPAが向く業務・向かない業務——自動化対象の選定が成否を分ける

RPAプロジェクトでもっとも軽視されがちなのが、自動化対象の選定です。ツール選びやシナリオ開発に目が向きがちですが、対象を誤ると「作ったのに使われない」ロボットが生まれます。選定の巧拙が投資対効果を決める、と言っても過言ではありません。

RPAが向く業務——手順が定型で、頻度と量がある作業

向いているのは、手順がルール化できて例外が少なく、ある程度の頻度・件数がある作業です。具体的には、基幹システムへのデータ入力、複数システム間の転記、定型レポートの集計・出力、受発注データの照合などが挙げられます*1。処理ルールが文書化でき、担当者が代われば同じ手順で再現できる作業ほど、ロボット化の効果が安定します。月次や日次で繰り返す業務は、少ない開発で積み上げの削減が見込める点も魅力でしょう。

RPAが向かない業務——判断・例外・変更が多い作業

逆に不向きなのは、人の判断や解釈を都度必要とする業務、例外パターンが多く分岐が読み切れない業務です。画面レイアウトや帳票フォーマットが頻繁に変わる作業も、シナリオの保守コストが自動化の効果を上回りかねません。年に数回しか発生しない作業は、開発・保守の手間に見合わないことが多いといえます。こうした業務は無理に自動化せず、手順の整理やワークフロー化など別の手段を先に検討したほうが得策です。

選定の実務では、業務量(頻度×件数)と定型度(ルール化しやすさ)の二軸で候補を並べ、効果が高く実現しやすい業務から着手するのが定石です。外注する場合も、この対象業務の選定支援まで含めて依頼できるかどうかが、成果を左右します。

AI-OCR・ワークフロー・iPaaSとの違いと組合せ

「業務を自動化したい」という相談には、RPA以外の選択肢も含まれます。似た領域の技術との違いを整理しておくと、対象業務にどれを当てるべきかが見えてくるはずです。混同したまま外注すると、本来ワークフローで足りる要件にRPAを充ててしまう、といったミスマッチが起こります。

技術 得意なこと RPAとの関係
RPA 画面操作の再現によるシステム間のデータ入力・転記・集計 本記事の主役。定型作業の実行役
AI-OCR 紙・PDF帳票の文字を読み取りデータ化する 読み取り結果をRPAが後続処理へ引き渡す
ワークフロー 申請・承認の回付ルートと履歴の管理 承認後の定型処理をRPAが自動実行する
iPaaS クラウド同士をAPIで連携させデータを同期する APIがある部分はiPaaS、画面操作しかない部分はRPAで補完

大切なのは優劣ではなく、対象業務ごとの使い分けです。AI-OCRは紙帳票の読み取りに強く、その結果をRPAが基幹システムへ入力する、といった連携で真価を発揮します。申請・承認の流れそのものはワークフローが担い、承認後に発生する定型処理をRPAが引き取る構成も一般的です。

API連携が用意されているシステム同士なら、画面操作を模倣するRPAより、iPaaS(Integration Platform as a Service。クラウドサービス間をAPIで連携するための基盤)のほうが安定します。画面越しの操作は、対象アプリの改修で動かなくなるリスクを抱えるためです。「APIがあるならAPI連携、画面操作しか手段がないならRPA」という切り分けを押さえておくと、保守しやすい構成に近づきます。外注先には、この使い分けを前提に最適な手段を提案できるかを確認したいところです。

スモールスタートから全社展開へ——野良ロボットを防ぐ統制

生産性向上のイメージ

RPAは小さく始めやすい一方、拡大の局面で管理が追いつかなくなりがちです。現場ごとに個別最適でロボットを増やした結果、誰が何を動かしているか把握できない状態——いわゆる「野良ロボット」が生まれます。作成者の異動や退職でシナリオがブラックボックス化し、エラーが起きても直せず、結局は手作業に戻ってしまう、という失敗はよく耳にします。

これを避けるには、最初のスモールスタートの段階から統制の仕組みを織り込んでおくことが欠かせません。具体的には、稼働中のロボットを一覧で管理する台帳、命名規則やシナリオ構造の標準化、変更履歴とバージョンの管理、実行結果の監視とエラー通知の運用などです。全社展開の前にこれらを整えておくと、規模が大きくなっても管理不全に陥りにくくなります。

ガバナンスは制約ではなく、自動化を長く使い続けるための土台と捉えるとよいでしょう。誰が作っても保守しやすいシナリオ、担当者が代わっても引き継げるドキュメント、止まったときに気づける監視——この三点がそろって初めて、業務自動化は資産として定着します。外注の際は、こうした運用設計まで見据えた提案があるかどうかが、目先の開発費以上に重要な判断材料になります。

開発の外注と内製化支援——判断軸と外注時の確認点

RPA導入の進め方には、大きく「開発を丸ごと外注する」道と「内製化支援を受けながら自社で運用する力を育てる」道があります。どちらが正解というものではなく、自動化の規模や社内体制、継続的に変更が発生するかどうかで選ぶのが現実的です。

開発を外注する場合——立ち上げの速さと品質を優先するとき

対象業務が明確で早期に成果を出したい、あるいは社内にRPAの知見がまだ乏しいなら、開発の外注が向きます。専門の元請(プライムベンダー)に対象業務の選定から任せれば、保守しやすいシナリオ設計や統制の仕組みまで一貫して整えてもらえます。立ち上げの品質とスピードを買う選択、と言い換えられるでしょう。ただし丸投げに近い形だと、変更のたびに委託費が発生し、社内にノウハウが残りにくい面もあります。

内製化支援を受ける場合——変更が多く、自走したいとき

業務の変更が頻繁で、現場が自分たちでシナリオを直せる体制を目指すなら、内製化支援が選択肢になります。初期の難所を専門家に伴走してもらいつつ、標準化ルールや教育を通じて自社にスキルを移す進め方です。短期の効率だけを見ると外注に劣る場面もありますが、中長期では変更対応の内製化により総コストを抑えやすくなります。多くの企業では、立ち上げを外注し、運用フェーズで徐々に内製へ移す折衷案が現実的です。

いずれの道でも、外注時に確認したい点は共通しています。第一に、対象業務の選定支援まで含まれるか。第二に、保守しやすいシナリオ設計(命名規則・部品化・ドキュメント)を標準として持っているか。第三に、野良ロボット化を防ぐ運用・統制の仕組みを提案できるか。第四に、AI-OCRやiPaaSなど周辺技術と組み合わせた最適な構成を示せるか。これらを提案依頼書(RFP)や初回相談で確認しておくと、契約後のミスマッチを減らせます。誇大な削減効果をうたう提案より、こうした運用の地に足の着いた提案を選びたいものです。

まとめ:RPA業務自動化の外注で押さえる3つの判断軸

本稿では、RPAによる業務自動化の開発を外注する進め方を、公的調査と公式解説に基づいて整理しました。要点は3つに集約できます。第一に、RPAは定型作業を代行する仕組みであり、成否は「何を自動化するか」の対象選定で決まります*1。第二に、導入率は中堅・大手で44%、中小で15%と差があり、生成AIとの組合せへの関心も高まる一方、まずは足元の定型業務を着実に自動化することが土台になります*2。第三に、外注時は削減効果の大きさより、保守しやすいシナリオ設計・野良ロボット化の防止・対象業務の選定支援を確認軸にすると、失敗を避けやすくなります。AI-OCRやワークフロー、iPaaSとの使い分けまで見据えて、自社に合う進め方を選んでいきましょう。

LASSICに相談するメリット

LASSIC IT事業部は、業務システムの開発・保守・運用を元請(プライムベンダー)として受託しています。RPAによる業務自動化についても、自動化対象の選定から保守しやすいシナリオ設計、野良ロボット化を防ぐ運用・統制の仕組みづくり、AI-OCRやiPaaSと組み合わせた構成の提案まで、一貫して対応する体制を整えています。開発の外注と内製化支援のどちらが適しているか迷う段階から、現状の業務診断を通じてご相談いただけます。

よくある質問

RPAの開発を外注する場合、どこから相談すればよいですか。

ツールやシナリオの話に入る前に、対象業務の選定から相談することをおすすめします。業務量と定型度の二軸で候補を洗い出し、効果が高く実現しやすい業務から着手するのが定石です。この選定支援まで担ってくれる外注先を選ぶと、作ったのに使われないロボットを避けやすくなります。

RPAとAI-OCRやワークフロー、iPaaSはどう使い分けますか。

紙・PDFの読み取りはAI-OCR、申請・承認の回付はワークフロー、API連携があるクラウド同士の同期はiPaaSが適しています。RPAはこれらの隙間を埋め、画面操作でしか扱えない処理やシステム間の転記を担う役割です。単独ではなく、対象業務に応じて組み合わせると保守しやすい構成になります。

「野良ロボット」を防ぐには何を準備しておくべきですか。

稼働ロボットの一覧台帳、命名規則やシナリオ構造の標準化、変更履歴とバージョンの管理、実行結果の監視とエラー通知が基本になります。スモールスタートの段階からこれらを織り込んでおくと、全社展開で管理不全に陥りにくくなります。外注先が運用・統制の仕組みまで提案できるかを確認してください。

開発を外注するのと内製化支援を受けるのは、どちらがよいですか。

対象が明確で早く成果を出したいなら外注、業務変更が多く自走したいなら内製化支援が向きます。多くの企業では、立ち上げを外注し、運用フェーズで徐々に内製へ移す折衷案が現実的です。自社の体制と変更頻度をふまえ、どこまでを外部に任せるかを設計するとよいでしょう。

RPAでどのくらいの業務削減が見込めますか。

削減効果は対象業務の量や定型度、例外の多さによって大きく変わるため、一律の数値は示せません。誇大な効果をうたう提案には注意が必要です。まずは小さな範囲で実データを使った検証を行い、実測に基づいて拡大の可否を判断する進め方が堅実です。

著者:テレリモ総研編集部 鈴木 亮佑


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  1. *1 出典:総務省「RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)」(情報通信統計データベース)(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html
  2. *2 出典:株式会社MM総研「RPA国内利活用動向調査2024(2024年3月時点、有効回答1,599社)」(https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=634
  3. *3 出典:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」(令和7年6月30日版)(https://www.soumu.go.jp/main_content/001018078.pdf


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